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中条あやみ インタビュー! 映画『あまろっく』は、一番自分の素が出ている作品! 現場では全て関西弁!アドリブの出し過ぎで監督から注意も!?

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関西出身の豪華キャストで贈る、年齢も性格も異なる“ツギハギ”だらけの家族を描いた『あまろっく』。本作は、兵庫県・尼崎を舞台に、失業して実家に戻ってきた39歳の娘と、いつも能天気な65歳の父、そして20歳の父の再婚相手が織りなす、笑って泣いてロックに生きるハートフルな”ご実家ムービー”。

W主演の江口のりこと中条あやみが年齢の離れた“娘”と“継母”を演じ、街の “尼ロック”ごとく家族を見守る父を笑福亭鶴瓶が演じる。この度、Astageでは父の再婚相手・近松早希役を務めた中条あやみさんにインタビューを遂行! 関西ロケで、関西出身のキャストやスタッフに囲まれた現場はまさに実家のようだったと話す彼女に、撮影を振り返りながら本作への思いを聞いた。

― 最初に本作のご出演オファーがあったときの気持ちと、脚本を読んだときの感想をお聞かせいただけますか?

監督から直々にこの役をやってほしいというオファーをいただいたのですが、脚本を読んだときに、とても1人1人のキャラクターに寄り添った物語で、全員にフォーカスされていて愛情ある脚本だったので、監督が一人で書かれていた原案を、脚本家の西井史子さんと監督が協力して本作の脚本が出来たようです。しかも6年前に書いたものをずっと温め続けてきたとお聞きし、監督の愛が詰まった脚本なんだなと感じました。そういう愛情深い脚本に出会うことはなかなかないことですし、そんな思いが詰まった作品に出演できることはとても光栄だと思いました。さらに、江口さんや鶴瓶さんの出演が決まったとお聞きして、凄く嬉しくて皆さんとの撮影が楽しみでした。

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― 監督からのオファーということは、早希=中条さんというイメージだったのですね。

そうかもしれません。たぶんこれまでの作品の中で一番自分の素が出ていると思います。関西弁の役は以前にも演じましたが、この作品は家族の物語です。私も家族といるときは関西弁なので、現場では本当に自分の家族といるように過ごしていました。寝て起きてそのまま現場に行っているような感じで。実際、現場には実家から通っていました(笑)。読み合わせも家で母が付き合ってくれたりして。もし、「中条あやみってどういう人なんですか?」と聞かれたら、この『あまろっく』を観てくださいというくらい、自分の素に近いと思います。ただ、設定年齢が20歳なので少し天真爛漫さを意識して臨みましたが。

― それでは、役に共感する部分も多かった?

凄くありました。本当だったら年上の女性(娘)に向かって取る態度ではないし、早希ちゃんは一見天真爛漫なイメージですが、20歳だからこそできるということもあるけれど、彼女が暗く悲しい過去があるからこそ、一家団欒したいという夢に向かって真っ直ぐな気持ちがあることはとても分かります。あと、人と人をくっつけようとするおせっかいなところも。私もちょっとおせっかいなところがあって、家族の中では全員をまとめるようなポジションなんです。家族旅行を提案するのは、だいたい母か私です。

― 早希という役をどのように解釈して演じていったのでしょうか?

早希ちゃんは一人っ子だったので、両親の愛情をたくさん受けて生きていたはずなのですが、途中からお父さんがいなくなったり、お母さんが病気になってしまい、自分がしっかりしなくちゃいけない、若くして大人にならなくてはいけない状況だったんです。そんな中でも“幸せな家族を持つ”という夢はずっとぶれずに持っていました。竜太郎さんと出会って、しっかりしなきゃ!という張り詰めた思いがほどけていくような部分もあったと思うし、自分を包んでくれる人と出会えた幸せを凄く感じていたと思います。どうして彼女がこんなに“家族”に執着するのかを描けたらいいなと思い、監督とも話し合いながら演じていきました。境遇は違いますが、私も両親が共働きで鍵っ子だったので、帰ってきたら家に誰もいない寂しさは少し分かるので、そういう共感できる部分から早希ちゃんのパーソナリティーを掘り下げて向き合っていきました。

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― 20歳の役を演じると聞いたときのお気持ちはいかがでしたか?

あまり年齢のことは考えなかったです。でも、20歳だからこそ深く考えずに思い切って言えることもあるだろうし、そういう勢いってありますよね。その勢いに乗って思い切って演じることができたと思っています。大人になればなるほど考え過ぎて、遠慮して空気を読み過ぎてしまうところがあるし、監督も「20歳だからできると思う」と仰っていて、私もその言葉にも納得ができました。私が20歳の精神に戻っているかはわかりませんが(笑)。

― 今作は共演者の皆さんも関西の方ですが、現場の空気感はどんな感じでしたか?

