Open Close

「隋唐演義~集いし46人の英雄と滅びゆく帝国~」ワン・リーコー(王力可)インタビュー

「隋唐演義~集いし46人の英雄と滅びゆく帝国~」
楊玉児役 ワン・リーコー(王力可)インタビュー

ワン・リーコー_official2s

──13歳で名門の北京舞踏学院に入学されてバレエを学んでいたそうですが、バレエを始めたきっかけというのは?
小学生の時、いろんな学校から少年宮(注:子供たちの課外活動用の施設)に入る子供を選んで、才能を発掘するということが行われていました。そこで、私はバレエのメンバーに選ばれたんです。どうして私が大勢の中から選ばれたのかわかりません(笑)。私は幼いうちから少年宮でバレエを習い始めました。女の子は生まれつき美しいものが好きですよね。踊りというものは美しいものです。私は踊ることがとても好きです。当時、私は喜んでバレエを習い始めました。しかし、実際の練習はとても辛いものでした。腰を曲げたり、足を上げたりといったいろいろな動きを学ばなければならず、始めた当初はとてもとても苦労したのを覚えています。ですが、私は踊りを学ぶことで、気合い、意地というものが鍛えられたように思います。成功するためにはその前にたくさん苦労をしなければならないということを覚えました。また、私は幼い頃から歌ったり踊ったりすることが好きでしたが、バレエのメンバーに選抜されたことで自分には文芸の才能があるという自信をもつことができました。だからこそ、少年宮でも喜んで練習したし、学校の中でも積極的に文芸方面の活動に参加しました。

──その後、バレエダンサーから女優になったのには、どういう経緯があったのでしょうか?
北京舞踏学院に入学してから、学校に演技コースというものがあることを知ったんです。歌唱、舞踏のほかに演技のクラスもあるということは、入学してから初めて知りました。私が演技というものを意識した出発点だったと言えます。最初は舞踏を専門に学んでいたのですが、学校の先生方から「あなたは将来女優の道に行ったほうがいい」と勧められて演技を専門に学ぶようになりました。こうして、ダンサーから女優へと転身したんです(笑)。

──「隋唐演義」ではイェン・クァンさん演じる秦瓊の妻となる楊玉児役を演じて、いかがでしたか?
実を言うと、私はこの役にとても縁を感じているんです。秦瓊は山東省の済南の人ですが、私も済南出身なんです。そんな私が秦瓊の妻を演じるということに、とても素敵なご縁を感じました。楊玉児は国に尽くす英雄的な女性だと思います。そんな役柄を演じることは、私にとっては大きな挑戦でした。というのも、それまで彼女のように強く勇ましい女性を演じたことがなかったからです。この役を演じられたのは、女優としてとても有意義だったと思います。

──イェン・クァンさんと共演した感想は? 彼はどんな俳優ですか? 素顔はどんな男性ですか?
彼とは初めての共演だったのですが、すぐにあうんの呼吸で通じ合うことができました。お互いの波長が合ったというべきかもしれません。すぐにお互いに相手を信頼することができました。彼とはご縁があったのでしょう、初めて会った時もよそよそしさはなく、親しみを感じました。ドラマの中では夫婦役を演じるのですから、心理的にも近しく感じられたのかもしれません。彼との共演はうれしいと同時にとても得難い経験でした。彼は役になりきって、非常に心を込めて演じていましたし、二人の共演シーンでは、お互いのセリフでしっくりこないところがあれば、どうすればいいのか、どうすればよくなるかを一緒に話し合ってくれました。彼は自分のことだけ考えて演技するのではなく、相手役のことも気づかってくれる俳優さんなんです。そして、彼の素顔ですが、彼はユーモアがあっておしゃれな男性ですね。例えば、撮影現場で待ち時間が長い時などは、自分のスピーカーを出してきて、イマドキのおしゃれな曲から優雅な曲までいろんなジャンルの音楽を流していました。それから、お茶をみんなにふるまったり、コーヒーを淹れてくれたり。時にはiPadを使って二人で囲碁をしたり、絵を描いたりもしました。ちなみに、撮影が始まった時、冬だったのですが、私はうっかり体調を崩してしまい、5、6日間、現場で点滴を打ちながら撮影に参加していました。顔もぱんぱんに腫れて眼もしっかり開けられず、言葉にできないぐらい辛くて、鼻水もたれっぱなしだったんです。当時、彼のほうも腰を痛めていてコルセットをしていました。だから、撮影現場で初めて顔を合わせた時、彼は「わぁ、僕たち二人とも肉まんみたいにぱんぱんだね」と言っていて、それがとても笑えたのを覚えています(笑)。彼は本当にユーモアがあって、自虐ギャグも言うようなキュートな人なんです。

