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ミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール』 内海啓貴 「異色の愛がテーマの王道ミュージカルです。とても華やかな世界が広がっています」

フランスでストレートプレイとして誕生し、映画化されミュージカルとなった『ラ・カージュ・オ・フォール』。日本では1993年から市村正親の当たり役のひとつとして、2008年からはジョルジュ役に鹿賀丈史を迎えて上演が重ねられてきた大ヒット作が、2022年3月に日生劇場に帰ってくる。
描かれるのはゲイクラブオーナーのジョルジュ(鹿賀)と、その看板スター“ザザ”ことアルバン(市村)の物語。ふたりは20年にわたって事実上の夫婦として暮らし、店を営んできた。その華やかで、人間味あふれる人生模様だ。

今回ご登場いただくのは、この名作にジョルジュとザザの息子、ジャン・ミッシェル役として初出演する内海啓貴さん。ミュージカル『グリース』に出演するなど、活躍目覚ましい内海さんに本作への意気込みやミュージカルへの思いを聞いた。

ラ・カージュ内海啓貴さんソロmiimi

 

―本作への出演が決まった時のお気持ちを教えてください。
『ラ・カージュ・オ・フォール』という歴史ある作品に、鹿賀丈史さん・市村正親さんという素晴らしい大先輩と共演させて頂けることが嬉しくて夢のようでした。うれしさと同時に大変緊張もしました。
そして作品を観ると、とても華やかな世界が広がっていました。多くの方に愛され続けている作品であり、鹿賀丈史さん、市村正親さん、素晴らしい先輩方と共演させていただけること、初めて日生劇場の舞台に立たせていただけることも光栄で、今からとても楽しみにしています。

―この作品が、こんなにも長く愛されている理由は何だと思われますか?
この作品が持っている“愛”だと思っています。観終わったあと、とっても幸せな気持ちになれる作品です。楽曲にも台詞にもダンスにも色んな“愛”がちりばめられている。ハッピーエンドで終わる“王道ミュージカル”ですが、良い意味での異色な華やかさがあって、それがこの作品にしかない魅力だと思います。

―鹿賀丈史さんと市村正親さんの俳優としての印象は?
鹿賀さんは『生きる』、市村さんは『モーツァルト!』や『オリバー!』などを拝見しましたが、立っているだけで役の歴史がにじみ出ているようなところがすごいな!と感激しました。台詞を言わずとも、歌わずとも、そこにいるだけでその役が存在していて本当に衝撃的でした。

―そんなおふたりとの共演で、期待していることは?
僕はこれまでにもたくさんの先輩方と共演させていただいてきましたが、舞台の上で勉強させていただくことはもちろんですが、稽古場でのお姿が、皆さん、とてもかっこいいんです。かっこつけている「かっこいい」ではなくて、役に対する姿勢など、稽古場でもたくさん学ばせて頂いてきたので、今回もおふたりから、色々なことを学ばせて頂けたらと思っています。実はとっても緊張していますが、稽古場での交流が舞台上でも活きると思うので若さとガッツでなんとか頑張っていきたいです。

―鹿賀さん、市村さんのほかに、特に気になる共演者の方はいらっしゃいますか?
全員です!メインキャストの方々とは、皆さん初共演なので。なかでも、初演からダンドン夫人役で出演されている森公美子さんには、何百回もダンドン夫人として生き続けられている方ならではの思いや考え方など色々お話を聞きたいです。
小南満佑子さんとはビジュアル撮影の時にお会いしたのですが、撮影ポーズの首の角度のことばかり話していて、他にはあまり話せなくて(笑)。稽古が始まったら、皆さんとお話ししたいです。

―演じるジャン・ミッシェル役については、今の時点でどんなふうに解釈していますか?
まだ台本をいただいていないので細かく作れてはいないんですが、観劇したときにジャン・ミッシェルは素直に育った子だなと感じました。それはザザが愛情深く育ててくれたからだと思うので、その素直さは出していけるといいなと思います。ただやはり、ふたりとも男の人という両親の元で育ったので、彼の“普通”と他の人との“普通”とは違うと感じることがあったりするのだと思います。僕自身も周りと比べてしまって「普通がいいな」と思った時期もあったので、昔の自分とリンクさせながら作っていけたらと思っています。

―ご自分に似ているところはありそうですか?
僕もけっこう素直なほうだと思いますから(笑)、似ているんじゃないかなって思います。

―お稽古が始まるまでに準備しておきたいことは?
台本を自分の役として読むこと、そしていろんな役としても読んで視野を広げた状態で稽古に入りたい。楽曲についても稽古場で自由にできるようにしっかり準備しておきたいと思っています。

―稽古に入る段階では台詞も全部入れておかれるのですか?
最近は「結局は全部入れないといけないんだ」と感じているので、序盤に頑張って全部入れるようにしています。

―『グリース』でもすごく踊っておられますが、ジャン・ミッシェル役は、これまでとはちょっと違う社交ダンスを踊るシーンもありますね。
はい、基礎からレッスンを始めています。今までも踊るシーンもあったのですが、運動神経とリズム感でカバーしてきたので(笑)、今回はそれではいけないと、基礎からペアダンスなどの練習をしています。ダンスで相手役との距離感を表現したり、指先まで大切なのだと気づいてきたので、そういう細かいところまでダンスで表現できたらいいなと思っています。

