映画『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』のプレミアイベントが、6月16日、東京・カナデビアホールにて行われ、主演の綾野剛をはじめ、共演の柴咲コウ、亀梨和也、大倉孝二、迫田孝也、三浦綺羅、木村文乃、光石研、北村一輝、小林薫と、三池崇史監督が登壇した。
第6回新潮ドキュメント賞を受賞した、福田ますみのルポルタージュ『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』を原作に三池崇史監督がメガホンをとり映画化。本作は、日本で初めて教師による児童への いじめが認定され、民事裁判へと発展した 、2003年に福岡で実際に起きた体罰事件を基に、日常の延長線にある極限状況を描く物語。主人公で告発された小学校教諭・薮下誠一を綾野剛、保護者の氷室律子を柴咲コウ、事件を嗅きつけた週刊紙記者・鳴海三千彦を梨和也が演じ、大倉孝二、迫田孝也、三浦羅、木村文乃、光石研、北村一輝、小林薫ら、豪華キャストが顔を揃えた。
観客から割れんばかりの歓声と拍手で迎えられて登場したキャスト陣は、晴れ晴れとした笑顔をたたえ、レッドカーペットを闊歩した。
その後、改めてステージ上に登場したキャストと監督。登壇するやいなや綾野は、まず舞台挨拶の前から1時間以上立ったままのアリーナの観客に「大丈夫ですか?体調がすぐれなくなったら本当に遠慮なく手を挙げて伝えてください」と気遣いを見せる。
そして、プレミアイベントを迎えたことに「本当にとても嬉しいですし、最高の気持ちです。こういった景色を皆さんが作っていただき、あらためて感謝申し上げます」と会場を見渡し万感の面持ち。「渾身の作品が誕生しました。各俳優部、各部署の皆さんの繊細さと濃密さをギュッと圧縮して、1本の作品にまとめましたので、129分、感じたことのない、体験したことのないような時間を皆さんに提供できると思います」と自信たっぷりに語った。
三池監督は「特別な悲劇を描いたのではなく、日常に起こってもおかしくない身近な題材です。実際に福岡で起きた事件を題材にしています。誰を非難して、誰を責めて、誰が善で悪で・・・という物語ではない。それぞれ登場人物1人1人の気持ちを理解し、共感できると思います」と、本作の意味を述べる。「ただ、柴咲さん演じる律子は共感率が低いと思います。すっごく怖いんで・・・(笑)」と含み笑い。それでも、「単に被害者と加害者という関係ではなくて、それが簡単にひっくり返るという、僕らも知らないうちに日常生活で加害者として誰かを傷つけているかもしれないと感じてもらえれば最高です」とコメントした。
三池監督の言葉を受け、柴咲は「私は“律子100%”なんで」と応えると、すかさず「・・・100%」に反応した亀梨が「おぼん、持ってきましょうか? すみません・・・」と茶々を入れ、会場の笑いを誘う場面も。続けて、柴咲は「もはや分からないんです。この映画を観て、善し悪しとか、真実とは何だろうと、さらに考えさせれました。ただ、私は律子を演じているので、もちろん律子びいきですよ」とキッパリ。
律子の夫・拓馬を演じた迫田が「律子さんの背中が印象的でした。どういう顔をしているんだろう・・・と」と、柴咲の強烈な存在感を明かすと、光石も「綾野さんの役への対峙はさすがだなと思いました。でも、やっぱり柴咲さんの目が怖かった。本当に怖かった」と続けた。
一方で、敏腕弁護士・大和として法廷シーンに臨んだ北村は、「あり得ないくらいNGを出してしまって」と告白。監督も「芝居とかそういうレベルじゃない」と追い打ちをかけ、会場は大爆笑。「みんな、コウちゃんのことが怖かったって言うけど、その時のコウちゃんが一番怖かったです」と話し、さらに場をわかす北村だった。
