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舞台『サザエさん』3度目の上演!藤原紀香 葛山信吾 高橋惠子 松平健が揃って取材会に。10年後の磯野家は“笑いとほっこり”に、“ホロリ”も

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国民的人気まんが「サザエさん」が2019年、2022年に続き、2025年も舞台作品となって6月5日(木)~17日(火)に 明治座、7月5日(土)~8日(火)に新歌舞伎座にて上演される。
今回描かれるのは、2019年の初演で大好評を博した、アニメから10年後の磯野家の物語。
相変わらずおっちょこちょいでお調子者のサザエを藤原紀香、出世して多忙になったマスオを葛山信吾、子供たちの心配をしているフネを高橋惠子、定年退職した波平を松平健が演じる。初演からのゴールデンキャストに加えて、磯野家の子供たち役はキャストを一新、パワーアップしての再演となる。
出演する藤原紀香、 葛山信吾、高橋惠子、松平健が揃って取材会に登場し、本作の魅力と意気込みを語った。(写真は4月23日の製作発表より)

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―本作の魅力をどう感じておられますか?
藤原紀香:今回はアニメでお馴染みの磯野家の10年後の物語で、家族の危機や人生の岐路など、多くの方が経験する家族についての問題も、少しずつ盛り込まれています。古き良き家族像がありますが、現代の価値観とぶつかり合う瞬間も描かれているので、よりリアルに感じていただけるんじゃないかなと思います。
初演・第2弾とやってきて、お客さまから「サザエさんのテーマソングがいろんなとこで流れるんだね」「歌を歌うとは思わなかった」「笑いやほっこりばっかりだと思っていたら、ホロリときちゃった」「サザエさんで泣かされるとは思わなかった」という声をいただきました。田村孝裕さんは、ほっこり楽しい中でも、人と人のあり方を描いた作品が多いように思いますし、自分たちもいろいろと考えさせられることが多いですね。

葛山信吾:本当にそうだと思いますし、4コマ漫画からアニメになった「サザエさん」のくすっと笑える短いストーリーとは違う、もう一歩人間的に踏み込んで表現していく部分が、舞台ならではの魅力だと思いますね。舞台では親子や兄弟、そしてサザエさん一家の周囲の個性ある人物も、より深く描かれているので、そこが面白いですね。皆さんの頭の中にあるアニメの風景が、舞台でどのような美術で展開されるかも見どころだと思います。
そして、紀香さんがおっしゃった通り、耳馴染みのある曲が劇場の大音響で聴けます。それだけでもテンションがあがりますよ。開演前にスタンバイ中に、あの音楽を聴く度に興奮します。二幕の始まる時には、違う曲が流れますが「さあやるぞ!」というエネルギーをすごくもらえます。それをお客様にも劇場で感じていただけたらありがたいです。

高橋惠子:おふたりのお話しは本当にその通りですね。加えて、これは昭和の話なのに、お姑さんとお嫁さんの確執が全然なくて、サザエさんはのびのびしていますよね。それはサザエさんが嫁いではいるけれども、実家で暮らしてるから。アニメは55年前に始まったのに、今も違和感がなく受け入れられている。この伸びやかなサザエさんは今に通じてるな、「サザエさん」は面白いなと、ふとそんなことを思いました。

松平健:いわゆる昔の家族構成でありながら、今に通ずる舞台になったと思いますね。現代でも、親には子供の成長や親離れしていく子供に対しての心配や不安はあると思いますから、そういうところが共感できる舞台ではないかと思います。

―タマが大活躍されています。酒井さん演じるタマの印象を教えていただけますか?
高橋:酒井さんならではのタマと思います。他の方では出せない感じのタマで、なんとも愛おしさを感じます。酒井さんが最初につかこうへいさんのところに入られたときに「声をあまり大きく出しちゃいけない」と言われたそうです。音声の方から「見てごらん、振り切ってないんだよ。他の人はここまで行くのに。こんなのだめだよ」と言われて、大きな声出そうとしたら「その感じでいいんだから」とつかさんがおっしゃったとのことです。そういう酒井さんの雰囲気が、タマとぴったりでかわいいなと思います。

藤原:10年経ってタマも年をとってるんですよね。だから元気に走ったりしないし、ゆっくり屋根に登ったりするのも愛らしいですし、高所恐怖症の酒井さんが一生懸命に登っていくのをみんなで見守るんです。酒井さんなりのご苦労もある。タマちゃんもサザエさん一家と一緒に年齢を重ねている、この家族を見てきているんだとしみじみ感じられて、すごく好きです。フネさんとのシーンも大好きです。

葛山:アニメを見てると、酒井さんのようなタマだとは全然思わなかったです。「にゃー」としか言わないですからね。でも、酒井さんがタマだというのは、僕らの中ではもう定着しちゃいました。声も小さく、ちょっとスローな、愛おしい僕らの家族です。

藤原:長谷川町子美術館の館長が「この台本は原作を逸脱してない。いろんな小さなところでも踏襲している」とおっしゃっていました。設定が10年後ということだけは違いますが、それ以外は本当に原作にのっとって書いて下さっているみたいです。

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―紀香さんにお尋ねしたいのですが、酒井敏也さんから「紀香さんが開演前に猫の鳴き声をされている。客席にも聞こえてるんじゃないか」とお聞きしたのですが…。
藤原:(笑)廻り舞台なので、我々は開演よりずっと早くに舞台に入って、しばらくあの中にいるんです。それで、その中でも楽しく過ごそうと思って、わかる人だけへのサービスとして、開演10分前にお客さんに聞こえるように「ニャオ」と鳴くことにしたんです。開演前に猫が鳴いても、タマがいるのでおかしくないだろうと思って。(笑)

