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美弥るりか&花乃まりあ&剣幸 Musical「The Parlor」取材会 美弥るりか「私が向き合っているように、皆さんにも考え直すきっかけになってもらえるといいな」 花乃まりあ「おふたりのお芝居を見ながら、家族として受け継がれているベース、根っこの部分を大切に作っていきたい」 剣幸「この三人で家族を演じられる楽しさ!」

美弥るりか、花乃まりあ、剣幸が出演するMusical「The Parlor」が、2022年4月29日(金・祝)から5月8日(日)まで東京・よみうり大手町ホールにて、5月14日(土)、15日(日)には兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて上演される。
演出だけでなく、ミュージカル『Indigo Tomato』など優れたオリジナルミュージカルを生み出してきた小林香が、関心を抱き続けてきた「日本の女性たちの物語」をテーマの一つとして描く、完全オリジナルのミュージカルだ。

取材会には、美弥るりか、花乃まりあ、剣幸が登場し、それぞれの心に響いたMusical「The Parlor」の魅力を語ってくれた。

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花乃まりあ    美弥るりか     剣幸

【あらすじ】
円山朱里(美弥るりか)は、幼い頃に母・千里(花乃まりあ/二役)を亡くし祖母・阿弥莉(剣幸)に育てられていたが、16歳で作ったゲームが注目を集め渡米。今はアメリカで孤高のゲームクリエイターとして生きている。
そんな朱里が阿弥莉に呼ばれて数年ぶりに帰国した。

阿弥莉はその母(朱里の曽祖母)が談話室として開き、阿弥莉自身は美容室として、娘の千里が喫茶室として守り継いできた部屋「ザ・パーラー」を閉店すると朱里に告げる。

だがパーラーの常連たちは大反対。
そこに千里にそっくりな女性が現れた。彼女は千里の死後、引き取られていった朱里の異父妹・草笛灯(花乃まりあ/二役)だった。

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―本作への思いや意気込みをお聞かせください。

花乃:作・演出の小林香さんとは以前にも一度、お仕事をさせて頂いたことがあり、とても学びの多い時間を過ごさせて頂き、また是非ご一緒させて頂きたいと思っていたので、今回香さんが長年温めてこられたテーマを描いた作品に出させて頂けるのは、とても嬉しいと思っています。
そして、素晴らしい先輩方とご一緒できるとわかった時には、とっても緊張したのですが、今はまだ、お稽古が始まって間がないのですが、リラックスして家族の役をやらせて頂けていて、すごく嬉しくて、毎日ウキウキしながらお稽古しております。

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美弥:香さんとは一度ご一緒していますが、コロナ禍の影響でダイジェスト版のようなかたちで上演することになってしまい、しかもコロナ禍が始まったばかりで手探りでお稽古する時期だったので、作品についてのセッションもできませんでした。
舞台の良いところは、皆さんと作品を共有してたくさんセッションして、そのお人柄に触れて、その方の人生を知って、もっと好きになって…というような尊いことが多いことだと思っていますが、その時にはそんなことが何も無くなってしまった感じがして、とてもショックで「これから、どうなってしまうんだろう」という気持ちになりました。
そこから少しずつ変わりながら、少しずつ光が見えてきたような今、香さんが温めてきた新作の、この作品を初めて読ませて頂いた時に、自分自身ともリンクしそうであり、誰もがもっている心の葛藤やいろんなものが織り込まれていて「もし私がこの役に挑戦できたら、すごくいい経験にもなって勉強にもなるだろう」と思いました。
宝塚歌劇団を卒業して2年過ぎたこの時期に、このような役ができるのはとても有難いお話だと思って嬉しかったです。
そして、何度も言ってしまいますが…、

花乃:何をお話しされるかわかってしまいます!(笑)

