2025年10月17日(金)より森新太郎演出、正門良規主演の舞台『十二夜』が東京グローブ座にて開幕した。初日に先立ち、会見と公開ゲネプロが行われた。
本作は東京グローブ座にて11月7日(金)まで、11月15日(土)~11月21日(金)に大阪・森ノ宮ピロティホールにて上演される。
シェイクスピア作中最高の喜劇と言われる『十二夜』。今回は、森新太郎が自由な発想で選んだ俳優たちと、たっぷりの生演奏の音楽と歌と共にお届けする。ゲネプロにもかかわらず、芸達者のキャストたちの演技に客席では笑いがあちこち幾度も起こるという、稀にみる楽しい舞台となっていた。
【会見】会見に登壇したのは、森新太郎と主人公・ヴァイオラ役を演じるAぇ! groupのメンバー正門良規、伯爵令嬢のオリヴィア役の大鶴佐助、サー・トービー・ベルチ役の阿知波悟美。マルヴォーリオ役の峯村リエ。
登壇早々に正門が「今、グループごとでお騒がせしている中ではございますが、たくさんの方に観ていただける機会があるのは幸せなことだと思っております。当面Aぇ! Groupは4人で活動していきますが、引き続き温かい目で見守っていただけると嬉しいと思います」と口を開いた。
森新太郎 大鶴佐助 正門良規 峯村リエ 阿知波悟美
森:私がここ(東京グローブ座)で今まで『ハムレット』と『ロミオとジュリエット』の2回、シェイクスピア劇をやっておりまして、いつかハッピーエンドを迎える喜劇をやりたいと思っていたところ、もう1回ここでシェイクスピアをやれる機会があり、満を持して『十二夜』を選びました。
喜劇ですので、今の心持ちは、シンプルに1つ、お客さんが笑って楽しんでくれるかなと。もう本当にそれだけです。正直言うと不安でいっぱいですけれども、本当に嫌というほど稽古してきましたので、明日はもういくだけですよ。今高揚感で胸がいっぱいです。
ヴァイオラ役はシェイクスピアの時代には少年俳優が演じていたので、男性に演じてほしかったんです。女性がやる場合が素敵なのは十分知っていますが、男性が女性の役をやって、その女性がさらに男性の役をやるという、この重なった構造がとても面白いと思っていたので、とてもチャーミングな男の子がやるべきじゃないかと思い、正門さんになんとかやってくれないかと頼んだらまさか、彼が意外とノリノリで、それがまず決まりました。
他の俳優を考えた時に、オールメールもよくありますが、逆に他に男女逆転っていうのも考えたんですが、完全に逆転させるっていうのも、ちょっと理屈っぽいルールだなと思って。
お芝居がすごくどんちゃん騒ぎの芝居なので、いっそ想像できないところでいきたいなと、あまり男性、女性の枠にとらわれないで、もう好き勝手にキャスティングしていった方が面白いんじゃないかなと。1つの賭けではあったんですけども、僕の中で「この俳優さんの、この役を見てみたい」を独断と偏見でどんどんオファーをかけていって、結果としてこのような面々が揃いました。想像よりもにぎにぎしい舞台になっていて、大成功だったと自分では思ってます。
こだわりは、このピンクのセットです。今回のテーマが“ラブ”ということで全部押し進めておりまして。実は英語で1番出てくる単語は“ラブ”なんです。この作品で色恋以外にも兄弟の絆や友情があり、峰村さん演じるマルヴィーリオはうぬぼれと訳されてるんですけども、英語を見るとセルフラブ=自己愛なんですよね。良くも悪くもこれはもう愛に満ちた芝居なんだなと思って、舞台美術の堀尾さんと話し合って、これ以上ないくらい“ラブ”が溢れた舞台装置になりました。
正門:舞台がずっと大好きといろいろな媒体で話しをさせていただいて、いつかはシェイクスピアの作品に触れたいと思っており、できることなら森さんの演出でこの劇場でやりたいと思っていました。その3つの夢が一気にかなった、自分にとってすごく贅沢な機会です。
約1ヶ月ほど稽古してきて、大変な日々でしたけども、森さんの不安を吹き飛ばせるように明日から頑張りたいと思いますし、まずゲネプロを1発ぶちかませるように頑張りたいと思います。
大鶴さんとの熱いキスは全く緊張しなかったです!むしろワクワクしながらやらせていただきました。
ヴァイオラというお姫様の役をいただいて、最初は何もわからないまま「楽しそうだからやります!」とお返事させていただきました。いざ始まってみると大変なことだらけで、所作や声色を女性に寄せるのが難しかったです。豪華絢爛なドレスを着るのも初めての経験ですが、コルセットがしっかりしているので、着ると自然とお姫様の動きになるんです。これは衣裳さんのおかげです!