高橋:天真爛漫なサザエ プラス 紀香ですよね。

―マイクを通して鳴いているのですか?
藤原:いいえ。でも結構大きく鳴くんです。そんな遊びも入れながら…。
高橋:思いつきでやっちゃう。それがまた楽しいんです。(笑)

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―初演と第2弾と共演されてきて、紀香さん演じるサザエの魅力はどういうところだと思われますか?
葛山:ほんとにエネルギッシュで、サザエさんのイメージ通りのですね。製作発表で、ご自分で「ドジだ」とおっしゃっていましたけど、そういうところも含めて、稽古から本番まで、みんなに笑いを提供してくださいます。そこにそのままついていけばいいと、非常に楽しくやらせていただいてます。なぜこんなに元気なんだろと思うぐらいのサービス精神とエネルギーで、見習いたいと思うけれど、なかなか見習えないです。

―そのエネルギーに引っ張られる部分はありますか。
葛山:大いにありますね。すごくありがたいです。芝居がそういう関係性に乗っかっていくのは、本当にありがたいです。頼りにしております。

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高橋:紀香さんは天津爛漫ですが、ただ天真爛漫なわけではなく、周りをよく見て気を配られているのがすごいと思います。製作発表で「田村さんから言われたこと」が話題に出たので、最初の稽古を思い出しました。田村さんから紀香さんに結構厳しい言葉もあったんです。私も同じ女優の立場で「頑張れ!」と思っていましたが、厳しいのは、それにきっと応えてくれると思っておられるからだと思います。紀香さんはその厳しさにめげずにきちんと応えて、明るさも発揮されていて。強靭な精神をお持ちだと思いました。

―田村さんからの言葉で心に残っていることは?
藤原:サザエは心を開いていなきゃいけないし、誰が何々した、誰々が何を言ったという1つ1つに心の振り幅を大きくしなければいけないということです。登場人物は全員が必ず誰かのためにアクションをしてると。考えてみると、ほんとそうだなと。もっと繊細にならなければいけない時に、それを教えていただきました。

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―松平さんの紀香さんのサザエさんのイメージは?
松平:本当にアニメのサザエさんのイメージにぴったりで明るくて。稽古場も彼女の明るさのおかげで雰囲気がとてもよく、楽しくやらせてもらいました。
藤原:お稽古の初日には、また(サザエさんの髪型の)カチューシャをつけますよ。(笑) つけると「頑張ろう!」という気持ちになります。

―紀香さんはサザエさんのイメージにぴったりだという皆さまのお話を聞いて、いかがですか?
藤原:皆さんそうおっしゃってくださいますけど、稽古初日の本読みで、皆さんがテレビで見ていたサザエさん一家そのままだと思わせてくれたことが衝撃的でした。マスオさんもそっくりだし、フネさんも波平さんも役を愛してここに集結されているんだと、まざまざと思い知らされたので、その時から「みなさんがいればサザエになれる」と、本当に思いました。

―明治座での公演という点はいかがですか?
藤原:私も明治座さんによく観に来ますが、安心感が大きいです。面白い作品を上演してくださいますし、カフェやお弁当もとっても美味しくて、お客さまが喜ばれるような工夫がいろいろされています。
そして、舞台機構が素晴らしいです。廻り舞台が使える劇場は全国でも限られた所にしかない。それはやはり150年の歴史を持つ明治座だからだと思うので、明治座で上演できることがとても嬉しいですね。

葛山:本当に好きな劇場です。ただ芝居を観て終わりではなくて、お客様がその日1日を楽しみに来ていらっしゃるというのをいつも感じます。休憩時間には美味しいお弁当食べて楽しくお喋りされて、土産を売っているのを見たり、観光バスで来られる方もいて、明治座での1日をすごく楽しまれている。思い出として大きく残るんだろうなという、その雰囲気がすごく好きです。

高橋:最初は廻り舞台に戸惑いはありましたけども、緞帳の厚さなどからも伝統ある劇場だと感じますね。そういう中で、お芝居を安心して観ていただく。無機質な感じの現代風の劇場だったらどうだろうかと思うと、懐の深い明治座で上演させてもらえるのが嬉しいと思います。

松平:やっぱり芝居小屋という雰囲気で、花道もあって、後ろのお客さまにも近づける。使い勝手のいい劇場という印象で、あの雰囲気がやっぱりいいですね。舞台上からもお客様の反応が分かりやすいですね。

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―最後に楽しみにしている方へメッセージをお願いいたします。
藤原:誰もが知る磯野家の10年後のお話しで、この家族にもちょっとした危機が訪れます。その危機を心寄り添わせて、どう乗り切って行くのか。みんなで力を合わせて「何気ない日常こそがドラマティックだ」と気づかせてくれるような作品にしたいと思っています。

 

舞台「サザエさん
【原作】 長谷川町子
【脚 本・演出】 田村孝裕
【出演】
藤原紀香 葛山信吾
草川直弥(ONE N’ ONLY)(Wキャスト) 佐藤友祐(lol)(Wキャスト) 平尾帆夏(日向坂46)
藤代翔真(wink first/TRAINEE)(Wキャスト) 松﨑光(wink first/TRAINEE)(Wキャスト) 酒井敏也
高橋惠子 松平健 ほか
東京公演 : 2025年6月5日(木)~17日(火) 明治座
大阪公演 : 2025年7月5日(土)~8日(火)新歌舞伎座

舞台「サザエさん」 <オフィシャルHP>