2026年2月19日(木)~3月1日(日)あうるすぽっと(東京・池袋)にて、ミュージカル『SERI ~ひとつのいのち 2026』が上演される。
本作は、倉本美香『未完の贈り物(2012年刊)』を原作として、2022年にconSeptのオリジナル・ミュージカルとして初演された。目も鼻もない状態で生まれた少女・千璃(セリ)と母・美香をめぐる実話を、ひとつのいのちに贈る愛と祝福の物語として紡ぎ、好評を得た。このたびは2026年版の新バージョンとして上演する。

稽古中真っただ中の、母・美香役のジェイミンと父・丈晴役の坂田隆一郎が、公演に向けての心境について語ってくれた。
――いよいよ公演が迫ってきましたが、今の心境をお聞かせください。
ジェイミン:率直な気持ちとしては、とても怖いです。でも昨日稽古で、ゲームを通じてお互いの気持ちを分かり合おうという楽しいワークショップをやりました。その時間を通じて、みんなを頼りつつバランスよくやっていけばいいんだということがわかりました。自分の力だけで何とかしようと思うんじゃなくて、みんなに助けてもらおうという気持ちが生まれてきたので、ちょっとホッとしました。
――日本のミュージカルに初参加、なおかつオリジナル作品というのは、本当に大変だと思います。日本のオリジナル独特の難しさといった印象はありますか?
ジェイミン:日本のオリジナル作品だからといって違いを感じることはありません。人の思い…特に子どもを思う親の気持ちは、どの国も同じなんだなと思います。この作品からはそれがすごく伝わってきます。私はまだ親ではありませんが、この作品を読み始めた時、娘に対する愛情が生まれてきました。そういう気持ちはみんな一緒だと思って、ちゃんと感じ合って伝えていけばいいと思いました。
――坂田さんはいかがですか?
坂田:僕ももちろん不安な気持ちがあります。でも、先ほどジェイミンさんがおっしゃったワークショップで、カンパニーの皆さんが柔らかい感じの人たちだと分かりました。まわりをみて「分かる分かる!」と共感し合おうとする優しい方が多いんです。ですから、このカンパニーなら想いをちゃんと届けられると思いました。みんなと絆や愛を深めながら、少しずつ進めていけると思います。役としても成長していく姿が、きっとお客様にも伝わるのではないかと思います。
――1月14日に開催された製作発表会でもカンパニーの温かさが感じられました。敵対する産婦人科医・オオヤマを演じる廣川さんですら、温かい感じがしましたね。
坂田: (笑)。廣川さんは、とてもお優しい方ですからね。オオヤマとはぶつかりますが、最終的にはお互い認め合いたいという気持ちがあります。「なぜこの人はこういう意思を持っているのだろう?」という点が、最終的にどうなるのか…というところですね。初演時とは違い、今回はオオヤマの気持ちも深堀りしていきます。また新たな側面が見えると思いますので、その点も注目してほしいです。

――お二人の娘となる千璃(セリ)を演じる山口乃々華さんですが、初演時に素晴らしい演技を見せてくださいました。お二人から見た山口さんの印象はいかがですか?
坂田:実年齢でいうと娘というほどの年の差はないので、最初は「どう思う?」みたいな、ぎこちない距離感で始まりました。でも徐々に妹っぽくなってきたりお互いに砕けてきたりしています。山口さんも娘としての表現をしてくれるので、とても助けられていますし、これからもたくさん助けてもらうと思います。そこに甘えず、僕も父親として引っ張っていけるように頑張りたいです。
ジェイミン:山口さんと初めてお会いしたとき、心からわーっと熱い感情が生まれてきました。この方が私の娘になる人なんだなって思って、出会いの瞬間が印象的だったんです。とても可愛くてすごく素直な感じで、心の透明感が伝わってきました。
ビジュアルの撮影の時、日本での現場が初めてで緊張していたんです。そうしたら山口さんが声をかけてくれて、すごく優しくて…。今回お稽古が始まる時も、私が東京に着いた際に連絡をくださいました。「寂しかったり、ご飯を食べる相手がいなかったりしたら連絡くださいね」って言ってくださったので「早速いい?」って言ったんです(一同笑)。「明日でもいいの?」って言ったら「もちろん!」と言ってくれて。一緒にご飯を食べたりコーヒーを飲んだりして、たくさんおしゃべりをしました。
坂田:僕もお誘いいただいたんですけど、スケジュールが合わなくて行けなかったんですよ。すごく悔しかったです。
ジェイミン:(坂田さんのほうを見て)すごく楽しかったよ!
坂田:母と娘、2人だけの会も大事だと思うので、次の機会にまた行こうね!って言っています。ジェイミンさんが山口さんに会った時「娘~!私の娘~!」って、目に涙を溜めて言っていたんです。素敵すぎて心が温かくなったのを覚えています。