美弥:私は剣さんが月組トップスター時代からの大ファンで。私が剣さんと同じ板の上に立つ日が来るなんて!あの頃の自分に教えてあげたいと毎日そう思っています。(笑)
その頃のこと、その頃の作品、好きだった時の気持ちを思い出して…今もまだ信じられない思いでいますが、剣さんが優しくて、神様みたいな大きな心で受け入れてくださるので、私たちもスッと甘えてしまいます。まだお稽古が始まったばかりですが、親子3世代を演じる日々が幸せで、嬉しいです。

:同じところで育ってきたからこそ居る雰囲気が同じで、親・子・孫という関係性を一から構築しなくてもいい。稽古場で香さんが「なんか、家族みたいね」と言ってくださったのが、私はすごく嬉しかったです。
香さんの作品には何度が出させて頂いていますが、最初は50代の時に70代のおばあさん役で、次は香さんがずっと温めてこられたオリジナルミュージカル『Indigo Tomato』で5役やって、その中にもおばあさん役があって、今回もおばあさん役!いまや年齢も追いついてきて、回想シーンの方が大変です(笑) 香さんの作品に出させていただけて、すごく嬉しいです。香さんはいつも作品を作るときに、いろいろな資料を集めて、提供してくださり、状況を細かく説明してくださいます。人間を描くこと、普通に暮らしている人たちの傷が再生していく物語を必ず織り込んでくださっている温かさが大好きです。
だから、どんな役でも香さんが新作を作るなら出演させて頂きたいと思っているので、今、本当に幸せ。こうやってかわいらしいみんなと家族としてやっていけるのも、楽しみです。

―ご自身が演じる役へのお考えを教えてください。

花乃:私は美弥さん演じる主人公の円山朱里とは異父姉妹となる草笛灯役と、朱里の母・千里の二役をやらせて頂きます。灯さんは生まれ育った環境に疑問を持たずに生きてきて、過去のことを知らない人です。それは彼女の責任ではないし、彼女なりに真っ直ぐ育ってきたけれど、たぶん彼女の世界は少し狭い。そんな彼女がパーラーに足を踏み入れたことで、世界が広がっていく様が描かれています。
千里さんは亡くなってしまっているのですが、脚本にも「ぽかぽかした晴れ間みたいな人だった」という一文があって、私は「そんな人だと言われたらどんなに嬉しいだろうな」と思っています。
今はまだ一生懸命、役を作っている最中なので、あまりたくさんお話しできないのですが、お客様がご覧になった時に二役をちゃんと理解してくださるように演じ分けることも難しいですし、一番頑張らなきゃならないことだと思いますが、この家族に受け継がれているもの…千里さんにも灯さんにも受け継がれていて、阿弥莉さん朱里さんにもつながっているベース、根っこの部分をおふたりのお芝居をそばで見させて頂きながら大切に作っていけたらいいなと思ってお稽古しているところです。

美弥:私は16歳で新作ゲームを発表して、それが話題になって以来ゲームを作っている円山朱里という、ちょっと特殊な世界に生きている人を演じます。小さい頃に母・千里を亡くして、その悲しみから目を背けるようにしてアメリカに旅立った人で、久しぶりに祖母の阿弥莉さんに呼ばれて実家のパーラーに戻って来た。人と関わることを避けていた人が巻き込まれて人と関わることになってしまい、目を背けていた問題と無理やり向き合う。自分が思っていた世界とは違うものに触れて、シャットアウトしていた世界に入っていく。そんな彼女の人生の変化をしっかり出していきたいと思っています。
ただ、これまで私は個性的な役が多くて「日本人で女性」というナチュラルな役を演じたことがほとんどないので、稽古では香さんから「普通に」とおっしゃっていただくのですが「普通ってなんだ?!」と頭を抱えていて…。皆様のお芝居を見て、学んでいます。まずは「もっとリラックスした状態で、朱里の人生を演じられるようになりたい」と手探りしている状態です。

