映画『宝島』の公開初日舞台挨拶が、9月19日、東京・新宿バルト9にて行われ、主演の妻夫木聡をはじめ、共演の広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太、栄莉弥(えりや)、光路(みろ)と、大友啓史監督が登壇した。
戦後沖縄を舞台に、史実に記されない真実を描き切った真藤順丈の傑作小説「宝島」を大友啓史監督がメガホンを取り、実写映画化。本作は、戦後から本土返還の1972年までのアメリカ統治下の沖縄を舞台に、混沌とした時代を全力で駆け抜けた若者たちの姿を描く、衝撃と感動のエンタテインメント超大作。姿を消した英雄オンの親友で、彼の行方を追うために刑事となった主人公・グスクを妻夫木聡、オンの恋人であり、教師になって彼の帰りを待つ幼馴染のヤマコを広瀬すず、オンの弟でありヤクザになって兄の背中を追うレイを窪田正孝、姿を消した英雄・オンを永山瑛太が演じる。
大きな拍手で迎えられ笑顔で登場した登壇者たち。満席の会場を見渡しながら、妻夫木は「2019年の企画立ち上げから、6年越しで今日を迎えられました。こうして初日を喜べるのも、皆さんの想いのおかげです。」と感謝を伝え感無量の面持ち。広瀬も「こんなにたくさんの方々に足を運んでもらえて嬉しいです」と、満面の笑みを浮かべる。
窪田は「『宝島』を通して皆さんと出会えることが何より嬉しいです」とし、永山は「俳優をやっている中でこの瞬間が一番ドキドキするし、自分は幸せ者だなと感じています」と打ち明けた。そこで、永山が「あちらのお客さんはポップコーンが全然減ってないですね。それだけ集中して観てくださったんだなと。すごく嬉しいです」と、観客に目を向けると、妻夫木たちも「本当だ!嬉しいです」と声を合わせ、イベント冒頭から会場を盛り上げた。
本作で本格的俳優デビューを果たし、物語のカギを握るウタ役を演じた栄莉弥は、「今日をもって、皆さんの手に映画が渡るんだと実感して、ドキドキしています」と緊張した面持ち。同じくウタの少年期を演じた栄莉弥の実弟・光路は今回が初めての舞台挨拶だったが、「ウタ役を演じさせていただいた光路です。とても緊張していますが、最後までよろしくお願いします」と堂々と挨拶し、隣で心配そうに見つめる兄・栄莉弥も一安心。会場から「可愛い~!」と声援が飛ぶと、広瀬も「もうメロンメロンです…。ちょっと大人になっていて驚きましたが、可愛すぎます」と釘付けになっていた。
本作に並々ならぬ想いを注ぎ込んだ大友監督は、「個人的には20年近く温めてきた企画でもあり、その後6年かけて、もはや四半世紀くらいかけて皆さんにようやく届けることができました。今日この場にいないキャストやスタッフの人たち皆の力で映画は完成しました」と、万感の想いを口にする。そして、「どうか皆さま、彼らにも拍手をいただけますでしょうか」と声をかけると、会場から温かい拍手が送られた。
イベントでは、妻夫木らの登場時から後ろに立っていた巨大パネルの除幕式が行われた。そこには2人が訪れた全国各地の劇場で書き込まれた観客の手書きの感想やメッセージがびっしり!
「『宝島』は、”人生のバトン”の物語。映画を越える存在になっているこの作品を、皆さんに直に会いに行って届けたい!」と、本作へのたぎる想いを胸に、”宝島伝アンバサダー”として全国行脚した妻夫木。6月から3か月間に及ぶ全国キャラバンで訪問した場所は20都市を超え、名刺を手渡しした観客・劇場スタッフは 5,000名以上という、規格外の熱量あふれる姿を見せていた。
ボードには「まさに魂が震えた作品」「3時間ずっと感動しました!」「ぜひ日本国民全員に観てほしい」など、500を超える熱いコメントが。思わず「本当に嬉しい、感動的です」と感無量の妻夫木は、「訪れた先の一つ一つの場所で、なんだか『家族が増えていく』ような感覚がある」と、しみじみ。広瀬、窪田、永山からも感動の表情を浮かべるなか、妻夫木とともに想いを伝えてきた大友監督は、「『宝島』は、様々なスタンスや覚悟を問われた映画。成立するかしないかという局面に何度も陥りながら、一つ一つの壁を皆で乗り越えてきました。メッセージをくださった皆さんの顔を全員覚えたいという想いです」と、感動しきりだった。
沖縄キャラバンに参加した広瀬、大阪キャラバンに参加した窪田も、特別な想いが。広瀬は、「沖縄の方々に観ていただくのは、不安もありました。でも、映画を受け取っていただいた直後に『ありがとう』と言ってもらえたのは本当に嬉しかったです」と。窪田は「上映後の皆さんの目が本当にキラキラしていて。映画というフィルターを通じて、皆さんと繋がれたことに感動しています」回顧し、あらためて受け取った“映画の力”を熱く語った。
一方、グスク、ヤマコ、レイにとっての英雄であり、リーダー的存在のオンを演じた永山は、本作がもつ“圧倒的な熱量”に衝撃を受け、出演を決めたという。「オンという役は、この映画にとってすごく大きな意味を持つと感じていました。自分に全うできるかと大きなプレッシャーを感じて、正直何度も不安を口にしてしまう瞬間もあった」と本音もチラリ。それでも、「大友監督やスタッフの方々と打ち合わせを重ねていくうえで感じた、監督の熱意と愛情を力に、皆さんに支えてもらいながら覚悟を決めてカメラの前に立ちました」と、決断した気持ちを明かした。