――この作品はセリちゃんを中心に親子3人で紡いでいく物語ですが、私は夫婦の関係を色濃く描いている作品だと思っています。考え方の違いで2人はぶつかったりしますが、現時点で夫として妻としてのお互いの印象をお伺いできますか?
ジェイミン:セリちゃんは「あ~!娘~!」ってなりましたが、坂田さんと最初にお会いした時は、ちょっと気まずい雰囲気がありました(笑)。でも物語の中で、いろいろ戦ったり、仲直りしたり、分かち合ったり…。そういう感情のやりとりをやっていく方なんだなと思いました。
坂田:(笑)確かに、すぐ「妻~!」「夫~!」とはならないよね。
僕はジェイミンさんに最初にお会いした時、感情豊かな方だなと思いました。ピュアさを持っていらっしゃると思ったので、美香役にぴったりだと思います。僕は今回演じる丈晴と近い部分があります。自分の本音をぶつけるよりは、伝えるべきかどうかすごく考えちゃうタイプなんです。
ジェイミンさんは、ちゃんと自分が思っていることを伝えてくれると思うし、台本を読んでいてすごくシンクロしやすい方だと思いました。今後僕がふざけすぎて「ちゃんとしてね」と言われる場面もあるのかなって思っています(笑)。

――今、シンクロというお話がありましたが、ご自身の演じる役で似てる部分と違う部分はありますか?
坂田:男性には、仕事の悩みや葛藤、家族や身近な人に対して言いたくても言えないプライドが誰にでもあると思います。丈晴もそうだし、僕自身もそうです。丈晴の姿に、共感する男性は多いのでは…と思います。
この話で言えば、セリに対して愛情を持っているしいろいろ考えてはいるけど、美香とは考え方が違うがゆえにぶつかり「当事者として考えているのか」と問われます。僕も丈晴の立場だったら、同じように思うだろうなと台本を読んで感じました。だからこそ、素直に自分の言葉として言えるせりふがたくさんあります。
ジェイミン:私も美香と似ていると思います。美香は自分の気持ちに素直ですし、表現したいことをちゃんと言葉で表現します。時には「わーっ!」って熱くなったりするところも似ていると思います。自分のキャリアに対するちょっとした野望を持っているところや、主体的に考えるところも似ていますね。
美香は、心がすごく弱っても一人で頑張ろうとします。だからこそ急に寂しくなったり、弱くなったりするところがあるんだろうなと共感できます。
――これから稽古を重ねて、どういう夫婦になっていこうと思いますか?
坂田:愛情とリスペクトを持って接していきたいと思います。時にはお互いネガティブな感情で接する時もありますが、それを乗り越えてどんどん夫婦や家族の絆を深めていきたいです。
この作品を観たあと、夫婦に限らず身近な大切に気持ちを伝えてみようかなと、心が動く部分がたくさんあると思います。そう感じてもらえるようにしていきたいです。
ジェイミン:私たちが演じる夫婦の関係は、表現するのがとても繊細だなと思っています。この作品では、一番近い存在のはずの相手が一番遠く感じてしまう瞬間を描いています。そこをどう表現すればいいのか…というところですね。
人は、自分と一番近い存在を自分と認識しちゃうんだそうです。だから「自分と同じように思ってほしい」って相手に強制してしまう部分があるんだとか。それは愛情がありすぎるところも影響していると思うので、そういう力でいろんなことを一緒に乗り越えていく、そういう夫婦を演じたいと思います。
――最後に公演に対する意気込みをお聞かせください。
ジェイミン:基本的なことに気をつけて頑張りたいと思っています。海外での生活なので、体力を保てるように自分自身を管理しようとか、皆さんとの時間を大切にしようとか、そういう基本的なことから始めて、深く物語に没入できるようにやっていきたいです。一つずつ頑張って歩んでいけば、観客の皆さんに私たちの思いが伝わると思っています。
坂田:この作品は、歌・ダンス・お芝居で僕たちの感情を乗せて表現していきます。観てくださった皆さんが、重い空気のまま帰るのではなく、上を向いて誰かに何かを伝えたいと思えるような作品になっています。一人でも多くの方にそんな気持ちを持ってもらえるような作品にしていきたいです。
取材・文:咲田真菜
撮影:岩田えり
メイク:田中エミ

ミュージカル『SERI〜ひとつのいのち 2026』
原作:倉本美香
脚本・作詞:高橋亜子
作曲・音楽監督:桑原まこ
演出・振付:下司尚実
日程:2026年2月19日(木)~3月1日(日)
劇場:あうるすぽっと(東京・池袋)
出演:山口乃々華、ジェイミン、坂田隆一郎、廣川三憲、小林タカ鹿、
岡村さやか、金子大介、今森愛夏、尾川詩帆、加賀谷真聡
演奏:桑原まこ、山口宗真、平井麻奈美、成尾憲治
製作支援:杉本事務所
企画・製作:conSept 主催:conSept、一般社団法人TruBlue
公式サイト: www.consept-s.com/reborn/seri2026
チケット:各プレイガイドにて発売中
料金:SS席13,000円、S席11,500円、A席9,500円、B席8,000円、C席6,000円
※購入時期によって価格が変動するステップ・プライスシステムを導入中。
ステップ・プライス:https://consept-s.com/step-price
公演に関するお問合せ:info@consept-s.com
チケットに関するお問い合わせ:Mitt:03-6265-3201(平日12:00~17:00)















