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映画『黒蝶の秘密』染谷俊之インタビュー! 「人間の怖さ、スリルをめいっぱい楽しんで!」

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奇妙なアパートの住人たちに翻弄され徐々に正気を失っていく男の姿を描くミステリーホラー・映画『黒蝶の秘密』。誰も見たことの無い、鬼気迫る怪演に注目が集まる本作の主人公・富山良平役を、舞台や映像で大活躍の注目若手俳優、染谷俊之が熱演。ミステリーホラーに初挑戦した彼に話を聞いた。

― タイトルからもミステリアスな雰囲気が漂ってくる本作。ミステリーホラー作品に初挑戦されましたが、初めてオファーを受けた時の率直なお気持ちをお聞かせください。
妖怪が出てくるようなものではなく、人間の怖さを描く“ヒューマンホラー”だと聞いてすごく興味が沸き、楽しそうだなと思いました。僕は、そういうジャンルの映画が好きなんです。『羊たちの沈黙』のようなミステリー作品とか。

― 確かに『羊たちの沈黙』も怖いですね。
怖いですよね。人の本質を見る怖さがすごく面白い。そういう作品を以前からやってみたいと思っていました。

― とは言え、染谷さんは出突っ張りの熱演。ご苦労はなかったですか?
僕もびっくりしました。出てないシーンほぼ無くて、外観以外ほぼ出てるという・・・(笑)。
アップダウンが激しいところが、この作品の魅力の一つだと思うんですが、「大丈夫だな」って思ったら「あれ? なんかちょっとヤバくない?」というように状況の変化が激しいので、感情の作り方が大変でした。どんどん追い込まれていく状況を感情で表すことには苦労しました。

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― 劇中で、富山は「僕はほかの人と関わるの嫌なんです」と言います。そこからどんどん追い込まれていくわけですが、そんな富山という役とどのように向き合っていったのでしょうか。
僕も少し富山と似ている部分があるのかもしれません。人見知りというか、富山が隣人と関わりたくないというところはよくわかるんです。だから感情移入しやすかったですね。富山という人間は基本的に受け身なんです。いろんな登場人物から色々な事を受けてどんどん追い込まれていく。その変化に気持ちが沿っていきました。

― それでは、染谷さんご自身もどちらかというと「自分は」とぐいぐい前に出るタイプではない? 何でも受け入れてしまう?
そうですね。劇中で大家夫婦・北浦亮治役の岩松さんに夕食に誘われるシーンがあるんですが、「あ、大丈夫です」って言っちゃうんです。断るなら「もう食べたから結構です」とはっきり言えばいいのに。だから突っこまれる。あのシーンは演じていても怖かったです。

― 言葉って難しいですよね。でも、ご自身が同じ状況でも同じ返事をしますか?
僕も「大丈夫です」って言っちゃうタイプかもしれません(笑)。

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― それでは、この映画をご覧になる方は富山を通して染谷さんの素の姿を見ることができるかもしれない?
そうですね、富山は特徴がある人物ではなく、どこにでもいるような人。だからこそ誰でも感情移入できるんじゃないかと思います。彼よりも周りの登場人物のほうが凄く変わっていると感じるのではないかと。

― その対比を演じるのは大変だったのでは?
でも面白かったですよ。水沢さんはすごく妖艶な感じで、永尾さんは明るくてほっとできる人だと思いきや・・・。岩松さんは普段はめちゃくちゃいい方なのに、役になるとすごく不気味になったりとか。美保さんもいつもはとてもお茶目で優しいんですが、演技が始まると本当に何考えてるのか分からない。だから、かえってお芝居がやりやすかった。

― 現場は和やかな雰囲気でしたか。
和やかという感じとは違うかな。和気あいあいと話をしているというのではなく、それぞれが役に入っていた感じで。作風も相まって、水沢さんは楽屋でもずっと妖艶な雰囲気でした。でも、休憩中に岩松さんがダーツしていて、なんかとても可愛いかったです(笑)。

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― 同世代の中村優一さんとの共演はいかがでしたか?
優一くんとは以前からの知り合いで仲がいいので、(共演できて)嬉しかったです。これまで、舞台やドラマ、映画など一緒にお仕事する機会はありましたが、自分がやりたかったヒューマンホラー作品で優一くんと一緒にやれて楽しかったです。優一くんの普段見られない姿とかも見ることもできましたし(笑)。

― では、中村さんとの演技はやりやすかった?
すごくやりやすかったです。何も打ち合わせしなくても反応できました。

― 状況が次々と変化していく中、感情を入れて演じるのが大変だったと思うのですが、物理的に大変だったことはありますか。
実は、クランクインする二日前に台本をいただいたんです。ちょうどその頃、僕は神戸で舞台の公演をしていて。劇場に届いたその台本がすさまじい分量だったので、「これどうやって、いつ覚えよう」って頭を抱えちゃいました。座ったら寝ちゃうから、ホテルの部屋の中をうろうろしながら立って覚えました。舞台作品ではとても明るいキャラクターだったんですが、この映画にクランクインしたら精神的に追い込まれる役だったので、極端な役の変化が精神的に大変でした。

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― この物語は最後までどうなるのかわからない。だから、ずっとドキドキしながら観てしまいます。その中で染谷さんが一番印象に残っているシーンは?
やっぱりラストシーンかな。誰を信じていいのかわからなくなってしまう中、最後のシーンは衝撃的でしたね。最後までちゃんと見ないと結末はわかりませんよ。

