Open Close

『ショーガール』~こんな出会いも悪くない~  川平慈英、シルビア・グラブ インタビュー

故・福田陽一郎が脚本・構成・演出、木の実ナナ&細川俊之が出演し、1974年から15年もの間ロングランを続けた伝説的な舞台『ショーガール』が、三谷幸喜の脚本・作詞・構成・演出のもと川平慈英、シルビア・グラブというキャストを得て復活したのは2014年夏。
開演時間は22時。他の舞台の終わった後、その日本家屋のセットを活かしたステージで、上演時間は1時間…という特別づくしの大人のステージは、新たな伝説となった。
そのおしゃれな舞台が、2016年春、アンコール公演となる。

さてさて、今回はどんなステージとなるのか?
川平慈英、シルビア・グラブを訪ねた。

IMG_3339U

―2014年8月に初演された三谷幸喜版の『ショーガール』ですが、出演された感想は?
川平:楽しかったです!(笑)
シルビア:そう、楽しかったです!
川平:僕は木の実ナナさん、細川俊之さんの舞台を観てきた世代で、福田陽一郎さんとも何本もお仕事させて頂いていたので「『ショーガール』が復活するなら、僕でなきゃ怒るよ!」と勝手に思ってきました。福田さんからも「いつか『ショーガール』が復活するなら、やりたいか?」と言って頂いて「もちろんです!」「他の誰にも渡さない」という感じでいましたから。三谷さんが興味を持って下さって「キタ~!」と思ったら、女性キャストが何年も見つからなくて…。そしたら三谷さんから「シルビアだ!」と。最後のパズルが完璧にはまって『ショーガール』が復活する! それに加わることができる喜びがいっぱいの初演でした。
シルビア:『ショーガール』は台本があるわけではなくて、三谷さんがどんな本を書かれるのか、まったく分からなかったのです。台本が出来て見たらまったく予想外のキャラクターでした。ショーの部分は、提案しながら一緒に…という感じでしたが、最初はどういう方向性になるか、まったく分からなかったですよ。

―三谷さんは意外性を求める方ですから?
川平:意外性が大好きですからね。いい意味でお客さんを裏切る。ただ前回は、前の舞台のセットを利用してゲリラ的な感じでやっていたような部分もあります。それはそれで楽しかったですが、今回は単独公演ですからね。

―昼公演もありますしね。
川平:夜は20時開演と少し遅めですけど、普通のミュージカル公演のように昼もありますから、より多くの方に見て頂きたいなぁと思っています。

―また違う作品として取り組む部分もありそうですね。
シルビア:セットがどうなるのかな?
川平:前回の日本家屋はもう無いので。(笑)
シルビア:2階建てでもないかも。
川平:階段ぐらいはあるかも。
シルビア:そういう意味では、動きはお芝居もショーも全部作り直さなければならないですね。
川平:その方が面白いのではないでしょうか。新しいアイデアが出てくると思います。そういうものをふんだんに盛り込みたいですね。

―今、浮かぶアイデアは?
川平:ショーの部分ですね。
シルビア:そうですね。まだ三谷さんともお話していないので、どうなるのか、まったく分からないのですが、曲も何曲か変わる…?
川平:変えたいなぁ~!新しい曲…。
シルビア:増やす? 分からないけど…。
川平:僕は楽器を弾きたいなぁ。パーカッション…コンガとかもいいかな。でもパーカッションは、もういますよね?なら…ツインギターでいこう。真っ白いギターで。絶対カッコいいと思う!
シルビア:という慈英さんの妄想が。(笑)
川平:公演で楽器が出て来なかったら、僕の意見は却下されたということです。乞う期待です。(笑) 今夜あたり、三谷さんに電話しようかな。あ~、でもだんだんビビり始めてきた。エアーギターでもいい!(笑) なにか、飛び道具的なものを出したいな。でも三谷さんが何か…。
シルビア:そうそう、三谷さんが同じ(公演をする)わけがない。
川平:『オケピ』の時は曲も増えたし、エピソードも増えたよ。(笑) だから初めての方はもちろん、前回観て下さった方も、楽しめるものにしたい。します!しなきゃいけない。

IMG_3324

―前回、おふたりが初めてご一緒にやられたときの感じは?
シルビア:でも、もう(知り合って)長いですからねぇ。
川平:デビュー前からタップのクラスで
シルビア:会っているね。
川平:幼なじみどころか、兄妹みたいなものですよ。たまに同じDNAを持っているのじゃないかと思うくらいシンクロする時がありますから。

―そんなおふたりが一緒にやられるというのは、本作は運命的な作品ですか?
川平:『ショーガール』でこのふたりというのは
シルビア:運命的な気がします。
川平:じゃないといけない。
シルビア:福田先生が昔から慈英さんにはおっしゃっていたのですが、私が福田先生とお仕事したのは最後の10年…そんな中で福田先生から何度も『ショーガール』を「いつかまたやりたいんだ」とおっしゃっているのを聞いていたのです。「私に言うのは、私、そこに入れてもらえるのかなぁ」なんて思っていたら、三谷さんが別のところで私を発見して「ショーガール、見つけた!」と言われたので、これはちょっと福田先生がどっかで何か…。
川平:見えない力を感じるね。
シルビア:しかもこのふたりというのは、最初にお話を頂いた時には相当運命的な感じがしましたね。
川平:このパッケージはテッパンだと僕は思っています。

