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園子温監督 単独インタビュー! 『新宿スワン』ブルーレイ&DVDリリース!

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和久井健原作の人気コミックを実写化した映画『新宿スワン』のブルーレイ&DVDが、いよいよ11月3日より発売される。アジア最大の歓楽街“新宿・歌舞伎町”を舞台に、綾野剛演じる一文無しの白鳥龍彦が、様々な人と出会いながらスカウトマンとして頂点を目指し成長していく様を描く。綾野剛、山田孝之、沢尻エリカ、伊勢谷友介など超豪華キャストが揃う中、『新宿スワン』の世界を鮮やかに映し出した鬼才・園子温監督に話を伺った。

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― 大ヒットとなった映画『新宿スワン』ですが、今度は映画館のスクリーンを飛び出して、ご家庭でもより多くのみなさんにご覧いただくことになります。今のお気持ちをお聞かせください。
たくさんの方に見ていただいて、映画館に足を運ぶほどのモチベーションがなかった人が、ブルーレイやDVDで見て、「めっちゃ面白かった!」なんて話を聞けたら凄く嬉しいですね。

― 今回、脚本は他の方に任せ、メガホンを握ることだけで参加されましたが、いつも脚本も手がけている園監督にとって、やりにくさはなかったですか?
やりにくいということは全くなく、逆に楽しかったですね。いつも全部自分でやってしまっているので、演出だけに徹するというのは新鮮だったし、すごく面白かったです。

― 本作はコミックを実写化しました。原作ファンのイメージを壊さないように気をつかいましたか?
他にも原作を映画化する作品がありますが、僕は原作を意識するものとしないものとあります。意識ばかりしていては縛られてしまうので、その時々によって違います。『新宿スワン』は原作をとても意識して撮りました。

― 主人公・龍彦役の綾野剛さんはいかがでしたか? 綾野さんはどんな俳優ですか?
今回、綾野くんが監督はぜひ園子温で!と言ってくれたようです。綾野くんなくして僕は『新宿スワン』を演出しなかったかもしれません。
彼は非常に気さくな男です。今では僕と飲み友達ですし、しょっちゅう僕のところに遊びに来ているんですよ。実は今夜も会う予定なんです・・・。友達として凄く楽しいヤツですよ。LINEも頻繁にしているし、僕が「都合が合わなくて会えない」というと、「え~」って。まるで男と女の会話ですよ(笑)。会ってもいつも飲んでいるから、大した話はしてないんですけどね。
俳優としても、とても真剣に取り組む男で、原作も脚本も何十回も読んで勉強するタイプ。本当に真面目な役者です。

― 他にも個性的なキャストが揃いました。特に山田孝之さんは役がらがピッタリあっていたように思いますが。
孝之は役者が天職のような男で、本当に役者バカという感じの人でしたね。

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― 秀吉と龍彦の路地裏での格闘シーンが印象的です。監督がこだわったところは?
こういうアクションは危険なので普通は代役が演じるんです。でも、二人とも(演技に)燃えていて、もちろん代役もなし。何回も撮り直しをしたり、カット数でアクションの迫力を出すというのではなく、殴り始めたら最後までカットを切らずにワンカットで撮る! そんな迫力でやりたい、という気持ちはありましたね。

― 凄い迫力でした。ケガもあったのでは?
少しの傷はできたかもしれないですが、彼らはとにかく燃えていましたからね。ケガどころではないという気迫がありました。あとは、二人は演技能力も高いので大きなケガすることもなかったですね。

― 監督と綾野剛さんは初対面ではなかったとか?
そうなんです。彼は『愛のむきだし』(2008年)という作品に端役で出演していて、僕と一度会っていたんです。でも、その時は特別な印象もなかったんです。ただ、頑張ってるなという感じはありましたね。

― 綾野さん以外にも多くの俳優さんから、園作品に出演したいというラブコールがあると聞きますが。
今回は伊勢谷友介や沢尻エリカも、監督が園子温だったら出る!と言ってくれて、そういう人たちが集まったので、やりやすかったですね。

― 園監督の作品に出たいと思わせる魅力は? 綾野さんも本作に出演してから少しイメージが変わりました。
綾野くんも正統派のイメージがあったんですが、この作品に出てから出演CM等が『新宿スワン』ぽくなったと言われて(笑)。やっぱり演技者として幅が広がったほうがいいと思いますよ。イメージは固まってしまうことが多いので、映画やドラマは何かきっかけがないかぎり同じようなイメージキャスティングになってしまう。俳優は、違う自分をどこかで表現したいという気持ちが常にあると思います。そういう意味で綾野くんにとって『新宿スワン』はいいきっかけになったんじゃないでしょうか。

