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中村倫也「珈琲を丁寧に淹れるときの反応は役作りに似ている」 ドラマ『珈琲いかがでしょう』インタビュー!

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Ⓒ「珈琲いかがでしょう」製作委員会

中村倫也主演のテレビ東京系ドラマ『珈琲いかがでしょう』が、4月5日より放送スタートする。

移動珈琲店店主・青山一(あおやま・はじめ)がさりげない言葉で人々を癒し、優しくもほろ苦い人情珈琲群像劇を描く本作は、コナリミサト著の人気同名漫画を原作に、中村倫也主演、夏帆、磯村勇斗共演で実写化。監督と脚本を『かもめ食堂』の荻上直子が務める。

原作ファンの間で、以前から青山のビジュアル、仕草、佇まいが「中村倫也にしか見えない」「ぜひ中村倫也で実写化を」という待望論が巻き起こっており、そんな思いが現実となった。
「静かに豆と向き合う作業が自分の性に合っている」と話す中村。本作の役作りから自身の転機となった存在まで、じっくりと語ってくれた。

― 本作への出演のきっかけと、原作を読んだ感想をお聞かせください。

何がきっかけだったかは覚えてないのですが、だいぶ前に原作漫画を読んでいて、連ドラにしたら面白いだろうなあと感じていたんです。人を救いながら自分も救われていく、ミステリアスな男の物語。きっと現代に響くんじゃないかと。そしてその後ドラマ「凪のお暇」で原作者のコナリさんとお会いした時に「珈琲いかがでしょう」の話をしてくださり、こりゃあ実写化かな??と感じ、今に至っています(笑)。
前半と後半でガラッとテイストがかわり、物語が深まっていくのが印象的でした。

― 撮影現場の雰囲気はいかがでしょうか?

1日に撮影する量が多いので、毎日ギリギリです(笑)。今回は映画監督の皆さんが揃っていて、それぞれのカラーがあるので、面白い連ドラになるだろうなという予感がしています。ただ、映画とテレビドラマのリズムは違うので、荻上監督も最初のころは「こんなに時間がないんだ・・・」と戸惑っていらっしゃいました。徐々にペースがあってきてリズムがよくなってきていますが、ドラマの前半は毎回ゲストの方がいて「初めまして」と現場に入られて1~3日くらいで撮影が終わっていくので、現場の慌ただしさは常にあります。個人的にはゲストの方々が知り合いが多くて、気兼ねない空気感と居心地の良さを感じています。基本的に僕対ゲストの方という形なので、それぞれに濃い時間を過ごさせてもらっています。

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Ⓒ「珈琲いかがでしょう」製作委員会

― 今回、原作ファン待望の青山一役を演じられるということで、役作りにおいて原作のキャラクターはどのくらい意識されたのでしょうか?

まあビジュアルだったり、そういうものは寄せているつもりですが、実写化に際して特に意識していることは「なぜかわからないけどこの男に身の上話をしてしまう感」ですかね。各話のゲストの方々のエピソードをホストとして引き出せるような存在をまずは目指しています。

― 中村さんと青山が似ていると思う部分はありますか?

一つのものを丁寧に作っていくのが好きなところですかね。でも青山のセリフに共感するところは多々あります。なんというか、相手の自己肯定感を高める言葉が多いんですよね。それはきっと、彼の人生でいろんなことがあって、出会いや葛藤の末にたどり着いた言葉なんだと思います。そういうものをアウトプットしたいという願望と、その言葉のチョイスや手渡し方みたいなものは通ずる部分があるかなあと。

― 中村さんにとって、ついつい身の上を話してしまいたくなるような相手とはどんな人でしょうか?

あまり他人に自分のことを話すことはないのですが、いい感じの距離感じゃないのかなと思います。適度に僕に興味があって、適度に僕に興味がない人が楽なのかもしれません。ドラマでは毎回相手が違うので、その相手によっても変わりますが、(自分のことが)バレないようにしないといけないとは思っています。

― 毎回ゲストの方が変わりますが、難しさや楽しさは感じていらっしゃいますか?