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:実はパーラーは私が演じる阿弥莉の母の代から4代続いています。母の時代には女性は男性が話をしている場には同席できない。例えばお酒を運んだら渡すだけ。男性は男性だけの社会で、女性はお手伝いさん的な存在だった。そんな時代に、阿弥莉の母は初めて談話室を作って、皆と話をする場を作りました。
そして私の演じる阿弥莉がその談話室を美容室にしました。それは自分がヘアカットすることで、少しでもその人の人生を変えて幸せにしてあげたい、普通ではなく、その人に似合うカットをしようという思いからでした。
そして、娘の千里が「みんながコーヒーを飲みに、毎日話しに来れるように」と喫茶室にしました。でもその娘が6歳の娘を残して死んでしまう。
そこから阿弥莉自身の人生が変わって、夢も何もかも忘れたように一生懸命、朱里を育てます。そして年老いてきて、そろそろパーラーを閉めようか…というところから、孫の朱里が帰ってきて、千里が生んだもう一人の娘・灯が突然現れる。そこで皆がもう一度、歯車を戻して、つながった絆を取り戻す、そして女性がどう生きるかという物語ではないかと思います。私はゴッドハンドの美容師を演じます。

花乃:(ゴッドハンドの美容師らしく)ハサミを廻していらして。(笑)
美弥::『シザーハンズ』みたいに。
:拳銃を回すみたいにできたらいいなと(笑)…何の意味もないですけどネ。
花乃・美弥:回ってましたよ!
美弥::私も見逃さず見てました!
:帽子を回したりするのが好きだから。
花乃:(『ミー・アンド・マイガール』の)ビルだ! (笑)

―脚本を読んだり、小林さんとお話されたりした中で、一番印象深く心に残ったことはなんでしょうか?

花乃:私自身が最初に思ったのは、対極に見える二つのものをたくさん描いているということです。例えば、古くから続いているパーラーに、新しいゲームやバーチャルなものをもっている朱里さんがやってくる。阿弥莉さんの生命力あふれるところから娘の死など、対極のものがたくさん出て来て、それが相容れない。人はどうしても自分とは違うもの、反対のものを拒絶しようとするけれど、反対があるからこちらもある…映し合っているのだなと感じて、この作品にはそんなテーマもあるのかなと感じました。
香さんが稽古初日に本読みだけでなく、2時間ぐらいみんなで話し合う時間を設けてくださいました。日本はジェンダーギャップ指数が低いことや、「生きてきた中で“これはおかしいんじゃない?”と思ったことや、違和感があったことを話してほしい」と。私はその時に「自分はなんて何も考えないで生きてきたんだろう」と自分にがっかりしました。
香さんは長年変えるきっかけをつくりたいと考えてこられて「それをエンターテイメントの力を借りてさらっとお届け・お伝えしたい」とおっしゃっていたのがとっても印象的でした。私も「もうちょっと勉強しなきゃいけない」と思いました。今までは素通りして来てしまったのかもしれないので、発見するところから初めて、皆さんにさらっとお届けできるといいなと思いました。

美弥:香さんとは以前ご一緒した時にジェンダーについてのお話をしていて、それは私も向き合っている問題だからだと思います。
皆さんと話し合った時に私が疑問に思っていて浮かんだのは、今まで宝塚歌劇団で男役をやってきて男役を卒業した俳優が、その後、表現者として生きていくときに「じゃぁ、女性としての表現に切り替えます」みたいなこと。私には不思議だったのです。私は、そうしたい人はそうすれば良いし、全員がそうする必要はないと思っていて。「スカートをはきたい」「髪を伸ばしたい」と思うまでは、ありのままの自分で生きていけばいいと思いますし「演じることに性別は関係あるのか?」と思いました。心を使って演じるので、そこに男性、女性、動物も…垣根はないと思っていたので、退団するときも「ジェンダーの垣根をつくりません」と言っていました。
香さんとお話していて、その点について考えてきた私が、今回はその問題を考えている人を演じることになった。疑問をもっていた自分が演じるからこそ、表現につなげていけるのではないか。私がこの役をやる意味があって欲しいと思います。

