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七瀬公インタビュー!! 映画『ミッドナイト・バス』 「怜司と自分はとても似ているんです」

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第30回東京国際映画祭で特別招待部門正式出品として上映された『ミッドナイト・バス』が現在絶賛公開中だ。
本作は、作家・伊吹有喜による直木賞候補の同名小説の映画化。バツイチ長距離運転手の利一が、元妻・美雪と年下の恋人・志穂の間で揺れながら、男として二児の父親として家族や恋人に向き合っていく姿を描き出すヒューマンドラマ。主人公・高宮利一を演じるのは原田泰造。そして利一の息子・高宮怜司役を、今注目の若手俳優・七瀬公が繊細に演じている。
難しい役どころではあるが、自分の境遇と似ているので自然体で演じたという七瀬。爽やかな笑顔の奥には俳優として真摯に向き合う決意が感じられる。そんな彼が本作への思いを聞かせてくれた。

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― 本作の出演が決まった時のお気持ちをお聞かせください。
この役はオーディションを受けて決まりました。原作を読んで、怜司という役はとても大事な役どころだと思いましたが、演じることでもっともっと深い役だと気づきました。最初の台本の読み込みが甘かったなと反省しました。キャスティングは1度のオーディションで決まらず、2度おこなわれたんです。そして僕が選ばれたので凄く嬉しかったです。もちろん受かるつもりで受けたオーディションですが、監督も大変悩んでいらっしゃったので、まさか僕が選ばれるとは。嬉しい反面、(とても難しい役なので)本当にできるだろうかと、不安もありました。

― プレッシャーが大きかった?
そうですね。初めての大役だったのでとても緊張しました。

― 怜司という役に、七瀬さんはどのように向かい合ったのでしょうか。
オーディションの前に演技のワークショップがあって、ある程度のベースはその時点で作りあげていました。怜二の両親は離婚しているんですが、僕も母親に育てられているので、バックボーンが似ているんです。ですから役を固めていくよりも、自然に演ってみたほうがいいかなと思い、肩の力を抜いて臨みました。普段の自分に怜司を足したような感じです。
原田さんから「怜司の時も、公くんの時もあんまり変わらないね」と言われたんです。やっぱり、(怜二は)自分と近いものがあるんじゃないかなと。原作を読んだときも不器用なところが自分と似ているなと思っていました。

― そういうところを監督も感じていたんでしょうね。
たぶん、監督もそう思われたのもしれません。

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― スクリーンの中の怜司と七瀬さんご本人はかなり似ているんですね。
けっこう近いかもしれません。怜司を理解するために、彼の行動を書き出してみたりしましたが、「あれ、これは僕もやるな」と思うことがいくつかありました。自然に怜司が降りてきていたようでした。ただ、もちろん自分とは違う人間なので、“怜司”に自分が近づかないといけないところもある。そこが演じていて一番難しかったです。これまで演じてきた役も簡単ではありませんでしたが、今回、初めて演技の難しさ、壁に当たってたくさん悩みました。
原作のファンの方もいらっしゃるし、原作者への敬意もあるので、怜司の存在を大切にしつつ、どれだけ監督の演出に応えられるか・・・とても勉強になったし、本当にいい経験をさせていただきました。今後も忘れることのない作品になりました。

― お父さん役の原田さんとの共演はいかがでしたか?
今回初めてご一緒させていただいたのですが、僕からしたら原田さんは“TVの中の人”。うわっ、本物の原田泰造さんだ!って(笑)。最初にお会いした時に「俺、人見知りだからあんまり喋れないから・・・ごめんね」って言われたんですが、いやいや凄く話しかけてくださって(笑)。初日は待ち時間がけっこうあったんです。原田さんと二人で高宮家のこたつに入ってたくさんお話をすることができました。原田さんの息子さんと僕の歳が近かったので、原田さんも(自分への)接し方がわかっていたようです。僕もすっかり原田さんに甘えていたので、その雰囲気が自然に画面に出ていたのかもしれません。
あと、原田さんが優しすぎて・・・。どんなスタッフさんにも気を使われるし、ずっと笑顔でいるし、山本未来さんと「泰造さんの悪口って全然聞かないね」と話していたんです。みんな原田さんのことが大好きで、本当に愛されていると思います。

― では、母親役の山本未来さん、妹役の葵わかなさんの印象は?
わかなちゃんは、4月から大学生になるときだったので、本当に妹っていう感じでした。撮影が始まったときはまだNHKテレビ小説の出演が決まっていなくて、原田さんに「僕とわかなちゃんの二人で『しゃべくり7』(日本テレビ)に出ますよ~」って冗談言って笑っていたんですが、彼女は『わろてんか』の出演が決まったので、「もう、わかなちゃん1人で出られるじゃん」って。彼女は18歳には見えないくらいしっかりとしていて大人びているんです。山本さんはとてもチャーミングな方。撮影現場のムードメーカーでした。役どころとは反して、いつも元気に笑っていらっしゃいました。LINEでもスタンプをたくさん送ってくるんですよ(笑)。

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― では、ロケ地の新潟で家族でお食事に出かけたりしたんですか?
行きたかったんですけどスケジュールがあわなくて、全員では行けなかったんです。たまたま山本さんと1日だけタイミングがあって、お昼ご飯と夜はもんじゃに連れていってもらいました。すごく楽しかったです。

