私たちの2年がぎゅっと詰まった1st Digital EP Album 「僕の中の君との恋の話」をリリース bancess インタビュー

in INTERVIEW, Interview(MUSIC), MUSIC · 2022/09/05

アイドルの概念を覆すと注目の実力派３人組ガールズユニットのbancessが、1st Digital EP Album 「僕の中の君との恋の話」を7月29日（金）配信リリースした。
bancessは今泉若葉（22）、You―A（21）、レイリ（21）から成り、人生において主役になれない脇役的存在「bad princess」をテーマとして活動して２年。独特の世界観を持つbancessに、これまでの活動を振り返ってもらうとともに、このアルバムへの思いを聞いた。

今泉若葉（いまいずみわかば）　You-A（ゆうあ）　レイリ

―インタビューさせて頂くのは昨年９月の「第33回マイナビ東京ガールズコレクション 2021 AUTUMN/WINTER」（以下 TGC）以来、約1年ぶりです。TGCのステージを終えた直後のインタビューで「目標は単独ライブ」とおっしゃっていましたが、それを今年4月に叶えましたね。
3人：そうだ！そう言ってましたね！

―着実に歩みを進めているbancessの三人に、まずはこの1年を振り返っていただけますか。
今泉若葉：TGCが終わってから、いろいろなライブに出演させて頂いています。TGCでの映像を今見ると、慣れてない感じが出てしまっているなと思います。
レイリ：緊張でガチガチだったね(笑)。

―緊張しているようには全然見えなかったですよ。
You-A：振り返ってみると、TGCの時はライブへの出演経験があまりなかったので、あの時は「これがベストだ」と思って臨みましたが、今は今がベストです。でも来年の自分たちから見れば、今もまだまだなんだろうと思うので、ずっと研究しつづけないといけないと思います。
レイリ：ライブをたくさんさせていただいて私が変わったのは、歌がうまいだけじゃダメなんだと思うようになったこと。聞いてくれる方やファンの方がいて、その人たちに届けることを大切にしなきゃと思うようになりました。
今泉若葉：ステージに立たせていただくことで、改善点や自分たちの足りないものばかりがどんどん増えています。
レイリ：最初の頃はライブに出演させてもらえることが嬉しかったのですが、今はライブに出ると「ここはこうしなきゃ」とか「ここもっとうまくできたのに」と、見方が変わってきたと思います。

―ライブで具体的に心掛けているのは？
レイリ：歌詞を届けることです。歌詞を自分に落とし込んで大切に伝えようとしています。
今泉若葉：似ていますが、歌詞の意味をちゃんと歌い手が理解してないと届かないので、その気持ちを自分が体験してみることも大事だと思っています。そのために実際に恋愛するのもいいと思うんですけど、映画やドラマを見たり、他の音楽を聴いたりして感情をもらって、一回自分に落とし込んで歌詞を伝えるように心掛けています。

―You-Aさんはいかがですか？
You-A：一回歌を聞いたら「あ、この人、このグループってうまい！」って、いつも思ってもらえるようになりたくて、そのためのスキルを磨きたいと思っています。レコーディングした時のベスト歌と、そうでなかったときを聞き比べて、体調なんかにも左右されない、常に最高の歌を届けられるよう心掛けています。

―ステージ立つ経験が増えたことで、さらに進化したいと感じ、そのために努力し続けているんですね。そして、目標としていたbancessの単独ライブが4月でしたね。開催が決まった時はいかがでしたか？
You-A：本当にできるのか、実感がなかったです…。（うなずく今泉若葉とレイリ）
今泉若葉：カバー曲も披露したのですが、その選曲も自分たちで相談して決めて…
レイリ：演出も全部自分たちで考えたんです。
今泉若葉：歌、映像、セリフを組み合わせたストーリー仕立てのライブにしたくて、曲と曲の間に生活音を入れる演出を考えて、わざわざ電車の音を録りに行ったり…
You-A：ドアを開ける音や足音を録ったり…。
今泉若葉：そこにセリフを一言、二言加えることで、“日常にマイナスな感情を入れる“という演出にして…
レイリ：セリフも自分たちで決めて演出しました。
今泉若葉：すごく頑張った時期です。

―本当に自分たちで作りあげたライブだったんですね？
今泉若葉：はい。ステージングもかなりギリギリまで変えました。助けて頂きながら、私たちの考えを優先してもらえたので、やりたいことを全部詰め込むことができた気がします。

