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s**t kingz 朗読劇『My friend Jekyll』インタビュー「ダンス×朗読 新ジャンル確立!」「新しい沼にハマっています」「僕らにしかできない表現」

ダンスだけでストーリーを表現する”無言芝居”でファンを拡大し、国内外の著名アーティストの振付やドラマやミュージカルへの出演へと活動の幅を広げている、4人組ダンスパフォーマンスグループs**t kingz(シットキングス、通称:シッキン)。
そのメンバーであるshojiとOguriが、2019年に俳優 持田将史と小栗基裕として初めて臨んだ舞台『My friend Jekyll(マイ フレンド ジキル)』が、再演や映像化を望む多くのリクエストに応え本日、4月21日(水)に再演の幕を開ける。

開演を2週間後に控えたshojiとOguri、そして初演から上演台本・演出を担当する瀬戸山美咲に、初演から今回の公演への思いと意気込みを聞いた。

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―初演を今、振り返ってみていかがですか?
Oguri:初演はただ緊張していた記憶しかありません。稽古中からずっと緊張して…。その緊張がなんだったのかと考えると朗読について「どう上手くやろう」「他人からこの人はちゃんとできるんだと思われるように」というプレッシャーだったのかなと。
今思えば、そんなプレッシャーは必要なかったのに。
初演の映像を見ると、朗読で感情を動かそうと必死ですが、弱い。登場人物が今、どう考えているのかをもっと意識しないといけない。上手にやれたら最高ですが、そこを意識するのは、もう絶対にやめようと思っています。

shoji:初演が演技も初めてで、声を発しての表現するのが初めてだったので、そこがチャレンジでした。瀬戸山さんには、基本的なところも含め、いろんなものを引き出してもらい、その時の自分ができる最高値までは引っ張って頂いたと思います。初めてしゃべる舞台の演出が瀬戸山さんでよかったと思っています。
ただ、頭が朗読に99%まで持っていかれて、ダンスよりも朗読にかける時間が圧倒的に長かった。ダンスはもっと深いアプローチができたのではないかと反省しています。今回は、ダンスにもしっかり時間をかけて、もちろん朗読でも、成長した姿をお見せできる、より良い舞台にしたいと思っています。

瀬戸山:初演は一人が1時間以上話すという、声を発するのが初めてのおふたりにはハードルの高いチャレンジで、朗読については、まず自分の声やテンポを見つけるというようなことからスタートして半年位は稽古を続けました。今回の稽古の方が、ずっと踏み込んでやれているという実感があります。
ただ初演では、朗読とダンスに生演奏を組み合わせた公演を見たこともなく、ここまで本格的にダンスがある公演は、私にとって始めてだったので、未知のものをつくっているという感じでしたが、初演をやってみて、ダンス、朗読、それぞれが持つパワーが見えてきた。再演はダンスの持つ力をもっと使っていけるようにしたいと思いながら、今の稽古をやっています。

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-舞台に立った時、おふたりはそれまでのシッキンの公演とは違うものを感じましたか?
Oguri :全く違っていました。作品としてもお客さんにしっかり理解してもらえるように届ける、その緊張もあったのかな…その詳細は、shojiくんからお話します。(笑)

shoji:不思議と僕が朗読する回は緊張せず、お客さんをその世界観に引き込んでいく感覚にワクワクしました。それはいままで経験したことがない感覚で、すごい楽しさでした。逆に踊る回は、すごく緊張しました。これはOguriと逆ですけど。

Oguri:逆ですね。

shoji:今まで4人でパフォーマンスしてきたのですが、今度は僕一人のパフォーマンスでお客さんを満足させなきゃいけないと、大きなプレッシャーを感じました。
なので、僕が朗読でOguriがダンスの回は、2人ともリラックス。僕がダンスでOguriが朗読の回は、2人ともガチガチだったと思います。(笑)

瀬戸山:すごく納得します。(笑) 初回はとてもドキドキしたのですが、Oguriさんが踊り、shojiさんが朗読で「大丈夫だ!」と思いました。入れ替わった2回目の方が、観ているほうも緊張して最後までドキドキしていた。今、話を聞いて納得しました。(笑)

shoji:それを踏まえて、今回はダンスの時間もしっかり組めているので、今度は大丈夫です。どちらの回も心配せずにご覧頂けます!
Oguri:今度は僕もワクワクしたいと思っています。

―前の公演が与えた影響は?
Oguri:声を発すること、演技についての発見は、たくさんありました。そして、いつもはシッキン4人で考えて作ってきましたが、初めて他の方に作品を委ねる、託すことで、自分たちだけでは見えなかったものが見えてきた。指摘されて気付くことがあり、その場では分からなくても、その後で考えてみることで「ああ、そういうことだったか」と気付くこともあった。新しいアプローチの仕方が発見でき、いろいろな可能性を感じて「こんなこともしてみたい」という思いが沸いて、未来が広がった気がしました。