― 本作は一つの“家族”の姿が映し出されています。七瀬さんの考える家族像とは?
家族は心の支え。何があっても絶対に味方でいてくれるものだと思います。一番大きくて一番近い存在。僕もいずれ結婚して子供ができたら、新しい家族ができるわけですが、僕にとって僕を生んでくれた母はとても偉大な存在です。家族でありながら一番尊敬している人でもあります。

― 劇中では原田さんがお父さんですが、七瀬さん自身はどんなお父さんになりたいですか?ちょっと早い話ですけど(笑)。
僕は父親を見て育っていないので、よくわからないのですが、酔いつぶれず、女遊びもせず、ギャンブルもしないお父さんになりたいですね。そして子供のやりたいことを極力やらせてあげたいと思います。自分もやりたいことは全部やらせてもらっていたので、今も感謝しています。母のような親になりたいです。昔から変わらず僕を応援してくれていますから。

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― それにしても新潟ロケは、寒かったでしょう?
寒かったです! 本当に寒かったです!!(笑)
でも、空気がとてもきれいで、凄く気持ちよかったです。時間が空いたら、屋外に出て風を浴びたり、雪景色の写真を撮ったりして過ごしました。でも、裸になった時はさすがに寒かったですね(笑)。

― サービスショットがありますね(笑)。それもカレー食べて・・・いきなり。
あのシーンは、現場で急に監督から「脱ごうか」って言われたんです。「え?ああ・・・」と戸惑っていたら、助監督さんに「昨日お寿司食べたよね」って言われて(笑)。実は、前日に助監督さんがお寿司をご馳走してくれたんです。それで断れずに「あ、はい」って。躊躇する間もなく、ドーンといきました(笑)。

― でも、裸でいることは怜司にとって意味がある演出だったんですよね。
怜司はアトピーなので、普段からゆったりした服装でいるし、小説の中でも裸でいることが出ています。でも、さすがに真冬に裸はないだろう・・・って話にもなりましたが、思い切って脱いじゃいました(笑)。

― そんな怜司も旅立っていくことになるわけですが、ご自身と怜司を重ねる部分はありましたか?
僕は奈良出身なんですが、自分が旅立つときの気持ちというより、原田さん演じる利一を見て、自分が東京に出てくるときの親の気持ちを感じました。応援する気持ちと離れてしまう寂しい気持ちが、自分の親と重なって心にグッときました。

― 名シーンがたくさんありますが、七瀬さんの好きなシーン、印象に残っているシーンはありますか?
好きなシーンは、原田さんが最後にバスの中で泣いているシーンです。そして、特に印象に残っているシーンは、山本さんと原田さんがおじいさんの部屋を片付けている一幕です。二人のやりとりも、そこで流れる音楽もいいんです。そのシーンも凄く好きです。

― これからどんな俳優を目指していきたいですか?
もちろん、主演を演じられる俳優になりたい気持ちもありますが、2番手、3番手で主役を引き立てられる俳優になりたいです。いろんな役を演じられる息の長い俳優。これからも色々な役に挑戦して自分の引き出しを増やしていきたいです。そして、その中で自分の一番得意とする役が見つかったらいいなと思っています。頑張ります!

― では、本作をご覧になる皆さんにメッセージをお願いします。
上映時間が2時間37分ですが、観ているとあっというまです。ぜひ劇場に足を運んでください。そして、観終わったらぜひ僕のインスタグラムに感想をください(笑)。

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【七瀬公(ななせこう)プロフィール】
1994年生まれ、奈良県出身。
東宝芸能が創立50周年を記念して開催した同事務所初の男性オーディションに合格し、2015年テレビドラマ『チア☆ドル』で俳優デビュー。以降、映画、TVドラマにて活躍。主な映画作品は『暗殺教室―卒業編―』(16/羽住英一郎監督)、『SCOOP!』(16/大根仁監督)など。また2017年5月、舞台「あさひなぐ」に出演。
七瀬公Instagram:https://www.instagram.com/nanase_kou/

ミッドナイト・バス ポスター

映画『ミッドナイト・バス』
【物語】
バツイチ中年男の高宮利一(原田泰造)は、新潟~東京間を走る長距離深夜バスの運転手。東京で定食屋を営む恋人・志穂(小西真奈美)との再婚を考えていた矢先、息子の怜司(七瀬公)が東京での仕事を辞め、帰ってくる。娘の彩菜(葵わかな)は友人とマンガやグッズのウェブショップを立ち上げ、実現しそうな夢と結婚の間で揺れていた。
そしてある夜、利一が運転する新潟行きのバスに、十六年前に別れた妻・美雪(山本未來)が乗り合わせる。十六年の長い時を経て、やるせない現実と人生の不安が、再び、利一と美雪の心を近づける。母の出現に反発する彩菜、動揺する怜司。突然の思いがけない再会をきっかけに、停まっていた家族の時間が、また動き出す──。

出演:原田泰造 山本未來 小西真奈美 葵わかな 七瀬公 長塚京三
監督:竹下昌男
原作:伊吹有喜『ミッドナイト・バス』(文春文庫刊)
製作:竹下昌男 渡辺美奈子 小田敏三 星野純朗
プロデューサー:本間英行 遠藤日登思
脚本:加藤正人
制作プロダクション:ストラーダフィルムズ
制作協力:アミューズ
企画協力:文藝春秋
製作:ストラーダフィルムズ 新潟日報社
配給:アークエンタテインメント
(C)2017「ミッドナイト・バス」ストラーダフィルムズ/新潟日報社
公式サイト:http://midnightbus-movie.jp

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