──楊玉児はすぐに秦瓊を好きになって、彼と結婚しますが、養父と夫、どちらかを選ばなければならない立場に立たされます。ご自身から見て、楊玉児がした選択についてどう思われますか?
彼女の選択は正しかったと思います。彼女の選択は家族の情を二の次にして国のことを一番に考えた結果です。当時のように暴君が悪行の限りを尽くし、天下が大きく乱れている時代にあって、彼女たちが時の政権をくつがえさなければならないと考えたのは当然だと思います。国のため、民のため、正義の選択だったのです。

──秦瓊とのシーンで、一番好きなシーン、印象に残っているシーンは?
一番印象に残っているのは、婚礼の日、楊玉児の養父が秦瓊の父を殺した仇だという事実がわかり、秦瓊が自ら立ち去ろうとするシーンです(注:第26話)。その時、楊玉児が彼に「あなたがどこに行こうとついていく、世界のどこだろうと私はあなたと一緒にいる」と言います。そのシークエンスは私にとって忘れられないシーンですね。その日は雨が降っていて、夜のシーンでした。その時に私が着ていた婚礼衣装はとても豪奢で美しいものでしたが、心の中は正反対だったんです。そのシークエンスは全部で3シーンあったと思います。ここで重要だったのは、二人の絡み合う複雑な気持ち、二人の間の微妙な心の内を表現することでした。そう、このシーンがやはり一番印象深いですね。

──楊玉児は宇文成都から一途に愛されますが、彼の愛を受け入れることはありませんでした。この2人の関係について、ご自身はどんなふうに考えますか?
宇文成都と楊玉児は一緒に育った幼なじみです。楊玉児にとって宇文成都は宮廷の中で信頼できるお兄さんのような存在でした。一方、宇文成都のほうは楊玉児に片思いをしているんですが、その恋は残念ながら叶わない、そんな関係です。その後、秦瓊が現れてからは、宇文成都は秦瓊に嫉妬するようになったうえ、二人は政治的な立場でも対立するようになります。楊玉児は宇文成都を何度も説得しますが、宇文成都は彼の立場を変えることはありませんでした。そこで、二人の関係は切れてしまって、敵同士となってしまうのです。

──このドラマではアクションシーンが多かったと思うのですが、バレエの経験が役に立ったということはありましたか?
そうですね、舞踏をやっていたお陰で、アクションに関してはスムーズに体を動かせたということはあるかもしれません。剣で戦うようなアクションや合戦シーンでは、型や動きを覚えなければなりません。そういった動きを覚えることについては、苦労はしませんでした。それに、多少なりとも見栄えよく動けたというのはあるかもしれませんね(笑)。

──フー・ダーロンさんと剣を交えるアクションシーンはいかがでしたか?
さっき話したことはまさにそのシーンのことです。最初に私が一人で舞台に立って剣を持って踊るんです。そして、途中からフー・ダーロン先生が加わって、二人で剣を交える、そんなアクションシーンでした。このシーンは非常に思い出深いですね。私は舞踏の経験はありましたが、剣を持って踊るとなるとそう簡単にはいきませんでした。一方、フー・ダーロン先生は個人的にも剣を持って踊る練習をしたことがあったので、このアクションもまったく苦労がなかったようで、私にいろいろと指導してくださいました。実は、このシーンでは本物の剣を使って演技したので、フー・ダーロン先生にケガをさせないようにと必死だったんです。だから、前半、一人で踊るのも緊張しましたが、後半、二人で剣を交えるところもやっぱり緊張しました(笑)。それから、このシーンは体の動きを覚えなければならないだけでなく、同時に人物の心理を表現する感情の芝居もしなければいけないのが、とても難しかったですね。何回も撮り直してようやくOKが出ました。人知れず頑張ったその時の苦労を思い出すと、自分自身とても誇りに思えるシーンです。結果的にとてもいい仕上がりになったと思います。

