映画『犬、回転して、逃げる』の公開記念舞台挨拶が、3月18日、東京・シネ・リーブル池袋にて行われ、主演の長妻怜央（7ORDER）と、宮澤佐江、監督を務めた西垣匡基が登壇した。
関西で絶大な人気を誇る劇団「ヨーロッパ企画」出身の西垣匡基監督の長編映画初監督作品となる本作は、泥棒という裏の顔を持つカフェ店員・木梨栄木（長妻怜央）と、1日も早く世界が終わることを願って止まない婦人警官の眉村ゆずき（宮澤佐江）中心に、交錯する様々なストーリーを犬の視点で映し出す異色のサスペンス・コメディ。
MCより紹介を受けて登場した登壇者たちだが、なんと長妻は劇中にも登場するパンダの着ぐるみ姿で会場に現れ、観客たちを驚かせる。長妻にとって今作が初映画主演となるが、「撮影の最後までずっと緊張していました。“人”と書いて食べたり、“森”と書いて食べたり･･･。”森“を食べたらだいぶビタミンが取れます」と言って、冒頭から天然キャラ炸裂。
西垣監督は、長妻とタッグを組んだことで「撮っている最中からまた長妻とお仕事がしたいと思いました」というほどの惚れ込みよう。「ひと言で言うと、“余白”。普通に立っていても、『この人、怒っているのかな？泣いているのかな？笑っているのかな？』とこちらに想像力を与えてくれる。僕がやりたいと思っている、押し付けがましくない、みんなが感じ取ってくれるようなコメディができるんです」と長妻の魅力を語った。
一方の宮澤の魅力について、監督は「ジェスチャーで伝えるとか、びっくりした時の受け芝居がすごくいいという印象です。美人の顔でしかめっ面をすることもあれば、眉毛と目がきゅっと上がるびっくりした表情とかがすごくコメディにマッチしていて、日本一のコメディエンヌになるのではないかと」と太鼓判を押す。コメディアンヌと言われ苦笑いの宮澤は「褒めていただいているんですよね？ ありがとうございます」と笑顔を見せた。
劇中では、宮澤がなんとも不思議なステップを披露するシーンも。「台本にはト書きで『スキップもどき』みたいに書いてあって、『スキップじゃないの？』と」と、悩みつつも「撮影日にスキップもどきみたいなものを3つ位持っていったら、1番やりたくなかったものが選ばれてしまって･･･、すっごく恥ずかしかった。」と回顧。
監督と長妻は、「あれをできる人いない」「見たことがない動き」と称え、監督は「一番変な動きのものを選びました(笑)」と。長妻は「主題歌をやらせていただくとなって映画を観たんですが、宮澤さんのスキップが3拍子だったんです。それを曲の間奏に入れました」と告白。思わぬ事実に宮澤と監督は、「えーっ！凄い！」とビックリ。「『スペシャルゲスト・宮澤佐江』って入れてください(笑)」と喜んでいた。
今回、主題歌『なんとかやってますわ』の作詞・作曲・プロデュースを担当した長妻。楽曲について「一歩踏み出す勇気･･･までいかないくらい、“今日はなんとか頑張ってみますか”くらいの一歩踏み出す前の気持ちを表現した曲になっています」と想いを吐露。
宮澤は、お酒に酔って床を泳ぐシーンについても言及。監督のト書きにより考えられたものだそうで、「私は絶対に家でお酒を飲まないので、想像がつかなくて、これしかやりようがないと思って。監督に刺さればいいなと思ったら監督が笑ってくれた」と明かすと、監督は「結構みんなやっていると思っていましたよ」と返し、長妻も「僕は基本的にやっていますけど」と笑った。
また、本作の影の主演は犬の「天然くん」。宮澤は、「天然くんのスケジュールに合わせて人間が撮影していました」と話すと、天然くんとの撮影が多かった長妻は「いい子ちゃんでしたね。タイトルになっている『犬、回転して、逃げる』という動作ができるのかな？と思ったら、2〜3テイクくらいでできて、本当に凄かった」と天才ぶりを絶賛し、デレデレ。「天然くん」という名前だが、実は女の子ということも明かされ「（天然くんとの）キスシーンがあるかも！」と嬉しそうに微笑んだ。
撮影前に長妻と宮澤に、フランス映画『アメリ』を観ておくようにとお願いしたとのこと。監督は「『アメリ』は登場人物が可愛くて。それぞれが悩みを抱えているんですけれど、表向きは淡々としているというのが、この映画に合うと思ったので」と、映画のイメージを二人に伝えていたことを説明した。
最後に、監督は「辛い時や、今日は乗り切れないという時に劇場に癒されに来ていただけるような映画になったら」と話し、宮澤は「完成した映画を観て、長妻くんや監督のインタビューを読んで、あらためてみんなで同じ気持ちで、同じことを想像して作れていたんだということを感じて、やっと安心しています。みんながいろんな気持ちを持ってこの映画を作ったということも含めて、ご覧いただけたら嬉しいです」と声をかける。
長妻は「何回観ても素敵だなと思う映画です。後味が心地よくて、スッキリした気持ちにもなるし、また観てみようと思う、皆さんの心にすーっと寄り添ってくれる作品。ワンちゃん含め、出ている方全ての方が素敵です。色んな人生を描いていて、共感できる部分がどこかあると思います。視点を変えると見方が変わると思うので、何回も観てほしいです」と熱く語り、舞台挨拶を締めくくった。
映画『犬、回転して、逃げる』
＜あらすじ＞
カフェ店員の木梨栄木（長妻怜央）は、実は「泥棒」という裏の顔を持つ青年だ。彼が今回のターゲットに定めたのは、1日でも早く世界が終わることを願う婦人警官の眉村ゆずき（宮澤佐江）。彼女の部屋に忍び込み、現金の入った封筒の中にみつけた「ずっとお前を見ているからな」という手紙にドキっとするも、難なく“仕事”を終える木梨。
しかし、ある日、バイトを終えて自宅に戻った木梨は愛犬の天然くんが見当たらないことに気付く。果たして、木梨は天然くんを奪還することができるのか。
長妻怜央（7ORDER） 宮澤佐江
なだぎ武 中村歌昇 三戸杏琉
小坂涼太郎 ワタリ119 登坂淳一 仁科亜季子
脚本・監督：西垣匡基
配給宣伝：アイエス・フィールド
企画・製作：TUFF STUFF
2022年／日本／カラー／82分／ビスタサイズ／5.1ch／G
Ⓒ2023映画「犬、回転して、逃げる」製作委員会
公式WEBサイト http://is-field.com/inukaiten_movie/
公式Twitter @inukaiten_m
シネ・リーブル池袋、シネ・リーブル梅田ほか全国順次公開中！