亀梨は「それぞれの目線で感想を持たれると思いますが、人間は誰しも1つの側面じゃない。出来事やシチュエーションや立場によって、違う立場に立ってしまっていることがあるかと。『薮下先生、かわいそう』というだけの感想を持てるだけ、自分は果たして綺麗なのかと思ったり、凄く考えさせられました」と、映画の感想を述べながら、思いを巡らせた。
綾野と柴咲との共演シーンが多い、律子の息子・拓翔を演じた三浦は「綾野さんが最初に会ったときに『よろしくー!』と言ってギューっとしてくれたので、緊張がほぐれました。でも、演技が凄くて、本当にびっくりしたシーンがあります」とし、「柴咲さんは演技の迫力が凄くて、こんなお母さんだったら怖くてどうしようと思った」とこぼし、「拓翔がランドセルの中身のことで、お母さんに静かに怒られるシーンがあるんですが、本当に怒られている気持ちになりました」とその迫力を体現。「でも、オフの時は心配してくれたり、気にかけてくれたので嬉しかったです」とキュートな笑顔を見せ、登壇者たちもメロメロ。
三浦に対して、綾野と柴咲は「年齢関係なく、リスペクトできた。あらためて勉強させてもらいました」と感謝。綾野は「また、役者を続けたいと思ってもらえれば嬉しい。これからも綺羅を見続けていきたい」とエールを送った。
また、劇中で繰り広げられる大雨のシーンにも話題が集まるが、亀梨と久しぶりの共演となった綾野は「14年ぶりに亀ちゃんと対峙しましたが、お互いの成長を確かめ合いながら、お互いが作品のためにできることを考えていた。これも長く(俳優を)続けていると、こういうご褒美があるんだなと」と話す。雨降らしの撮影ではなく、リアルに雨が降ってきたシーンに、「本当の嵐を呼んでしまった、亀梨和也、ここにありだな!」と、亀梨を称える。
亀梨は「そーなんですよ、直系のご先輩ということで、“嵐”を。よく来てくださったなと」とボケつつも、「本当に凄い大雨で立っているだけで溺れそうでした。風も凄かった。でも、10分くらいでバッと晴れて不思議でしたね」と感慨。綾野も「いろんな場面やバランス感覚が整った瞬間で、やっぱり映画の神様っているのかと思って、凄く印象的なシーンでした」と述懐していた。
<STORY>
2003年
小学校教諭・薮下誠一(綾野剛)は、保護者・氷室律子(柴咲コウ)に児童・氷室拓翔への体罰で告発された。
体罰とはものの言いようで、その内容は聞くに耐えない虐めだった。
これを嗅ぎつけた週刊春報の記者・鳴海三千彦(亀梨和也)が“実名報道”に踏み切る。
過激な言葉で飾られた記事は、瞬く間に世の中を震撼させ、薮下はマスコミの標的となった。
誹謗中傷、裏切り、停職、壊れていく日常。次から次へと底なしの絶望が薮下をすり潰していく。
一方、律子を擁護する声は多く、“550人もの大弁護団”が結成され、前代未聞の民事訴訟へと発展。
誰もが律子側の勝利を切望し、確信していたのだが、法廷で薮下の口から語られたのは―
「すべて事実無根の“でっちあげ”」だという完全否認だった。
これは真実に基づく、真実を疑う物語。
タイトル:『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』
公開日:6月27日(金)全国公開
出演者:
綾野剛 柴咲コウ
亀梨和也
大倉孝二 小澤征悦 髙嶋政宏 迫田孝也
安藤玉恵 美村里江 峯村リエ 東野絢香 飯田基祐 三浦綺羅
木村文乃 光石研 北村一輝
小林薫
監督:三池崇史
原作:福田ますみ『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』(新潮文庫刊)
脚本:森ハヤシ
制作プロダクション:東映東京撮影所 OLM 制作協力:楽映舎
配給:東映
©2007 福田ますみ/新潮社 ©2025「でっちあげ」製作委員会
《映画公式ホームページ》:detchiagemovie.jp
《映画公式X(旧Twitter)、Instagram》:@detchiagemovie 《ハッシュタグ》:#映画でっちあげ
6月27日(金)全国公開