― 本作にもいろんなタイプの女性が登場します。女性にはどんな人も少なからず魔性があるかもしれません。染谷さんが「女の人って怖いな」って思ったことはありますか?
学生時代に、仲いいだろうなって思っていたグループで、その中の1人が席を外した途端にその人の悪口を始めるのを見ちゃったとき、「え、仲良かったんじゃないの!?」ってちょっと怖くなったことがありました。

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― では、染谷さんが苦手だと思う女性は?
お店の店員さんに偉そうな態度を取る人は苦手です。「早く来てよ」とか言うのを見ると「店員さんも忙しいんだからさ」って思います。店員さんに大きな態度を取る人はちょっと苦手です。

― 逆に、女性のこの瞬間が可愛いなって思うことはありますか。
たとえば、「好きなもの何?何が食べたい?」って聞いたときに、「肉!」って答えられると、可愛いなって思います。着飾らない感じがいい。「苺ケーキ」とかよりも「肉!」とか「ハンバーグ!」「エビフライ!」って言ってくれたほうがちょっと好感が持てます。

― 役の中で富山は美緒に引き付けられていきますが、ミステリアスな感じの女性は染谷さんも引き込まれていきますか? それとも怖いと思いますか?
どうでしょう・・・。でもやっぱり惹かれると思います。ミステリアスというか不思議な雰囲気を持つ人には惹かれますね。

― 先ほど他人と紛れることがあまり好きじゃないと仰っていましたが、1人でいるほうが好き?
一人でいるのが好きです。台本読んだり、やらなくてはいけないことがいっぱいあるんです。色々なお仕事をやらせていただいています。外画の吹き替えではリハVで練習したりとか・・・。その作業を休日にちゃんと自分の意志でできると「(休日を)有意義に使えた」と思えるんです。たまにゴロゴロすることもありますけど、ちゃんと最終的にはやるべきことをやります。

― お友達と飲みに行ったりご飯に行ったりはしない?
あまりないですね。でも、舞台の打ち上げや稽古終わりとかは、みんなで飲みに行ったりしますよ。そういう時間は好きです。だからこそ、1人でいられる時間も大切だと思うんです。

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― 現在も多方面で活躍されていらっしゃる染谷さんですが、これからどんな俳優になっていきたいですか?
いま本当にいろんなことをやらせていただいています。僕はけっこう欲張りなので、やれることは全部やりたいって思ってしまうんです。全部やれることが嬉しくて楽しい。映画もドラマも声優も本当に楽しいんです。

― オールマイティに「染谷さんにお願いしたい」言われるような?
そうなりたいですね。まだまだ未熟なのでたくさん経験を積んでいきたいです。全部を極めることは難しいことかもしれませんが頑張りたい。「この人だったらいい味出せる」って思われるようになりたいです。

― では、最後にこれから本作をご覧になる皆さまにメッセージをお願いします。
ホラー作品が苦手な女性の方、男性の方もいらっしゃると思いますが、そういう方でもきっと楽しんでもらえる内容だと思います。例えばこれから上京される方や、一人暮らし始める方など、自分の身に起こりうることだと感情移入してもらってスリルをめいっぱい楽しんでいただけたら嬉しいです。

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【染谷俊之(そめや としゆき)プロフィール】
人気舞台「刀剣乱舞~虚伝 燃ゆる本能寺~」(16)、「池袋ウエストゲートパーク SONG&DANCE」(17)、「アンフェアな月」(18)「御茶ノ水ロック THE LIVE STAGE」(18)、「銀河鉄道999 ~GALAXY OPERA~」(18)をはじめ多くの話題作に出演。声優では「HUGっと!プリキュア」(18)「BAKUMATSU」(18)などにも出演している。

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映画『黒蝶の秘密』
<STORY>
地方から東京に転勤してきた会社員の富山(染谷俊之)。
人との付き合いが苦手なため、近所付き合いのない平穏で自由な生活を考えていた。たまたま入った不動産屋で知り合った同年代の岡崎(中村優一)に妙に親しくされ半ば無理やり自分の住んでいるアパートを紹介される。そこにはやさしく迎え入れてくれる大家夫婦の亮治(岩松了)と陽子(美保純)それにどこか淋しげな表情の美女、美緒(水沢エレナ)が住んでいた。「本当の家族だと思ってね」と迎えられ、困惑しながらも入居を決める富山。ある日、美緒と岡崎が口論する現場を目撃し「俺が見たあれは、、!」と怒りで取り乱す様子の岡崎、それに対し美緒は奇妙な程に冷静な態度。富山は明らかにこのマンションは”何か”がおかしいと感じ始める。そしてその翌日「あの、マンションから出て行け!!!」という言葉を残し、無残な姿となった岡崎が発見される。不可解な彼の死に、富山は職場の同僚、千佳(永尾まりや)と共にマンションの住人を調べ始めるが、、、。ブラックダリア「黒蝶」 花言葉:華麗、優雅、裏切り。

出演:染谷俊之
水沢エレナ 永尾まりや 中村優一 / 岩松 了 美保 純
広岡由里子 坂城 君 田口主将 橋本一郎 他
監督:仁同正明
プロデューサー:菅谷英一 内海智 長田安正 脚本:高津直子
制作:GFA
配給・宣伝:ユナイテッドエンタテインメント
(C)2018「黒蝶の秘密」製作委員会
公式サイト:http://kokuchou.united-ent.com/

ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場ほか、順次公開中

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