9月19日(金)に松本・まつもと市民芸術館で初日を迎え、10月9日(木)~23日(木)に大阪・フェスティバルホール、11月9日(日)より12月26日(金)まで東京・新橋演舞場にて上演される、2025年劇団☆新感線45周年興行・秋冬公演 チャンピオンまつり いのうえ歌舞伎『爆烈忠臣蔵~桜吹雪THUNDERSTRUCK』。
<劇団☆新感線45周年>、さらに<チャンピオンまつり>と銘打った今回の公演は、劇団員も元劇団員も、久方ぶりの劇団員も、 準劇団員も大集結!
出演者は、劇団の看板俳優・古田新太、高田聖子、粟根まこと等に加え、橋本じゅん、羽野晶紀、橋本さとし、そして小池栄子、早乙女太一、向井 理という豪華さ!
この豪華キャストから、橋本さとしと早乙女太一がインタビューに応じてくれた。
物語は、江戸時代を舞台に、歌舞伎の大名作『忠臣蔵』を上演するために愚かしいほどに芝居作りに情熱を傾け奔走する演劇人を描く。座付作家・中島かずきの書き下ろしで、歌舞伎の名シーンをリスペクトした劇中劇の数々に、劇団☆新感線が上演してきた45 年分の作品をごった煮にしたセルフパロディ・セルフオマージュの要素もぎっしり詰め込み、劇団☆新感線 主宰・いのうえひでのりによる演出で華々しく立ち上げる。
―今回は、どんなお役ですか?
早乙女:僕は橘川(きっかわ)座という歌舞伎を上演する座の座長(粟根まこと)と妻のおきた(高田聖子)の息子で、看板役者で女形の夜三郎役です。
自分の父も劇団をやっていて、自分はそこで生まれて芝居をしているので、自分と似た感じの役です。
―ご自身と重なるところがある役なのですね。橋本さんは?
橋本:遠山の金さんがモチーフになっている遠山金四郎役で、本当は歌舞伎芝居も取り締まらないといけない奉行です。建前上は「やっちゃダメだよ」と言わないといけないけれども、普段は芝居が大好きな町人の金さんなので、中間で板挟みになっている男です。前半には、江戸一番の女形の夜三郎に「よぉっ!」と掛け声をかけて楽しく観ているシーンが出てきますよ。
―それは劇中劇の歌舞伎ですね?早乙女さんは前半から美しく登場されるのですね。
早乙女:はい!
橋本:劇団☆新感線の作品でがっつり女形を演じるのは?
早乙女:無いです。
橋本:今回初ということで、ついに来たか!って感じですね。
早乙女:僕自身は“伝家の宝刀”的な感じはないんですよ。
橋本:えっ⁉そうなの?
早乙女:ただ、自分の劇団でも女形で踊りは必ずありますが、女形でのお芝居はあまりないので、僕もすごく新鮮です。
―貴重ですね。ビジュアルを拝見したら、おふたりともすばらしくて。キャラクター紹介の動画で、橋本さんをよ~く見ると、“脱いだらスゴイ!”になっていますね。
橋本:“脱いだらスゴイ”は、意味深ですけど(笑)、作り込んでいます!まさにテレビドラマの遠山金四郎をモデルにしているので、桜吹雪です!(笑)
―わぁ~、名場面があるのか、ないのか?楽しみにしています!ビジュアル撮影ではいかがでした?どんなこだわりがあったのでしょうか?
早乙女:ビジュアルの扮装は姫です。でも、あまり姫役をやったことがなくて、初挑戦ぐらいの感じです。どちらかというと僕は遊女や花魁、色っぽい表現をする方が多かったので、ちょっとドギマギしながらの姫でした。衣装も全部、プロの皆さんが作り込んでくださっているから、ほんとに人形になったような感じでした。衣装もピンクですごく可愛いんですよ。ただ今回は女形だったので、劇団☆新感線の作品で、初めて自分でメイクをしました。ちょっと不思議な感じでしたね。
橋本:僕は写真撮影なのに「なんでこんなに声が枯れてるのか?!」というぐらい叫びまくっていました。いのうえさんが急に「さとし、歌って!」と言うから、適当に歌ったり叫んだりして、くったくたになりましたよ。(笑)
―それも役に繋がっていくものですか?
橋本:この時はどんな役なのか、まだそこまで具体的になっていない中でやっていたんですけど、「ここからもう劇団☆新感線は、始まってるな!」と、久しぶりに思いました。ただ、チラシビジュアルを見た方からは「さとしさん、どこにいるの?わからへん」と言われまして。このビジュアルは本役の“桜吹雪の金さん”ではなくて、劇中劇でしか出てこないキャラクターなんです。(笑)
―橋本さんも劇中劇が?!
橋本:顔の片方だけ仮面をつけているので、「もしかしてあれ?!」となるかもしれませんね。
―それは、また見どころですね。
橋本:しかも相手役が右近(健一)くん。彼の表情や芝居が僕の笑いのツボで、僕は彼に弱いんですよ。だけど笑わないように頑張って真剣に本気でやっていきたいと思います。
―早乙女さんは、劇団座長の息子役と劇中劇の姫ですか?
早乙女:いろいろ劇中劇があるので、いろいろな役をやりますよ。
―他にも劇中劇があって、いろいろ観られる?それは楽しみです。
早乙女:いろいろな劇中劇があって、皆さんも続々といろいろな役で登場しますよ。
―皆さんも?! それはまた盛りだくさんです!
