映画『犬鳴村』、『樹海村』、『牛首村』の「恐怖の村」シリーズを生み出した東映と清水崇監督が手がける最新作『忌怪島／きかいじま』。
本作は、“島”という閉鎖空間を舞台に「VR」の世界を表現。「VR」研究チーム”シンセカイ”に次々と降りかかる不可解な死と謎、解き放たれた「赤い女」の怨念が絡み合い…現実と仮想という2つの空間で、今までにない最強の恐怖を描き出す。
物語の主人公、クールで非科学的なことを信じない天才脳科学者・片岡友彦を演じたのは、西畑大吾（なにわ男子）。本作でホラー映画初主演を果たした彼が撮影時を振り返りながら本作の魅力や、これからの目標を語ってくれた。
― 今作の出演オファーがあったときのお気持ちをお聞かせください。
凄く驚きました。僕ってビビリですから、（ホラー映画の）出演のお話をいただけるとは思ってもいなかったです。以前清水さんとバラエティー番組でご一緒したことがあったのですが、まさか作品でご一緒できるとは思っていなかったので、驚きました。でも、同時にホラー映画の巨匠・清水監督の作品に参加できるのはとても凄いことだと大変光栄に思いました。
― 演じられた片岡友彦という人物とご自身の共通点はありましたか？ 役をどのように解釈されて演じたのでしょうか？
僕も人付き合いが少し苦手なところがあるので、そこは友彦と似ているかもしれません。友彦は人には興味がなくて人付き合いが苦手ですが、脳科学の知識を発言して周りから褒められると、やっぱり嬉しい。そういう素直さを持ち合わせているんです。僕も褒められたらめっちゃ嬉しいですし、褒められるために生きてるようなもんなので(笑)、そこは凄く似ているのかなと思います。
友彦は脳科学者なので、演じる前には脳の構造や部位の名前や働きを調べました。今はもう全く覚えてないんですけど(笑)。
― 清水監督作品に参加されていかがでしたか？
やっぱり凄かったです。ホラーの描写へのこだわりが非常に強くて、カメラワークもそうですし、感情や叫び方などもとても親身にアドバイスしてくださいました。凄くしびれました。
― 特にどんなアドバイスがあったのでしょうか？
僕が演じたのは、科学で立証できるものしか信じないという男でしたが、非科学だと分かっていても人間の本能というものがある。後ろに気配を感じたら怖い･･･というような本能的な恐怖を表現してほしいと監督が仰っていたので、そこは特に意識しました。僕が“イマジョ”と言われる赤い女と対峙するシーンでは、監督のアドバイス通りにやらせていただきました。独特な叫び方、怖がり方があって、それは演じていて面白かったです。最初から“うわー！”というのではなく、徐々にジワジワというような感じで。
― 清水監督の印象は？
“優しくて、気さくなおっちゃん”です(笑)。全然怖くなくて最初のイメージと違いました。巨匠と言われているので、もっと怖いんかなと思っていたんですけど、凄く優しくて、気さくです。親身に相談にも乗ってくださいましたし、凄く頼りになる監督でした。
― では、また機会があったらご一緒したいですか？
そうですね。先日監督が冗談交じりに「僕はね、もうホラー撮りたくないんだよね。ホラーじゃなくて、社会派作品を何か撮らしてくれないかなぁ」って仰っていたので、ぜひ社会派作品のときにお願いしたいと思っています(笑)。
― 奄美大島ロケで何かプラスになったと思うことはありましたか？
キャストの皆さんの中には1ヶ月余り滞在されていた方もいらっしゃったのですが、見知らぬ土地で暮らすことになったので、お互い助け合いの精神が出てくるんです。「ここのお店が美味しかったよ」「オフにここに行ってきたよ」みたいな話で盛り上がって。その環境がとても大きかったし、そんなところから皆さんとの関係性が築けていけたので、とても良かったと思います。
演じる上ではワクワク感がありました。知らない土地で自然に囲まれて、いつもの環境とは違うので少しリフレッシュした気分の中で撮影に臨むことができました。