―そんなおふたりが『ショーガール』の舞台に上がった時、お互いの新たな発見は?
川平:この人が「地味な雰囲気を出せるのだな」というところですね。
シルビア:三谷さんが地味な女を書いて下さって…。
川平:地味女だ!
シルビア:ショーの部分は本当に楽しいのは分かっていたけれど、芝居の部分でまったく見たことがないキャラクターを出されたとき「わ~、どうなる?!」という、三谷さんが楽しみたい部分だったと思いますが、それで案外私たちは
川平:大変でしたね。僕に二の線はあまりオファーされないのに、三谷さんからはシンプルに「ハードボイルド、二枚目で」とのリクエストで苦労しました。やってみたら、楽しかったです。「勝手にやって」という現場よりも、苦悩した方が良いものができることが多いですからね。
シルビア:自分で知らなかった自分が引きだされますね。
川平:苦しかったけど楽しかったです。今回は少しは準備できているつもりなので…
シルビア:だから何か変化球が来そうなんですよ。
川平:三谷さんは役者にあぐらかかせないですから。いい意味でお客さんを裏切っていきたいですね。いやぁ、地味女の自転車走行はなかなか見られないですよ。(笑)
シルビア:おかげで地味な役がくるようになりました。(笑)でも毎回、地味な女役に苦悩しています。私にとっては大変な役を与えていただきました。

―この作品からどんどん道がひろがっていくという舞台でもあったのですね。
シルビア:でもそうでありたいですね。このコンビで番外編やライブをやったり、なにか広がっていくといいですね。
川平:僕もこの作品を英語に直して、英語圏に持って行きたい…という思いは抱いています。
シルビア:私たちの「ショーガール」というブランドが拡がったら嬉しいですね。

―おしゃれでステキなショーですから、気を使われている部分が多いと思います。
シルビア:着替えばっかりしてるんですよ。
川平:着替えで間違えて、ランジェリー姿で出て来るかもしれない?! (笑)
シルビア:着ていたら、まだいいよね?(笑)
川平:いやぁ、それは別料金ですよ。(爆笑)
シルビア:着替えの順番間違えると、後が全部ダメになってしまうんです。ちょっとしたことで失敗する可能性があります。舞台からはけた時が一番大変です。
川平:舞台裏にカメラ入れたいくらいだね。
シルビア:音声だけで!この早替えはカメラ入れたら、大変なことになります。(笑) 初めて台本を見た時に、私は出てはけて…を繰り返しだけど、慈英はステージに出ずっぱりで大変そうだと思っていましたが、ふたを開けたら舞台裏の方がもっと大変!(笑) 着替えは3人がかりで、大変な騒ぎですよ。

IMG_3301

―初めてご覧になる方に『ショーガール』をオススメするポイントは?
川平:もうこれしかないね。
シルビア:日本でも渋谷にいながらブロードウェイやウエストエンドのおしゃれなショーを見られる場所はパルコです。
川平:航空券は必要ありません!PASMOやSuicaで渋谷に来て、パルコに来て頂ければ
トップレベルのショーをお見せします。渋谷にお越し頂ければ楽しませます!「こういうショーが日本にあるんだ」と仲間も言ってくれて。
シルビア:そうなのです。前回俳優仲間が「日本じゃないみたいだった」と言ってくれて。大先輩方もね。
川平:うれしいですよね。今回も裏切っちゃいけないですよね。シックでお洒落で、ハッピーになれるショーをお見せします!

 

IMG__4004

川平慈英(かびら じえい)
1962年、沖縄県出身。1986年にミュージカル『MONKEY』でデビュー。以降、舞台を中心にドラマやCM、映画に多数出演。サッカーナビゲーターとしても広く知られている。1997年に『雨に唄えば』で第4回読売演劇大賞男優賞を受賞。舞台ではこの他『オケピ!』『Shoes On!』、ドラマでは「表参道高校合唱部!」、映画『THE有頂天ホテル』『いぬのえいが』など出演作品多数。

 

$RLIQ5GP

シルビア・グラブ
1974年、東京都出身。BOSTON大学 音楽部声楽科卒業。1997年に『Jerry’s Girls』で舞台デビュー。以降『I GOT MERMAN』『エリザベート』『レ・ミゼラブル』『next to normal』『パッション』など多くのミュージカルに出演。2009年には『レベッカ』ダンバヴァ―ス夫人役で第34回菊田一夫演劇賞受賞。2011年『国民の映画』で第19回読売演劇大賞最優秀女優賞を受賞。1/15(金)~AGAPE STORE『七つの秘密』に出演。

 

IMG_3318

【公演概要】
パルコ・ミュージック・ステージ
『ショーガール』~こんな出会いも悪くない~
アンコール公演
スタッフ:脚本・作詞・構成・演出:三谷幸喜
作曲・編曲:荻野清子
キャスト:川平慈英 シルビア・グラブ
演  奏:荻野清子(ピアノ) 一本茂樹(ベース) 萱谷亮一(パーカッション)
公演日程:2016年3月13日(日)~3月22日(火)
会  場:パルコ劇場(渋谷パルコパート1 9階)
料  金:6,000円(税込)
前売開始:2016年1月16日(土)
お問合せ:パルコ劇場 03-3477-5858 http://www.parco-play.com