―瀬戸山さんからはどんなアドバイスをもらったのですか?
Oguri:朗読だけでなく、ダンスについてもいろいろもらいました。シッキンでは曖昧なまま、なんとなく雰囲気でやっていたところを「ちょっと、そこは曖昧なんですが」と言われて「見えている人には見えているんだ」とわかって、隅々まで徹底的につくりこむためのパワーをもらえたような感じがします。

―前の公演の影響が与えた影響についての質問に戻しまして…
shoji:4人でやっていると、ひとつの方向へ向かってワ~ッと進んでいますが、今回のようにOguriと1対1で作っていると、今まで以上にお互いの弱いところも見ているような、ひとつのところへ向かってはいるのだけど、弱いところを見せあっている気がしています。
昨日のリハーサルでも同じ台本なのに、結構違って聞こえるので「ここはどういう気持ちで読んでいるの?」「俺はこう思っているけど、正しいのかな?」と話すことが今まで以上に多い。二人だからこそ「お互いに不安を抱えながら、今、ここにいるんだ」ということを確認しながらやっている気がします。
ダンスだけだと十年以上も一緒にやってきたので、弱いところを見せるような話をすることはないけれど、芝居についてはお互いに不安を抱えているから、改めてこうしていろいろ話し合えるのは良いことだなと思っています。

瀬戸山:ダンスがある作品の演出は初めてだったので、初演では言葉に頼っていたと思っています。今は「ダンスがあることで、言葉に頼らないでお客様が想像する余地があるのがいいな」と思っています。
シッキンのライブを見ていると、言葉がないので、公演中、ずっと「これはこういう意味かな?」と想像し続ける。でも途中で「考えるのはやめて、ここは見ることに集中しよう」とか、いろいろ思いますよね。
ダンスでどこまで具体的にやるか、感情だけをダンスで表すのか、最初はその加減がわからなかったけれど、やってみてすごく勉強になった。その後の舞台で音楽とダンスへの影響が大きかったと思います。
そして、ゼロから立ち上げるモノづくりの面白さを感じることができて、「これからもこんな風に作っていきたい」と思いました。
それから、ずっと一緒にやってきたおふたりの信頼関係を見て、「チームっていいな」と思いました。

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―この初演で、「初めて声を出して演技した」ことで、朗読や演技の楽しさに「目覚めてしまった」でしょうか?
shoji:沼にはまってます!(笑)
Oguri:とても楽しいです。

―楽しさはどこに?
Oguri:難しいのです。やればやるほど足りない部分が見えてくるのは、ダンスを始めた時と同じ感覚です。
shoji:そうなんだよね。
Oguri:そして、すごい人たちを目の当たりにすると、あこがれてしまう。でも「俺もここに並ぶぞ!」という口惜しさも沸いてくる。ダンスに夢中になり始めた時と同じ情熱みたいなものが蘇って来た気がして、またこの年でトライできるものができて楽しい!

―おふたりが役を入れ替わって演じるところが、また見どころのひとつだと思います。互いの違いを教えて頂きたい。
Oguri:shojiくんのスゴさを感じるのは、初演の時から変わらず、何かが下りてきた瞬間のトントントンと仕上がっていく感じ…、世界がビビットに見えてくる瞬間がある。その時は「この人がそこにいる」と見ていて思える。それがコントロールされてなくて、いつ来るか分からない。それも人間的でいい。(笑)
普通の生活でも、熱くなってバーッと話すときもある。それがそのまま出ていて、いいなぁと思います。そのスイッチの入り方は、shojiのいろいろな人生経験があってのことだと思います。僕はまだまだ到達できない、すごいなと思います。

shoji:Oguriのすごいところはたくさんありますが、僕にとってOguriは人知を超えた成長速度を持つ人です。朗読でいえば、Oguriが朗読しているときに、僕が踊っていると、Oguriの朗読に強く引っ張られている感じがしています。人をひっぱる力が強くなったと体感しています。評論家みたいなこと言っていますが…(笑)。
初演の時はあまり感じなかった。今回は強く感じます。すると、こっちも踊り易い。また新たな能力をゲットしたなと、成長速度のすごさを感じて「怖い!」「負けたくない」と思います。

瀬戸山:ふたりはダンスも朗読もタイプが違う。以前、s**t kingzが振り付けたアニメのダンスを見て、どこをどっちが振り付けたか分かったんです。それくらい違う。
Oguriさんはきっちり表現をする。立ち姿も美しい。プランもあった上で、まず形をきちんと整えて、今回は中味も燃やしている。初演よりも人間的な表現、感情の部がどんどん出て来ています。
shojiさんは感情の生き物。(笑) パッションの人。私から見ると、「降りて来る」というよりも「開くのがうまい」。勇気がある。ただ開きすぎてしまうことがある。今回は表現を保ちながら、際を攻めたいです。
朗読とダンス、内容もちょっとダーク。おふたりがいつもの公演では出していない部分、見せたことのない表現をどれだけ出していけるか。
おふたりは個性が全然違うし、そして今回は前回以上に二人が役を入れ替わった時に作品が違うものになると思います。

