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妻夫木聡、渡辺謙の特別な存在感に憧れ! 渡辺は「妻夫木の今後が楽しみ!」と期待! ドラマ「生きとし生けるもの」

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テレビ東京開局60周年特別企画ドラマスペシャル「生きとし生けるもの」合同取材が同テレビ局で行われ、主演を務める妻夫木聡と渡辺謙が出席し、作品への思いとそれぞれの自身の人生について思いを語った。

本作は、人生に悩む医者と余命宣告された患者の2人が、人は何のために生き、何を残すのかという永遠の問いの答えを求めながら各地を巡るヒューマンドラマ。人生に悩む医者・佐倉陸を妻夫木聡、陸と旅をする余命宣告を受けている患者・成瀬翔を渡辺謙が演じ、脚本は北川悦吏子、監督は廣木隆一が務め、二人の世界をリアルに映し出していく。

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― 北川悦吏子さんが書かれた脚本ということでお話があったときのお気持ちはいかがでしたか?

妻夫木聡(以下、妻夫木):北川さんの世界観は独特で、少しファンタジックでありながら、こういう世界があったらいいなと思わせてくれるんです。本当だったらありえないことでも、物語の中では、こういう人がいたらいいな、こういう相手がいたらいいなと、自分と重ね合わせて共に人生を生きていけるような、その世界に自分も入っていけるような印象を持ちました。僕たちの俳優という職業はほとんどフィクションを扱う仕事ではありますが、嘘を真実にしてもいいんじゃないかな・・・と思わせてくれるような力を持っている脚本だと感じました。

渡辺謙(以下、渡辺):基本的に、僕は医療モノの作品はほとんどお断りしていたんです。僕自身が20代と50代に病気をしたということもあって、医療に関わることの本当の苦しさや悩みをドラマで描けるのか、ドラマにしていいのかということが僕の中でずっとありました。唯一参加したのがアルツハイマーを題材にした『明日の記憶』という作品。そこではプロデュースもしましたが、そのことを綿々と書き募ったメールを北川さんに送ってお断りをしたんです。
そうしたら、その3倍ぐらい長いメールが返ってきまして。北川さん自身も病気と向き合いながらずっと執筆活動を続けてらっしゃるっていうことで、本当の患者と医者の関係だったり、患者もただ苦しい、つらいというだけではなく、患者にとっての喜びや幸せって何だろうみたいなことを本当の置き手紙のようにこのドラマで書きたいんですと仰っていて。そういう思いを持っていらっしゃるのか、では参加させていただきますということになりました。

でも、脚本をいただいて“これ、大丈夫なの?”と思ったんです。自然死だけではなく、医者が死をコントロールしてもいいのか?ということが前提になっている部分があるので、テレビで放送して大丈夫なのかと一瞬思ったんですが、作品の中には生きることへの執着だったり、それを支える愛がそれぞれの登場人物に強く書かれていたので、(台本を)読んだ時に少し重いなとも感じたのですが、(妻夫木さんと)二人で本読みをしたときに「もう少し軽くお願いします」と言われて。そうか、そういうことなんだなと。“生きる・死ぬ”という非常に根源的で最終的な深いドラマを描いていますが、そこは北川節というか、ライトである意味滑稽で、でも最後はちゃんと腑に落ちるという、そういうドラマになるんだなと思いました。

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― 妻夫木さんは生き残ってこれから生きていく者として、渡辺さんは生き切る人間として演じられて、作品から得たものや思いがあったら教えてください。

妻夫木:答えがないところにアプローチをしているとは思いますが、より一層何のために生きているのかっていうことを考えさせられました。僕はやっぱり家族のために生きてるんだなということをはっきりと感じるようになりました。

結婚して子供ができるまではあまりそういうことも考えなかったし、役者という仕事が好きで、そのことに邁進するのみでした。いつ死んでもいいなとずっと思ってたところがあったんです。自分が今やってることが一番で、そのことに全身全霊を尽くしていくことが当たり前だと思っていました。でも今は家族ができて、“死ねないな”と思っているんです。生きてるということは、いつか死ぬわけではあるのですが、僕たちは“死”に向かって生きているわけではない。