―ライブ本番はいかがでしたか？
レイリ：不安もあったのですが、ステージに上がったら、「こんなにたくさんの方が来てくださったのか」と。
You-A：お客様が多すぎて、入りきれないかと思うほどで。
今泉若葉：ライブ中は涙している方がかなりいらして…嬉しかったですが、つられて涙しそうになりました。
You-A：本当に楽しかったです。（笑顔でうなずづく3人）

―夢をひとつ、叶えましたね。そして7月にデジタルアルバムが発売されました。どういうアルバムですか？
レイリ：結成して2年ですが、最初にいただいた ♪bad princess という曲は、その当時にレコーディングしたものが、そのまま収録されています。その後頂いた２曲（♪愛を信じた僕が馬鹿だ・♪好きが隙）に、今回、新曲を3曲（♪僕の中の君との恋の話・♪あの日の夜の君の背中・　♪愛して求めた）をプラスした6曲のミニアルバムで、私たちの2年間が詰まったアルバムです。
私が聴くと、初めてのライブのときのことやTGCや単独ライブのときのことなど、この2年間のすべてが思い出されます。聴いていただけたら、6曲のどこかがきっと刺さると思います。
You-A：本当に私たちの2年がぎゅっと詰まっています。♪bad princess　も今聴くと「声がまだ幼いな」「もっとこう歌えばよかったのに」と思うのですが、デビュー当時から知って下さっている方には「そうそう、こうやって成長してきたね」と思って頂けるといいなと思いますし、新しくbancessを知って下さった方には「この曲が一番好きだ」と言ってくださる方もいて、いろんな方に聞いて頂けているのが嬉しいです。
今泉若葉：ライブイベントなどでは披露できる曲数も限られてしまいますが、このアルバムで聴きたいときに聴きたいbancessの曲を聴いていただけると思うので、すごく嬉しいです。

―結成からの2年間の進化が感じられるアルバムなんですね。全曲若葉さんの作詞ですか？
今泉若葉：リード曲の♪僕の中の君との恋の話　は、プロデューサーでもある和田春さんとの初めての共作です。それ以外の5曲は、全部、私が詞を書きました。

―その詞の世界に、You-Aさんとレイリさんも入って歌われるんですね。
You-A：若葉の歌詞は本当に素晴らしい。きっと書いた詞以外にも思ってることや、歌詞にできてない部分もいっぱいあると思いますが、若葉の歌詞を私は必死に飲み込んで、必死に歌っています。（レイリもうなずく）だからそれを書ける若葉はすごい。歌えるレイもすごいです。
レイリ：TGCの時は、♪愛を信じた僕が馬鹿だった　をすごく練習したんですが、もっと違う練習法として、若葉がその歌詞についてどういう思いがあったのか、どういう目線で書いたのかというのを聞いたんです。その時に、私がその歌詞を見て捉えたものよりずっと深いものがありました。今、まだアルバムの全曲について、答え合わせというか、解説を聞いていないので、私が自分で捉えているもので歌っていますが、たぶん、若葉はもっと深いところ考えて歌詞にしているのだと思います。
You-A：私の想像できないところ、想像の上を歌詞にできるのがすごいなと思っています。

―若葉さんは解説したくなりませんか？
今泉若葉：聞いてくださる方にも、たぶん、いろいろな恋愛があると思うので、私が考えて書いたものは、ただ私の一意見で、そこは答え合わせしなくても“受け取ってくれた気持ちが正解なんだよ”でいいかなと思っています。一人称で“僕”とか書いてますけど、自分が「男だから」「女だから」ということに縛られずに受け取ってもらえるといいなと思います。

―聴く人によって刺さってくるところが違っていい…？
今泉若葉：はい。答え合わせはしなくていいと思っています。

―アルバムのリード曲の♪僕の中の君との恋の話　について教えてください。楽曲の制作中は、You-Aさんとレイリさんは？
You-A，レイリ：出来上がって初めて知りました。

―出来上がった曲は、いかがでしたか？
レイリ：何曲かの新曲が出来上がった中で、このリード曲が一番覚えやすくて、耳に残りやすい曲だと思いました。サビの“届きそうで届かない”っていうフレーズが飛び込んでくる、リード曲にふさわしい曲だなと思いました。
You-A：まず、今までにないテンポと雰囲気で「新しいbancessだな」と思いました。一番二番はABサビABサビと普通に繰り返しますが、大サビに入る前のBメロからの盛り上がりが好きです。ここがあるから歌が完結する。歌っていても完全燃焼できます。

―それは歌い甲斐がありますね。
You-A：ワンマンライブで初めて歌ったのですが、お客様がペンライトを振ってくださって…
レイリ：自然に手拍子してくださって…
You-A：届きやすい曲なんだと思いました。