―ミュージカルだとWキャストで俳優が変わってもダンスの振り付けは基本的には同じですが、この作品では?
全員:全然違います。そして日々違います。
Oguri:決まっていない部分もたくさんありますし、一人で踊る部分については振り付けの共有はせず、それぞれで作っています。

―それが瀬戸山さんがおっしゃっていた個性あるダンス?
瀬戸山:そうです。そして台詞にダンスを合わせる時もあれば、ダンスに台詞を合わせるときもある。互いに影響し合いながらやっています。もちろん、ふたりが一緒に踊るところもあります。
shoji:振り付けは共有している部分もありますが、踊り方が違ったりもする。
瀬戸山:一番大変なのは、照明さん。(笑)ダンスに合わせて照明をかえるので。
shoji:立ち位置も違うから。
瀬戸山:たくさん試した末に、それぞれのベストを見つける。本当に素晴らしいです。

―世界の名作『ジキルとハイド』を朗読&ダンスというスタイルでやってよかったところは?
瀬戸山:ミュージカルやストレートプレイなど、恋愛ものになっているときもあるし、いろいろな形で上演されていますが、朗読&ダンスというスタイルは他にはないと思います。物語としても、アタスンという友人目線で進んでいくし、長年一緒にやってきたおふたりにぴったりな部分でもあります。
そして…韓国へミュージカル『ジキル&ハイド』をそれぞれ観に行きましたよね。あればジキルからハイドへ変わることを面白く見せていました。私たちの公演も、もちろんその部分は朗読やダンスで表現しますが「それだけの話じゃない」ということをより深く掘り下げている舞台です。『ジキルとハイド』が好きな方にも、新しい発見をしてもらえる気がします。

Oguri:ダンスという点では、一人の人間の肉体を使って、いろいろな曲調・感情を表現するので、それは僕らにしかできないものだと自負しています。
『ジキルとハイド』は、当人が発する苦しみや葛藤の物語かな…と思っていましたが、今作は彼の苦しみを見ている身近な人に焦点を当てる。「苦しみを見てくれている人はいるんだ」ということを感じられる作品なのかなと思います。

shoji:ダンスの良さは曖昧なところだと思います。ダンスって「隙間だらけ」なんです。だからこそ見ている人が、そこに自分の思いや感情をのせることができる。それで共感が生まれる。
ただダンスの弱点は説明し切れないところ。その弱点を、今回は朗読で埋める。
言葉はダイレクトに伝わるけれど、時々スキがなさ過ぎて他人事になってしまうこともある。今回はダンスと朗読が混ざり合うことによって、言葉でしっかり伝えて、でも踊りを見ている瞬間だけは、自分の感情と共鳴するものがあったりして、どんどん作品に入り込める。自分事になるのではないかなと思っています。
言葉とダンスの持つ両方の良さで、お客さんを作品に引き込めるのではないか、一人ひとりの心のどこかに響くものにできたらいいなと思いながら作っています。

―では最後に観に来る方、そしてまだ迷っている方に一言、お願いします。
Oguri:前回は「ダンサーが挑戦する朗読劇」という感じでしたが、今回は「ダンサーであり俳優のふたりが挑戦する朗読劇」という…、
shoji:さっきからグイグイとハードルを上げてるぞ!(笑)
Oguri:未知への挑戦ではなく、しっかり腹を据えた挑戦だとお伝えしたいと思います。
shoji:今回は、僕たちにとって久しぶりの舞台です。生の声と生のダンス、生演奏のツインギターと、生が詰まっています。その場のざわめきや、空気の振動や雰囲気…その場にいなければ感じられない瞬間を、皆で作り上げて刺激ある時間にしたいので、楽しみにしてください。その瞬間を生きてください!

瀬戸山:そんないい言葉が出たら、もう他にない…(笑)。やっていく中で朗読とダンスの組み合わせには、すごい魅力があることがどんどんわかってきました。Oguriさんがおっしゃったように未知への挑戦ではなく、今回は新しい表現を確立するぐらいの気持ち、新ジャンルを作るぐらいの気持ちで臨みたい。

―今まで、この新ジャンルを見たことがない人も…
瀬戸山:はまっていくと思います。この作品だけでなく、いろんなことができる可能性を秘めています。演劇の世界とダンスの世界は、近いようでお客さんは離れていた。同じ劇場で上演されていてもクロスしていなかった部分もあると思います。それが出会えて本当によかった。新ジャンル確立です!

―新ジャンルの命名をお願いします。
瀬戸山:まだ朗読×ダンスとしか…。考えておきます!(笑)

 

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朗読劇『My friend Jekyll(マイ フレンド ジキル)』
上演日程:
2021年4月21日(水)~25日(日)東京公演 シアタートラム
2021年5月22日(土)~23日(日) 大阪公演 ABCホール
●上演台本・演出:瀬戸山美咲
●主演:持田将史(s**t kingz)/小栗基裕(s**t kingz)
●主催企画:アミューズ/S KAKERU
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