毎話、話の種類が違うので、そのときに合った青山の言葉だったり、適した寄り添い方があるので、どの回も演じていて楽しいです。相手が変わるので、飽きないし面白いです。皆さんが昔から知っている方なので、雑談にも花が咲きますし、人となりを知っていると芝居をする上での信頼関係があるので、1~2日のスピードで終わっていく現場では気が楽です。

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Ⓒ「珈琲いかがでしょう」製作委員会

― 珈琲と中村さんのエピソードはありますか? 中村さんにとって珈琲の魅力は?

正月休みは、毎日珈琲ドリッパーと向き合っていました。サボりたかったです(笑)。
ドリップの練習をして感じたのですが、そのことだけに集中する4~5分間、静かに豆と向き合っている作業が自分の性に合っているなと思いました。珈琲を飲むのは好きです。そのあたりの詳しいことは3月18日に発売されましたエッセイ集『THE やんごとなき雑談』に載っています(笑)。

― 一杯の珈琲を淹れる過程と、役作りに何か共通することはありますか?

何事もそうだと思いますが、一生懸命やっているとそれまで気づかなかったことが見えてきたり、それが仕事の上で助けになったりします。どこまで追求していくか、一つの物に向き合えるかということはどの仕事においても大事だと思いますが、そういう意味で言うと、珈琲も丁寧に丁寧に淹れていれば、色んな変化や反応があるので、役作りをしていくことと似ているかもしれません。

― ドラマ「100万円の女たち」と「新宿セブン」で、中村さんが連続でテレビ東京のドラマに出演されていた印象があります。今回、久しぶりのテレビ東京さんのドラマに出演されるお気持ちをお聞かせいただけますか?

今回のドラマは、色んな描写が必要で、その振り幅だったり驚きが一つの魅力です。後半はけっこうダークな話になっていきます。どれだけ深い穴の底を撮ることができるかということに関しては、自由にできる部分がないとクリエイター陣も大変だと思うので。そのクオリティを感じてもらえたら嬉しいです。

― ナナナとの絡みも楽しみにされています?

ナナナとはあくまで共演NGにしているんですけどね(笑)。手を替え品を替え、色んな扮装をしてきますが、僕はもう迷惑しているんですよ(笑)。今日も2体いましたからね。

― 以前はナナナが出てきてバナナ鑑定対決をされていましたが、今回も期待できますか?

「新宿セブン」の時にやりましたね。どうにかしてやらなくちゃね。僕はナナナを雑に扱うと決めているタイプの俳優なので。雑にされてもかわいそうに見えない顔をしているからいいんですよね。(と、ナナナをいじって遊ぶ中村さん笑)
ナナナを雑に扱うところも見どころの一つだと思います(笑)

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Ⓒ「珈琲いかがでしょう」製作委員会

― 第1話は垣根さんという女性がメインとなるお話ですが、青山が淹れる珈琲を「私のガソリンだ」と言います。中村さんにとってのガソリンは何ですか?

お金以外でですか?(笑) 。このようにモノづくりをしていて、それが世に出ることはちょっとしたイタズラに似ている感覚があります。人にバレないように作ってそれをいざオンエア日に世に出す。それを観てもらって反応を受ける・・・ということが、ちょっとしたサプライズみたいで「しめしめ、ニヤニヤ」としながら撮影している楽しさがあります。

― 青山は(光石研さん演じる)たこさんや珈琲に出会って人生の転機を迎えますが、中村さんにとって転機となった存在はありますか?

小劇場です。21歳のころ、僕が出会ったその小劇場は、謎のバイタリティーに満ちたおじさんおばさんたちがいて、「なんだ、このチョイス?」というようなものがあって、「もう、やってやれ!」というような感じが凄かったんです。僕がこの仕事を始めてからも、人生においてもそういう音色に触れてこなかったので、もの凄くショックを受けました。青山がたこの珈琲を飲んで「なんだ、これは!?」言いますが、小劇場に関わってからは自分にも変化があったような気がします。

ー 今回、ホスト的な立ち位置を演じられていますが、中村さんご自身はそういう立場は向いていると思いますか?

どうだろう・・・。向いているかどうかは考えたことはなかったですが、僕は子供のころから自分のことを話すよりも人の話を聞いているほうが好きでした。4歳のころから・・・あ、3歳でした(笑)。青山も人の話を引き出すところがあるので、演じていて楽しいです。

― これまで撮影をしてきた中で、印象に残っているシーンや台詞はありますか?

