Open Close

愛希れいか インタビュー「今は『エリザベート』に賭けています!」

宝塚歌劇団月組トップ娘役を6年余りつとめ、昨年11月に退団した愛希れいかが、6月~8月に帝国劇場で上演されるミュージカル『エリザベート』エリザベート役で新たなスタートを切る。
11月~12月に上演されるミュージカル『ファントム』のヒロイン・クリスティーヌ役での出演も発表され、ミュージカル界に登場したニューヒロインとして大きな期待が集まる愛希れいかにインタビューが叶った。

愛希れいかとは、どんな女優なのか? これまでの歩みを自ら振り返ってもらうと共に、新天地での活動への思いを語ってもらった。

IMG_9323

―これまでの愛希さんについて教えて頂きたいのですが、宝塚歌劇団に入ろうと決めたきっかけは何でしたか?
私が初めて宝塚歌劇団の公演を観たのは、小学校2年生頃に私の地元の福井に来てくれた『エクスカリバー/シトラスの風』というお芝居とショーの2本立ての作品です。それまでもバレエを習っていて舞台は好きでしたが、宝塚歌劇団が福井までなかなか公演に来てくれることはなく、その時に初めて観てまず華やかさに驚き、「ここだ!」と直感しました。観劇直後から母に「とにかく私はここに入りたい」と言っていたようです。

―その時から宝塚に入る準備をされたのですか?
いえ、バレエは習っていたので「バレエは頑張ろう」と続けていましたし、習い事程度にピアノは弾いていましたが、受験前になって「受験のために何が必要か?」と自分で調べて歌を少し習った程度でした。

―でも一発合格されたんですよね。男役娘役というのは、入学されたときに決まるのですか?
最初はだいたい身長で分けられます。私はちょうど真ん中くらいで娘役になり、「私は娘役なんだな」と抵抗なく娘役になりました。「○役がやりたい」ではなく「宝塚に入りたい!」だったので、宝塚でできるならどっちでも嬉しかったんです。1年間は娘役をやっていましたが、その間に身長が伸びたのと「できるならば、男役をやってみたい」という好奇心で男役に変わりました。

―娘役から男役に変わると、お稽古も変わってきますか?
変わります。立ち振る舞いも声の高低も違いますので、最初はまったくできなくて、いつも泣いていました。

―それは苦労されましたね。男役で宝塚音楽学校を卒業されたときには、例えば声は両方の音域をもっていらしたのでしょうか?
いえ、私は卒業した時には、まだ出ませんでした。学校で学んで出来る人もいるのですが、私は時間がかったので、音楽学校を卒業した時にはまだまだでした。積み重ねで、ずっとやり続けていくしかありませんでした。

―ずっと努力を続けてこられたのですね。そして再び娘役になられたんですね?
「自分が目指す男役には自分はなれない」と思って娘役に変わりました。そしてまたイチから学び直しながらやってきました。

IMG_9334

―本当に何倍も大変だったのですね。宝塚歌劇団時代に特に「磨いてきた」と思えることはなんでしょうか?
宝塚音楽学校受験準備のスクールはたくさんありますが、私は行っていなかったので、入学した当初はほとんど何もできませんでした。クラシックバレエだけはやっていましたが、ダンスにもいろいろなものがありますし、歌もほとんど勉強したことがなく、演劇はまったくやったことがなかったので、本当にゼロからのスタートでした。ただ私にとって「好きだ」という気持ちが大切で、一番の原動力になります。心の底から好きでやることが一番実ると思ってやってきました。好きになって、努力すること。とにかく努力しかなかった。でも「努力だけはできる」と思ってやってきました。

―具体的なエピソードを教えて頂けますか?
私は入団して初めて本格的に歌の勉強を始めたので、最初は声を出すことが怖かった…そんな始まりでした。声を出すこと事に怖さがなくなるまでは本当につらかったのですが、卒業公演で『エリザベート』に出演させて頂けた…歌がメインともいえるエリザベート役を頂いた事が、とても有難く嬉しいことでした。自分では歌うことに抵抗を感じていた時期もありましたが、新しい一歩を踏み出す今、歌が好きで「歌をもっと勉強したい」と思えています。大きな変化だと思います。

―自分からは言いにくいかと思いますが、自分の長所は何だと思いますか?
性格がさっぱりしているところでしょうか。(笑) そして、窮地に陥っているときに一番力が発揮できます。トラブルが起こった時も強くて、臨機応変に対応できる方だと思います。そこは宝塚で鍛えられましたね。ただ物事を決めるときには、不安でいっぱいになって「どうしよう…やるか、やらないか…」とかなりウジウジします。(笑) でも「やるときはやる」と決めているので、やるときにはやります!

