
映画・ドラマ・舞台で実写化され大ヒットを記録した漫画「セトウツミ」や、国内外で話題を呼んだアニメ「オッドタクシー」(2021年TX)のオリジナル脚本を手掛けたクリエイター・此元和津也の原作漫画を実写化。
親友の誘いで入部したフィッシング部の実態は恐喝まがいの自警団“スピナーベイト”だった・・・。本作は、ある日起った連続殺人事件で、なりゆきで犯人を追うことになった高校生・三井が事件の核心に迫るにつれ、次第に当事者として現実に向き合っていく様を描く、青春の葛藤と連続殺人事件の謎が交錯する予測不能の青春クライム・サスペンス。
主人公で、さえない男子高校生・三井宏太を演じるのは、加藤清史郎。撮影を振り返りながら、自身の学生生活の思い出、そして現在、放送・配信中である本作の魅力を語ってもらった。

― 三井は退屈な高校生活にうんざりしている平凡な男子高校生という役どころです。オファーを受けたときのお気持ちと、原作や台本を読んだときにどういう印象を持ちましたか?
お話をいただいたときは、とにかく驚きと「ありがとうございます」という気持ちが一番強かったです。それは作品に触れて読んでいくうちに、より強く思いました。社会の構図が表れている作品。連続殺傷事件が起きて怒涛の展開を、僕が演じる三井という役を通して視聴者の皆さんがそれを体験する形になると思うので、そこを任せていただいたことがとても嬉しかったですし、とても責任があることだと感じました。
― 三井宏太についてはいかがですか?
三井はいつも「退屈」と言っていますが、「退屈」に対して何も思っていないことが一番の問題なんです。無関心というか・・・。「誰に対しても危害を加えていないのだから問題ないのではないか」と思う人もいるかもしれませんが、本当にそうなのか。この世界を生きていく上で絶対に人との関わりがある中、そういう生き方をしていることがどれだけ罪深いのかということをこの作品から感じてもらえると思います。いわゆる日本の普通の人間であり、その象徴的な存在でもあります。そんな彼がいかに泥臭く生きるかを監督と一緒に追求しながら臨みましたし、大切にしないといけないと意識していました。

― そんな「ことなかれ主義」の彼をどのように咀嚼して演じたんでしょうか?
「ことなかれ主義」という言葉は、「ことなかれ」を「主義」としているので、結局それを正当化していて、いかにも市民権を得たような感じに聞こえますが、そう考えるのは、至極当然のことで、どうしたらいいのか考えても、それを放棄してしまうんです。いかに三井として、「面倒くさい」「僕は臆病者だから」という言い訳をして生きるか、とにかく「無頓着に、無関心に」を一番気をつけていました。
― そんな彼が殺人事件に関わるようになってから、心情がグラデーションしていきます。その変化をどのように意識されましたか?
この作品は、三井の成長物語でもあります。人間がいろんな刺激を受けてどうなっていくかという話でもあるので、その部分はとても大切にしました。原作がある作品で、脚本も全部上がった状態で撮影に入ったのですが、撮影の順番はバラバラで・・・。「この人が犯人だと思っていた後」「まさかそうだったのかと分かったときの前」など、シーンによって三井の行動も言葉も全然変わってくるんです。そこはとても大事にしていたので、常に「この時の三井って?」というのが僕の口癖でした。
― シーンによって、そのときの感情を表現するのが大変だった?
何に対してどう感じるかは状況と環境によってだいぶ変わると思うんです。それが表情に出てしまうので。例えば、この場所(取材中のスタジオ)で「大好きだよ」と言われるのと、本当に大好きな人に家で「大好きだよ」と言われるのでは、全然受け取り方も違うし、それに対しての反応も、それを聞く距離感も全然違うと思うんです。そういうことの繰り返しをしていた感じです。
ただ、その感情の動きはいい意味で流れていってしまいます。サスペンス要素もありいろんな人が関わっていくストーリーなので、(話を)追っているうちに終わっています(笑)。終わった後、最後に「何だったんだ?」となったときに、知らぬ間に何かを受け取っていて、その時の自分がどんな状態になっているかというのが、この作品の醍醐味だと思います。

― 「この作品の世界観を“海”として、三井として泳げることを嬉しく思う」というコメントをされていましたが、実際にその“海”に入ってみて、此元ワールドの質感をどう感じられましたか?
本当に写実的で現実的なものばかりなので、本当に泳いでいる感じというか、泳がされている感じになりました。人と人が関わり、関わっていなくても勝手に影響し合って社会は動いているというのを感じる作品。撮影期間中も、プライベートでもいろんなことを考えさせられました。
― 登場人物がたくさん出てきますが、特に「スピナーベイト」のメンバーたちは同世代の方が多いと思います。現場の雰囲気はいかがでしたか?
実は「スピナーベイト」のメンバー全員が揃っている時間はそんなにないんです。途中から各々がいろんな面で接触していきます。僕は「スピナーベイト」といる瞬間のほか、後半ではメグ(演:南琴奈)や大悟(演:吉田晴登)と一緒にいるとき、そして駿河太郎さん演じる吉見と一緒にいるときが主になっています。スケジュールがけっこうハードで、昼夜逆転で挑む日がほとんどでしたし、天候にも悩まされました。それでも一ひとつのシーンと向き合って、皆と和気あいあいといろんなことを話しながらやっていました。
― 共演されていかがでしたか?
太郎さんとは昨年に他のドラマでご一緒させていただいていたので、プライベートの深いところまでいろいろとお話を聞かせていただいたり、アドバイスをいただいたりしました。「スピナーベイト」のメンバーや同世代と言われる仲間たちも、みんなこの業界で活躍している人たちだったので、楽しかったし刺激を受けました。真面目な話もふざけた話も全部できた感じです。「スピナーベイト」のメンバーは、同窓生が増えた感覚です。

