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衛星劇場にて 2月27日(日)テレビ初放送!M&Oplaysプロデュース「いのち知らず」勝地涼 インタビュー

この時代において何を信じるべきかが描かれた、怖さもともなう重厚な舞台

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撮影:渡部孝弘

岩松了の最新作『いのち知らず』が待望の初放送。主演をつとめた勝地涼さんの熱い思いからスタートしたこの舞台は、男5人だけの濃密な会話劇の中に、友情や噂、人を信じることなどがテーマとして詰め込まれた、骨太な作品へと仕上がった。そこで放送に先駆け、勝地さんにインタビューを敢行。今作が生まれた経緯、そして公演を終えてみてのいまの思いをたっぷりと語ってもらった。

Ryo-Katsuji

この『いのち知らず』は、勝地さんから岩松さんに企画を持ちかけたところからスタートした舞台でした。まずはその経緯から教えていただけますか。

僕の舞台デビュー作が2004年の『シブヤから遠く離れて』で、岩松さんの戯曲を蜷川幸雄さんが演出したものでした。その後、『空ばかり見ていた』(2019年)で初めて岩松さんから直接、演出を受けたのですが、それが僕の中で蜷川さんの時と同じくらい衝撃的だったんです。いつかまたご一緒したいと思いましたし、それ以上に“またいつかやりましょう”という形で終わってしまうのがいやで。それなら思い切ってこちらから提案してみようと思い、生意気かもしれませんが、勇気を出して「僕と(仲野)太賀にホンを書いてくれませんか?」とお願いしたのが始まりでした。

今作の台本が完成する前にインタビューをした際、「岩松さんのホンは最後の最後までどんな展開をみせるか分からない」とお話しされていたのが印象的でした。実際に読まれた感想はいかがでしたか?

やはり難しい部分がたくさんありました。岩松さんは稽古中でも明確な答えを言ってくださらないので、正直、自分たちの解釈が合っていたのかもいまだに分からないのですが(笑)、ただ、まさしく“いま”を描いている作品だなと思いました。いろんな物事が錯綜するこの時代の中で、何を信じるべきなのかといった思いも詰め込まれているように感じて。例えば、どれだけ仲のいい親友同士でも、よく知らない第三者の変な情報を耳にしただけで、その言葉に惑わされ、友情にヒビが入ってしまうことがある。そうした得体のしれない怖さもある作品だなと思いました。

仲野太賀さん演じるシドとのセリフの掛け合いは緊迫感がありました。後半の2人でやりあうシーンでは自然と涙も流されていましたね。

太賀は本当に素晴らしい役者で、一緒に芝居をしてみたいとずっと思っていたんです。今回僕が演じたロクとシドは同じ夢を持った親友の役で、その2人がどんどんとすれ違っていくという展開でしたが、掛け合いをしていくなかで、ときどきシドに対して役を超えた見え方がする瞬間があったんです。シドに嫉妬するシーンでは、僕が太賀に抱いている“役者として負けたくない”といった感情が滲み出たり、そうかと思えば、いつも僕を助けてくれている太賀への感謝の気持ちもあったり。演じながらこうした感情が表れることがいいことなのか、悪いことなのかは分かりませんが、とにかくいろんな思いと役の部分が重なって、それがロクの涙としてふと流れ出たんだと思います。

また、光石研さんとは映像作品で共演経験があったものの、舞台では初でした。

光石さんには終始、圧倒されっぱなしでした。稽古から本番にかけて太賀と話すことといえば、ほとんどが「光石研には勝てん」「光石研、恐るべし!」っていう内容でしたから(笑)。光石さんはいつも僕らのセリフ覚えの早さを褒めてくださっていたんです。でも僕らからすると、そんなのは全然大したことではなくて。本当にすごいのは光石さんのお芝居で、どこをどう切り取ってもモオリという役にしか見えなかったんですよね。僕も、本番中はロクになりきって集中を切らすようなことはなかったと思うのですが、どうしても光石さんのようには舞台に立てていなくて。公演が終わって一番最初に考えたのは、どうすれば光石さんのようになれるのかということでした。今回、こうして僕らの舞台が衛星劇場で放送されるので、映像を見て、改めて光石研という役者のすごさを隈なくチェックしたいなと思っています。本当は自分が出ている舞台映像って恥ずかしくてあまり見たくないのですが、勉強のためと思って頑張ります(笑)。

岩松さんの演出の魅力についてもお聞きしたいのですが、勝地さんと仲野さんは以前、「岩松さんの稽古はお金を払ってでも受けたい」とお話しされていました。

確かに言ってました。今回も夢のような時間を過ごさせていただきました。自分が演出を受けている時は目の前のことに必死なので気づかないことも多いのですが、共演者の皆さんの稽古を見ていると、岩松さんの言葉はどれも理にかなっていて、頷くことばかりなんです。また、今回よく言われたのは、「本心をあまり出しすぎないように」ということでした。人の心の内側には何かしら隠れているものがあり、それを全部お芝居で表現するのではなく、本当は隠そうとしているのについ出てしまう……そうした微妙なバランスを大事にしたいと。「“僕はいま、こういう感情です”というのがすべてお客さんに分かってしまうのは、もったいない」ともおっしゃっていて、なるほどなぁと思いましたね。

でも、それを表現するのは大変そうですね。

そうなんです。役者って、“これ、お客さんにちゃんと伝わっているかな……?”って不安に感じると、分かりやすい表現をしてしまいがちですし、それに何度も稽古や本番を重ねていると、無意識のうちに動きが大きくなってしまいますから。でも、そのたびに岩松さんはすぐ注意をしてくださり、不安を取り除いてくれるので、それが自信にもつながっていって。こうした経験も含めて、改めてこの舞台ができてよかったなと思いました。これからは作品に出演するしないに関係なく、時間がある時は岩松さんの稽古場に行って、ずっと見学していたいぐらいです。「勝地、お前じゃまだなぁ〜」って言われるかもしれませんけど(笑)。

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撮影:宮川舞子

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撮影:宮川舞子

▼プロフィール
Ryo Katsuji
1986年8月20日、東京都出身。2000年にドラマ『千晶、もう一度笑って』で俳優デビュー。2005年に映画『亡国のイージス』で日本アカデミー賞新人賞を受賞。現在、ドラマ『ドクターホワイト』、『となりのチカラ』に出演中。最近の話題作にドラマ『志村けんとドリフの大爆笑物語』、『ネメシス』など。

(作品情報)
▼作品タイトル
舞台 M&Oplaysプロデュース「いのち知らず」
CS衛星劇場 2022年2月27日(日)後 2:00よりテレビ初放送!

★CS衛星劇場のご視聴方法
https://www.eigeki.com/page/howto

★衛星劇場カスタマーセンター 0570-001-444
【受付時間】10:00~20:00(年中無休)
(IP電話専用 03-6741-7535)

【STAFF&CAST】
作・演出:岩松 了
出演:勝地 涼、仲野太賀、新名基浩、岩松 了、光石 研

【STORY】
親友同士のロク(勝地涼)とシド(仲野太賀)は、いつか2人でガソリンスタンドを経営するという夢を叶えるため、山奥にある施設で門番の仕事をしていた。ところが、先輩であるモオリ(光石研)に「ここでは死んだ人間を生き返らせる研究をしている」と聞かされたことから、2人の心の中に言いようのない不穏な空気が流れはじめていく。さらにはトンビ(新名基弘)という男の出現や、施設長の部下・安西(岩松了)の存在が、彼らの友情に少しずつ亀裂をもたらしていくのだった……。