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朗読劇『Every Day』相葉裕樹×北原里英 インタビュー 相葉裕樹「朗読劇は役者の戦いでもある」 北原里英「誰もが刺さってしまう瞬間がある物語」

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朗読劇『Every Day』 が、 9 月 22 日(木)~24 日(土)に東京・ニッショーホールにてペア3組の日替わり出演で計 6 公演が上演される。
音楽家・haruka nakamura の楽曲「every day」から着想を得て、冨士原直也が発表した短編シナリオを原作に、手塚悟が監督を務めた映画「Every Day」。
その繊細な世界を古川貴義が脚本・演出。haruka nakamura が映画の為に書き下ろした楽曲を西寿菜によるピアノの生演奏とともに朗読劇として届ける。

今回、Astageにご登場いただくのは、9月23 日(金・祝)に出演する「相葉裕樹×北原里英」ペア。今回が初顔合わせとなったおふたりに、本作の魅力と朗読劇の面白さを伺いました。

ストーリー
ある月曜の朝、三井晴之(相葉裕樹)が目を覚ますと交通事故で昏睡状態のはずの恋人・辻村咲(北原里英)がそこにいた。咲は「時間をもらったのね、1週間」と言い、いつも通りに朝ごはんを作り、弁当を差し出す。夢か現実か・・・晴之は状況を飲み込めないまま、仕事に行き、いつもと変わらぬ日常が始まっていく。時間は刻々と進み、とうとう7日目となる日曜日を迎えた。咲はどうなってしまうのか?

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―今回が初共演で、今日が初対面と伺いました。お互いについてどんな印象を持たれましたか?
北原:お会いして「すごく優しくて良かった!」って思っています。(笑)

相葉:テレビなどで拝見して“筋が通った女性だな”という印象でした。北原さんの旦那さん(笠原秀幸)とは一度共演したことがあって、今日、お話していく中で「家では旦那さんに甘えたりしてるのかな…」なんて気がして(北原が笑う)、印象が少しずつ変わっていく感じがしています。

―本作の印象を教えてください。
相葉:台本を読んだばかりでなのですが、こんなに切ない話なんだと…。当たり前な日常がこんなにも特別な時間になるなんて、なんとすごい濃密な一週間のお話かと思いました。台本を読んで、やっぱり泣いちゃいましたね。だから「演じた時にどうなるのか」と楽しみな面と、稽古日数も短いでしょうから、その中で「北原さんとどういう空気感を作れるかな」「チャレンジになるな」と感じました。

北原:私は前回出演した朗読劇『いつもポケットにショパン』(2019年)が、大好きで忘れられないんです。朗読劇は稽古日数も本番も短いので、特別な思い出があるわけではないのですが、その時の“自分が物語にグッと入り込めた“、“短期集中出来た”という経験がすごく残っていて、未だに覚えているんです。だから「また朗読劇をやったら、あの感覚を思い出せるのかな」という気持ちがあったので、今回もすごく楽しみに思っていました。

―そこで朗読劇の面白さを知ってしまったのですね。
北原:はい。『いつもポケットにショパン』という題名どおり、ピアノが大事な役割をする朗読劇で、ピアノの生演奏がありました。今回もピアノの生演奏がある朗読劇なので「またあの美しい空間にいけるのかな」と楽しみにしています。

―そう期待して脚本を読まれて、いかがでしたか?
北原:あらすじだけ読んでいた時は「みんなが泣いてしまうようなハートフルなお話なのかな」と思っていましたが、脚本を読み、映画を観たら一筋縄じゃいかない感じがしました。ただラブラブなカップルがある出来事のためにバラバラになってしまうという話じゃない。順風満帆なカップルだったわけでもなかったし、でもそれがよりリアルで「すごくやりがいがありそうだ」と思いました。

― “朗読劇の楽しさ”という点について、相葉さんはいかがですか?
相葉:緊張感はありますね。セリフをしっかり覚えて舞台上にいるわけじゃないので。
北原:ページを見失ったら終わりですものね。
相葉:そうですね。稽古日数も短いので、演者同士でも「どんな感じで来るんだろう?」という緊張感があって、本番をやってみないと分からないところがあって、本番で生まれることが多くなってくる。そして制約がありますよね。ちらっと顔を見ることはあるかもしれませんが、基本的には本を読んでの芝居、目線を本に向けて椅子に座って…になると思うので、声での表現が重要になりますけど、ただそこだけに頼りたくない作品だと思います。特に日常でのシーンがメインになっているので、その普遍的なところがいかに大切で価値のあるものなのかを伝えられたらいいなと思います。
演目によっては朗読では声のニュアンスによって、随分と変わると思いますけど、特にこの作品ではリアリティをもって演じるほうがいい題材だという気がしています。

北原:本を持って文字を見ながらの日常会話って、逆に難しいですよね。

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―そんな朗読劇だから特に心掛けていることはありますか?
相葉:基本的には変わらないですが、稽古場でたくさん稽古できない分、自分で練習はしたいですね。表現方法が変わってくるというだけで、お芝居には変わりないので。