―歌やダンスで表現するときに特に大切にしていることは?
最終的に辿り着くのは役への思いです。ミュージカルの歌やダンスは、台詞の延長にあるものなので。最初は音を取ったり振りを覚えたりという“事務作業”みたいなことが多いんですが。最終的にいちばん大切にしているのは役の気持ちです。

―素敵なミュージカルへの出演が続いている内海さんの、ミュージカルへの愛をお聞かせください。
自分でも、こんなにミュージカルを好きになるとは思っていませんでした。僕がミュージカルをもっとやりたいと思い始めたのは3~4年前。元々歌が好きで、20歳ぐらいから路上ライブをしたりしていましたが、初めてミュージカルに出させていただいた時に「こんなに楽しい世界があるんだ!」と思い、『キンキーブーツ』を初めて観た時に「なんて華やかで素敵な作品なんだ!」と衝撃を受け「こんなにメッセージ性の強いエンターテインメントがあるんだ!」と思った時に、僕も役者としてそういう作品に出たいという思いが強くなりました。こういう状況下になっても、ミュージカルなど、エンターテインメントが心に明るい光を絶対にともせると思っているので、それを信じて、これからもこの世界で頑張っていきたいです。ミュージカルの愛は、観に来てくださるお客様を明るくできると思っています。

―“家族の絆”を描くこの作品にちなんで、内海さんご自身が最近“絆”を感じた出来事は?
最近まで出演していた『グリース』が絆で出来ている作品でした。舞台は生ものなのでハプニングはつきもので、特に『グリース』はダンスが激しいので、リフトに失敗して落ちてしまったこともあって、それを何ごともなかったかのように、さも演出だったかのように、みんなでカバーし合っていく。そこに絆を感じました

―コロナ禍で、ご自身が舞台に対する取り組み方などで変わったことはありますか?
まず自己管理を厳しくしています。もし僕ひとりでも感染してしまったら、公演に影響がでてしまうので。
そしてこのコロナ禍で、板の上のみんなの頑張りがひとつになっているのが舞台なのではなく「お客さんあっての舞台なんだ」と改めて強く思いました。
『グリース』でもそうでしたが、皆さんが毎公演マスクをして手指消毒をした上で観劇してくださっているのを見ると「お客さんと僕らとでこの作品を作っているんだな」と感じています。本当にそこは大きいです。

―マスクをしていても、お客様の反応は…
わかります!反応が嬉しいんです。「たぶん、ここは本当は声出したいんだろうな」とか、そういうこともちゃんと伝わってます。

―俳優としての未来へのビジョンをお聞かせください。
30才になった時にどういう俳優になっているかということをひとつ目標にしているので、それまで地道に頑張ってどんな役でもできる役者になれるよう力をつけていきたいです。ミュージカルを好きになって、たくさん作品を観るようになって、ミュージカルにしかない華やかさや生で感じるビートや、劇場でしか味わえない心が震える感じ、ゾワッという感覚を感じて、「自分もやりたい」「それを生み出せる役者になりたい」と思っています。

―最後に『ラ・カージュ・オ・フォール』観劇を楽しみにされているお客様にメッセージをお願いします!
異色の愛がテーマの王道ミュージカルです。観に来てくださる方には「心から楽しんでいただきたいな」という思いでいっぱいです。歴史ある作品なので、この作品を愛している方がたくさんいらっしゃると思うので、僕もこれからこの作品をもっと知って、愛して、先輩方の胸を借りながら頑張っていけたらいいなと思っております。劇場でお待ちしております!

FLYER OMOTE5

ミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール』
日程:2022年3月8日(火)~30日(水)
会場:日生劇場
料金(全席指定・税込):S席14,000円 A席9,000円 B席4,500円
出演:
ジョルジュ 鹿賀丈史
ザザことアルバン 市村正親

ジャン・ミッシェル 内海啓貴
アンヌ 小南満佑子
ハンナ 真島茂樹
ジャクリーヌ 香寿たつき

エドワール・ダンドン 今井清隆
マリー・ダンドン 森 公美子

作詞・作曲:ジェリー・ハーマン/脚本:ハーベイ・ファイアスティン/原作:ジャン・ポワレ
翻訳:丹野郁弓/訳詞:岩谷時子、滝弘太郎、青井陽治/演出:山田和也/オリジナル振付:スコット・サーモン
主催・企画製作:東宝/ホリプロ

愛知公演2022年4月9日(土) 10日(日)愛知県芸術劇場 大ホール
富山公演2022年4月16日(土) 17日(日) オーバード・ホール
福岡公演2022年4月22日(金)~25日(月) 博多座
大阪公演2022年4月29日(金・祝) ~5月1日(日) 梅田芸術劇場 メインホール
埼玉公演2022年5月7日(土) 8日(日)ウェスタ川越 大ホール
公式HP:https://www.tohostage.com/lacage/