映画『でっちあげ~殺人教師と呼ばれた男』の初日舞台挨拶が、6月27日、東京・にて行われ、主演の綾野剛をはじめ、共演の柴咲コウ、亀梨和也と、三池崇史監督が登壇。舞台挨拶の様子は全国332のスクリーンで生中継された。
第6回新潮ドキュメント賞を受賞した、福田ますみのルポルタージュ『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』を原作に三池崇史監督がメガホンをとり映画化。本作は、日本で初めて教師による児童への いじめが認定され、民事裁判へと発展した 、2003年に福岡で実際に起きた体罰事件を基に、日常の延長線にある極限状況を描く心理的バイオレンス。
主人公で告発された小学校教諭・薮下誠一を綾野剛、保護者の氷室律子を柴咲コウ、事件を嗅きつけた週刊紙記者・鳴海三千彦を梨和也が演じ、ほかにも大倉孝二、迫田孝也、三浦羅、木村文乃、光石研、北村一輝、小林薫ら、豪華実力派俳優陣が集結した。
客席後方からキャストが登場する時、会場は割れんばかりの拍手と歓声に包まれた。
公開を迎え、綾野は「とても嬉しいです。本日を迎えられてそしてこれだけの多くの方にこの作品を選んでいただき、心から感謝申し上げます」、柴咲は「昨年のまだ暑かったときに撮影しました。なので、1年がかりぐらいでやっと公開ということで、無事公開できることをとても嬉しく思っております」と挨拶。
先日開催された、プレミアイベントでも柴咲演じる律子が怖い!と絶賛されていたが、一足先に映画を鑑賞した各界の方々からも絶賛のコメントが多数届いており、藤井道人監督からは、「綾野剛という俳優の全てがこの映画を形作っていて、トップシーンのバックショットからラストシーンの瞳まで薮下誠一という男の揺蕩う(たゆたう)感情を全身全霊で演じ切っている。剛さんすごいよ。三池監督もすごい!2025年絶対に観てほしい映画に出会えました」と太鼓判を押す。綾野は、「凄い映画を作っている彼にこのように評価していただけてとても嬉しいです」と感激しきり。
俳優の佐藤二朗からは「こんなにも容赦なく直視できないような物語が実話に基づいていることに震える…」と。白石和彌監督は「恐ろしい映画だ。自分に同じようなことが起きたらどうなるのだろうと震えてスクリーンを見た。綾野さんと柴咲さんの、まさに裏表を演じ切る役者魂に熱い拍手を送る」と大絶賛。
白石監督の感想に、柴咲は「私は白石監督の『死刑に至る病』を震えながら鳥肌立ちながらずっと観ていました。それを撮られた監督にそんなふうにおっしゃっていただいて嬉しいです」と感謝の言葉を口にし、「出演お待ちしております」との逆オファーも。
白石監督の作品にも出演している綾野も「柴咲さんと亀ちゃんと三池さんもお芝居が上手いので、ぜひ一緒に出演オファーお待ちしております」と乗っかり、会場を沸かすと、三池監督が「インティマシーシーンでなければ。肉体にはあんまり自信がないんで」と、おどけてみせ、綾野と亀梨も大爆笑!
