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『BACKBEAT』加藤和樹インタビュー 「1曲目が始まった時から、観客が“立ってもいい?!”と感じるくらいの熱量を舞台上から客席に届けたい。そこは命をかけてやりたいです」

ビートルズの創成期を描いた舞台『BACKBEAT』が、4 月 23 日(日)に江戸川区総合文化センター 大ホールにて、その後、兵庫、熊本、大阪、5 月 24 日(水)~31 日(水)に東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)にて上演される。

1994 年公開の伝記映画『BACKBEAT』を、イアン・ソフトリー監督が自ら舞台化し、日本では 2019 年に初上演。戸塚祥太(A.B.C-Z) 、加藤和樹、辰巳雄大(ふぉ~ゆ~) 、JUON(FUZZY CONTROL) 、上口耕平が出演し、ビートルズサウンドを生演奏で描くドラマチックで熱い青春物語が大好評を得た。その初演の5人が揃って挑む再演となる。

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公演を2週間余り後に控えた4月上旬。本作でジョン・レノン役を演じる加藤和樹が取材に応じてくれた。

―この作品では喉のケアに特に気を遣うとおっしゃっていましたが、お稽古が始まってからの調子はいかがですか?
稽古だからと手を抜くわけにもいかないですし、本番以上に繰り返して歌うので、いつも以上にケアは必要ですね。でもそのあたりの調整は、初演の時よりもできていると思います。

―お稽古が進んで、初演との違いをどう感じておられますか?
まず圧倒的に違うのは物語のテンポ感です。シーンをカットするような大きな変更があるわけではないですが、前回では繊細になりすぎているような部分を、石丸さんがそぎ落としてくださり、全体的にテンポアップしています。
それによって、ビートルズが生き急いでいる感じ、止まれないというスピード感をより強く感じられて、熱量も上がっている気がします。

―チームワークも出来上がっているので、より入りこめそうですね。
それはありますね。だからこそ、今回から出演する愛加あゆさんは、物語の中心にもなる役なので大変そうです。

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―お稽古場での印象的なエピソードを教えて頂けますか?
前回の初演から4年も経ってるので、稽古を始めたばかりの時は演奏もリハビリしているような感じで大物アーティスト風になってしまっていました。新人のビートルズでなきゃいけないのにね。(演出の石丸)さち子さんも「これじゃダメだ」と思ったのでしょうね。演奏シーンからエチュード(即興劇)をやることになって、役として台詞は自分で考えて演奏もして。そうやって5~6曲演奏し終わっても、さち子さんが「アンコール!アンコール!」と繰り返すので、「いつ終わるんだ⁈」「まだやるの⁈」「やるぞ!」「何をやるんだよ!」なんて言いながら延々エチュードをやりました。若い時はいっぱいエチュードをやりましたけれど、ほんとの稽古場でエチュードをやるなんて、思いませんでした。

―それで中身から18才に戻った感じに?
そうですね。若い頃って意味もなく笑って、ふざけるでしょ。そのノリはちょっと恥ずかしかったりもしましたけど、エチュードをやって良かったと思います。

―キャストの皆さんとは仲が良いそうですが、エチュード中と素の時では、メンバーの皆さんは随分と違っているのでしょうか?
素もそれぞれの役どころに近いようで、そんなに違わないんです。ジョージ・ハリスン役の辰巳雄大は5人でいてもわちゃわちゃするタイプだし、ピート・ベスト役の上口耕平は静かに後ろから見守っている感じで、スチュアート・サトクリフ役のとっつー(戸塚祥太)も微笑んで見守ってる感じです。僕の場合は、ジョン・レノンを演じている時はちょっと口悪くなったりはしますね。現場を楽しくやりたい、楽しませたいっていう気持ちがあるので、それぞれが適材適所という感じがしています。

―今の稽古での手応えから、期待が膨らんだ点を教えて頂けますか?
やはり再演ですから、演奏面では初演よりもグルーブ感はすごく出ていると思います。初演で初めてギターを弾いた たつ(辰巳雄大)のジョージのソロが増えているし、バンドとして成功していく様子、バンドとしてのあり方みたいなものも今回は表現しているので、そこは初演とは大きく違うところだと思います。
そして、それぞれの役作りがどんどん深まってきて、中身が一層濃くなって、締まった感じがしています。