各話それぞれ相対する中で心に残る言葉や景色、たくさんあって決め切れないので、クランクインの日のエゲツない寒さにしておきます(笑)。

― それでは最後に、ドラマを楽しみにしている視聴者のみなさんにメッセージをお願いします。

振り幅のある作品になると思います。優しくホッとできる憩いの公園のようなシーンと、ヒリッと肌を刺激する息を呑むようなシーンの織りなす、鎖帷子のような物語。時にズシっと重いかもしれませんが、きっと毎週見終わった後に、何かから守る力を得られると思います。ぜひご期待ください。

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Ⓒ「珈琲いかがでしょう」製作委員会

【中村倫也(なかむらともや)】
1986年12月24日生まれ、東京都出身。2014年、舞台『HISTORY BOYS / ヒストリーボーイズ』で初主演を果たし、第22回読売演劇大賞優秀男優賞を受賞。近年ではドラマ『初めて恋をした日に読む話』、『凪のお暇』(19)、『美食探偵 明智五郎』、『この恋あたためますか』(20)などで話題を集め、映画『孤狼の血』(18)、『台風家族』、『屍人荘の殺人』(19)、『サイレント・トーキョー』(20)、『ファーストラヴ』『騙し絵の牙』(21)などで存在感を示し、『アラジン(日本語吹き替え)』(19)、『水曜日が消えた』、『人数の町』(20)で主演するなど多くの作品に出演。声優として出演した映画『100日間生きたワニ」の公開が5月28日に控える。3月18日に初のエッセイ集『THE やんごとなき雑談』を発売。

Ⓒ「珈琲いかがでしょう」製作委員会

≪あなたの為の珈琲を…幸せを運ぶ移動珈琲物語≫
いい香りに誘われて向かったその先に待っていたのは、素敵な移動珈琲屋さん。店主が淹れる珈琲は、一杯一杯、丁寧に、誠実に、心を込めて淹れられ、なんだか気持ちがほんのりほぐれるような、そんな味。そのお店はあなたの街にもやってくるかも…?

珈琲いかがでしょう_メインビジュアル

Ⓒ「珈琲いかがでしょう」製作委員会

番組概要
【番組名】「珈琲いかがでしょう」
【放送日時】2021年4月5日(月)スタート 夜11時6分~夜11時55分
(初回~第3話は5分拡大で夜11時6分~深夜0時)
【放送局】 テレビ東京、テレビ大阪、テレビ愛知、テレビせとうち、テレビ北海道、TVQ九州放送
【配信】Paravi(URL:https://www.paravi.jp
ひかりTV(URL:https://www.hikaritv.net/

【出演】 中村倫也、夏帆、磯村勇斗、光石研 ほか
【第1話ゲスト】足立梨花/貫地谷しほり
【第2話ゲスト】山田杏奈、臼田あさ美
【第3話ゲスト】戸次重幸、小手伸也、筧美和子/滝藤賢一、丸山智己
【原作】コナリミサト「珈琲いかがでしょう」(マッグガーデン刊)
【監督・脚本】荻上直子
【監督】森義隆、小路紘史
【音楽】 HAKASE-SUN
【オープニングテーマ】 「エル・フエゴ(ザ・炎)」小沢健二(Virgin Music/UNIVERSAL MUSIC)
【エンディングテーマ】 「CHAIN」Nulbarich (ビクターエンタテインメント)
【チーフプロデューサー】阿部真士(テレビ東京)
【プロデューサー】合田知弘(テレビ東京)、森田昇(テレビ東京)、山田雅子(アスミック・エース)、平部隆明(ホリプロ)
【制作】テレビ東京/アスミック・エース
【制作協力】ホリプロ
【製作著作】 珈琲いかがでしょう」製作委員会

【公式HP】https://www.tv-tokyo.co.jp/coffee_ikaga/
【公式Twitter】@tx_coffee
【公式Instagram】tx_coffee_ikaga
【ハッシュタグ】#珈琲いかがでしょう
【コピーライト】場面・役写真:Ⓒ「珈琲いかがでしょう」製作委員会
原作書影:Ⓒコナリミサト/マッグガーデン
アーティスト写真:Ⓒ新津保建秀