初めての大型作品の撮影に挑んだ栄莉弥は、「現場ではあまり頭で考えすぎないようにしていました。とにかく『ウタを生きること』だけを意識しました」と語る。弟の光路も「すべてが初めてだったので監督に教えてもらったことを。ただひたすらにやるという気持ちでした」と回顧。そんな2人について、大友監督は「実は、ウタ役が一番難しい役だと思っていて、適任を見つけるために日本全国を探しまわる意気込みでした。でも、栄莉弥くんに出会って、「ウタがいた!」と即決。そうしたら弟もいると!即決しました(笑)」と、奇跡的な出会いを喜ぶ。
また、撮影期間106日の内41日間・43か所のロケ地で行われた沖縄での撮影を振り返る登壇者たち。大友監督は「特殊飲食街の躯体だけを使い、装飾を重ねて当時の飲食街を再現しました。すると、地元の辺野古の方々が撮影終わりに集まってきて、当時を思い出しながら涙した方もいらっしゃって。最終的にみんなで宴会していたみたいです(笑)。僕はその話を聞いて嬉しかった。だから僕は映画が好きなんです」と、確かな手応えに感慨。
妻夫木も「撮影初日のコザで、オンちゃんの背中をグスクとレイが追いかけるシーンは特に印象深かったですね。瑛太がキラキラしていた。スクリーンで観たあのシーンは忘れられません」と述べ、広瀬は「私は沖縄の海がすごく印象に残っています。ずっとオンちゃんへの想いが続いたままだったので感情のコントロールが難しかった時もあったのですが、海を見ていると、循環する自然の流れが感じられて…。その光景に、気持ちがどんどん溢れてきました」と話す。
窪田は「僕は御嶽(ウタキ)での撮影がすごく印象に残っています。すごく生きているというか、鼓動を感じる感覚がありましたね」と話し、永山は「僕はエンドロールを見た時にすごく“一体感”を感じました。こんなにもたくさんの町、たくさんの方々が協力してくれたんだと、感動したのを覚えています」と多くの人々が関わって作り上げられた本作の魅力を熱く呼びかけた。
最後に、妻夫木が「『宝島』は6年がかりでようやく今日という日を迎えました。不死鳥のように蘇るこの映画をみていると、“想いの力”ってすごいなと改めて感じます。」と語りかける。「想いがそこに在る限り、絶対立ち上がることができると思う」と続け、「『宝島』も、想いがつながっていく物語でもある。グスクが思い描いた未来が今なんだとしたら、僕たちはグスクから託された“命のバトン”を、どうやってこれから繋げていけるのか。『宝島』を観てくださる方々にとって、何か少しでも心に変化があったり、この映画の力によって世界の何かが、誰かの人生が変えられる力が1%でもあるのだとしたら、僕はその“映画の力”を信じたいと思っています。」と熱く語った。
■作品情報
・作品タイトル:『宝島』
・出演:妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太
塚本晋也、中村蒼、瀧内公美、栄莉弥、尚玄、ピエール瀧、木幡竜、奥野瑛太、村田秀亮、デリック・ドーバー
・監督:大友啓史
・原作:真藤順丈『宝島』(講談社文庫)
・公開表記:2025年9月19日(金)より全国公開
・配給:東映/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
・コピーライト:©真藤順丈/講談社 ©2025「宝島」製作委員会
■ストーリー
1952年、沖縄がアメリカだった時代。米軍基地から奪った物資を住民らに分け与える‟戦果アギヤー“と呼ばれる若者たちがいた。いつか「でっかい戦果」を上げることを夢見る幼馴染のグスク(妻夫木聡)、ヤマコ(広瀬すず)、レイ(窪田正孝)の三人。そして、彼らの英雄的存在であり、リーダーとしてみんなを引っ張っていたのが、一番年上のオン(永山瑛太)だった。全てを懸けて臨んだある襲撃の夜、オンは「予定外の戦果」を手に入れ、突然消息を絶つ…。残された3人はやがて、憧れのオンの失踪の謎を追いながらも、「オンが目指した本物の英雄」を心に秘め、やがて警察、ヤクザ、小学校の先生になり、それぞれの道を歩み始める。しかし、アメリカに支配され、本土からも見捨てられた環境では何も思い通りにならない現実に、やり場のない怒りを募らせ、ある事件をきっかけに抑えていた感情が爆発する。
そして、オンが基地から持ち出した”何か“を追い、米軍も動き出すー。
消えた英雄が手にした“予定外の戦果”とは何だったのか?そして、20年の歳月を経て明かされる衝撃の真実とはーー。
■公式サイト&SNS
・オフィシャルサイト:https://www.takarajima-movie.jp
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