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『夜叉ヶ池』フォトコールと取材会 泉鏡花の幽玄・壮大な世界を具現

PARCO劇場開場50周年記念シリーズ『夜叉ヶ池』が、5月2日に初日を迎える。1日にフォトコールと取材会が行われた。
913年に泉鏡花が発表したファンタジックな戯曲『夜叉ヶ池』。森新太郎の演出、勝地涼、 入野自由、 瀧内公美 那須凜の出演で、壮大で幽玄の世界を描き出す。

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山沢学円(入野自由)は、旅先で行方知れずになっていた旧知の荻原晃(勝地涼)と再会する。彼は、孤独な美貌の村娘・百合(瀧内公美)と結婚し、近くの夜叉ヶ池の龍神の怒りを鎮めるために、日に三度、鐘をついていた。

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取材会には、出演する勝地涼 入野自由、 瀧内公美 那須凜、演出の森新太郎が登壇した。

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那須凜 瀧内公美 勝地涼 入野自由 森新太郎

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勝地:(泉鏡花の言葉の美しさについて)やはり言葉が難しい。昔の日本語があるので、覚えて言うことはできても、どこをたてるか、どういう風に伝えるかを、最初の方は稽古させてもらったんですけど、掴むまでが大変でした。読んでいてイメージしてたものはありましたけど、それではイメージが小さく、森さんからイメージをどんどん大きくしもらって、感動を伝えてくださったりした。そういうことを稽古でやってこれたので、よかったのですけれど、最初はそれが難しかったです。

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(見どころは?)妖怪パートのところがすごい楽しくて、なんかニヤニヤして見ちゃう。みんなが生き生きしている感じもいい。多分すごくきつい稽古だったと思うんです。全部の台詞を聞いている時も、その態勢を作らなきゃいけなかったり、細かい動きをずっとやんなきゃいけないとか。その姿が美しくて、なのに、なんか笑えるシーンなので、すごく好きです。お客さんが見たら、なんか興奮するんじゃないかなと思っています。

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入野:勝地さんが言ってくれたように、具体的に自分たちがイメージできるように、何度も何度も口に出して読んで、どうやったら相手に伝わるのか、 どうやったら情景が見えるか。2週間近く本読みをやって、いろんな言い方や、相手にどう伝わるかを何度も試していたので、最初の頃は難しいと思っていたのですけども、聞けば聞くほど呼べば読むほど心地いい。「日本語なんだな、海外の翻訳したものとは違うな」と、自分の中に流れるものがあった。やればやるほど、面白みや楽しみが増しています。

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(見どころは?)萩原が自分はなぜ物語の一部になってしまったのか、その伝説について話をしてくれる、膨大な台詞なんですけど、勝地さんの言葉や表情がいつも新鮮で、ひとつの見どころだと思っています。山沢学円も伝説などにすごく興味があって、聞くとどんどん面白くなっていく。毎度、聞いているのが楽しい。そこはお客様に伝わるんじゃないかと思います。(勝地が「すごいプレッシャーだ!」と)鏡花の言葉も相まって、大きな見どころだと思っています。

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瀧内:耳慣れてない言葉が多いので、それを自分の言葉にするのはすごく難しかったんですけども、森さんが毎日くちだて稽古のように、毎日、目の前でやってくださって、それをどう自分の中に落としていくというか、落ちるまでずっとやり続けてくださった。特に「変に抑揚をつけないで平坦に」と言われました。確かに「マジウケる」みたいな感じになりがちですが、後に送るんじゃなくて平坦に、まずまっすぐに言葉を整えてもらって、あとは、相手に何を渡さなければいけないのか。泉鏡花の高度な言葉遊びのやり取りを、森さんがちゃんと読み読み込んでくださって、それを自分たちに伝授してくださったので、学校に行っているみたいな感じでですけれども、自分の体の中には染み込んできたんじゃないかなと思っています。