そうなんですよ、鶴瓶さんの息子(駿河太郎)さんも出演されていますしね。監督も関西出身で、スタッフさんも関西の方でしたので、ほとんどが関西弁だったので、作品を撮っているという感覚があまりなかったです。工場に行って、工場のみんなとお茶してお菓子食べてお喋りしている感じでした(笑)。

― カット!がかかると標準語に戻る・・・ということはなかった?

全然ないです。撮影していないときもそのまま関西弁で。工場の若い職人・タカ役の朝田淳弥さんが「この役のために金髪にしてん」とか「元々アイドルやっていて」と言うので、「そうなんや、踊ってや」みたいに無茶ぶりしたりとか(笑)。関西の掛け合いじゃないですが、高校生の時に友だちと喋っている感じ。友だちと関西弁で何気ない話をフードコードでしているような感覚でした。

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― W主演の江口のりこさんとの掛け合いがとても楽しいです。江口さんと共演されていかがでしたか?

以前、CMでご一緒したことはありましたが、そこまで絡みはありませんでした。その時にいつか江口さんと作品でもご一緒できたらいいなと思っていたのですが、意外とすぐに共演できたので凄く驚きました。江口さんはイメージのままの方でした。現場でも“ふんっ”としていて、いつもぼやいているんです(笑)。そこで私が「まあまあ・・・」となだめたりして。でも、そういうことをしているうちに、本当に私が優子ちゃんと接しているみたいで、ちょっと娘に思えてきたりして。もちろん、江口さんは本当に素晴らしい方なんですが、ちょっと不器用なところもあって可愛らしくて、愛おしい存在に思えてくるんです。本当に娘かも?と思う瞬間があって、その関係性が面白かったです。

― 凄い勢いで関西弁で言い合ったりするシーンもありますが、全部セリフですか?アドリブとかはなかったのでしょうか?

アドリブも結構ありました。例えば、お見合いした相手に電話番号教えた?・・・というシーンでも、掛け合いの中の動きとか、テンポ感の中でちょっとした言葉でアドリブを入れたり、動きを含めて台本に書かれていないところがあります。優子ちゃんに「いい家族やな」と言ったら「あんたもな」と言われて抱きしめるところも、台本には抱きしめるとは書かれてなかったんですが、思わず抱きしめたくなって。その時の感情で動いていて自然に出てくるものでした。ベリーダンスの話の時は、監督から「あんなにお腹出して踊るなんて言ってへんわ! やりすぎや!」って言われました(笑)。

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― 早希ちゃんは優子さんに対してけっこうガンガンいきますが、これは早希ちゃんだから?それとも関西の方の特徴なんでしょうか?

関西の人が全てガンガン行くわけでもないですし、逆に関東の人にはそういう人がいないかということもないですよね。ただ、やっぱり関西は独特の距離感があって、人と人との距離が凄く近いと思います。昔はどこでもご近所さんも家族みたいな感じだったと思うんですが、今でも関西はそういうところがあったりしますね。私も世話好きというか、おせっかいなところがありますが、関西の方のほうがいい意味で図々しくもあり、図太さがあるような気がします。「まけてや」とか、「あんた、可愛いな」と平気で言ったり、そんな突拍子もないことを言えるのは関西弁だからこそで、関西人特有なのかも。「安くしてください」って言ったら凄く本気な感じがするじゃないですか。「まけてや~」って言うからフランクになる。関西弁ってちょっと独特な言語だなと思っています。早希ちゃんのコミュニケーション能力の高さも関西弁で助けられていることもあるかもしれませんね。

― また、鶴瓶さんとの共演はいかがでしたか?

鶴瓶さんは凄く不思議な方ですね。本当に仏さんみたい。カメラが回ってないときはお昼寝していたり、セリフを覚えていなくて直前に台本を見てセリフを言ったりとか、お昼に勝手に現場を抜け出してご飯を食べに行っちゃったり、本当に自由なんですよ。でもなぜか凄く人から愛されるし、人のことをとても大切にしていらっしゃる。人の話を聞いてないようで凄く聞いていたり、見てないようですごく見ているんです。

ある日、商店街を通行止めにして撮影をしていたんですが、自転車に乗っている女性が通れなくて困っていらっしゃっていて。それをパッと見つけて「みな、1回止めて~」って言ってその方を通してあげたんです。そういう心配りができて、いろんな方を大切にされているなと凄く感じます。

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― 完成した映画をご覧になった感想は?

完成作品を試写で初めて観るときはいつも緊張します。色々考えてしまって客観的に観れなかったりするのですが、この完成作品を観たときは、良い家族の物語だなと私自身も素直に感じました。これを言ったら監督に怒られるかもしれませんが・・・、試写が終わって監督を見たら監督が泣いていて。その顔を見て私も泣いちゃって(笑)。2人で泣いてしまったのですが、そんなことはなかなかないですし、これは良いものが出来たという証拠だな、本当に良かったなと思いました。

― 今作はほぼ地元で撮影されていたそうですが、ご自身の子供の頃の思い出は何かありますか? 中条さんはどんなお子さんだったのですか?

