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伊藤沙莉インタビュー! 初の少年役に苦労も、世代ドンピシャの母に「ビッケは沙莉にそっくり!」と背中を押された! 映画『小さなバイキング ビッケ』

『小さなバイキング-ビッケ』伊藤沙莉様-(51)

『SING/シング』『怪盗グルーのミニオン大脱走』スタッフの最新作『小さなバイキング ビッケ』がいよいよ10月2日より公開する。

主人公・ビッケの日本語吹替えを、女優・伊藤沙莉が熱演! 実写映画、ドラマ、声優ほか、様々な作品に引っ張りだこの彼女が、初めて少年の声に挑戦した。「難しかった」としながらも、充実感を滲ませる彼女に本作への思いを聞いた。

『小さなバイキング-ビッケ』伊藤沙莉様-(29)

― ビッケの声が本当に伊藤さんにピッタリです! 以前から男の子の声をやってみたかったと仰っていましたが、少年役を演じるにあたり特に意識されていたことはありますか?

ありがとうございます。嬉しい!
男の子だから高い声を出そうということは考えていませんでした。正直、低い声はいくらでも出せるんです。できる限りヤンチャな男の子の声にできたらいいなと意識して演じました。また監督から『年齢層が高く聞こえるからもうちょっとハリのある若い声にしてください』と演出していただいて、少しずつ微調整していきました。

― 演じていて難しかったことはありましたか? 心がけていたことは?

基本的にテンションが高い子供なのですが、どこまで上げて、どのくらいが一番良いのか・・・アニメとはいえリアリティ感は欲しかったので、その塩梅が少し難しかったです。最初のリハーサルで「声の年齢が高い」「今、あなたがやっているのは青年であって少年じゃないから、少年を表現して欲しい」と演出されたので、自分の中でハリのある声を出すためにどうしたらいいかを考え、ずっと目線を上にして喋るようにしていました。目線によって声の出し方が変わるので、意識的に心がけていました。

『小さなバイキング-ビッケ』伊藤沙莉様-(31)

― 本作のストーリーをどのように捉えられましたか?

バイキングの物語で、大海原を大冒険!という壮大なスケールの作品ですが、実はとても身近な自分の中でも体験したことのあるような出来事に置き換えられると思いました。何かを決めつけられることで自分が成長しきれないところや、自分ががんじがらめになったり、ちょっともやもやする感じだったり、子供であるほどそういう葛藤は大きいかもしれません。自分は「もう少し成長したいのに」、「もうちょっとできるのに」と思っていても、大人から心配されたり「まだまだだよ」と言われることが多いんですね。
私自身も三兄妹の一番末っ子なので、今だにそれが続いていて、「沙莉にはまだこれは早い」って。私はもう26歳なんですけどね、早いってことあるの?(笑)。そういうふうに分かってもらえずもがいている様は共感しました。色々な人に思い当たることが詰まっているんじゃないかなと感じました。

― 女優として大活躍されている伊藤さんですが、実写作品で演じることと声優として演じることの違いは? また、吹替えをするうえで国内アニメと海外版の違いは感じられましたか?

実写では余分なものはできるだけ排除して、基本的に引き算のお芝居をすることが好きです。「この人はこんなことはしないでしょ」ということはなるべくしないようにします。アニメの場合は、ちょっと大げさに表現してみるとそれが画と合うことがあるんです。ちょっとやりすぎたかな・・・と心配していても、それがドンピシャだったり。演出がまったく違うんです。自分の経験から「もう少し抑えてください」と言われるのが実写、「もっと大げさに」と言われるのがアニメという違いがあります。

作品によるとは思いますが日本のアニメーションについては、『映像研には手を出すな!』で声優として務めさせていただきましたが、基本的にアニメーションとして完成していない段階のものに声を入れていました。ですので、原作を読みつつ『どんな表情で言っているんだろう?』と想像で演じました。日本のアニメは日本語なので表現の自由さがとてもあるので、自分の感じたものを表現して正解だったと思っています。

