映画『おーい、応為』の完成披露上映会舞台挨拶が、9月21日、東京・TOHOシネマズ新宿にて行われ、主演の長澤まさみをはじめ、共演の永瀬正敏、高橋海人、大谷亮平と、大森立嗣監督が登壇した。
葛飾北斎の娘であり、絵師として江戸の男社会を駆け抜けた葛飾応為。本作は、「父をも凌ぐ」と評されながら、自由に真っすぐに生きた応為の人生を描き出す。
監督・脚本は映画『日日是好日』は、『星の子』などを手がけた大森立嗣。主演、ヒロイン・葛飾応為を長澤まさみ、応為の父・北斎を永瀬正敏、応為の友人で北斎の門下生・善次郎(渓英泉)をKing & Prince の髙橋海人、北斎の弟子の絵師・初五郎(魚屋北)を大谷平が演じる。長澤と大森監督は『MOTHER マザー』(’20)以来の再タッグとなる。
この日、応為を彷彿させるような着物と髪型で登場した長澤。「本日は演じていたあのときをすごく良い思い出として私の人生にも焼き付いているので、そんな気持ちを込めて着物を着てきました」と挨拶。
初の時代劇に挑戦した長澤。応為の生きざまに感じられたこと、共感したことについて、「江戸という時代を自由に生きていた応為の姿は今の女性像にも通じるものがあるんじゃないかなというふうに思って、現代的な女性だなという印象がありました。演じることで、私自身も自分のやりたいことに向かっていく心意気を学んだ感じがして。応為から得られるものが多かったですね」としみじみ。「自分がやりたいことを明確に持っているというその感覚があるということだけでも凄いこと。そこで生きている人たちの姿を見ることで、通じるものがあると感じてもらいたい。日々の記録のような映画なので、そうやって楽しんでもらえたらいいなと思います」と続け、応為と作品への思いを語った。
初めて時代劇を撮ったという大森監督は、「俳優さんと信じてカメラを置いて、息遣いを撮っていこうと思った。時代劇だからといって特別にしたことはないですね」と話す。
特に長澤については「最高」と表する監督。「応為と長澤さんが本当に合っている。長澤さんは女優としてピカイチだし、今まで生きてきた人生をそのまんまこの応為という役に乗っかってくれた気がしたんです。演技から長澤さんの生きざまみたいな見えてくる。応為役を通してこの人を肯定することで、映画が生きてくるというか、北斎と一緒にいるこの2人を見つめることで、私たちは少し生きやすくなるんじゃないかというふうに感じたんです。本当に応為から目が離せなかったです」と絶賛した。
これまで、色んな人が葛飾北斎を作品で演じてきたが、今回の北斎を永瀬は「北斎を“画狂老人卍”と名付けられる人ですから、どちらかというと、今まではそちらに比重がある作品が多かったかなと思いますが、今回は“人間北斎”をどう出していくかということだったと思う。もちろん最低限、絵に説得力がなければいけないんですが、人として親子としてどう生きたかっていうことじゃないかなと」と北斎を捉えて演じたとのこと。
長澤や永瀬と共演を果たした髙橋は「初めての時代劇というか、現代じゃない作品に出させていただくことが夢でした。時代劇というか時代背景が昔の作品が好きでしたし、絵も好きで、北斎という(絵に)ゆかりのある方の作品に出ることが嬉しくて歓喜しました」と出演を喜ぶ。
それでも、「(出演者の)お名前を見たら長澤さんがいて、永瀬さんが言って、大谷さんがいて、もの凄く経験豊富な方々がたくさんいたので正直、心が一気に折れるというか・・・怖いな、大丈夫か俺・・・と思いました」とプレッシャーも感じたようだが、「お芝居は助け合いと皆さん言われますけど、僕はもう戦(いくさ)というか、戦いに出る気持ちでした」と正直な気持ちを吐露。
思わず「そんなこと思ってたの?(笑)」と長澤たちが笑うも、「今まで経験した自分の少ない武器というか荷物を全部持って、京都に向かおうという気持ちでやっていました。お二人(長澤と永瀬)の一挙手一投足、発せられる言葉、全てに何か色気があって、力強さがあって、すっげえなって思いました。その中で自分なりに楽しく戦うことはできたかなというふうには思っていますが、皆さんにどう思っていただけるか、楽しみですね」と熱く語り、「お芝居って、1回自分を捨ててその人を作り切るというものだと思っていたんですが、その演じている本人の人生が見えた時が一番素晴らしい瞬間なのかなと思えるポイントがこの映画にはたくさんあって、観客として観ていて楽しかったです」と微笑んだ。
彼らの日常のリアルを描くことに部屋はもちろんこだわったが、絵を描く姿にも力を入れた様子。長澤、永瀬、髙橋の絵師のシーンは吹替えなしの撮影。「筆の持ち方から違って・・・練習しましたね」と永瀬。髙橋も「小屋みたいなところで、3人で一言も話さずに練習していましたね」と明かす。当初は絵を描くシーンはなかったという髙橋だが、急きょ描くシーンが追加されたそうで「筆に触れる経験をするだけで、少しでも英泉をわかったつもりになれました。ただ、僕は1つのことしかできないので、喋りながら描くのが凄く大変でしたね」と苦笑いしていた。
一方で、応為が淡い恋心を抱く魚屋北渓を演じた大谷は、「真っ暗なところで(応為と北渓の)2人が会話するシーンがあるんですが、そこで僕は沼に落ちたんです」と突然の告白。長澤たちも驚くも「誰も知らなかったと思いますよ」とサラリ。「勝気な応為さんが見れて良かったです」と笑顔を見せた。
また、映画の内容にちなみ、「まだまだ極めたいことは?」と問われた登壇者たち。長澤は「休日の過ごし方」、永瀬は「自分の飼っている猫や動物の気持ちを理解すること」、大谷は「毎朝食べる納豆」、監督は「今年初めて梅干しを漬けたんですが、季節を感じること」と答える中、髙橋は「僕は長生きしたいと思っていて。お風呂で湯舟につかるときに潜水しているんです。最近2分くらいできるようになったんですが、肺活量を増やして老後に強くなりたいと思っています。北斎も当時としてはかなりの長生きをしているので、僕も長生きをして楽しいことをいっぱりやりたいです!」と真剣に語り、会場を沸かせていた。
映画『おーい、応為』
監督・脚本:大森立嗣
キャスト:長澤まさみ 髙橋海人 大谷亮平 篠井英介 奥野瑛太 寺島しのぶ 永瀬正敏
原作:飯島虚心 『葛飾北斎伝』(岩波文庫刊) 杉浦日向子 『百日紅』(筑摩書房刊)より「木瓜」「野分」
配給:東京テアトル、ヨアケ
©︎2025「おーい、応為」製作委員会
公式サイト:https://oioui.com
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10月17日(金) TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー