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吉沢亮、感無量!「まさか歌舞伎座の舞台上からの景色を見させていただけるとは」 横浜流星らと歌舞伎座の花道を通って登場! 映画『国宝』歌舞伎座大晦日特別上映会

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映画『国宝』の歌舞伎座大晦日特別上映会が、12月31日、東京・歌舞伎座にて行われ、主演の吉沢亮をはじめ、共演の横浜流星、寺島しのぶ、見上愛、黒川想矢、田中泯、中村鴈治郎と、李相日監督が登壇した。さらに市川染五郎、市川團子がサプライズで登場し観客を喜ばせた。

作家・吉田修一自身が、本作の歌舞伎指導も務めた中村鴈治郎の元で3年の間歌舞伎の黒衣を纏い、楽屋に入った経験を血肉にし、書き上げた小説「国宝」を実写映画化。本作は、任侠の一門に生まれながらも、歌舞伎役者の家に引き取られ、芸の道に人生を捧げる主人公・喜久雄の50年を描いた壮大な一代記。
父を抗争の末に亡くし、上方歌舞伎の名門・丹波屋に引き取られ、稀代の女形として脚光を浴びていく主人公・喜久雄を吉沢亮、上方歌舞伎の名門・丹波屋の御曹司として生まれ、喜久雄の親友でありライバル・俊介を横浜流星、上方歌舞伎の名門・丹波屋の看板役者である花井半二郎を渡辺謙が演じ、さらに高畑充希、寺島しのぶ、森七菜、見上愛、田中泯ら豪華俳優陣が顔を揃えた。李相日監督がメガホンを取り、脚本は、『八日目の蝉』、『コーヒーが冷めないうちに』などを手掛けた奥寺佐渡子が担当。中村鴈治郎が歌舞伎指導を務めた。

2025年6月6日に公開され、公開208日目の12月30日までに観客動員数1,309万8,000人、興行収入も184億7,000万円を突破し、邦画実写歴代ナンバーワンの成績を記録。今もなおロングラン上映が続いており、2025年を代表する作品となった本作。また、アメリカのアカデミー賞では、国際協力部門メイクアップ&ヘアスタイリング賞にノミネートされている。

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この日は、東宝と松竹の垣根を越えて歌舞伎の聖地ともいえる歌舞伎座で上映会を実施した。柝が打たれながら定式幕が開きイベントがスタート。登壇者たちは場内後方の鳥屋口から花道を通って舞台に登壇し、会場は大きな拍手に包まれた。

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吉沢は「本日は何度も足を運ばせていただいたこの歌舞伎座に、まさかこの舞台上からの景色を見させていただける日が来るとは思っていなかったので、非常に光栄です」と感無量の面持ち。横浜も「このような神聖な場に立てることを光栄に思います」と挨拶した。

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国内でロングランを続け、海外40カ国以上で公開を迎え、まさに日本を代表する作品と言っても過言ではない本作。今の心境を訊かれた吉沢は「本当にこの『国宝』のおかげで、いろんな経験をさせていただきましたし、初めてカンヌに連れて行っていただき、海外のキャンペーンにも行かせていただきました。公開から半年経って、いまだにこうやってみなさまの前でご挨拶させていただける機会というのは、なかなかないこと。反響もたくさんいただいて、本当にこの『国宝』のおかげで忘れられない年になりました」と感慨深げ。

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一方で、今年は本作ではカンヌを訪れ、そして大河ドラマ『べらぼう』の主演も務めた横浜。「人としても役者としても学びが多かったですし。自分の人生にとってターニングポイントになった1年になったと思います。また『国宝』が公開して、たくさんの方の愛情を感じました」とし、「劇場に足を運んでくださる方が本当に多くて。自分の中では、コロナ禍以降、映画館に足を運ぶ方々が少なくなっているなとは感じていたんですけれど、少し希望を持てたというか・・・、映画人としても、これからも日本映画業界を発展させられるように自分もいち役者として、もっと精進していかなければならないという想いが強くなった年です」と充実した1年を振り返った。

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登壇者の中でも特に歌舞伎(の世界)に近い人物の1人ともいえる寺島は「李監督ですから。本当に撮影は過酷なんです。やっぱり吉沢くん、流星くん、黒川くんは踊らなきゃいけないので、何年も前からずっと稽古をされていました」と吉沢らをねぎらいつつ、「監督は、あくまで歌舞伎っぽくではなく、絶対に歌舞伎役者だっていうところは譲れないと。その執念みたいなものを感じました。吉沢さんもきっとそういうプレッシャーを感じながらやられたと思うんですけど、とにかく執念がすごくて呆然としていました。でも、その執念がこうやって実ったわけですから、また出させていただきたいなと思っています」と、監督の“執念”について言及した。

寺島の言葉に、吉沢と横浜も同調し、吉沢は「執念、執念。執念しかなかったですね」と笑いながら、「それは我々のことを信じてくださっているからこその「もう一回」だと思うんです。もう一回って言われるんだけど、自分で(何が違うのかを)気づくまでやらせてくれるというのは、非常に厳しさもありながら、本当に愛情を感じる監督でした」と感謝する。

横浜も「執念の監督でした。でも本当に、こんなにも我々を信じてくださって愛情を持って時間をかけてくださる現場ってないんですよ。それが幸せに感じていました。ありがとうございます」と頭を下げていた。

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そんな彼らにとって、鴈治郎の存在は大きかったようで、吉沢は「歌舞伎というものは今回初めて一から触れさせていただきました。鴈治郎さんたちに非常にわかりやすく、動きよりもまずは内面のことを説明してくださった。どうにかこうにか歌舞伎役者ではない我々が習得できるようにしてくださいました。本番中も常に見てくださって、1カット1カット終わるたびに一番最初に飛んできて衣装を直してくれたり。本当に鴈治郎さんのおかげで、当然技術的な部分はもちろん、メンタル的な部分も支えてもらいました」と述懐。

鴈治郎は、「これまで何度と歩いた花道もまったく違う気持ちでした。嬉しい限りです」とし、「これも李監督のおかげ。監督の“執着”のプレッシャーも感じていました」と感激しきりだった。

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見上は登場からしばらく時間が経過しての見え方(の演技)に苦労もあったようだが、「3時間の(映像の)中で、本当に皆さんがちゃんと背負っていらして。その尊敬が止まらない状況です」と感激。「銭湯で着替えをしている時も国宝の話をされている声が聞こえてくるんです」と明かし、作品が世の中に染み渡っていることを実感していた。

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喜久雄の少年期を演じた黒川。「映画『国宝』は自分にとってどんな作品?」と問われると、「僕にとって青春です」と回答。「稽古の日々も、撮影以外でもみんなに支えてもらって、忘れられない時間になっています。衝撃と緊張の毎日でした」と、自身の人生にとって重要な時間を過ごしたようだった。

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ダンサーでもある田中は「これまで自由に踊っていましたが、伝統の世界に引っ張り込まれ、日本の踊りの基礎から教わりました。せっかく触れた伝統なので、そのまま続けてしまおうと」と現在も指導を受けているとのこと。「でたらめの自由の踊りも絶対やめませんが、2つの踊りの融合ができれば」と、続けて精進しさらなる高みを目指していた。

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イベントの終盤には、サプライズで市川染五郎と市川團子が登場し、李監督に花束を贈呈。染五郎は「本日はサプライズということで、出てきて『誰?』ってなったらどうしようかと思いました(笑)。映画を拝見させていただきまして、周りでもとても評判が良かったです。何年も連絡を取ってない友人から連絡がきまして、『国宝、面白かったよ』と言われたんですけど・・・出てはいないんですけど。それだけ若い世代の方にも歌舞伎を知っていただくきっかけになったなと。歌舞伎座ブームになりつつありますが、ブームで終わらせずに、いつの時代も日本が世界に誇れる伝統芸能で愛され続けるべきだと思っております。私もこれからも精進してまいります。よろしくお願いいたします」と述べる。

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続けて、團子が「映画『国宝』邦画実写第一位、誠におめでとうございます。『国宝』は国内のみならず、海外の方にも絶賛されている映画だと思います。私も映画を鑑賞させていただきましたが、圧巻の映像美、みなさまのこの作品に対する並々ならぬ覚悟をひしひしと感じました。歌舞伎や日本舞踊の経験がまったくないところから、わずか1年半の稽古でここまで。吉沢さん、横浜さんの努力。素晴らしいことだと思います。私も精進しなければならないとつくづく感じました。映画『国宝』がこれからもますますみなさまに愛されますこと、また私たちが愛してやまない歌舞伎が、ますます栄えていくことを願って、ご挨拶とさせていただきます」と挨拶すると、思わず「映画俳優より挨拶が上手い」と李監督。「染五郎さんは小さい時から存じ上げているが、ますます色気が出てきて。團子さんは『(歌舞伎を)背負うぞ!』という気迫が技術面からも感じられます」と、これから歌舞伎界を背負う若い役者に目を細めて、期待をかけていた。

来年から『国宝』がIMAX、Dolby Cinemaでも上映されることが発表され、監督は「すべては儲かったおかげ。皆さんのおかげです」と観客に感謝し、会場を沸かす一幕も。

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最後に、吉沢が「この『国宝』という映画をのおかげで、自分自身もたくさんの素晴らしい景色を見させていただき、本当に特別な作品になりました。みなさまにとっても特別な大切な作品になっていただけることを心から願っております。そして来年公開のIMAX、Dolby Cinemaでもぜひ『国宝』を愛していただけると嬉しいなと思っております」とメッセージを送り、「本日はご来場誠にありがとうございました!」と声高らかに挨拶。柝が打たれながら定式幕が閉まり、イベントを終了した。

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<ストーリー>
後に国の宝となる男は、任侠の一門に生まれた。

この世ならざる美しい顔をもつ喜久雄は、抗争によって父を亡くした後、
上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎に引き取られ、歌舞伎の世界へ飛び込む。
そこで、半二郎の実の息子として、生まれながらに将来を約束された御曹司・俊介と出会う。
正反対の血筋を受け継ぎ、生い立ちも才能も異なる二人。
ライバルとして互いに高め合い、芸に青春をささげていくのだが、
多くの出会いと別れが、運命の歯車を大きく狂わせてゆく…。

誰も見たことのない禁断の「歌舞伎」の世界。
血筋と才能、歓喜と絶望、信頼と裏切り。
もがき苦しむ壮絶な人生の先にある“感涙”と“熱狂”。

何のために芸の世界にしがみつき、激動の時代を生きながら、
世界でただ一人の存在“国宝”へと駆けあがるのか?
圧巻のクライマックスが、観る者全ての魂を震わせる ――。

<作品概要>
タイトル:『国宝』
原作:「国宝」吉田修一著(朝日文庫/朝日新聞出版刊)
脚本:奥寺佐渡子
監督:李相日
出演:吉沢亮
横浜流星/高畑充希 寺島しのぶ
森七菜 三浦貴大 見上愛 黒川想矢 越山敬達
永瀬正敏
嶋田久作 宮澤エマ 中村鴈治郎/田中泯
渡辺謙

製作幹事:MYRIAGON STUDIO
制作プロダクション:クレデウス
配給:東宝
コピーライト:©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会
公式サイト:kokuhou-movie.com
公式X:https://x.com/kokuhou_movie
公式Instagram:https://www.instagram.com/kokuhou_movie/

『国宝』 日本映画の歴史を変えた―