橋本:楽しみですけど、大変です。それで、太一の女形から本役のキャラクター、普通の男に戻る時の、戻し方がかっこいいですよね。「やっとるなぁ!」と思いますね。(笑)
早乙女:お恥ずかしい…。
橋本:こんな感じでと、何の演出もついてない段取りだけの稽古でも、すでに所作が美しくて。そして、その所作を解いた時の、男としての佇まいとのギャップが萌えますね~。(笑)
早乙女:そんなふうに言っていただけるなんて…。
―素敵な見どころがたくさんですね!さて、「胸に燃ゆるは、烈しき役者魂」という言葉が公式サイトにありますが、橋本さんが本作で役者魂を燃やすのは、どんなときですか?
橋本:いのうえさんは台本を読んだだけでは想像できなかったような演出をされるので、僕の役者としての勝負は、それができるか、いかに応えられるかに始まる。毎度毎度、それを乗り越えていく感じです。
いのうえさんは、やって見せてくれたりもするのですが、それがすごく面白いんです。昔からよく言われていることですけど「いのうえさんがいっぱいいたら、最高の劇団になる」と。いのうえさんが最初に答えを出されているけれど、それを形だけでやっても、それでは劇団☆新感線メソッドとしては成立しない。自分というフィルターを通して消化して、自分なりの答えを出さないといけない。そこが劇団☆新感線では一番難しいかもしれないですね。
でも「いのうえさんが提示してくるものに食らいついて、そこに委ねるのが1番早い答えの見つけ方かな」という気はします。というのも、いのうえさんは、その役者の1番いいところを見つけて、1番面白い部分を引き出す天才なので。それで、「自分では気付いてなかったけど、こうしたら俺ってめっちゃ面白くなるんや」みたいなところを教えてくれる。それがいつの間にか自分の技や糧になって、他とちょっと違うものができる。そんなところが、ミュージカル『レ・ミゼラブル』のジャン・バルジャン役(2007年、2009年)にも活かされたんじゃないかな、と思います(笑)。
―早乙女さんは劇団☆新感線で得たものは?
早乙女:フットワークの軽さというのでしょうか。人間ができないようなことや、普通の人間だったら、感情的にそんなに急にこっちにはいかないでしょう…みたいな突拍子もないところに連れてってくれるからこそ、自分の精神的な、感情的なフットワークも軽くなれる。ただ、自分のペースで自分の日常を辿ってもそんな面白くないですよね。殺陣もそうなんです。「こんな動き、人間にはできないだろう」というような動きや無茶をするからこそ、振り切ることができるようになったり、何かを飛び越えられたりする。そして、それを観ている人が心動かされる。そういったところは、ずっと教えてもらっていると思います。
―今ちらっと殺陣という言葉が出ましたけれど、殺陣は封印?
早乙女:殺陣はあります。殺し屋じゃないってことだけです。大体、劇団☆新感線では殺し屋役が多いので。(笑)
―金さんも殺陣は?
橋本:武士の役ではありますが、金さんは逃げてばかりですよ。でも今のところ、右近くんと殺陣をします。僕と右近くんなので、面白い殺陣になるかな?(笑)
―楽しみです!見どころをいろいろ教えていただいてきましたが、さらにお薦めの部分を教えてください。
橋本:今までの劇団☆新感線の舞台もそうですけれど、今回は改めてすごく元気をもらえますね。それはただ面白いからだけじゃない。こっ恥ずかしいから、かっこつけているから、絶対に誰も言わないですけど、皆がこの舞台に、そして劇団に向き合っている瞬間が、やっぱり見えてくるんですよ。この物語は役者の話だから、芝居に自分の人生を投じて命をかけている役としての姿が、その俳優自身に重ね合わさって見えて、物語なのかドキュメンタリーなのか、錯覚が起こってしまうような不思議な感覚があります。だから僕は見ていて、笑いながらもちょっと感動してしまいます。
―早乙女さんは、ご自身の中で重なっている感じる部分はありますか?
早乙女:僕の役は、座長の息子に生まれて、新たに刺激を受ける役者が現れて「あいつに勝ちたい」と闘志を燃やす役ですけど、そんなところは、過去に劇団☆新感線に出た時に、「皆すごい!」と、本当に悔しい思いをした時もいっぱいあったので、そういったところも思い出しながらできたらと思っています。
―いつにも増して楽しく盛り上がって、楽しい作品だと感じることができました。ありがとうございました。
2025年劇団☆新感線45周年興行・秋冬公演
チャンピオンまつり いのうえ歌舞伎
『爆烈忠臣蔵~桜吹雪THUNDERSTRUCK』
松本:2025年9月19日(金)~23日(火祝) まつもと市民芸術館
大阪:2025年10月9日(木)~23日(木) フェスティバルホール
東京:2025年11月9日(日)~12月26日(金) 新橋演舞場
作 中島かずき
演出 いのうえひでのり
出演 古田新太 橋本じゅん 高田聖子 粟根まこと 羽野晶紀 橋本さとし /
小池栄子 / 早乙女太一 / 向井 理
右近健一 河野まさと 逆木圭一郎 村木よし子 インディ高橋
山本カナコ 礒野慎吾 吉田メタル 中谷さとみ 保坂エマ
村木 仁 川原正嗣 武田浩二
藤家 剛 川島弘之 菊地雄人 あきつ来野良 藤田修平 北川裕貴 寺田遥平 伊藤天馬
米花剛史 武市悠資 NaO 千葉恵佑 山崎朱菜 松本未優 河野瑞貴 井ノ口絹子 古見時夢
企画・製作 ヴィレッヂ 劇団☆新感線
公式サイト https://www.vi-shinkansen.co.jp/bakuretsu45/