──ワン・リーコーさんから見てフー・ダーロンさんはどんな俳優さんですか?
芸術家にもなれる方です。役者としても人間としても、私たち俳優が模範とするべき方だと思います。彼はプライベートでも琴棋書画すべてに精通していて、人物に対する理解、演技に関しては、私の中ではすでに“影帝(注:最優秀主演男優賞を獲得した俳優の称号)”と呼びたいほどのレベルです。とてもすばらしいプロ意識の高い俳優さんだと思います。彼は実力派なのでこれからさらにキャリアを重ねていくと思います。

──「隋唐演義」には個性豊かな豪傑がたくさん登場します。秦瓊以外で、ワン・リーコーさんが好きなキャラクターはどれですか?
実は、私が好きなのは“天下無敵”の李元覇です(笑)。李元覇というキャラクターは伝奇的な人物ですよね。雷に打たれて死ぬというエピソードはファンタジー色が強くてすごく面白いです(笑)。それから、“混世魔王”の程咬金もとても面白いキャラクターで好きですね。

──羅成役のチャン・ハンさんは日本でも人気があるのですが、彼はどんな俳優ですか?
彼は将来有望な次世代俳優だと思います。イメージ、外見、演技力、そのどれもが認められていて、非常にポテンシャルがあると思います。このドラマで彼が演じている羅成は高貴なオーラと覇気にあふれたキャラクターですが、本当にハマリ役だと思いました。彼は人間的にもとてもキュートな人ですよ。

──撮影現場でのチャン・ハンさんはどんな人でしたか?
彼は現場では口数が少ないので、一見、クールで生真面目なタイプに見えるんですが、ひとたびコミュニケーションを取ってみれば、ぱっと笑顔を見せてくれて、陽気で可愛くて素直な人だということがわかります。いわゆる子供っぽさを残している可愛い男性です。一方で、演技に対しては真面目で一生懸命でした。ひとつ彼のことをすごく可愛いなと思ったエピソードがあります。羅成はいつも槍を持っているキャラクターで、彼はたびたび槍をかっこよく振り回してポーズをキメていました。でも、槍が自分の服や髪にひっかかって失敗してしまうことも多かったんです。そんな時、彼はいつも変顔をしてみせたりしておどけていたのが、すごく可愛いかったです。

──62話に及ぶ大作ですが、特に日本の視聴者に注目してほしいハイライトや見どころを教えてください。
62話もあるんですよね(笑)。そうですね……どの回にもそれぞれハイライトと見どころがあるので……第1話と最終話についてお話ししましょうか。第1話は重要なキャラクターが次々と登場する見どころいっぱいのエピソードですね。私が演じる楊玉児も剣を持って踊るシーンで登場します。ここは映像も美しい注目のシーンです。それから最終話は、単雄信が亡くなって瓦崗寨の仲間が悲嘆に暮れるシーンが非常に心を動かされる場面なので、注目してほしいです。そして、李淵が皇帝になり、みんなに位を授けて開国するシーンも感動的です。また、楊玉児のシーンについては、(第35話の)宇文成都が瓦崗寨から彼女を連れ出そうとやって来て、彼女がきっぱりと断るシーンも見逃せないと思います。とても胸が打たれる場面で、中国で放送された当時、多くの視聴者が涙しました。このエピソードもこのドラマのハイライトですね。

──中国では「氧气女神(酸素のような女神)」と呼ばれることが多いようですが、ご自身はこの称号をどう思っていますか?
実はとても気に入ってます。“酸素”はとても活力を感じさせますし、新鮮で爽やか、自然で気持ちのよい印象がありますよね。こうしたイメージは私自身が常に実生活で求めているものでもあります。ひょっとしたら、私が写真を撮るとき、そういったイメージの写真を撮ってもらうことが多いので、そういう呼び方をされるようになったのかもしれませんね。そうですね、そう呼んでもらえるのはうれしいですね。