他にも、作家の染井為人より「本作は観る者に執行の停止を許さない事実と印象の乖離報道による世論形成の危うさ、そして社会がいかにして真実から逸脱していくのかその構造を静かに、しかし鋭く突きつけてくる。そして我々は気づかされる。自分たちの足元にも“でっちあげ”の種が無数に転がっていることに」と届くと、染井の原作ドラマにも出演している亀梨は、「さすがですね、作家さん、もう感服しました」と感激。「本当に誰にでも近くにあり、ときには当事者になってしまうような本当に種をたくさん持っているなと僕自身も感じたので、はい、素敵なコメントをいただけて嬉しいです」と応えていた。
MCから「『でっちあげ』が気になっているけれど、怖そうで観に行くのを迷っている・・・という声もありますが、それでも観てほしいポイントは?」と問うと、監督は「怖いのは怖いんですけどその怖さの根っこにあるのが、悪魔が出てきたり、犯罪者が出てきたりするわけじゃなくて、全員普通に暮らしている普通の人間たちなんです。それが家庭や何かを守って生きていて、ちょっとしたボタンの掛け違いで、普通の人間が被害者にもなっていくし一番怖いのは、知らないうちに加害者になっているということ。いろんな情報から思い込んでしまって、それが本人にどれぐらい影響を及ぼしてるいのかということが想像がつかないという。そういう点では、本当に怖い。自分のこととして、観ていただけると思います」とコメント。
綾野は「映画も出逢いの1つだと思っています。いろんな一秒を体感できるというのが醍醐味。新たな再発見ができる作品になっているので、まだ見ぬ一秒に出逢いにきていただいていただれば」と言い、柴咲は「私は物事をはっきり言うタイプで、言い過ぎてしまうこともありますが、律子を演じて自分にも日和っている部分があると気づきました。自分たちが何を根拠に情報を判断しているのか考える、いいきっかけになる作品だと思います」と。亀梨は「まずは出逢っていただきたいです。人の強さや弱さが描かれていて、人間関係などの景色がクリアに見えてくる作品です。僕たちの本気度を受け取っていただきたいです」と答え、それぞれが作品に対する熱い思いを口にした。
また、「薮下・律子・鳴海、それぞれのどこに共感できたか?」という質問に、監督は「登場人物は、それぞれ自分の人生を自分なりに一生懸命に生きている。優柔不断な面を持っている善良な薮下には、特に共感できますね」と語る。綾野は「劇中で描かれているのは、それぞれの一面でしかありません。その人をどう生きるか、それぞれの一面をちゃんと振り切るというのを大切にして演じました」と回顧。
亀梨は週刊誌の記者という役を通して「出てくるキャラクターがみんな人間らしくて、その立場、その職業の正義の掲げかたがある。ちょっとしたかけ違いでこういう事態になるんだという、ゾクっとする感覚がありました」と話し、柴咲は「私(律子)の目の奥を見てください!」と微笑むと、登壇者たちが「この大スクリーンで、律子の凍るような目を見たいですね」と声を合わせ、会場を沸かせた。
最後に、亀梨は「観る前の自分には戻れないです。生きるということに対しての“気づき”をもらえる映画なので、たくさんの方に共有していただき、輪が広がってくれたら嬉しいです」と述べ、柴咲が「黒だと思っていたのが白だということもある。人間100人いれば100通りのその生き方捉え方があり、その打ち出し方、感情の出し方もあるんです。この作品から、想像力を培う大切さを学びました。観てくださるみなさんにも、そこを捉えていただけたら嬉しいです」と。
綾野が「本作は、ジェットコースターのようなスピード感にワクワクすると思います。エンタメとして劇中で起こっていることに、ただ楽しんでいただけたら嬉しいです。楽しめば楽しむほど、自分の中で答え合わせができる作品。観終わって持ち帰っていただいた時に初めて育っていく、皆さんがこの先を育ててくれる最大の共演者です。最後まで楽しんでください」と、メッセージを送り、舞台挨拶を締めくくった。
<STORY>
2003年
小学校教諭・薮下誠一(綾野剛)は、保護者・氷室律子(柴咲コウ)に児童・氷室拓翔への体罰で告発された。
体罰とはものの言いようで、その内容は聞くに耐えない虐めだった。
これを嗅ぎつけた週刊春報の記者・鳴海三千彦(亀梨和也)が“実名報道”に踏み切る。
過激な言葉で飾られた記事は、瞬く間に世の中を震撼させ、薮下はマスコミの標的となった。
誹謗中傷、裏切り、停職、壊れていく日常。次から次へと底なしの絶望が薮下をすり潰していく。
一方、律子を擁護する声は多く、“550人もの大弁護団”が結成され、前代未聞の民事訴訟へと発展。
誰もが律子側の勝利を切望し、確信していたのだが、法廷で薮下の口から語られたのは―
「すべて事実無根の“でっちあげ”」だという完全否認だった。
これは真実に基づく、真実を疑う物語。
<作品情報>
タイトル:『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』
公開日:6月27日(金)全国公開
出演者:
綾野剛 柴咲コウ
亀梨和也
大倉孝二 小澤征悦 髙嶋政宏 迫田孝也
安藤玉恵 美村里江 峯村リエ 東野絢香 飯田基祐 三浦綺羅
木村文乃 光石研 北村一輝
小林薫
監督:三池崇史
原作:福田ますみ『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』(新潮文庫刊)
脚本:森ハヤシ
制作プロダクション:東映東京撮影所 OLM 制作協力:楽映舎
配給:東映
©2007 福田ますみ/新潮社 ©2025「でっちあげ」製作委員会
《映画公式ホームページ》:detchiagemovie.jp
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