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広瀬すず、松下洸平が英語でご挨拶! 映画『遠い山なみの光』北米プレミア実施!!第50回トロント国際映画祭に参加!

第78回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門 正式出品作品
カズオ・イシグロ 原作  石川慶 監督・脚本・編集
主演:広瀬すず  共演:二階堂ふみ、吉田羊

タイトル

第50回トロント国際映画祭
スペシャル・プレゼンテーション部門
広瀬すず、松下洸平が英語でご挨拶!北米プレミア実施!!
「日本の映画史に新たな1ページが加わったような作品」など絶賛の声が続々

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1989年にイギリス最高の文学賞であるブッカー賞、2017年にノーベル文学賞を受賞し、二つの世紀を代表する小説家となったカズオ・イシグロの鮮烈な長編デビュー作「遠い山なみの光」を、『ある男』(22)で第46回日本アカデミー賞最優秀作品賞含む最多8部門受賞を果たした石川慶監督が映画化した『遠い山なみの光』は大ヒット上映中。

ある女が語り始めたひと夏の記憶
その物語には心揺さぶる〈嘘〉が隠されていた
1950 年代長崎と 1980 年代イギリスを生きる 3 人の女たちの
知られざる真実に涙溢れる、感動のヒューマンミステリー
日本人の母とイギリス人の父を持つニキ。大学を中退して作家を目指す彼女は、長崎で戦争を経験した後イギリスへ渡った母の悦子の半生を綴りたいと考える。娘に乞われ、口を閉ざしてきた過去の記憶を語り始める悦子。それは30年前、戦後間もない長崎で暮らしていた頃に出会った、佐知子という女性とその幼い娘と過ごしたひと夏の思い出だった。だが、ニキは次第に母が語る物語に違和感を感じ始め――。

長崎時代の悦子を演じるのは広瀬すず、佐知子に二階堂ふみ、イギリス時代の悦子に吉田羊、ニキにはオーディションで選ばれたカミラ・アイコ、さらに悦子の夫に松下洸平、その父親に三浦友和と、日英映画界の煌びやかな至宝がそろった。
そのほか、日本パートには柴田理恵、渡辺大知、鈴木碧桜(子役)らが出演。豪華実力派キャストが集結し、物語を彩る。

この度、本作は第50回トロント国際映画祭スペシャル・プレゼンテーション部門へ正式出品され、北米プレミアとなった。
公式上映に、広瀬すず、松下洸平、そして石川慶監督が登壇した!

カズオ・イシグロ原作、石川慶監督による映画『遠い山なみの光』が、第50回トロント国際映画祭(2025年9月4日〜14日/現地時間)スペシャル・プレゼンテーション部門へ正式出品されました。トロント国際映画祭は、北米最大級の観客動員を誇り、アカデミー賞の行方を占う“オスカーレースの登竜門”として、世界的にも注目される映画祭。記念すべき50回目の開催となる今年、本作はトロントで北米プレミアを実施した。

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【イベントレポート】
<上映前の登壇>
公式上映前に舞台上に上がった石川慶監督は、観客に向かってお礼を述べた後、「このような場で本作を上映できることを非常に光栄に思っています。昨日の上映では僕一人での登壇だったのですが、今日は素晴らしいキャストと一緒に来ています。」と、主演の広瀬すず、そして松下洸平を紹介しました。それを受け、広瀬も英語で「今日、この映画祭に来られて嬉しいです。」とにこやかに語り、松下も同じく英語で「本作で二郎役を演じました。ここに来られて、とてもワクワクしています。皆さんに楽しんでいただけたら嬉しいです。」と心を込めてご挨拶しました。

<Q&A>
123分の上映を終え、感動冷めやらぬ中、司会の呼び込みで広瀬すず、松下洸平、そして石川慶監督によるQ&Aを実施。

早速、「なぜこの小説を映画化しようと思われたのか、そしてなぜ今なのか」という質問を受け、石川監督は鑑賞のお礼を述べた後「もともとカズオ・イシグロさんの大ファンなのですが、同時に、日本の映画監督にとって彼の名前はとても大きな存在なので、自分にはまだ早いと思っていました。 でも、今年は第二次世界大戦から80年という節目で、実際にその出来事を体験した方々と話すことはどんどん難しくなっていますし、映画もそのことを扱っていますので、「もう言い訳はできない、今が作る時だ」と決心しました。」と返答した。