──今後、仕事やプライベートで、新たにチャレンジしたいことはありますか?
そうですね……実はずっとバンジージャンプをしたいと思っているんです(笑)。あのポーンと上から下に向かって飛ぶドキドキワクワクする感じを体験してみたいんです。人生はいろんなことを経験して初めて完璧なものになるという言葉を聞いたことがあります。演技をするうえでも、いろいろと経験したからこそわかる感じ方があるはずで、それは経験しない人とは違うものでしょう。どうせ挑戦するなら、自分がなかなかやる勇気がないことに挑戦してみたいですね。バンジージャンプは前から興味あるんですが、今でもやっぱりちょっと怖いという気持ちがあります。人が飛んでいるのを見るといつも、「すごい、勇気あるな〜」と思ってしまいます。それからもう一つ、ずっとやってみたいことは、中国の最高峰、チョモランマに登ることですね。あの地域は最近、地震で外国の登山者の死亡事故が起こりましたね、非常に残念なことです。私は登山家や冒険家を尊敬しているんです。自分もそういうのを趣味としてやってみたいと思っているんですよ。でもやっぱり、なかなか勇気が出ないですね。それでも、近いうちにその夢を実現する機会があればいいなと思っています。

【ワン・リーコー(王力可)】
1987年、山東省生まれ。女優・ダンサー。04年、17歳のときにドラマデビュー作の「血色浪漫」で主演。以来10年で「茶頌」「利箭縦横」など40本前後のドラマに出演し、映画では「金門新娘」でマカオ国際映画祭最優秀新人賞を受賞している。

悪名高き暴君を倒すため、義で結ばれた英雄たちが起ち上がる!
「隋唐演義~集いし46人の英雄と滅びゆく帝国~」

zuitous

【STORY】
開皇(かいこう)9年(紀元589年)、隋が全国統一を果たした。初代皇帝・楊堅(ようけん)の次子・楊広(ようこう)は、うわべは孝行息子だったが内心では皇位継承を狙っており、側近の宇文化及(うぶんかきゅう)や正妻の蕭美娘(しょうびじょう)とともに悪智恵をめぐらせて父王や皇太子の兄を暗殺。まんまと2代目皇帝の座についた楊広(諡(おくりな)は煬帝(ようだい))は淫蕩にふけり、外征や大規模な土木工事を繰り返した。世は乱れ庶民は苦しみ、各地で反乱の動きが起こる。北斉(ほくせい)の将軍だった父を幼くして失った秦瓊(しんけい)は、清廉な役人である一方、緑林の大物・単雄信(ぜんゆうしん)とも親しく交わる仁義の士。楊広の叔父で隋の功臣である楊林(ようりん)に見込まれた秦瓊は、かねて心を通わせていた楊林の娘・玉児(ぎょくじ)と晴れて夫婦になる。ところが楊林は父の仇だったことが分かり、衝撃を受けた秦瓊は楊林と決別。玉児から楊広の数々の悪行を知らされ、反朝廷の決意を固めるのだった。秦瓊、単雄信を筆頭に、羅成(らせい)、程咬金(ていこうきん)、徐茂公(じょもこう)ら志を同じくする46人の英雄好漢は瓦崗塞(がこうさい)に集結し、朝廷をおびやかす一大勢力となっていく・・・。

zuitousub_MG_4535s

【CAST】
秦瓊:イェン・クァン(厳寛)
程咬金:ジャン・ウー(姜武)
羅成:チャン・ハン(張翰)
楊広:フー・ダーロン(富大龍)
宇文成都:チェン・ハオ(陳昊)
李世民:ドゥ・チュン(杜淳)
単雄信:フー・ドン(胡東)
楊玉児:ワン・リーコー(王力可)
蕭美娘:バイ・ビン(白冰)
単盈盈:タン・イーシン(唐芸昕)
李元覇:ワン・バオチャン(王宝強)
宇文化及:チョイ・シウキョン(徐少強)

【STAFF】
監督:ビリー・チョン
武術指導:グオ・ジェンヨン・シウキョン(徐少強)

DVD好評発売&レンタル中!
【セル】
DVD-BOX/31枚組/第一話~第62話(最終話)/価格:31,000円+税/PCBE-63109

©浙江永楽影視制作有限公司
2012年/中国/カラー/ステレオ/原題:隋唐演義/全62話
発売元:ワコー/販売元:ポニーキャニオン

DVD公式サイト: http://zuitou.ponycanyon.co.jp/