『THE オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ MOVIE』の完成披露試写会が、8月18日、東京・TOHOシネマズ新宿にて行われ、脚本・監督・編集・出演を務めたオダギリジョーをはじめ、主演の池松壮亮、共演の麻生久美子、永瀬正敏、佐豚浩市が舞台挨拶に登壇した。
2021年にNHKで放送されたテレビドラマ「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」は、鑑識課管察犬係のハンドラー・青葉一平(池松壮亮)だけには、なぜか相棒の察犬・オリバーが、酒と煙草と女好きの欲望にまみれた犬の着ぐるみのおじさんに見えてしまう(一平以外の人間には犬に見えている)、しかもその着ぐるみのおじさんオリバーをオダギリジョー自身が演じるという奇抜な設定で話題を集めた。脚本・監督・編集・出演を務めたオダギリジョー、そしてドラマ版から池松壮亮(青葉一平役)、麻生久美子(漆原冴子役)、永瀬正敏(溝口健一役)、佐藤浩市(コニシさん役)ら”クセ強キャラ”たちが続投する。
オダギリジョーは、「ちょっと気合いを入れて、旗を作ってきたんです。6万円です。どうですか?」とこの日のために制作した映画の旗を体に巻いて、意気揚々。すかさず麻生から「6万円、高い!」と。オダギリは「でも世界に1枚だからね。写真は永瀬さんに撮ってもらったし。浩市さんもさっき『高いなぁ』って言ってましたよね」と苦笑い。和やかな雰囲気でイベントがスタートした。
そして、この日初めて作品を観客に観てもらうということで、オダギリは「感無量ではあるんですが・・・」と前置きをしつつ、「1つ謝らなきゃいけないことがありまして・・・。実は今日上映するものは完成作品ではないんです。そうなんです、本当に申し訳ないんですが、間に合わなかったんです」とまさかの告白。会場から「えー!」と驚きの声が上がると、「細かいところを少し直します。でも、十分面白いと思います。そんなに印象は変わらないかと。ほぼ完成作品です」と平謝り。佐藤が「でも、今日のお客さんしか、この映像を観られないということで、貴重なことかと」とフォローし、会場は笑いと温かい空気に包まれた。
最初にこの作品の設定を聞いたときの印象を問われた池松は、「僕が初めて聞いたのは、2020年に韓国で日本人数人で韓国に渡って映画を一緒に撮っている時でした。オダギリさんからそういう話を聞きました。たぶん明日には喋ったことを覚えてないんだろうくらいの感じで。まさか本当に作るとは思ってなかったです」と回顧。
その時の様子をオダギリも「あの時は1話を書き終えていたんです。たしか、撮影の休みの日に、池松くんとコインランドリーに行って、その待ち時間に『ちょっと読んでみてもらえませんか?』と渡したような記憶があります」と話す。
当時を振り返りながら、池松は「韓国で聞いた話がまさかこんな遠いところまで来れたなと。当時はコロナ禍真っ最中で、世界がこれから大きく変わろうとしていることをひしひしと感じる日々でした。その中で、オダギリさんはこんなことを考えていたのかと。愛嬌たっぷりでユーモア満点、その困難を打破するような力と自由さを作品から感じました。そこにこれだけのキャスト、スタッフの方々が集まり、みんなでお祭りのように集まりこんなところまで来て。凄い日々でしたね」と感無量の面持ちに。
今作は映画として新たな“オリバー”の世界が描かれているが、ドラマからスケールアップしたと感じた点は?と問われると、麻生は「脚本を読んで、上手く映画っぽくまとまったなと。私も新しい挑戦をさせていただいています。ダンスとか・・・」とギリギリのトークで会場を沸かす。
