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長妻怜央、自身と真逆な役に挑戦も「楽しかった!」「気軽に楽しんで長く愛してもらえたら」 映画『犬、回転して、逃げる』インタビュー

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関西で絶大な人気を誇る劇団「ヨーロッパ企画」出身の西垣匡基が監督と脚本を務めた映画『犬、回転して、逃げる』が3月17日より、ついに公開された。

本作は、泥棒という裏の顔を持つカフェ店員・木梨栄木(長妻怜央)と、1日も早く世界が終わることを願って止まない婦人警官の眉村ゆずき(宮澤佐江)中心に、交錯する様々なストーリーを犬の視点で映し出す異色のサスペンス・コメディ。

「シュール」かつ「おとぼけ」全開のキャラクターを演じる出演陣が揃うなか、ひと際輝きを放つ主人公・木梨栄木を演じたのは、今作が映画初主演となる長妻怜央。シリアスな演技、コメディタッチの演技と、多彩な顔を魅せ、7ORDERが担当した主題歌の作詞作曲も手掛けた彼に話を聞いた。

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― とてもシュールで面白い作品ができあがりました。まずは、最初に台本をお読みになったときの感想と、出演の決め手を教えてください。

まず、台本を読ませていただいて、シンプルに面白かったです。凄い話だな・・・と。僕、シュールなことが大好きなんです。だからドンピシャでした。

― 主人公の木梨という男性をどう捉えて演じられたのでしょうか?

最初に、きっと僕だったら仲良くしないだろうなと思いました。いや、彼と仲良くできる人はなかなかいないと思いますよ、ド几帳面ですし(笑)。僕自身とはまったく違うタイプで対照的な人間じゃないかなと。自分の中にはない引き出しだったので難しかったです。
ただ、見かたを変えてみると“こだわり”を持っているという面では僕にもあるので、そこは似ているところかもしれません。

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― 全く自分と違う役を演じるのは大変でしたか?

それが、楽しかったんです。僕は人を観察することが凄く好きなんです。「この人はこういう性格なのかな」とか、「こういう人はこれが得意なのかな」とか考えるんです。それを自分が客観的に見て表現するわけですが、自分だったらこうするなと感じて演じてみたり、またそれとは違う感覚で、こういうのはどう行動するんだろう・・・と考えて表現してみたり。とてもやりがいのある役でした。

― 演じるうえで監督から特別にリクエストはあったのでしょうか?

特にありませんでした。もちろん相談しながら演じましたが、「そんな感じでいいと思います」と言ってくださって。西垣監督は凄く優しい方なんです。自由に自分なりに色々と挑戦させていただきました。

― 特に役作りをするというより、自然体で演じられたという感じですか?

そうなんです、自然体でやったつもりだったんですけど・・・。でも、普段の生活と自然体でお芝居をするのは違うんだなとあらためて感じました。自然にやっているつもりでも、言葉がフラットになってしまっていて不自然に見えたりするので難しかったです。でも、お芝居は面白いし、めっちゃ勉強になります。

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― 長妻さんが特にこだわったシーン、難しかった場面はありますか?

女の子の家に侵入して見つからないように逃げ回るシーンは何回も撮影しました。彼女からは見えないようにしないといけないし、行動と合わせて焦っている表情もあってドキドキしました。でも凄く上手くできたと思っています。

― 犬の“天然くん”がとてもキュートで、とても微笑ましく観てしまいます。

犬との共演は初めてだったので、最初ちょっと緊張したんですけど、凄くいい子で可愛かったんです。もうずっと抱っこしていました(笑)。今日で撮影が終わりという日は寂しかったですね。

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― そして、長妻さんに負けず劣らずの個性的なキャラクターの皆さんも出演されています。宮澤さんとは初共演になりますが、ご一緒されていかがでしたか?

皆さん、めっちゃ面白かったです。宮澤さんには初めてお会いしたのですが、とても優しい方で、優しくないときが1秒もなかったです。僕が「ここの芝居はこうやりたいんです」と話すと真剣に聞いてくれましたし、ほかにもお芝居についていろいろ話をすることができて嬉しかったです。

なだぎさんは、コメディ要素もありながら、ちゃんと真剣なお芝居もされていて、僕もそういうお芝居ができるようになりたいなと、刺激を受けました。今回僕の役はストーリーを進めていく役どころでもあったので、そこは常に意識して臨みましたが、なだぎさんは面白さを加えたり、心を痺れさせてちょっと物語を引き締めるようなお芝居をされたり、とても人間味があって素晴らしかった。清掃員の真鍋さんという役を仁科亜季子さんが演じられているんですが、もう二人の掛け合いがめちゃくちゃ面白くて。ここも見どころです(笑)。

― 特に印象に残っているシーンはありますか?