この作品は喜劇ですので、何も考えずにフラッと笑いに来てほしいです。劇場でお待ちしております!
大鶴:僕は女性役が初めてでして、最初はすごく緊張するのかなと思ったのですが、逆に普通の男を演じるよりも、緊張具合が少ないような気がします。稽古場ではまーくんとたくさんの愛を育んできましたので(正門が爆笑)、明日お客様にそれを見せつけたいと思います。
阿知波:私はあちわさとみという名前でサー・トービー(・ベルチ役)をやります。(笑 全員が気付いていなかった様子)最初に役をいただいた時に、名前と一緒だ、ちょっと違っていますけれど…と思っていました。
まさかこの年齢になってこれだけのシェイクスピアの芝居をやるとは思っていませんでしたが、格闘の日々で、今も満身創痍でやっております。森さんという演出家は年寄りをいじめるのが得意なのかなと思いました。でも、板の上では大変楽しませていただいております。まだ私できるぞ!なんて思っております。
峯村:明日、初日を迎えるとは思えないぐらいのぼろぼろさ加減です。(笑)気持ちは18才です。がんばります!
稽古場で印象的だったのは短いシーンでも濃密な稽古を行ったことです。ほんの2、3ページの台本に対して6時間ほどの稽古をしました。
今回は勘違いや思いのすれ違いが色濃く描かれている作品ですが、私が勘違いしていたのは「歯ぐき」を「歯ぎく」だと思っていたことです(笑)。
【ゲネプロ】
船が嵐に遭遇し、双子の兄・セバスチャン(北村優衣)と生き別れた妹・ヴァイオラ(正門良規)は、イリリアに流れ着き、生き延びるために男装し、「シザーリオ」と名乗って、公爵オーシーノ(長井短)に仕える。
公爵オーシーノ(長井短)
ヴァイオラは密かにオーシーノに恋心を抱いているが、男のふりをしているため、想いを告げられずにいる。しかも、オーシーノは、伯爵令嬢オリヴィア(大鶴佐助)に夢中。冷たくあしらわれても情熱は冷めず、お気に入りのヴァイオラを使者に立てて、自らの想いを伝えさせようとする。因果な務めに葛藤しながら、ヴァイオラはオーシーノの想いをオリヴィアに届けに出向く。
そして、オリヴィア(大鶴佐助)はヴァイオラと出会い
男装したヴァイオラに一目惚れしてしまう!ヴァイオラの男装から始まる、もつれにもつれた恋の三角関係!
そこに、オリヴィアの屋敷の個性あふれる人物たちが続々登場し、てんやわんやの大騒ぎ。
道化のフェステ(高橋由美子)が随所随所で生演奏に乗せて歌を聞かせ、一層愉快な展開へ。
果たして恋の結末は――?
セバスチャン(北村優衣)
舞台『十二夜』
<東京公演>2025年10月17日(金)~11月7日(金) @東京グローブ座
<大阪公演>2025年11月15日(土)~11月21日(金) @森ノ宮ピロティホール
作:ウィリアム・シェイクスピア
翻訳:松岡和子
演出:森新太郎
出演:正門良規(Aぇ! group)、大鶴佐助、高橋由美子、松本紀保、長井短、北村優衣、阿知波悟美、峯村リエ
笠原竜司、冨永竜、田中穂先、鈴木崇乃、天野勝仁、古賀ありさ