北原:確かに。私も一般的な舞台との違いはよくわかりませんが、稽古の日数が少ない分、緊張感を持ち続けていられる。それこそ作品に対してマンネリ感が無いのは、とても良いことだと思います。普通の舞台が飽きるわけではないですけど、すごく新鮮な気持ちで届けられるのは強みでもあると思います。ただ、今回の作品は“晴之と咲は、ずっと一緒にいたふたりなんだ”という関係性をしっかり伝えられないと、お客様に何も届けられないまま終わってしまう気がするので、そこが課題かなと思っています。

相葉:そうですね、何もしなければ活字を読むだけになっちゃうのですが、そこに感情を乗せてということをしっかりやっていくには、落とし込む作業をしっかりやってきた上での本番に臨む。本番の時間を、空気感をちゃんとリアルに作り出さなきゃならない。実は朗読劇ってとても難易度の高いことをやっている。そこはもう役者の戦いでもあります。

―物語や役を落とし込んでいくという点では、共感する点はありますか?
北原:「長く付き合っていたら、そういう問題に直面することがきっとある」というような、誰もが「あるある」と思い当たる瞬間が、この作品にはあるような気がします。もしかしたら男性側と女性側が逆の立場の場合もあるかもしれないし、性別問わず共感してしまうところがあると思います。

―具体的に刺さったところは?
北原:喧嘩のシーンです。咲が「ハワイに行きたい」と言っているのに晴之が「二子玉(二子玉川)」としか応じてくれない場面です。咲が積もり積もった思いを初めて表した瞬間なのに。「わかるわ~」と思いながら読みました。

相葉:僕は全体的に…ですね。ありふれた日常がずっと続いていくんだろうなって思ったり、隣に居てくれることがいつの間にか当たり前になってしまったりする。でも現実にはいつ、そうでなくなってもおかしくないんですよね。“(突然の)死”が、かなり近くに感じる時代になりましたから。
平凡で退屈に感じるような日常が、実はこんなに特別なんだってことをすごく考えさせられて、喧嘩ですら「その感情のぶつかり合いって、心を許し合った者同士でなきゃできないものだな」と、ちょっと幸せなことに思えてしまいました。

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―では最後に観に来て下さる方、まだ迷っている方へメッセージをお願いします。
北原:観劇も敷居が高いと思いますが、朗読劇はもっと敷居が高いだろうと思います。もしかしたら朗読劇という存在を知らない方もいると思います。でもコロナ禍を経て「生で舞台を見られるのは当たり前じゃないんだ」となりましたよね。そんな今だからこそ、生の舞台の良さをより多くの方に知って頂きたいと思います。少しでも興味がある方がいたら是非観に来てほしい。誰もが刺さってしまう瞬間がある物語だと思います。この作品を見てどこかが刺さって、帰り道にいろいろと考えてもらえるような作品になったらいいなと思っています。

相葉:この作品を観終わったときに、パートナーや友人や、家族という大切な人を、改めて大切にできる、そんなふうに周りの景色が変わる作品じゃないかなと僕は思います。日常のかけがえのなさを感じてもらえたらと思います。ぜひぜひ劇場に観に来て頂けたらと思います。

制作スタッフさんから「この作品は、二人のわずか1週間を描いた儚いお話です。朗読劇は観客おひとりおひとりが想像を広げて味わうものですが、出演ペアによっても解釈がちがうでしょうし、そのペアの色をどう受け取るかによって、結末も変わってくる作品だと思いますよ」とお話しくださいました。

そこで相葉さんと北原さんは、この物語の結末について、それぞれの思いを語り始めました…が、それは是非、劇場でお確かめください。

朗読劇「Every Day」相葉裕樹×北原里英 ぺアの公演は、9月23日(金・祝)の1日、2回のみ。
13時公演後には相葉裕樹・北原里英によるお見送り、17時公演では相葉裕樹・北原里英によるアフタートークもあり。
あなたは、この物語はどんな結末を迎えると思いますか?

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朗読劇「Every Day」
公演期間 2022 年 9 月 22 日(木)~24 日(土) 計 6 公演
会場 ニッショーホール (東京都港区東新橋 1-1-19 ヤクルト本社ビル) 脚本・演出 古川貴義
音楽 haruka nakamura
演奏 西寿菜
出演者 A:林遣都×瀧本美織 B:相葉裕樹×北原里英 C:赤澤遼太郎×瑞季
共通:林和義、片山陽加

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★:メインキャスト 2 名によるアフタートーク
● :相葉裕樹、北原里英によるお見送り

チケット料金 6,700 円(税込) / ペアチケット 13,000 円(税込・2 枚)
※全席指定、未就学児入場不可
主催・企画・制作 サンライズプロモーション東京
企画協力 手塚悟(TEDOYA TOGO)
公式サイト https://srpstage.com/everyday