また、キャスティングについて、登壇している広瀬と松下について問われると「広瀬さんは、この世代を代表する最高の女優だと思います。皆さんもご存じの通り、彼女の演技には役をまるごと立ち上げるような力があります。若々しい役柄も自然にこなせますし、今回はどうしても彼女の力が必要でした。ですから、選ぶのはごく自然なことでしたし、ありがたいことに快く引き受けてくださいました。

松下さんについてですが、原作小説ではこの人物はあまり深みのあるキャラクターではなく、妻を理解しない「悪い夫」として描かれていました。けれども、時代背景を考えると、彼の年齢なら戦争に行き、帰ってきたときには長崎が壊滅的な被害を受けていたはずです。そうした状況を思い浮かべると、この人物像はとても奥行きのある、興味深い存在になると感じました。だからこそ、映画では重要な役割を担うことになったんです。そしてもちろん、洸平さん自身が本当に素晴らしい俳優であり、彼の演技を通して観客が自然に共感を寄せられると確信しています。それが彼にお願いした大きな理由です。」と説明。

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質問は広瀬、松下におよび、石川監督作品に出演した感想を問われると、広瀬は「石川監督からこのお話をいただいたとき「僕にとっても大きな挑戦になる作品です」というお手紙をいただいて。台本を読んだときは、ある種とてもトリッキーな印象を受けた」そうだが、
「実際の現場では一転して、とても穏やかで優しく、率直に言葉で演出を伝えてくださいました。言葉にしづらいニュアンスをどう表現するかを一緒に話し合いながら進めていけたので、本当に寄り添ってくださる監督だと感じました。おかげで毎日、心強い気持ちで現場に立つことができたと思います。」と隣の石川監督に感謝の気持ちも込めて語った。

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松下は、「石川監督はすごく丁寧に、それぞれのキャラクターについて向き合ってくださいました。 例えば、家の中でどこに座るべきなのか、どの方向を向いて寝ているのか? 我々はセットの中で、家の中のシーンを撮影したのですが、窓の外に見えるのは、長崎の景色ではなくて、グリーンバッグでした。 そのグリーンバックの外に見える景色を、みんなで想像する時間。 そこがすごく豊かで、何かこうイメージをかき乱されるような、決して優しいだけではなく、繊細で力強いディレクションを僕たちにしてくださいました。」と語り、
自身が演じた二郎の役作りについては「彼は戦争というものを体験して、ある種の傷を負って日本に帰ってきました。 その傷を彼はどう忘れようとするのか、そういうキャラクターでした。 一方で、自分の父親である緒方(三浦友和)は、戦争に行かず、日本の軍国主義をいつまでも引きずる人でした。 その差、戦争を体験した者としなかった者の差というものをどのような細かい表情やしぐさで表現するか、そこを石川監督とたくさん話し合いました。」と、撮影時を懐かしそうに振り返った。

観客からの質問で「原作小説の「遠い山なみの光」では、語り手の一人称で語られている。映画に翻案する際には、著者が用いた「言葉」という方法ではなく、別の手段でその微妙な語りのニュアンスを表現しなければなりません。あなたはカズオ・イシグロが小説の語りを通して生み出す雰囲気を意識的に捉えようとしたのでしょうか? それとも、別の方向性を目指したのでしょうか?」と問われると、石川監督は「この小説は実際には悦子の視点から語られています。彼女が思い出し、そこから語り始める、というような形です。なので、基本的には彼女の視点に集中しています。ただ最初に考えたのは、この本が出版されたのは40年前だということです。僕たちは今の若い観客に届けなければならない。だから私たちが変えたのは、”この物語は(彼女の娘である)ニキの視点から語られる”という点なんです。そうすることで、彼女がこれから何を発見し、どう見ていくのか、という話になる。そしてそれは母親に対する赦しについての物語にもなっていきます。そうすると自然に結末も少し変わってきたんです。そこが小説との一番大きな違いだと思います。」と返答。

また、「アメリカが日本に原爆を投下した事実を踏まえ、戦後の日米関係はどのようなものだったのか?」という質問に対しては、「これは私たち日本人全員にとってのジレンマなんです。被害者だと感じることもあれば、同時に近隣諸国を傷つけてもいて、両方の感情を同時に持っています。そして、特にこのイシグロさんの本では、いつもそれが感じられるんです。この本だけじゃなくて、「日の名残り」の主人公にも、協力的に行動しながらもどこか偽善的な感情、あるいは後悔のようなものがあったことがわかりますよね?私はこういった感情が、自分自身の歴史に対する感覚にとても近いものだと感じるのです。」と、多様な観客に向かって、率直に語った。