:最初の稽古で香さんはジェンダー問題と常識からはみ出すと生きづらい、ということを仰いました。私あまり疑問を持ったことがなくて、そこまで…と思うと同時に、自分の能天気さにも驚きました。私は子どもが黒が好きなら黒を着せてあげればいいと思う方だったので、女の子はピンク、男の子はブルーと決めている方がおかしいのではないかとも思っています。
私は小さい頃に人形ももらったけれど、グローブとボールも、プラモデルももらって、選ばせてもらえました。「お人形で遊びなさい」と言われなかったことを、親に感謝します。男だから女だからという考えは持っていないつもりですが、私自身が見ているのはあまりにも狭い世界だと思い知らされ、反省しきりです。
でも、一般的な70~80%の人が思うワクからはみ出した人たちは「えっ?!」と思われてしまうことがあるのかなと思います。そういう人たちも普通に生きられる世の中にしたいというのが、このパーラーでのつながりで、そうして語り合う場は、何世代も続くし、これからも続いていくんだろうなと思っています。

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―改めてですが、お互いの印象をお伺いしたいです。
花乃:私は剣さんの舞台を生で拝見してことはないのですが、勝手にご縁を感じているのは、『ミー・アンド・マイガール』という作品でサリーをやらせて頂いたことがあって、剣さんがご出演されたときの映像を何度も拝見しているからです。「ビルとサリーは、このおふたりから生まれたんだ」と思っているので。(思い出して)泣きそうです。どうしよう…。
ビルとサリーは私にとって特別な思い入れがあって。私の宝塚人生においても、一観客としても、すごく特別な二人です。

美弥::わかります!私も大好きなので。泣きそうになるよね。

花乃:「ビルが全人類の男性の中で一番大好き!」と本当に思うくらいです。いつも笑ってくれて、いつも笑い飛ばしてくれて、サリーも一生懸命頑張っていますが、それを包み込む大きな愛をもっているビルが大好きだったのですが、実際に剣さんにお会いしたら、本当にビルみたいで。
この前、美弥さんとお話したとき、私はまだ剣さんとお会いしたことがなかったのですが、美弥さんは剣さんを「神様みたいだった」とおっしゃっていましたが…

美弥:その時も言ってた?

花乃:おっしゃってました。(笑) お会いして、この世の方とは思えない温かさを感じて、美弥さんの言葉にすごく納得がいきました。だからお稽古場で初めて目が合った時も、自分の心がブルブルしちゃって。そのくらい温かさが周り全部を包んでいらっしゃる方だと思いました。それが、またみんなの居場所を作ってくれた阿弥莉さんというお役にマッチしている。きっと私だけでなく、みなさんがそう思っていらっしゃると思います。
こんな機会は二度とないかもしれないので、その包容力ある温かさに、私も思い切って飛び込んでお芝居したいと思っています。

そして美弥さんは同時期に宝塚歌劇団に在団させて頂いていたので、いつも舞台を拝見させて頂いておりました。ただ、まったくお会いする機会がなく、作品をご一緒したこともなかったので、こうしてご一緒させて頂いていることが不思議な気持ちです。
美弥さんはこの美しさからなのか、かなり浮世離れしたお役が多かったので、ミステリアスな印象を抱いていて、どんな方なのか、わからなかったのですが、お会いしてみると、本当に飾らない方で、先ほどの「ジェンダーの垣根を意識してこなかった」というお話を聞いて、とっても納得できてしまいました。この大きな目で、すべてをフラットに見てくださるのです。美弥さんとお話ししていると、自分が素直になれる。まだ朱里さんがとんがっている場面の稽古しかしていないので、心を通わせるところまではきていませんが、母を亡くす6歳頃の朱里…一番かわいい美弥さん…を母として一番近くで見られたりもして、ミステリアスな存在だった美弥さんの、とっても人間らしいハートフルな部分をそばで見ることができて、とても嬉しく思っております。