―その ♪僕の中の君との恋の話　は、MVの演出も自分たちで考えたそうですね。
今泉若葉：ミュージックビデオを撮っていただける機会があったら、濡れたいというのが結成当時からの3人の意見で…
You-A：本当に何気ない会話の中で出たんですけど。
今泉若葉：それも叶えさせて頂き、また一つ夢を叶えさせて頂きました。

―撮影はいかがでしたか？
三人：（顔を見合わせ、口々に）大変でした。
今泉若葉：まずストーリー仕立てにするのか、別のものにするのか、しっかり話し合って、「ストーリー性があるものが良いよね」って話していたのですが、曲調を考えたときに、ストーリーのないものに…という結論に行きついて、それからどうするかすごく悩みました。普段のライブでも、私たちは表情を大切にしているので、最終的には表情に注目してもらえるような演出を…と考えました。
曲の始まりから次第に感情が荒ぶって、三人それぞれの表情が深くなっていきます。撮影でもそこを頑張ったので、表情の変化に是非、注目して見て頂きたいです。
You-A：私は濡れ具合です。雨の降る量もどんどん増えて、三人がどんどんびしょびしょになっていくので、その濡れ具合も注目していただきたいなと思っています。敢えてキレイに映ることはせず、前髪が３本になったりしてもそのままなので(笑)、リアルさが伝わるんじゃないかと思います。
レイリ：スタジオで撮った雨に濡れたシーンと、野外撮影したシーンがありますが、野外シーンはありふれた日常を描いています。その日常の中での辛い苦しい感情や心の叫びが、濡れたシーンで表現されているので、その最初からだんだんと感情的になっていくところ、衣装も変わっていくところが見どころポイントかと思います。

―作品作りもライブも自分たちで手掛けているbancess。歌唱面ではどんな努力を？
You-A：方法は3人それぞれですね。
今泉若葉：和田春さんが作って下さる曲のレベルがどんどん上がっていて…
You-A：それは間違いないです。
今泉若葉：曲に追いつかなきゃって、必死な部分があります。
You-A：新曲を頂く度に「難しい！」って思います。
今泉若葉：期待してくださっている分、どんどん上がっていると捉えてるので、頑張っています。

―個人としての活動はされていますか？
今泉若葉：私は女優業も始めているので、いつか自分が出演する作品の主題歌をつかむことが理想です。そこまで頑張らなきゃと思います。
そして、作詞や脚本という“書く”ことも挑戦したい。また違った世界観で書くことができれば、もっと深めたものをbancessに持って帰ってくることができるんじゃないかなと思っています。
You-A：私は日頃、出会った人のモノマネをしてしまうんです。口調などを真似るのが好きで…。以前、一度ナレーションのお仕事をやったことがあって、とても楽しかったので、ナレーションや声のお仕事をやってみたいと思っています。
レイリ：私は…個人としてはまだ模索中です。まだ自分の長所がわかっていないので…。でもいろんなことに挑戦したいと思っています。

―さて、昨年もインタビューの最後に今後の目標をお尋ねしました。そして今年、見事にそれを叶えました。なので、今年も最後に目標を伺いたいと思います。
レイリ：ドラマでも映画でも
You-A：アニメでもCMでも
レイリ：bancessの楽曲とのタイアップを実現したいです。
今泉若葉：ドラマなどを見ていて「このシーンでbancess の曲を使ったら…」とよく想像します。
You-A：テレビを見ながら、1人で合わせて歌ったことない？
今泉若葉：ある！(笑)
レイリ：若葉が書く詞がすごく好きで、ドラマは音楽があることでより感情移入できるので、そこに若葉の歌詞、bancessの曲が来たら絶対にいいと思います。
今泉若葉：そして、これは夢ですが…武道館に立ちたい。トロッコに乗って、よりファンと近い距離で歌いたい。やはり目を見て歌ってもらえたり、指差ししてもらえると、すごく嬉しいと思うので、それをやってみたい。そしてライブの特殊効果も…
You-A：銀テープなどを降らすのではなくて
今泉若葉：羽や黒い花びら…シャボン玉も降らしたい。武道館くらいの規模でないとできない演出があると思うので、そこでbancessの世界観をつくって浸ってもらいたいです。
You-A：去年はお話した目標が叶ったから、今年の目標も叶うかも！
３人：わぁ～！
今泉若葉：衣装チェンジをするのも夢です！
You-A：「早着替え、間に合わないわよ！」ってね。