「過去(として描かれる長崎の)シーンと、より不安定で暗く描かれている現代(として描かれるイギリス)のシーンでのライティングの違いについて教えてください」と、照明の演出について質問が及ぶと、石川監督は、「まず記憶の中の長崎のパートについて話すと、イシグロさんがこの本を書いたとき、彼は遠く離れたイギリスにいました。彼は長崎を想像の中で描いているんです。だから私たちがこの作品の中の長崎を作る時、正確である必要はないと判断しました。むしろ、悦子がどう記憶しているかを重視すべきだと考えたんです。それで、もっとカラフルで鮮やかに描こうと決めました。そして、それは日本の長崎というよりも、むしろイギリスからの影響を受けたようなものになってもいいと考えました。そういったことが、私たちがこの作品で意識した点の一つです。」と、演出の舞台裏を明かした。

「小説以外にどのような資料を元に研究してキャラクターや物語をどのように構築したのか」という質問に対して広瀬は「私は考えて構えたり想像したりするとなかなか現場で止まってしまう時間がある人間なので、すごく今回も本当につかめなくて、台本を読んでリハーサルをする時間をたくさん設けていただいたんですけど、そのときに佐知子を演じた二階堂さんのセリフ回しを見て、そっちの方向に寄せていこうとか、現場で対面した時に相手の役者さんからもらえるもの、現場の環境からもらえるものを全部エネルギーにしている感じです。」と素直に語った。

松下は「僕はこの作品をやる前に、舞台でこの長崎の原爆についての話をやったことがあったので、その時に多少当時の資料を見聞きする機会がありました。そして実際に長崎に行って被爆した方のお話を聞く機会もありました。先ほど監督もおっしゃっていましたけど、そういう方々が少なくなってきているなかで僕が感じたのは、これは特別な体験をした特別な人たちの話ではなくて、あくまでも庶民の話だということです。そこに生きる普通の人たち、普通の暮らしをしていた人たちが、当たり前の普通を失った。 それでも生きていかなければいけない庶民の話。だから、特別な悲劇を押しつけるような作品ではないような気がしました。 なので、あくまでも当時の日常にどのように溶け込むような二郎でいるべきか、そういう作品にすべきなのか、ということを考えていました。」と長崎でのエピソードを披露するなど、役作りについて明かした。

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最後に、観客へのメッセージとして石川監督は「(本作は)私にとっては親や祖父母たちが本当に求めてきた新しい価値観についての話です。もちろん反核運動についてもそうですし、ジェンダーに関する取り組みや規制、多様性などすべてに関わっています。私にとっては非常に重要なテーマであり、特に現代では、その新しい価値観が少しずつ薄れてきているように感じます。だからこそ、私たちはそれらがどれほど大切なものだったかを改めて考える時だと思います。」と、想いを込めてQ&Aを締め括った。

<囲み取材>
会場を一旦後にし、囲み取材を実施。北米プレミアを終えて、「すごく温かく迎えてもらった感じがします。」と石川監督。「Q&Aも初めてやったような気がするので、「こういう感想を持たれるんだ」というのをすごく興味深く聞いていました。」と感想を語ると、初めてトロントに来たという広瀬も「人の温かさと、真っすぐ私たちのことを見て質問してくださる姿を見て、ちょっとゾクゾクしました。」と語り、Q&Aで日本のイメージがストレートに伝わった質問を受けたと目を輝かせた。松下も、「暑すぎず寒すぎずベストなタイミング!」と過ごしやすいトロントが気に入ったようで、「(トロントには)映画や芸術というものにすごく関心がある方がたくさんいらっしゃるんだなと、すごく刺激になりました。」と観客に対しても感謝の意を示した。

またカンヌ国際映画祭へ参加した二人に、トロントとの違いを聞くと、松下は「カンヌは本当に街全体で映画祭。右を見ても左を見てもカンヌの、映画祭の関係者ばっかりだったんですけど、意外と(トロントは)ローカルな人たちと映画祭の人たちがミックスされていて、今日は映画祭ではあるけど、通常通り変わらない日常を送られている方もいらっしゃるし、良い意味で、この映画祭は街全体に溶け込んでいて、それはそれでまた違った素敵さがあるなと思いました。」と肌で感じた違いを語り、広瀬は、「カンヌはとても熱狂的でしたが、トロントは静かな中でも情熱がすごく伝わってきて、『遠い山なみの光』を観て、自分の映画にしようとしてくれるような寄り添い方だったのがすごく印象的でした」と語った。

