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シアターコクーン・オンレパートリー2017「世界」インタビュー 風間杜夫 大倉孝二 広瀬アリス

この夏、話題となった映画『葛城事件』の監督 赤堀雅秋。その赤堀雅秋が作家・演出家として創り、そして出演もするシアターコクーン第三弾が、2017年1月11日(水)から幕を開ける。豪華キャストをむかえて描くのは、地方都市で工場を営む一家と、彼らを囲む人間模様。「これぞ、赤堀ワールド!」との呼び声の高い作品だ。

キャストには、工場を営む一家の父・義男役に風間杜夫、義男の妻に梅沢昌代、息子・健二役に大倉孝二、健二の妻・美紀役 青木さやか。
健二の浮気相手に鈴木砂羽、その夫を赤堀雅秋。健二の工場で働き始める引きこもり青年・辺見役に早乙女太一、工場のベテラン従業員に福田転球。美紀のパート先のスーパーの店員・諸星役に和田正人。諸星が片思いする昼はOL 夜は風俗嬢のあずみ役に舞台初出演となる広瀬アリス。
実在の街の一部を切り取ったように、年齢も人物像もさまざま。多彩なキャストが集まった。

Astageがインタビューを行ったのは、作品について赤堀雅秋からキャストが初めて話を聞いた直後。風間杜夫 大倉孝二 広瀬アリスの三人に話を聞いた。

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大倉孝二    広瀬アリス    風間杜夫

―赤堀作品について、どんな印象をお持ちでしたか?
風間:僕は赤堀さんとは初めてです。赤堀さんの活動は聞いていて、新しい人と出会いたいと思っていましたので「是非、参加したい」と今回、加わりました。そして、今日、初めて演出家から彼の作品世界…彼の芝居を作る姿勢を聞いて「やっぱり思ったとおりの人だったな」と感じて、この作品に参加することを非常に嬉しく思っています。

―「思ったとおり」というのは、具体的には?
風間:市井の人々の日常的な生活の中から浮かび上がってくる人間の悪意…悪意は大げさかな…「人間って、そんなに正しい人ばかりじゃないよ」「心の中には結構、ねじれたものがあるよ」というようなことを浮き彫りにしようとされているのだと思うのですが、それは真剣に取り組まないと、ものづくりに対して誠実な人でないと描けないのでは…と思うのです。それができる方だという印象を持ちました。

-赤堀作品ではシアターコクーンでのこれまでの2作品に出演されている大倉さんは、どう感じられましたか?
大倉:僕は赤堀さんの作品にたくさん出演させて頂いているわけではないのですが、赤堀さんの劇団時代の作品をよく見ていました。赤堀さんのコクーンでの1作目(2014年『殺風景』)は、隣人が一家を全員殺すという壮絶な話でした。2作目(2015年『大逆走』)はどろくさい世界とファンタジーが入り乱れた、赤堀さんとしては挑戦作だったと思うのですが、今回は赤堀さんらしいストレートなものをコクーンでやるんだな…というのが、僕の勝手なイメージです。

―広瀬アリスさんは、今回が初舞台ですね?
広瀬:はい。まだ「どうなるんだろう?」という感じです。今日、初めてみなさんとちゃんとお会いしたのですが、「やってみないと、何もわからない」という感じです。たぶん、お稽古に参加しないと分からないのかな…と。

―今回、舞台に出演しようと思った理由は?
広瀬:電話がかかってきたんです。
大倉:事務所が決めたんだね?
広瀬:はい。(笑) いつかはやってみたいとは思っていたんですが、こんなに早くやることになるとは、思っていませんでした。でも挑戦として、やりたい。頑張りたいと思っています。

―今回は、どんなお話になるんでしょうか?
風間:人間関係のアウトラインはできていて、キャラクターの性格付けは、先ほど赤堀さんから聞いたところです。地味な…(笑)、派手さのない作品です。人間として胸張って堂々とした人は、誰も出てこない。
大倉:そんな感じになりそうですね。

―リアルな作品ということですか?
風間:そう、きわめてシリアスです。
大倉:リアリティをもって拡大した部分もあって、煮詰めている感じになると思います。「人間って、こんなものだろう」というのが、詰め込まれている作品になる気がします。

―脚本ができていないままお稽古が始まるんですね?
風間:僕が最近出演させて頂いている岩松了さんも、稽古初日には半分くらいしか本はできていませんね。稽古しながら、後半を書くんです。僕が若い頃は、つかこうへいのところにいましたが、彼は口立てですからね。台本としては見たことがない。(笑) なので、なんの不安も感じていないんですよ。
大倉:僕らがそわそわしても、いいことはないので。
広瀬:私はずっとそわそわしているんです。映像では台本が遅れることはありますけれど、「台本がない」ってことは、ほとんどないんです。ギリギリに台本がきた時でも「今日は2シーンだけだから、大丈夫かな」という感じですが、舞台はそうはいかないだろうと思うので…。
大倉:でも舞台の稽古は40日近くありますからね。
広瀬:大丈夫ですかね?
大倉:まぁ、大丈夫ですよ。(笑)

―分かっている範囲で役柄など、教えて頂けますか?
大倉:僕は風間さんの息子役です。
風間:僕は町工場のおやじで、仕事は息子に任せてしまって、自分は「うまい話があったら、一儲けしてやろう」と一獲千金を狙っているような、山師的ないい加減なおやじです。