― 監督から演技に対してアドバイスしたり、話し合いをしたのですか?
綾野くんはこの映画に対してきっちり計画プランを立ててきた。その上で、はっちゃけてきたので、「そうくるのか!」と思い、だったら台本にはないようなアドリブをガンガンやってみようじゃないかと。例えば、街角でスカウトするシーンでは、実際にその辺の人に声をかけている場面がいっぱい入っているんです。そういうことで、さらにリアルな“らしさ”が出ると考えたんです。リアルなスカウトを遠くから隠しカメラで撮ったりしました。

― リハーサルなしで本番ですね。
作品によってですが、リハーサルを何回も重ねて撮るときもありますし、まったくやらないものもある。今作は極端に(リハーサルを)やらなかったですね。テストもしないで、いきなりカメラを回しちゃったこともあります。役者に何の説明もしないでカメラを置いて「はい、やってください」って(笑)。役者はいきなりぶっつけ本番でどんどん進めていかなくてはいけなくて・・・、みんなビックリしていましたね。
ベテランの吉田鋼太郎さんも、「こんなの初めてだよ」って言っていました。座ったら「よーい、スタート!」ですから(笑)。豊原さんも吉田さんが何をするかさっぱり分かっていないから、演技ではない驚きの表情が出るんです。

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― 今はもうなくなってしまった「新宿ミラノ座」の映像は貴重でした。
ミラノ座の外階段や天井など、いろんなシーンで使いました。新宿・歌舞伎町がメインの場所。他の場所でも似せて撮っていますが、歌舞伎町での撮影はこだわりました。特に龍彦(綾野)とアゲハ(沢尻)が裸足で走るシーンがあるんですが、安全のために浜松の街でも撮影しました。でも、「やっぱり違うな」と思う場面もあって、歌舞伎町で取り直したシーンもいっぱいあります。俳優の心意気も良かった。沢尻さんも、あんな汚れた歌舞伎町の道路を裸足で走るなんて・・・、大変危ないのに快く引き受けてくれた。本物の街の中で演技できて楽しかったと思うし、いいものが撮れて良かったです。

― キャストのみなさんが声をそろえて「楽しかった!」とおっしゃっていました。
沢尻さんも今ではみんなと一緒に飲みますしね(笑)。今回はなんだか自主映画を作っているみたいな感じで、みんなが頑張ってくれたなと思います。

― 新宿をリアルに映し出そうとする監督の心意気も感じます。初めて歌舞伎町で行われた映画のジャパンプレミアも感慨深いものがあったのではないですか?
あんなプレミアは初めて見ました。レッドカーペットは、カンヌ国際映画祭規模の大きさでビックリしましたね。

― 監督にとって、新宿はどんな街ですか? 何か思い出はありますか?
トップシーンで綾野くん演じる龍彦がケンカを売られてボコボコにされるところは、自分も10代のころ同じ経験をしているので、なんか懐かしい感じですよね(笑)。地方から来る若者にも、渋谷とか原宿とは違う「誰でも受け入れてくれる」という、居やすさがありましたね。ダサい自分でも迎え入れてくれる街でした。

― 続編が期待されますが。
あるといいですね。ありかな~(笑)

― 出演者の中で一番リアルな“スカウトマン”が似合う人は誰だと思いますか?
う~ん、やっぱり綾野くんじゃないかな? 綾野くんは、すごく気さくだから女の子に声をかけるのも容易と思う、そんなイメージがしますね。実際にはわからないですけどね。

― 最後にメッセージをお願いします。
映画公開時というのは、なんとなく緊迫するもので、観客のみなさんも気を張って観たり、広告や宣伝のムードに呑まれてしまうところがあるかもしれません。落ち着いてもう一度見直すと普通に面白い映画です。斜に構えないでリラックスして見て楽しんでください。

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園子温 (SONO SION)
プロフィール
1961年、愛知県出身。1987年、『男の花道』でPFFグランプリを受賞。PFFスカラシップ作品『自転車吐息』は、ベルリン国際映画祭正式招待のほか、三十を超える映画祭で上映された。以後、衝撃作を続々と誕生させ、各国で多数の賞を受賞。映画以外にも大ヒットドラマ『時効警察』(06・07/EX)の脚本・演出なども手掛けている。近年は『愛のむきだし』での第59回ベルリン国際映画祭フォーラム部門 カリガリ賞・国際批評家連盟賞を筆頭に、『冷たい熱帯魚』『恋の罪』『ヒミズ』『希望の国』『地獄でなぜ悪い』が立て続けに海外で高い評価を受け、注目を集めている。2015年は本作の他、『ラブ&ピース』『リアル鬼ごっこ』『映画 みんな!エスパーだよ!』『ひそひそ星』が公開。

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『新宿スワン』
ブルーレイ&DVD 11月3日発売!
発売元:講談社/ハピネット 販売元:ハピネット
(C)2015「新宿スワン」製作委員会
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