― 加藤さんご自身の学生生活の思い出で、何か刺激的なことはありましたか?
すべてが刺激的だったかも。小・中学校の日本の時もロンドンで過ごした高校のときも普通に楽しく終わったという感覚ですが、たぶん、そのどれもが全部刺激にはなっているはずなんですよね。
― その学生生活が、今の自分に活かされていると感じることはありますか?
すべて活かされていると思います。物事に対する取り組み方、体育会系の根性論もあれば、逆にいかにサボるかとか、休日のダラダラと過ごす方法とかも(笑)。そして色々なことの向き合い方。そして、やはりロンドンで過ごした時間は、これまでと確実に違いました。
環境もそうですが、子供の頃は特にスケジュールを合わせるのが難しかったので、チームスポーツをやるのを諦めてきました。僕は野球やサッカー、バスケットボールも大好きですが、日本にいるときはそれを積極的にやることができませんでした。高校でロンドンにいる間は、自分の体でできること、そこをどう伸ばすか、伸ばすためには何が必要なのかを勉強し、一流のプレイヤーの中に混じってサッカーをして、体のこととサッカーのことを考える日々を過ごしました。人が生きる上で、どのジャンルでも体のこなし方は切っても切れないこと。体をたくさん動かす作品はもちろんですが、そうではない作品で演じるときにもこのことは活かされていると思います。
今回も強い役ではないけど、アクションもあったので、そういうところもあの日々の経験が実になっているのかな・・・なんて思ったりします。
― 最後まで油断ができない仕掛けがある物語だと思いますが、特に注目してほしいところなど、ドラマをご覧になる皆さんにメッセージをお願いします。
このドラマを最後まで観ていただいて何を思うか・・・とても気になります。『スピナーベイト』の世界の小さな場所の実は大きな話です。三井と一緒に物語と登場人物の言葉や変化に翻弄されていただければ、きっと楽しんでいただけると思います。すぐ隣にあるかもしれない話、小さな話だからこそ現実味があると思うので。
【加藤清史郎(Seishiro Kato)】
2001年8月4日生まれ。1歳で芸能界に入り、大河ドラマやテレビCMで大ブレイク。イギリス留学を経て、「ドラゴン桜」(2021年TBS)や「最高の教師1年後、私は生徒に■された」(2023年NTV)、「放送局占拠」(2025年NTV)など数々の話題作に出演。「君が死刑になる前に」(2026年YTV)にて地上波連ドラ初主演。数多なジャンルで精力的に活動している。本年12月に舞台「ミノタウロスの皿」(新国立劇場小劇場)にて主演。

ドラマ「スピナーベイト」
<あらすじ>
さえない男子高校生・三井宏太は、親友の内新次郎の誘いでフィッシング部に入部。町の秩序を守る正義の味方と聞いていたが、その実態はヤクザが元締めをする恐喝まがいの自警団“スピナーベイト”だった。強引に犯罪を取り締まり、稼いだポイントによって絶対服従の序列が決定する中、三井は未だゼロポイントのまま、鬱屈した日々を過ごしている。同じ頃、町を揺るがす連続殺人事件が発生。三井の前に、殺人犯の手帳を拾ったという不審な男が現れ――!?
原作:此元和津也「スピナーベイト」(幻冬舎コミックス刊)
キャスト:加藤清史郎
駿河太郎 萩原護 南琴奈 奥野壮 高橋侃 吉田晴登 吉澤要人(原因は自分にある。)
伊藤あさひ 桃児 仲野温 吉村界人 山中聡 中村梅雀
主題歌:THE SPELLBOUND/Spinner
作詞・作曲:THE SPELLBOUND(Warner Music Japan)
監督:平瀬遼太郎
脚本:大久保ともみ(1話、10話・11話)
西垣匡基(4話・5話、8話・9話)
三谷伸太朗(2話・3話、6話・7話)
音楽:西村大介/DUNK
制作プロダクション:セディックドゥ
製作:NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
©此元和津也/幻冬舎コミックス/NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
ドラマ公式サイト:https://www.nbcuni.co.jp/jcon/spinnerbait/
ドラマ公式X:@spinnerbait_tv
ドラマ公式Instagram:@spinnerbait_drama
ドラマ公式TikTok:@spinnerbait_tv
ドラマ「スピナーベイト」
フジテレビ(関東ローカル)にて毎週火曜日深夜放送中!
7月7日(火)第2話は25:50~
FODでは独占見放題配信中!TVerでは無料見逃し配信中!
FODページ:https://fod.fujitv.co.jp/title/71b9
TVerページ:https://tver.jp/series/srtlq3qqln
<スタッフクレジット>
・ヘアメイク:入江美雪希
・スタイリスト:山田安莉沙
撮影:松林満美
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