“今を生きる”ということが、昔はちょっとクサいなと思ったけれど、今は凄く身にしみて大事なこと。この1分1秒生きてることがとても貴重なことで、コーヒー飲んでいるその瞬間だけでも、少し幸せを感じれるようになったような気がします。昔はコーヒーを飲んで、「美味しい。いい匂いだな」とか、特に感じることはなかったけれど、今は少しずつ物事に対して感じるようになってきたのかな。この作品を通じて、より一層それが深くなりました。

渡辺:この作品は陸の再生物語だと思っています。僕は、彼と深く関わる患者ではありますが、彼自身が今とても追い込まれている状態で。その男が再生していく物語。成瀬の台詞にもありますが、幸せの瞬間ってそんなに大きなものではない。“生きる”って言葉にしてしまうと凄く重く感じますが、夜寝る前に布団の中に入ったときに感じる幸せのような、人生はその瞬間の積み重ねなんです。おそらく北川さんも、色々と辛いことや苦しいことがある中で、そういう小さな幸せを日々見つけて生きていらっしゃるんだろうなと脚本の中にも感じました。

僕自身も、大きな作品に出て評価していただき、俳優としての部分での幸せもありますが、人間としてはとても些末な日々の中にある幸せみたいなものがあって、それは多分誰にでも、皆さんの中にもあると思うんです。そのことがこのドラマには描かれている気がしました。

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― この作品では、「最後に成瀬が風を浴びたい」というところから旅に出ることになります。お二人は、人生最後にしたいことは何かありますか?

妻夫木:難しいですね、山ほどあります(笑)。シンプルに海外の作品に出てみたいという欲望もありますが、自分のバケットリストとなると、結局やっぱり家族のことになっちゃいます。自分が死ぬときに自分の子供たちはいくつなのか分からないし、毎日毎日変化していく子供たちを見ているとやりたいことだらけで、はっきりわからない。何をやりたいかと聞かれたら、その瞬間に子供たちの顔が見れたらいいのかな。もし近くにいなかったとしても、みんなが元気だったらいいのかなという、本当に今はそれだけ。何が起こるかわからない世の中ですし、あまり自分の力でこうしたいということがなくなってきましたね。

だから、よく「次はどういう役をやってみたいですか?」と聞かれるんですが、今は特にないんです。いただいた仕事に全身全霊を尽くすことが、僕にとっては凄く幸せな瞬間な気がして、昔からずっとそうだったはずですが、一層シンプルにそう思うようになっています。あまり余計なことを考えずに向き合うということでしょうか。

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― お子さんにこういうふうに人生を歩んでほしいという思いもあるのでしょうか?

妻夫木:こうあって欲しいということはある程度あるのかもしれませんが、子供たちが大きくなる頃にはもっとグローバルな世の中になってる気がします。なので、それに向けて一緒に準備出来ることがあったらいくらでも手助けはしてあげたいという気持ちはありますが、どう育つかはやはりその子自身だから、一概にこう育てようとは思っていませんが、そういう相談を撮影中、謙さんにしてたんです。『俺もそういう相談はある女優さんにしたんだけど、そんなことよりも役に集中しなさいって言われた』って(笑)。子供には健康で元気でいてくれたらそれでもう十分です。

渡辺:僕は本当に成瀬と一緒ですね。考えても何も思い浮かばないっていうか、それは目前に迫ってるわけではないということもありますが・・・。先ほども言いましたが、まさに日々の中で見えてくるもの、見つけられる瞬間の積み重ねが人生みたいなもの。例えば一つの作品をやっていても、凄く大変な日もあれば、凄く楽しい日もあって、それが積み重なることで作品になっていくわけです。それがもっと大きい意味で人生になっていく感じで、無駄な1日もいっぱいありますが、そうやって積み重ねていくということですよね。僕は目標とかゴールとか設定していないので、目の前に来るものとどう向き合うかということに精一杯です。