―では、息子さんはマジメで?
大倉:いや、鈴木砂羽さん演じるスナックのママと浮気しているんです。シアターコクーンでの前2作の赤堀作品では、僕は感情をバーンと出す役だったので、今回はそうではない役を…という感じが、先ほどの赤堀さんのお話からうかがえました。

―広瀬さんの役柄は?
風間:デリヘル嬢です。

―え~~! 資料を見ると…昼はOLですか?!
広瀬:さきほどの赤堀さんのお話では、彼女は満たされていないもの、ぽっかり空いたものがあり、悪気もなくそういう仕事をしていると。それを聞いて、私は彼女に対して違和感がないし、偏見などもない。年齢も彼女と同じくらいで、気持ちがわからなくもないのです。「新しい自分が見つけられるかな…」と楽しみなところがあります。

―今日、キャストや赤堀さんにお会いになられて、どんな印象をもたれましたか?
広瀬:いやぁ、どうしよう…って。(笑) でも、これからいろいろお話できたらいいなぁと思っています。まだ緊張しています。
大倉:僕も平気そうな顔しているように見えると思いますが、稽古の初日は家で5回くらい吐きそうになってから稽古場に向かうんです。それくらい緊張します。(笑)
広瀬:わぁ…、ちょっと安心しました。

―ベテランの風間さんは、そういうことはないですか?
風間:緊張しますよ!稽古初日の前の晩は、眠れない。それくらい新しい人との出会いは、なかなか大変です。僕も稽古初日から自分をさらけ出せない人間なので、徐々に僕という人間を分かってもらうためには、1週間、10日かかるぞ…と。僕も人見知りが激しいのです。

―今さらですが、舞台は大変なんですね…。
風間:映像の現場は、共演する人とも一瞬の出会いと別れです。会話をして人柄を知ってから…ということがなくても、役どうしで向き合って撮ってもらえればいいのですが、舞台は1ヶ月稽古、それから1ヶ月本番ですからねぇ。2ヵ月以上の付き合いになるので、みんなと仲良くやりたいなぁと思いますね。
こういう座組みになると、僕は最年長になることが多いので、率先して声をかけていきたいと思います。

―やはり舞台は、大変ですね。
広瀬:はい・・・本当に分からなくて…。
大倉:今日参加したのは、広瀬さん以外は男性キャストばかりでしたが、今回の作品には女性の先輩方もいらっしゃるので、かわいがってもらえるんじゃないかな。
広瀬:ホントですか?!
風間:そうだね!稽古場に来たら、みんな、ストレッチしてゴロゴロしながら、おしゃべりして…。気どることもないし、化粧もしてこなくていいと思いますよ。
大倉:まずは毎日ジャージを着るという、ダサい感じでいきましょう。(笑) ダサさに慣れていく…。
広瀬:ダサいところも出していく。見た目も中身も全部出していく…まず1ヶ月の稽古ということなので良い部分も悪い部分も、いつも隠しているところもさらけ出して…しっかり自分を出していこうかなと思います。
とりあえず、ぶつかっていこうと思っています。分からないなら分からないなりに、ぶつかってみます。よろしくお願いします!

(あらすじ)
千葉県船橋市郊外で工場を経営する足立家。父・義男(風間杜夫)は儲け話で一喜一憂する山師で、町工場を経営しているが、実質は息子の健二(大倉孝二)にまかせている。義男の妻・節子(梅沢昌代)は、ある日突然、義男に離婚を切り出す。健二は妻・美紀(青木さやか)と8年前に結婚したが、子宝には恵まれていない。不妊治療にいそしむ妻の目を盗んでスナックのママ宏子(鈴木砂羽)と浮気中。宏子の夫・坂崎(赤堀雅秋)は、以前に義男にお金を貸した関係でもある。
そして工場では、近所の引きこもり青年・辺見(早乙女太一)が働くことになる。ベテラン従業員の服部(福田転球)は認知症の母の介護で疲れぎみだ。
一方、健二の妻美紀のパート先であるスーパーの店員・諸星(和田正人)は、昼間はOL、夜は風俗嬢のあずみ(広瀬アリス)に片思い。さらにはあずみと辺見との密かなつながりも…。

< 公 演 概 要 >
□公演名:シアターコクーン・オンレパートリー2017『世界』
□作・演出:赤堀雅秋
□キャスト:風間杜夫、大倉孝二、早乙女太一、広瀬アリス、青木さやか、和田正人、福田転球、赤堀雅秋、梅沢昌代、鈴木砂羽
□主催:Bunkamura、テレビ東京
□企画・製作:Bunkamura
□ホームページ:http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/

■東京公演 2017年1月11日(水)~28日(土) 会場:Bunkamuraシアターコクーン
■大阪公演 2017年2月4日(土)、5日(日) 会場:森ノ宮ピロティホール

<大倉孝二 スタイリスト>   Stylist JOE(JOE TOKYO)
<広瀬アリス ヘアメイク> 菅野綾香(ENISHI)
<広瀬アリス スタイリスト> TEAM OKI (C.C)
<広瀬アリス 衣装>
・ワンピース(TERA/問い合わせ:ティースクエア プレスルーム:03-5770-7068) 1月中旬発売

・イヤリング  ブレスレット(ソムニウム/問い合わせ:ソムニウム:03-3614-1102)