私は誰に聞いてもやんちゃだったと言われます。やんちゃな男の子みたいな子供でした。ままごとには興味なくて、ずっと木登りしているような子供でした。男の子たちとドッジボールしたり、男の子とかけっこしたりしていました。

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― 中条さんから観た、好きなシーン、印象に残ってるセリフなどあったら教えてください。

私自身のマインドが竜太郎さんに近いんです。“人生に起こることは何でも楽しまな”っていう言葉は、その裏には震災を経験したことがあったり、いろんなことがあるけれど、前向きにいこう!というマインド。「食うて寝たら、大概のことは何とかなる」という言葉もありますが、私も嫌なことがあっても、美味しいご飯を食べてサウナに入って寝たら、大体忘れていて次の日に持ち越さないタイプなんです。

― それでは、最後にこれからこれをご覧になる皆さんにメッセージをお願いします。

この『あまろっく』という作品は、一見チグハグな家族の物語に見えるかもしれません。一つの家の中でいろんな人間が暮らして家族になるということは、凄く難しいことだと思います。でも、いろんな人がいて面倒くさいと感じることも、1人ひとりが向き合って努力することで家族が一緒にいられて楽しく豊かな暮らしが送れるのではないのかと。この映画を観たら、また改めて人の気持ちに気づくこともあると思います。。ご自分の家族と重ねて観ていただけたら嬉しいです。

【中条あやみ(Ayami Nakajo)】
1997年生まれ、大阪府出身。14歳で芸能界に入り、2011年に「ミスセブンティーン」グランプリに選ばれる。TBSドラマ「黒の女教師」(’12)で俳優デビューし、『劇場版 零 ゼロ』(’14/安里麻里監督)にて映画初主演を務める。他にも『チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜』(’17)、『覆面系ノイズ』(’17)、『3D彼女 リアルガール』(’18)、『ニセコイ』(’18)、『雪の華』(’19)、『水上のフライト』(’20)、『劇場版 TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』(’23)、『ある閉ざされた雪の山荘で』(24)など数多くの映画に出演。ドラマ「白衣の戦士!」(’19/NTV)、「閻魔堂沙羅の推理奇譚」(’20/NHK)、「君と世界が終わる日に」(’21/NTV)などにも出演し、バラエティ番組やCMなど幅広く活躍している。

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映画『あまろっく』
<あらすじ>
義母はまさかの20歳!?
39歳実家暮らしの娘に、お父ちゃんが再婚宣言!
噛み合わない共同生活に、この家族どうなる!?

巨大な閘門”尼ロック”によって水害から守られている街・尼崎。理不尽なリストラで失業し、この街に戻ってきた39歳の近松優子(江口のりこ)はニートのような日々を送っていた。ある日、「人生に起こることはなんでも楽しまな」が口グセの能天気な父(笑福亭鶴瓶)が突然、再婚すると言い出し、20歳の早希(中条あやみ)を連れてきた! 家族だんらんを夢見る早希と、自分よりずっと年下の“母”の登場に戸惑う優子の共同生活は噛み合うはずもなく、一家は騒動の連続。しかし、ある悲劇が近松家を襲い、優子はこれまでの人生を振り返り、家族の“本当の姿”に気づいていく。

尼崎を守る「尼ロック」とは?
兵庫県尼崎市にある尼崎閘門(あまがさきこうもん)。英語で閘門はLockGate(ロックゲート)であることから尼ロックという愛称で呼ばれる。船舶が通航できる巨大な閘門で、尼崎市の「0メートル地帯」に海水が流れ込むのを防いでいる。

出演:江口のりこ 中条あやみ / 笑福亭鶴瓶
松尾諭 中村ゆり 中林大樹 駿河太郎 紅壱子 久保田磨希 浜村淳/後野夏陽 朝田淳弥 高畑淳子(特別出演) 佐川満男
監督・原案・企画:中村和宏
脚本:西井史子
音楽:林ゆうき 山城ショウゴ
主題歌:「アルカセ」ユニコーン Sony Music Labels Inc./ Ki/oon Music
文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)独立行政法人日本芸術文化振興会
特別協賛:阪神電気鉄道株式会社
特別協力:兵庫県/尼崎市
協賛:TC神鋼不動産 中島商店 レンゴー
製作:「あまろっく」製作委員会
製作幹事:MBS ハピネットファントム・スタジオ
制作プロダクション:MBS企画
配給:ハピネットファントム・スタジオ
©︎2024映画「あまろっく」製作委員会
公式サイト:https://happinet-phantom.com/amalock/

ヘアメイク:山口朋子(TOMOKO YAMAGUCHI) <HITOME>
スタイリスト:藤井希恵<THYMON Inc.>
衣装:ワンピース ¥22,000 / Knuth Marf(クヌースマーフ) その他 / スタイリスト私物
問い合わせ先:knuthmarf@intokyo.co.jp

撮影:松林満美

4月12日(金)兵庫県先行、4月19日(金)新宿ピカデリー他 全国公開!

◆予告