カンヌ国際映画祭、上海国際映画祭、トロント国際映画祭、そして10月にはロンドン映画祭も控えている本作。世界の皆様にこの映画を観ていただく機会ができているが、どのように受け止めているか、と聞かれると石川監督は「もともとこの(映画の)題材自体、始めたときからなるべく世界の人たちに届けたい、日本だけじゃないもうちょっと広がりのあるテーマをできないだろうかとすごく思っていたので、気持ち的にはもっともっと外に出てくれるといいなと思います。」と素直な思いを明かし、広瀬は「我々日本人にとって、長崎は長崎の話があって、沖縄の話があって、広島の話があって、一つ一つ形が違う歴史がある中で、長崎というものを舞台にした作品がどんなふうに(世界に)伝わるのかというのは、すごく気になります。」といい、「映画というコンテンツを通して知ってもらえるきっかけになって欲しい」と希望を込めて語りました。松下も「あの時あの当時生きていた人たちの想いみたいなものを、日本だけではなく世界の方々に届けることによって、改めて考えるきっかけ、知るきっかけをお届けできたらいいと思います」と思いを明かした。

そして、日本では公開から1週間が経った反響などについて聞くと、「すごく来ています」という石川監督は「「ちょっとこれは答え合わせを監督に聞きたい」みたいな、長文のメールが届いたり。総じて熱量がすごい。」とその反響の大きさに驚いている様子。広瀬は「何か持ち帰ってくださっているんだろうなと感じる。きっと会ったら絶対この作品の話になる気がします」と本作ならではの周りの反応について説明した。
松下は「(映画を)観終わった友人から、「帰ってから考察合戦がすごかった」という連絡をいただいていて、でもそれがとても大切なこと。そうやって何かそれぞれが答えを出そうとする、我々は最後に何かとても大きな問いを投げかけたのだとしたら、作品としては良かったのかなと思います。」と語り「その後、皆さんが考えるということが、作品の素晴らしさでもあると思うので、そこは監督が東京での完成披露試写会のときに、「皆さんの出した答えが答えだと思います」とおっしゃっていたので、僕はそれをそのまま言いました(笑)」と監督の言葉を借りたことを明かした。

<観客の声>
上映後の観客に本作の感想を聞くと「悦子が人生を変えようと決意するところが本当に良かった。すごく気に入りました。」「ようやく私たちも、女性という存在やその役割、感情、そして耐えてきたことについて語り合える段階に来たんだと思います」など、女性の描き方に感銘を受けたという感想や、「とても美しい映画でした」と、映像に対する感想も相次ぐ中、「カズオ・イシグロの原作の本質を非常によく映し出していたと思います。実に見事な仕上がりでした」「現代の観客にも親しみやすく仕上げていて、あの本を映像化するのは非常に難しいことだったのに、監督は素晴らしい仕事をしたと思います。」という原作ファンからの感想や、「日本の映画史に新たな1ページが加わったような作品。とても良かったです。」と、作品への絶賛コメントが続々飛び出した。

戦後80 周年となる 2025 年にスクリーンに描かれたこの物語は、終戦間もない長崎という、まだ過去にしきれない「傷跡」と、未来を夢見る圧倒的な「生」のパワーが渦巻いていた時代を生き抜いた女性たちの姿を鮮明に描き出す。先の見えない時代を生きる私たちに前へ進む勇気をくれる、感動のヒューマンミステリー。是非劇場にてご覧ください。
(オフィシャルレポートより)

遠い山なみの光 本ポスター最終

映画『遠い山なみの光』
・原作:カズオ・イシグロ/小野寺健訳「遠い山なみの光」(ハヤカワ文庫)
・監督・脚本・編集:石川慶 『ある男』
・出演:広瀬すず 二階堂ふみ 吉田羊 カミラ・アイコ 柴田理恵 渡辺大知 鈴木碧桜 松下洸平 / 三浦友和
製作幹事:U-NEXT
制作プロダクション:分福/ザフール
共同制作:Number 9 Films、Lava Films
配給:ギャガ
助成:JLOX+ ⽂化庁 PFI 上映時間123分
©2025 A Pale View of Hills Film Partners

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