僕が車の中で電話するシーンがあって、そこは自分でよく考えて演じました。嬉しいはずの電話なのに、それどころじゃないという状況でどう表現していくか、色々なことを想像しながら演じました。監督からもアドバイスをいただきながら切迫したシーンが撮れたと思います。

あと、女性の下着の森を抜けるシーンは、監督から褒めていただきました。「ちょっと気絶してみよう」とか言われて、白目剥いて倒れてみたり(笑)。でも、凄く恥ずかしかったですね、下着がいっぱいで鼻血が出そうでした(笑)。

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― また、今作の主題歌を長妻さんが担当されました。

本当にありがたいお話をいただき、一生懸命やらせていただきました。リファレンスの曲もあったのですが、結果的に全然違う感じになっちゃって。最初はピアノバラードという感じでいこうと思ったんですが、そうはいかずにシュールな曲になりました(笑)。作詞と作曲を全部自分でやったのは初めてだったので凄く楽しかったです。これからも機会があったらぜひやってみたいです。

―普段は7ORDERのメンバーとして活躍されていますが、個人で活動されるときはどんな気分ですか?

メンバーと一緒にいるときはめちゃくちゃ甘えているので、一人のときはしっかりしなくちゃと思います。一人のときは僕しかいないから頑張らなきゃ、ちゃんと周りを見なきゃいけないなと考えます。そして、またメンバーと会ったときはめちゃくちゃ甘えます(笑)。

主題歌を作るときは、メンバーのみんなに「生きる意味を考えていて、こういう方向性でいこうと思う」と相談したんですが、「それでいいと思う。自分の思うように作ってみたら」と言ってくれました。

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― これまでも、いろんな役に挑戦されている長妻さんですが、今後どんな役をやってみたいですか?

もし何でもやっていいんだったら・・・、僕はアニメが好きで特に最強キャラクター好きなんです。もう誰にも負けないような、そういう役の実写版をやってみたいです。頭脳明晰でどんな犯人も絶対に捕まえてしまうような役もいいな。

― 似合いそうですね!

僕、普段は抜け抜けなんで(笑)。頭がよくて抜け目ないキャラクターって憧れますね。

― それでは、長妻さんがご覧になった本作の見どころと、これから本作をご覧になる皆さんへメッセージをお願いします。

自分って客観的に見たら、こう見えてるのかなとか思えてくる、日常を切り取ったような作品なので、皆さんにも通ずるところがあるかと思います。わかりやすく背中を押すというよりは、そっと一緒にいてくれるような優しい作品です。普段の自分と見比べてみて、心にスーッと入ってくる感じがして、僕はすごく見やすかったのでそこが見どころだと思います。
いつ観ても疲れないような作品なので、映画館でポップコーンを食べながら気楽に楽しんでほしいです。お話しながら観てほしいので、もしDVDとか配信になっても楽しんでいただけると思います。長く愛していただけたら嬉しいです。

【長妻怜央(木梨栄木 役)】
1998年、茨城県生まれ。男性グループ「7ORDER」のメンバー。2019年より「7ORDER project」を始動。2021年にメジャーデビューを果たし、オリコンランキング2位を獲得する。俳優として舞台出演多数。映画の出演は『漆黒天 -終の物語-』(22年)、『ラストサマーウォーズ』(22年)などがある。

スタイリスト:カワセ136
ヘアメイク:伊藤里香

撮影:ナカムラヨシノーブ

犬、回転して、逃げる_ポスタービジュアル (1)

映画『犬、回転して、逃げる』
<あらすじ>
カフェ店員の木梨栄木(長妻怜央)は、実は「泥棒」という裏の顔を持つ青年だ。彼が今回のターゲットに定めたのは、1日でも早く世界が終わることを願う婦人警官の眉村ゆずき(宮澤佐江)。彼女の部屋に忍び込み、現金の入った封筒の中にみつけた「ずっとお前を見ているからな」という手紙にドキっとするも、難なく“仕事”を終える木梨。
しかし、ある日、バイトを終えて自宅に戻った木梨は愛犬の天然くんが見当たらないことに気付く。果たして、木梨は天然くんを奪還することができるのか。

長妻怜央(7ORDER) 宮澤佐江
なだぎ武 中村歌昇 三戸杏琉
小坂涼太郎 ワタリ119 登坂淳一 仁科亜季子
脚本・監督:西垣匡基
配給宣伝:アイエス・フィールド
企画・製作:TUFF STUFF

2022年/日本/カラー/82分/ビスタサイズ/5.1ch/G
Ⓒ2023映画「犬、回転して、逃げる」製作委員会
公式WEBサイト http://is-field.com/inukaiten_movie/
公式Twitter @inukaiten_m

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