―初演を観た方にも一言、観ていない方にも一言、いただけるでしょうか。
初演をご覧になった方は、「こんなにエネルギー量があった?」というくらいパワーアップしているので、そこはぜひ楽しんでもらいたいです。初演を観ていない方は、ミュージカルではないのに、これだけライブの音楽があって、エンタメ要素がある作品はなかなか無いので、この新感覚を楽しみにしてもらえたら嬉しいです。

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―本作からは少し離れますが、加藤さんは広く活動されていますが、今、見えている未来、これから先の展望を教えていただきたいです。
僕は何か目標を立てるというよりは、目の前にあることを1つ1つ真摯に向き合っていくタイプですけれど、やりたいことをやり続けていきたいとは思うので、そのためには、自分がいろんな努力をもっとしなきゃいけないなと思います。手ぶらで戦場に行くわけにはいかないので、ある程度装備を整えて下準備をしてから、これからの仕事に取り組んでいきたいと思います。

―今の加藤さんが、まだ何を努力されるのかなと思ってしまうんですけど…。
最近は韓国にちょっと興味があるので、韓国語を勉強しています。最近も友人のアーティストのKoNさんと日韓で上演されているミュージカル楽曲のコンサートをしましたし、イ・ソンジュンさんのシンフォニーコンサートにも参加させて頂きます。そんな機会もありますし、少しでも会話ができるようになれたら、まだまだ自分の知らない世界がたくさんあるのではと。色々な挑戦をしていきたいという気持ちがあります。

―韓国でボイストレーニングをされたとおっしゃっていたと思いますが、成長や自信を感じていらっしゃいますか?
自信というよりは、今まで歌って難しいと思っていた楽曲も歌えるようになったという実感はあります。自信を持つのは苦手で、常に足りないと思って生きているので、もっといろんなテクニックを身につけ、それに伴う感情表現ができるようになって、もっと自由に歌で表現ができるようになりたいと思います。そうしていかないと、やっぱり止まってしまうし、新たな発見もできないと思うので、チャレンジ精神は失くしたくないと思います。

―最後に、この作品でチャレンジしようと思っていることがあれば教えてください。
芝居においては全力投球して、芝居が終わった後、お客様が思わずスタンディングオベーションしてしまうのを目標に頑張りたいと思います。幕が開いて1曲目が始まった時から、観客が「これはスタンディングのライブだっけ?お芝居だっけ?」「立ってもいい?!」と感じるくらいの熱量を、舞台上から客席に届けたい。彼ら5人が自分たちの存在証明として表現するものが音楽で、それが彼らを突き動かすエネルギーだったので、そこは命をかけてやりたいです。

―最初からスタンディグになるかも…ですね?
そのぐらいの気持ちでやりたいですし、楽しんでいただけたら嬉しいです。

―お客様にも、そんな前のめりの気持ちで観に来て頂けるとより楽しめそうですね。ありがとうございました。

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BACKBEAT
【作】イアン・ソフトリー スティーヴン・ジェフリーズ
【翻訳・演出】石丸さち子 【音楽監督】森 大輔
【出演】 戸塚祥太(A.B.C-Z) 加藤和樹
辰巳雄大(ふぉ~ゆ~) JUON(FUZZY CONTROL) 上口耕平
愛加あゆ
鍛治直人 東山光明 西川大貴 加藤 将 工藤広夢
尾藤イサオ
【プレビュー公演】2023 年 4 月 23 日(日) 江戸川区総合文化センター 大ホール
【兵庫公演】4 月 28 日(金)~5 月 3 日(水・祝) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
【熊本公演】5 月 6 日(土)・7 日(日) 市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館) 大ホール
【大阪公演】5 月 20 日(土)・21 日(日) 枚方市総合文化芸術センター 関西医大 大ホール
【東京公演】5 月 24 日(水)~5 月 31 日(水) 東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)
公式サイト https://www.backbeat-stage.com