永瀬も「スケールアップしまくりでしょ!」と言い、佐藤は「初稿を読んでから、最終稿を読むと(制作の)予算が全然違うなと」とニヤリ。池松は「凄くオダギリ組らしいと思ったところもありましたが、シーズン1、シーズン2を観た方は期待を大きく裏切られます。あまりに型破りで破天荒な“オリバー”という作品を1度解体して作り直して凄い作品になっています」とキッパリ。「オダギリさんの映画に対する美意識とか求める芸術性というものが、ドラマではやってこなかったことをふんだんにやっているので、気持ちを1回さらにして観ていただけたらと思います。作品においてのムードはそのままで、現場でも脚本からもオダギリさんの作品にかける思いを感じていましたし、かなりレベルアップしていると思います。次元も飛び越えて型破りな作品になっています」と熱く語る。続けて「ドラマを観ていなくても大丈夫。あとからドラマを観てもらうのも楽しいかもしれません」と勧めた。
また、「世の中には不思議があふれている」というキャッチコピーにちなみ、「自身の不思議体験」を披露する場面も。麻生は「たまに、ずっと同じ風景が頭の中に出てくるんです。前世なのかなと」と明かすと、池松も「2~3年に一度、小さい頃から同じ夢を見るんです。らせん階段で雄ライオンに追いかけられるという」と不思議な夢を見ることを吐露。
永瀬は「毎年同じところに虫に刺されるんですよ」と笑い、佐藤は俳優人生を振り返りながら、「企画がダメになった映画が、またやることになったり、45年ぶりに共演する方と夫婦役をやらせていただいたり・・・本当に不思議なことがあります」と話す。オダギリは「昔、永瀬さんと同じマンションに住んでいたときがあったんです。4年くらいかな。そのときはお会いすることもなく、10年くらい経ってようやくご一緒するようになった。家(建物)が一緒でも会うことはないんだなと・・・」と話し、会場は微妙な空気が流れ、オダギリは苦笑いした。
最後に、池松が「オダギリジョーという人が期待通りのものを見せてくれるはずがなく、違う角度から凄いものを見せてくれたと思っています。とんでもない作品ができました。アートを観るような気持ち、この芸術性に深くたっぷりと浸かっていただければ嬉しいです」と述べ、オダギリは「ちょっと1つだけ言いたいことがあって、深津さんの役についてです。深津さんは冒頭から凄いので楽しんでください。あと、これも言っておかなきゃ。この映画は1回じゃあまりわからないかもしれないです。なので、2回3回観るほうがいいと思います。ちょっと取りこぼすところが多いかもしれないです。あ、あともう1つ。この映画は劇場で観てほしいんです。劇場のためにセッティングしてあるので、テレビで観てもパソコンで観ても絶対面白くない。そういう友だちがいたら止めてあげてくささい。なんなら、僕がその人たちにムビチケ送ります」とメッセージを送り、終始笑いに包まれた舞台挨拶を終了した。
『THE オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ MOVIE』
<STORY>
警察犬係の一平には、なぜか相棒の警察大オリバーが相変わらずぐうらたらな着ぐるみのおじさんに見えている。
ある日、スーパーボランティアのコニシさんが行方不明になり、一平とオリバーは、隣県のカリスマハンドラー羽衣弥生と共に捜査することになり···
◎脚本・監督・編集・出演:オダギリジョー
◎出演:
池松壮亮、麻生久美子、本田翼、岡山天音、黒木華、鈴木慶一
永瀬正敏、佐藤浩市、嶋田久作、宇野祥平、香椎由宇
吉岡里帆、鹿賀丈史、森川葵、髙嶋政宏、菊地姫奈、平井まさあき(男性ブランコ)
深津絵里
◎制作プロダクション:MMJ
◎公開表記:2025年9月26日(金)全国公開
◎配給:エイベックス・フィルムレーベルズ
◎コピーライト:© 2025「THE オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ MOVIE」製作委員会
◎映画公式サイト:https://oliver-movie.jp/
◎映画SNS:X https://x.com/oliver_movie/ インスタグラム https://www.instagram.com/oliver_gosh/
◎推奨ハッシュタグ:#オリバーな犬
2025年9月26日(金)より全国公開