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観客を別世界へと閉じ込めた100分間 韓国ミュージカル『狂炎ソナタ』 公演レポート

キャスト3人が繰り広げる濃厚な心理劇、韓国ミュージカル『狂炎ソナタ』(読み:カンヨムソナタ)が、大阪公演を経て11月22日(木)から25日(日)までヒューリックホール東京にて上演された。

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『狂炎ソナタ』は1930年に発表されたキム・ドンイン(金東仁)の小説を原作に生まれた韓国のオリジナルミュージカル。2017年に上演され、大きな人気を集めた。

物語の主人公は19歳で天才とうたわれ、華やかにデビューした作曲家J。だがJはその後、1曲も書くことができず、辛い日々を送っていた。苦しんだJは、クラシック界で知られた教授のKの元で再び作曲を始めるが、冷ややかな評価ばかりをつきつけられていた。
地獄の日々を過ごしていたJある日、Jは交通事故でリアルな「死」を目撃し、そこからインスピレーションを得て「狂炎ソナタ」の第1楽章を完成させる。曲はKに絶賛されるが、そのひらめきの原因が「死」だと知ったKは、曲を完成させるためJに殺人をそそのかし、Jは作曲のために殺人を犯してしまう…。
そんなJのそばには、才能あふれるSがいた。SはJを正しい道へと導こうをするのだが…。

今回の日本公演では、“J”役にはリョウク(SUPER JUNIOR)とシン・ウォンホ(CROSS GENE)、“S”役にはKEN(VIXX)、若手俳優キム・ジチョル、“K”役にはベテラン俳優イ・ジフン、イ・ソングンが出演。また、韓国初演当時のオリジナルキャストであるパク・ハングン、キム・ジチョル、イ・ソングンという、韓国ミュージカルファンには待望のキャストでの公演も実現した。

Astageの観劇が叶ったのは11月23日(金・祝)昼の公演。“J”をシン・ウォンホ(CROSS GENE)、“S”をKEN(VIXX)、 “K”をイ・ジフンがが演じた。

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シン・ウォンホ(CROSS GENE)

ステージ左手にピアノが置かれた舞台。3人の俳優と、ステージ奥に配された生のバンドが生み出す100分のミュージカルは、あの名作ミュージカル『スリル・ミー』にも似た緊張感が全編を貫く。「死」「殺人」が扱われるだけに重々しい空気に覆われるのだが、そこに流れる19曲の音楽は、その重さを突き抜けてまっすぐに響いてくる。

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KEN(VIXX)  イ・ジフン

Jを演じるシンはミュージカル初挑戦とは思えない体当たりの演技で苦悩する若者を演じる。日本版では「幼なじみ」と説明されているS役のケンは、その伸びやかな声でいつもJに寄り添う。まったく違うタイプの二人のキャラクターでありながら、シンの苦悩に同期するケン。2人がデュエットを歌う場面で声が重なった時、大きな響きをもって広がり、その正反対のキャラクターが表裏一体となって重なって見える瞬間を生んだ。SはJの中の別人格ではないのか? そんな思いにもかられて、物語の深さを感じた。

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アイドルから実力派のソロ・シンガーへ、そしてミュージカル俳優へと進化を遂げてきたイ・ジフン。培ってきた歌唱力と演技力で、人好きのする有名教授から音楽への異常なまでの執念を燃やす姿まで、存分に演じてみせた。広い会場を、その深みある歌声が覆って、本作の濃密なエネルギーを観客へと届けた。

スタンディングオベーションとなったカーテンコールでは、照れたような笑顔を見せたシンを中心に、キャスト3人が笑顔で抱き合うと、客席からはほっとしたような明るい歓声がこぼれた。

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韓国ミュージカル『狂炎ソナタ』は、観客を別世界へと閉じ込めた見事な100分間となった。

公式HP https://www.shinswave.com/EventInfo/View.php?strSection=Guide&strSeq=12