海外作品の日本語吹替えの場合は、元となるお手本があるので演技が引っ張られてしまうことが多いんです。海外の作品は大きな表現をするイメージがあるかと思いますが、『小さなバイキング ビッケ』はどちらかと言うと、実写寄りの繊細なお芝居をされているんです。もともと声の入った状態の映像をいただけるので想像しやすいのですが、元の表現につられてしまったら日本版吹替えの元気なビッケにはならなかったと思います。日本のバージョンとして日本の皆さんに伝えるには、もう少し色濃くした方が面白く見てもらえるんじゃないかと考えて演じました。
海外特有な表現、たとえば「ア、ハ~ン」みたいな表現に引っ張られてしまうとだいぶ臭くなるので、そこは気を付けました(笑)。

『小さなバイキング-ビッケ』伊藤沙莉様-(119)

― 本作の吹替えを担当することが決まったときのご家族の反応はいかがでしたか?

家族のみんなが喜んでくれたのですが、とにかく母が世代的にドンピシャなんです。リアルタイムで観ていたのですごく興奮していましたし、「ビッケを壊さないでね」と誰よりもプレッシャーをかけてきました(笑)。私も資料として昔の『ビッケ』の作品も観ましたが、まったく違う作品となっているので、「そこは分かってね」と母に伝えました。母が「昔のビッケは沙莉そっくりだよ」と背中を押してくれましたし、昔のビッケの声も自分のようにあまりキャピキャピしている声じゃなかったので、少し安心しました。母も映画館で観たいと言っているので、今から感想が楽しみです。

― アフレコはお一人で録られたのでしょうか?

こういうご時世ですが、一人ですと掴めない部分もあるので、一番絡みの多いハルバル役の三宅健太さんとイルビ役の和多田美咲さんはご一緒させていただきました。お二方とご一緒させていただくと、やっぱりテンションが全然違ってきました。ビニールを貼ってソーシャルディスタンスを守って録らせていただきました。

『小さなバイキング-ビッケ』伊藤沙莉様-(24)

―三宅さんと和多田さんが伊藤さんの演技を大絶賛されていました。お二方と共演されていかがでしたか?

本当にステキでした。とても感動しました。当たり前かもしれませんが、プロの方々なので声の表現が本当に奥深いんです。状況や環境なども目の前にあるアニメーションだけで声のみで表現して伝えている。ご一緒させていただくとそのテンションで引っ張っていただけるので、距離感を例にとっても、上から下に投げ掛けるのか、下から上に呼び掛けるのかの声の出し方だけで聞こえ方が違って空間を掴むことができるんです。お二方と一緒に同じ環境で行えて本当にありがたかったです。

― 本作はビッケが主人公ですが、他にも愛すべきキャラクターたちが揃っています。伊藤さんがビッケ以外に注目したい好きなキャラクターがいたら教えていただけますか?

みんなすごく可愛いんですが(と、悩みつつ)・・・いじわるスベン! 憎めないキャラクターなんです。敵なのですが、ちょっとおっちょこちょいで(笑)。出てくるとワクワクする敵っているじゃないですか? スベンはどちらかと言うと可愛らしくて。悪者なのに憎めない人がすごく愛おしくて好きなんです。スベンとハルバルはずっと良きライバルかも。今作は意外とスベンがいないと面白くならないんじゃないかと思うキャラクターで、物語の一つの柱なのかなと感じます。

『小さなバイキング-ビッケ』伊藤沙莉様-(108)

― もし魔法の剣が存在したら何か変えたい物はありますか?

なんだろう・・・(しばし考えて)、好きな人も苦手な人も小さくしたいかも(笑)。苦手な人は小さくしたら超可愛く思えるだろうし、すごく好きな人は小さくして持ち歩きたいから、小さくする魔法が欲しいですね。

― 最後に、伊藤さんが本作をご覧になってお気に入りのシーンがあったら教えてください。

最後にあるキャラクターと戦うシーンで、ビッケのことを勧誘しようとするシーンがあるのですが、『嫌だ!!』と反発するところがやっていてすごく楽しかったですし感動しました。10歳のビッケから見たらすごく怖い相手に自分の気持ち、意思を伝えるところは、なによりもビッケの成長を感じることができますし、ビッケの男気が一番見られるシーンだと思います。いろいろな伏線を回収して反撃していくところはカッコ良くて活躍する場面なので、ぜひ楽しんでご覧ください。

『小さなバイキング-ビッケ』伊藤沙莉様-(22)

【伊藤沙莉(いとう・さいり)プロフィール】
1994年5月4日生まれ、 千葉県出身。 2003年、9歳でドラマデビュー。「パンとバスと2度目のハツコイ」「寝ても覚めても」「blank13」 などの映画に出演し、第10回TAMA映画賞で最優秀新進女優賞、第40 回ヨコハマ映画祭で助演女優賞、主演を務めた「タイトル、 拒絶」で第32 回東京国際映画祭東京ジェムストーン賞を受賞。 2020年6月、テレビアニメ 「映像研には手を出すな!」 やドラマ「これは経費で落ちません!」「ペンション·恋は桃色」 などでの活躍を評価され、第57回ギャラクシー賞テレビ部門個人賞、さらに「生理ちゃん」で第29回日本映画批評家大賞助演女優賞に輝いた。そのほかの出演作にドラマ「ひよっこ」「獣になれない私たち」「全裸監督」「いいね!光源氏くん」等。公開待機作に、映画「十二単を着た悪魔」「ホテルローヤル」「タイトル、拒絶」が控えている。

インタビュー撮影:ナカムラヨシノーブ

「小さなバイキング ビッケ」ポスター

<ストーリー>
「信じる。何があっても…」
少年ビッケは、愛する母イルバを救うため大海原へ旅立つ。海賊の父ハルバルと、仲間とともに――
ビッケは海賊の長ハルバルの息子。ハルバルは元気な力持ちだがどうも頭の回転が鈍く海賊長としては頼りない。そんな父とは正反対にビッケは小さくて力もないが、知恵は誰にも負けませんでした。ある日、母のイルバが魔法の剣の力で黄金に姿を変えられてしまいます。ハルバルは案内役のレイフと船員たちと海賊船で剣の秘密を解く旅に出発!おいてきぼりを食らったビッケはそっと樽に隠れ海賊船に乗り込みます。知恵と仲間の力で困難を乗り越え、ビッケたちが辿り着いたのは謎の島。人間界に追放されたアズガルドに住む神、ロキが待ち受ける。ビッケたちの運命とは――!?

監督:エリック・カズ 「Vic the Viking」(TVシリーズ)
アニメーター:ティモ・ベルク 「SING/シング」「ペット」「怪盗グルーのミニオン大脱走」
出演:伊藤沙莉(ビッケ)、三宅健太(ハルバル)、前野智昭(レイフ)、和多田美咲(イルビ)、田坂浩樹(スベン)、
前田雄(ウローブ)、鷲見昂大(ファクセ)、白井悠介(ゴルム)、神尾晋一郎(ウルメ)、長瀬ユウ(スノーレ)、
坂田将吾(チューレ)、矢尾幸子(イルバ)、野津山幸宏(ソー)
2019/ドイツ、フランス、ベルギー/77分
英題:Vic the Viking and the Magic Sword
© 2019 Studio 100 Animation – Studio 100 Media GmbH – Belvision
配給:イオンエンターテイメント、AMGエンタテインメント
公式サイト:https://vic-movie.com/

10月2日(金)よりEJアニメシアター新宿他にて全国公開

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『小さなバイキング-ビッケ』伊藤沙莉様-(65)