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美弥:在団中は花乃ちゃんとはご縁がなかったのですが「宙組にとってもかわいいこがいるらしい」と有名で、見たら本当にかわいくて。(笑) そして数年間、私と同期の明日海りおちゃんの相手役をされていて、舞台を拝見したら、かわいいだけじゃない。サリーのような強い女性もでき、かっこよさも可愛さも兼ね備えた方だと思いました。
花乃ちゃんは覚えてないと思うのですが、一度だけ、話しかけたことがあるんですよ。確か男役の何人かと廊下を歩いているときに、歩いてきた花乃ちゃんがあまりにもかわいかったので声をかけてしまったことが…。(爆笑) その時の花乃ちゃんの話してくれた感じがとても良くて。
でも、その後すぐに退団されたので、お会いする機会もなかったのですが、先日出演されていた二人芝居を拝見させて頂いて、卒業後も一人の表現者として止まっていない感じ、満足せずに進んでいる感じがかっこよくて、その時もかわいかったです。そんな彼女とご一緒できて本当に嬉しいです。

剣さんについては…どうしたお話ししたら、いいのかしら!先日の話し合いで剣さんが「ジェンダーについて、疑問を持ったことがなかったんです」とおっしゃったのを聞いて、当時の私がすごく腑に落ちたんです。

花乃:剣さんにお会いする前に、美弥さんから剣さんについてのお話を聞いていたのですが、私はセッションでの剣さんがお話しされるのを聞いた時に、美弥さんがおっしゃっていた剣さんのイメージが全部、腑に落ちました。(笑)

美弥:剣さんがいらっしゃらないところで、剣さんを熱く語ってしまっていて、すいません!
私がファンとして剣さんを拝見していた当時は、“キザな男役”…当時は“くさい男役”なんて言い方もされていました…がカッコよかったりもしましたが、剣さんは卒業が近づくにつれ、男役なんだけど人間的な魅力があふれ出ている…という印象があって、そこに私は魅かれていったのだなと。そこに魅かれたその当時の自分もすごいと思うんですが。(笑)
先日の剣さんのお話を聞いて「剣さんの人生のベースにあるものが、表現者として舞台に立ったときに一番の魅力となって現れていたのだ」と思いました。
共演させて頂けないと、そんなお話を聞かせて頂けないですし、剣さんの大きさを感じて…。なんと表現していいのか…。
ビジュアル撮影でお会いしたときも、私も泣きそうで。それは剣さんの心の温かさに触れてしまい、それに共鳴してしまうんです。

花乃:そうなんです!心臓をこうされている(両手で優しく包まれる)ような気持ちになる。

:おかしいですよ!

美弥:おかしなことを言ってるみたいですが、でも、それを日々感じられる、幸せな日々を送れています…と報告するみたいになっちゃいます。(笑)

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:今のお話を聞いて、私もわかったことがあります!
宝塚の娘役は、女が演じる男役が相手だから、どこかとがっているところがある。“娘役を演じる”という強いものがないとやっていけない。(それがいけないわけではないです。)
でも、花乃ちゃんと会った時に自然体で、柔らかさを感じました。
初めて台本を読んだときも温かさや可愛さが加わってくるので「稀有な人だな。素敵だな」と思いました。

美弥ちゃんは、宝塚時代に拝見したときに「宝塚の中だけでは収まらない人だな」と思いました。

美弥:ここ、録音をもらってもいいですか?(笑)

:もちろん、宝塚ぽい。宝塚のスターさんなんだけれど、それだけじゃない何かをもっている。花乃ちゃんも言うようにミステリアスとか、違う裏の面も持っているから、幅が広くいろんなことができる。垣根がなくて「人間を演じればいいんだ」というような度量の大きさは唯一無二なんじゃないかなと思っています。
そういう人たちと家族を演じられる楽しさ!我々三人の向かっていくところが同じなのかな。
だからお稽古していても、同じ空気が流れている。私のボールペンをまちがって美弥ちゃんが使っていて…