IMG_9292

―さて、女優デビューは退団公演と同じミュージカル『エリザベート』ですね。オファーがあった時の心境は?
とても愛されている作品なので「責任が重い」と感じましたし、不安もありましたが、好きな作品ですし、挑戦できるのはとても有難いことなので「やるしかない」と思っています。

―愛希さんが『エリザベート』が好きな理由は?
まず音楽が素晴らしいですよね。プロローグで一瞬にしてあの世界に連れて行かれる、あの感覚を客席で感じて「いつか出演したい作品だ」と思って観ていました。エリザベートの人生は壮絶ですが、自分を貫いていく姿に憧れます。生きるエネルギーももらえる作品だと思います。

―宝塚でエリザベート役を演じられた時は、いかがでしたか?
苦労しました!エリザベートで役は15才ぐらいから60才まで演じますが、実は女性の一生を演じる役はあまりなく、私も初めての経験でした。舞台に出る度に年齢が変わるので、そこを細かく表現したいという気持ちもありました。歌でももちろん苦労しましたし、挙げるときりがないですね。なにより何度も再演されている作品ですから、たくさんいらっしゃるエリザベートのファンのみなさんに受け入れて頂けるか、「新しいな」と思っていただけるか…。そういう点でも挑戦でした。でもやりがいがありました。

―そして、今度は帝国劇場でのミュージカル『エリザベート』ですね。もうビジュアル撮影をされたそうですが、今考えておられることは?
自分でもまだどう役作りをしていくのか、お稽古に入ってみないと分からないところがあるのですが、宝塚では『エリザベート』というタイトルですが男役のトートが主役です。今度はエリザベートから先に歌い出しますし、男性役に寄り添うエリザベートではありませんから、しっかり確立してやっていかなければならないと思います。男性との共演も初めてですが、対抗できるだけの芯の強さのある人物を作っていかなければと思っています。
今はいつも『エリザベート』のことが頭にあって、常に考えています。でもそれが嫌にならない。それくらい魅力ある人物であり、作品だと思います。

―ミュージカル『エリザート』への意気込みをお願いします。
ミュージカル作品にもエリザベートという人物もファンが多いと思います。その素晴らしい作品に出演できることが、本当に光栄で幸せです。女優となって初めての作品でもあり、この作品に賭けています。宝塚時代は役作りする時間は短くて、「もっとお稽古したかったな」「もっと役作りしたかったな」と思うこともあったのですが、今これだけ時間を頂けてそこに賭けることができる。『エリザベート』に向けてじっくり準備して、ファンの方々に刺激的なものをお届けできるように、「観てよかった」と思って頂けるように全力で取り組みたいと思っています。

―では最後に、その先の先…女優としての目標を教えて下さい。
退団して時間ができて、まだ「どうやって時間を使おう」と戸惑っています。これから女優としていろいろ挑戦する中で「やっぱりコレが好き」や「こんなこともやってみたい」という新しい発見して目標を見つけることができればいいなと思っています。恐れずに何でもやってみたいとは思うのですが、今はまだ…『エリザベート』しか見えていません。(笑)

抜群のスタイルとあふれるような透明感は「これぞトップ娘役」と思わせるクールで華ある美しさ。ところが話しを始めるとコロコロと表情が変わる。時折のぞかせるとびきりキュートな明るい笑顔、知的でありながら親しみやすさのある微笑み…。
その豊かな表情と存在感、そしてこれまでの積み重ねと努力への強い思いを聞いて、愛希れいかの今後の活躍にますます期待が膨らんだ。ミュージカル『エリザベート』を楽しみにしています。

IMG_9298

愛希れいか
福井県出身、8月21日生まれ。
2009年 宝塚歌劇団月組男役としてデビュー、2011年 娘役に転向。2012年 『ロミオ&ジュリエット』ジュリエット役、 同年 宝塚歌劇団月組トップ娘役に着任。2018年 ミュージカル『エリザベート』エリザベート役をもって宝塚歌劇団を退団。
2019年6月開幕のミュージカル『エリザベート』エリザベート役にて出演。
ミュージカル『エリザベート』公式HP:https://www.tohostage.com/elisabeth
2019年11月開幕のミュージカル『ファントム』クリスティーヌ・ダーエ役にて出演
ミュージカル『ファントム』公式HP:http://www.umegei.com/phantom2019/

スタイリスト / Die-co★
トップス ¥50,000 パンツ¥65,000/Chicca Lualdi
シューズ ¥43,000/L’AUTRE CHOSE(T-Square Press Room)
ブレスレット/スタイリスト私物

Chicca Lualdi(キッカ ルアルディ)/アッカドゥエ
〒154-0016
東京都世田谷区弦巻5-2-16 クレール弦巻101
03-5451-3670

T-Square Press Room
〒150-0001
東京都渋谷区神宮前2-4-5 ステートビル2F
03-5770-7068