妻夫木:僕も謙さんとちゃんと話をするまでは、謙さんは凄く計画的に生きてらっしゃる方だと思っていたんです。そういうイメージありますよね? 意外と、「その仕事ってそんなに急に来たんですか? たまたま空いていたからやられたんですか?」ということがけっこう多くて驚きます。

渡辺:ミドルネームは“行き当たりばったり”です(笑)。

妻夫木:本当に人生ってわかんないんだろうなと。特に謙さんはご病気もされて色々あったと思いますし、お話を聞いていると僕ってまだこれっぽっちしか生きてないんだろうなと思いました。謙さんが『ラストサムライ』に出演したときは42歳ですよね。僕とあまり変わらないくらいの歳だったんです。

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― お二人がご一緒された作品ではドラマ「池袋ウエストゲートパーク」や映画『怒り』がありますが、同じシーンで本格的に共演されたのは本作が初めてかと思います。共演されていかがでしたか?

妻夫木:同じ作品には出ていても、しっかり一緒にお芝居する機会はなかったのですが、会うといつも気さくに話してくださって、僕は勝手に謙さんのことが好きでした。謙さんも親しくされている李相日監督から謙さんの話を色々聞いていました。でも、想像以上にキュートな方で、これが一番意外でした(笑)。

もちろん、本当にクレバーな部分を持ってらっしゃるし、アイディアマン。この役、作品というものを一番に考えて行動し、もっともっと良くなるとワンシーンワンカットに貪欲に向き合っていらっしゃるんですが、人間性として本当におちゃめな方なんです。

謙さんがいると場が和むんです。今回謙さんが先にアップされたんですが、僕自身もそうでしたが、現場がちょっと謙さんロスの雰囲気になっているんです。何かピースが足りないというか、なんかシャキッとしない感じがして、やっぱり謙さんがいないんだな・・・みたいな。そういう特別な存在感を持った方です。愛されキャラというだけじゃなくて、求心力がとてつもなくあるんです。それがたぶん自然にそうなっている。当然リーダーシップもとれる方だし、なんでそんなに何でも持ってるんだろうっていうぐらい、包容力もあって、やっぱ誰に対しても同じ目線で向き合ってくれるんです。新人のスタッフからベテランの役者まで、誰に対しても本当に同じなんです。

渡辺:もう(それくらいで)いいんじゃない?(照れ笑い)

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妻夫木:「池袋ウエストゲートパーク」のときからそうだったと思いますよ。僕は当時、18,9歳くらいでしたが普通に話してくださったし、ずっと同じようなスタンスでいらっしゃる。若い人の意見を聞いてくれる人がいる現場ってすごく励みになるし、強みになるんです。

僕も若いときに、そのときのマネージャーから「お前はどう思ってるんだ? お前の意見が欲しい」と言われて、すごく僕のことを信頼してくれてるんだなと思えたことがありました。謙さんはその心を忘れずにいられて、僕自身も凄く勉強になりました。

渡辺:変わらないんだよな、妻夫木は。いつどこで会っても本当に変わらない。結婚して子供もできて、背負うものもできたと思いますが、全然変わらないんですよ。無責任ということじゃないんですよ(笑)。演じているときは別人格というか、実人生で自分というものと凄く上手に、素敵に生きているんじゃないかなと思います。だからいつ会っても印象が変わらない。若く見えるのでちょっと損しているところがあるかもしれないけど、これから40代、50代になって、顔とか生き方とか、どう年齢を重ねていくのか、変わらないところと変わっていくところがどうなっていくのかが凄く楽しみです。

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― お二人でこの役を演じる上で何かお話されたことがあったら教えてください。

妻夫木:インする前に謙さんの家に泊まりに行ったんです。そのときにちょっと話しましたね。

渡辺:(妻夫木は)クソ真面目なんですよ。キャンプで世界一美味しいウインナーを焼くというシーンがあるんですが、それを実践したくてウチに来る前にキャンプ場へ行ったらしいんです。その日がこの秋一番山が寒い日で、全然寝れなかったらしくて(笑)。でも、そうやって、美味しいものを食べたときは自分がどう感じるんだろうとか、そういうことをちゃんと実践してから入るんだなと思って。その夜は、めちゃ美味しいお肉を食べさせて暖かくして寝かしましたけど(笑)。

妻夫木:美味しかったですね。僕自身がそのシーンに対してどう向き合おうとしてるのかというところがあったと思いますが、他はずっと謙さんと過ごしていたという感じです。

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― 何か役についてアドバイスを求めるわけでもない?