美弥:私が剣さんのボールペンを自然と使っていたんですよ!(笑)

:その日、私は美弥ちゃんの席に座ろうとしたりして…。つまらないことだけど、ささいなことで笑い合える。このおふたりだからだと思います。

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―本作の音楽の魅力について教えてください。
花乃:まだ全曲は聞いていないのですが、私個人の感覚としてはなんだか懐かしさ・温かさを感じるメロディの中に聞き慣れないリズムや音が少しちりばめられていて、それが受け継がれているものと新しいものが交わっているような感じがして、この作品のテーマにとても合った音楽だと思っています。早く全曲をお稽古したいなと思っています。

美弥:ホントにそうですね。温かさとおしゃれな感じが融合している曲だと思いました。リズムはちょっと難しくて、歌えるようになるまでには、まだまだ時間がかかりそうですが、歌詞と心が一致したときには、きっとメロディがスッと心にはいっていくような曲たくさんあると思いました。
まだ聞いていない曲もいっぱいあるんです。皆でゲームに挑戦していくシーンの曲はどういう曲になるのかな?と楽しみもあります。

:日本語の歌詞がわかりやすく書かれた日本人の楽曲ではないので「ええ?!ここはこういうふうにいくの?」とフェイントが来るのですが、心も体も揺れて、そこが今までにない新しい風になって、作品の中に入ってくるのではないのかな…と楽しみにしています。

―最後に注目して欲しいポイントとファンへのメッセージをお願いします。
花乃:まだ全部お稽古できていないので、自分でも「ここが!」というところをつかめてはいないのですが、家族のつながりを演じるのは、私には初めての経験ですし、宝塚の先輩方と親子三代・姉妹を演じることも二度とないだろうと思っています。
先ほど、剣さんがおっしゃっていたように、香さんがふと私たちを見て「家族みたい」とおっしゃって下さったことが、私もとても嬉しかったので、その家族のつながりにも注目して頂きたいですし、香さんがずっと大切に考えていらしたテーマについて、熱く重苦しく投げかけたいわけではないのですが、何か考えるきっかけを作れたらと思っています。
楽しんで観て頂けたら嬉しいです。

美弥:大事件が起きるわけはないのですが、だからこそ、それをミュージカルで伝える面白さがあると思います。観てくださる方の生活の中にも散らばっている感情が、いろんなところにぽつりぽつりと現れてくるのではないかと思うので、観終わった時に自分の常識や自分の思い込みについて、私が向き合っているように、皆さまにも考え直すきっかけになるといいなと思います。
そして、じんわりと心に沁みこんでいくような温かい時間にしたいと思います。まだ油断できない時期ではありますが、皆で作り上げる作品を観て頂けたらと思います。

:本作にはゲームの世界が出て来ますが、考えてみると人生はどっちを取るかで進んでいきます。私くらいの年になると、選ぶものも無くなってきて「しょうがない」と思いながら、やっぱり寂しいと思います。
でも考えようによっては、どっちにいくかは自分で決められるもの。
この作品は、女性が前向きに明るく元気になることと受け継がれていくものが最終のテーマだと思うので、観た後に皆さんが少しでも勇気を感じて「明日からも元気に生きていこう」と思ってもらえたらいいなと思います。

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Musical『The Parlor』
作・演出 小林香
作曲・編曲 アレクサンダー・セージ・オーエン
出演 美弥るりか 花乃まりあ 植原卓也 舘形比呂一 北川理恵 坂元健児 剣幸
企画・製作 株式会社アミューズ
公式HP   https://theparlor.jp/
公式Twitter @theParlor_jp

<東京公演>
会場 よみうり大手町ホール
日程 2022年4月29日(金・祝)~5月8日(日)
<兵庫公演>
会場 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
日程 2022年5月14日(土)、15日(日)
チケット料金 S席:11,000円 A席:9,000円 (全席指定・税込)