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(見どころは?)森山開次さんのステージングです。ぱっと見た瞬間から森山開次さんのステージングだとわかる。今回もそうですし、それに力強さが加わっていて、世界観を引っ張ってくださっている。そこは見どころだと思います。

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那須:お三方は人間パートですが、(私の)妖怪パートは言葉にも神や仏とか出てくるので、スケール感が大きくないといけない。泉鏡花さんの絶大なパワーを持つ言葉に、身体をついて行かせるのはすごく大変。森さんも時間をかけて丁寧にお稽古してくださいました。
してくださいました。人間の繊細なやり取りと、妖怪のエネルギーが強い、素直な純粋で恐ろしいというように、泉鏡花が選ぶ言葉が違うので、そこも楽しんでいただけたらなと思います。

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(見どころは?)妖怪で出てくる人たちがいっぱいいて、その人たちが私以外は皆、村人になる。村人で出てきた時は、すごく冷たい人間として、リアルな人間として出て来て、百合さんと晃さんをある種追い詰めていく、全体主義に飲まれていく。妖怪が出てきた後に、そのシーンがくるので、現実を突きつけてくる感じが好きだなと思います。

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森:(勝地さんの俳優としての魅力は?)褒め始めるときりがないで、短めに。ホームページにも書かせていただきましたが、勝地は“紫電清霜”の俳優だと。どういう意味ですか、質問されますが、本当にあのまんまで意味で、力強くて清らかなところがある俳優を探していて、前々からそういう風に勝地涼を認識していたので、迷うことなく「この作品出てくれないか」とオファーしました。“紫電清霜”の意味を知らない人は、勝地涼だと思ってくださればいいんじゃないかなと思います。言葉のまんま主人公の萩原を演じてくれてますね。僕自身も彼の心の底から出てくる怒りに触れて、もう何度も感動してますけれど、それは言わないようにしてます。
(入野さんの魅力は?)入野は本当に優しい男で、普段から。それが学円役といい感じに合ったという気がしてます。萩原の長い台詞を一心に聞いている役なんですけども、この聞く男の真心なしには成立しない。僕は入野の喋る能力も買ってるんですけども、聞く能力がずばぬけているなと思っています。さらに普段の彼の人柄もあるし、それが本当に役にぴったりだったと思っております。これも初めて言ってます。
(瀧内さんの魅力は?)実を言うと、僕も演出するまでは、百合は掴みどころのない役だったのです。わりとしとやかというか、静かめの女性をイメージしたんですけど、瀧内がここに来て、この女性の持ってる本当の力強さ、もしかすると、この4人の中で1番強いもの持ってんじゃないかと。彼女の元々持ってる性格もあって、そこはちょっと僕は想像してなかったものを垣間見せてくれたと思ってますね。瀧内がこの役に出会ってくれて、僕も嬉しいですし、鏡花も多分「そうそう」と思って、「百合ってのは、思っている以上にそういう女だよ」と教えてくれてるような気がします。
(那須さんの魅力は?)(白雪姫役は)とにかく一番面白いキャラクターなんですよ。「人間なんて滅んでもいい」「恋のためには命なんて要らない」と言い切ってしまうお姫様ですから。でも、怖さだけでも面白くなくて、そこは元々、那須というあの俳優が持ってる可愛らしさ、そういうのが全開になっている。先ほど面白いダンスの妖怪たち登場のシーンがありましたけど、あの妖怪たちみんなが慕う理由を納得させられる、そういう姫様にりゃんと作ってくれたなと思ってます。本当に多分幕が上がって、お客さんが入ったら、憑依型の人間なので、僕の知らないところまで、きっと飛んでいくと思います。

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PARCO劇場開場50周年記念シリーズ
『夜叉ヶ池』
日程:2023年5月2日(火)~5月23日(火)
会場:PARCO劇場
作:泉鏡花
演出:森新太郎
振付:森山開次
出演:勝地涼 入野自由 瀧内公美 那須凜 ほか
料金:11,000円
公式サイト https://stage.parco.jp/program/yashagaike