渡辺:台本もちゃんと読めるし、役を作るプロセスも十分わかっていますから。ただ、これは陸の再生物語だということは視聴者の皆さんにはなかなかわからないこと。その片鱗みたいなもの、影のようなものをどうやって積み上げていくかというのは至難の業だよね、という話はしましたね。

【メインビジュアル】TX0229_0600解禁「生きとし生けるもの」第1報

≪あらすじ≫
佐倉陸(妻夫木聡)はたぐいまれなる才能を持った外科医だった。しかしあることがきっかけでメスを握れなくなる。精神的にも追い詰められた結果、外科を追われ内科医となった。入院患者と向き合う日々が続く中で、余命宣告されたがん患者である成瀬翔(渡辺謙)の担当医に。繰り返される手術と抗がん剤治療にうんざりした成瀬は陸に「殺してくれよ」と言った。陸はあっさりと「いいですよ」と。「でもその前に、やりたいことはありませんか」。そして2人は病院を抜け出し、バイクで旅に出た。キャンプをしたり、生まれた街へ行ったり、初恋の人・中野百合(原田知世)に会ったり。成瀬はたびたび体調を崩すが、主治医である陸がついているから安心だった。2人の失踪は上司の小宮滝人(田中哲司)や看護師・菅田陽子(大政絢)らの知る所に。しかも研修医・吉岡薫(杉野遥亮)は陸がある薬を薬品棚から持ち出すのを目撃していた…。人生最後の旅を通して「人は何のために生きるのか」を模索するロードムービー。

≪番組概要≫
【タイトル】テレビ東京開局60周年特別企画ドラマスペシャル「生きとし生けるもの」
【放送日時】2024年5月6日(月・休)夜8時~夜9時54分
【放送局】テレビ東京、テレビ大阪、テレビ愛知、テレビせとうち、テレビ北海道、TVQ九州放送
【配信】 全国どこからでも「TVer」でリアルタイム配信
広告付き無料配信サービス「ネットもテレ東」(テレ東 HP・TVer)にて見逃し配信
▶TVer:https://tver.jp/
▶テレ東HP:https://video.tv-tokyo.co.jp/
▶Netflix
地上波放送終了後、Netflixにてディレクターズカット版を独占配信

【主演】妻夫木聡 渡辺謙
【出演】原田知世 杉野遥亮 大政絢 / 丘みつ子 田中哲司 / 満島ひかり
【作】北川悦吏子
【監督】廣木隆一
【音楽】大友良英
【チーフプロデューサー】大和健太郎
【プロデューサー】祖父江里奈 志村彰(The icon) 八巻薫(The icon)
【制作著作】テレビ東京
【制作協力】The icon
【公式HP】https://www.tv-tokyo.co.jp/ikitoshiikerumono/
【公式X(Twitter)】@tvtokyo_drama https://twitter.com/tvtokyo_drama
【コピーライト】ドラマ写真:©テレビ東京

<クレジット>
◆妻夫木聡 スタイリスト
小松 嘉章(nomadica)
◆妻夫木聡 ヘアメイク
勇見 勝彦(THYMON Inc.)

◆渡辺謙 スタイリスト
JB
◆渡辺謙 ヘアメイク
倉田 正樹(アンフルラージュ)
◆渡辺謙 衣装協力:BURUNELLO CUCINELLI
問い合わせ先:ブルネロ クチネリ ジャパン株式会社/03ー5276ー8300

撮影:ナカムラヨシノーブ