― 一番ハードな撮影や、難しかったと思うシーンは？
やっぱり海のシーンです。奄美は天候も変わりやすいですし、潮の満ち引きも早かったので、時間的にも大変やったかなと。あとは水の中に入ってるだけで凄く体力を奪われてしまうので体力的にも大変でした。
― 島には “イマジョ伝説”とよく似た「ヤンチュの呪い」という迷信がありますが、現場で実際に何か感じるものはありましたか？
それが･･･、心霊現象みたいなものはなかったんですよ。僕は全くなかったです。凄く楽しくて和気あいあいとした現場だったので、逆に「心霊現象を作っちゃう？」と言って「心霊写真1番上手く撮れる選手権」みたいなことをやってました(笑)。“シンセカイ”のチームとスマホでそういう遊びをしていました。
― “シンセカイ”のチームの皆さんと一緒にいる時間が多かったと思いますが、ムードメーカーはどなたでしたか？
生駒ちゃんや平岡さんが主導となって話を盛り上げてくれていましたが、他のキャストの皆さんもお話好きな方が多くて、僕も凄く助かりました。特に平岡さんが引っ張ってくださっていました。平岡さんは最年長なんですけど、僕たちと同じ感覚を持っていて若いんです。それが僕たちとしてもありがたかったですし、楽しく撮影することができました。
― 今回は年齢の近い方が多い現場だったと思いますが、思い出に残っているエピソードなどはありますか？
それは色恋沙汰とかですかね？
― え？あったんですか？
色恋沙汰･･･ないです(大笑)。ほかの皆さんは撮影のお休みのときに島をエンジョイされていたみたいですよ。スキューバダイビングに行ったり、泥染め体験してみたりとか。僕は撮影があって泥染め体験に行けなかったんですが、次の日に会ったら僕のために泥染めのTシャツを作ってプレゼントしてくれて、凄く嬉しかったです！愛を感じました。今でもときどき家で着ています。
あと、僕はシャーマンの方のところに行ってちょっと見てもらいました。「胃腸に気をつけなさい」と、「仕事はまだまだ頑張りなさい」と言っていただきました。
― もし身近に今回演じた片岡友彦くんがいたら、仲良くできそうですか？
絶対できないです！絶対に！（即答！(笑)）
だって、嫌な男じゃないですか。挨拶も無視するし。早く科学の実験を始めたいという気持ちは分かりますけど、礼儀は大事ですよね。僕はそういう人は難しいかな。『忌怪島』と言う作品で彼が成長していく過程を観ることができるので、その姿を見たら好きになっていたかもしれませんが、初対面で無視されたら僕は無理ですね(笑)。
― そんな彼が今回VRを駆使するところが物語の主軸にもなっていますが、西畑さんご自身が仮想空間を作るとしたら、どんな空間を作りたいですか？
僕のことを好きな人しか入れない空間を作りたいです(笑)。みんなで日向ぼっこしたいですね。「今日は気持ちいいですね～」って。あと、全員でサウナ入って水風呂浴びて、全員で整えたいです。
― ところで、なにわ男子のメンバーの皆さんの反応はいかがでしたか？
メンバーは「もうほんまに悪いもん連れてこんといてな」という反応でしたね。（そういうジョークを言いながら）みんなも凄く楽しみにしてくれていたので出演できて良かったなと思っています。
― いま西畑さんをはじめ、なにわ男子のメンバーの皆さんも個々の活動が活発にされていますが、なにわ男子としての将来像を皆さんと話し合ったり、西畑さんご自身が将来こうなっていたいというような希望や願望はありますか？
なにわ男子のメンバーとは話し合う機会が多いのですが、「今後こうなっていきたいね」というところから、それを短期目標・長期目標、そしてその活動する上での目標を話し合っています。昨年の夏頃にちょうどそんな話し合いをして、今はそれを軸として活動しています。そのときに目標としていて叶ったことといえば「NHK紅白歌合戦」の出場。あとは「24時間テレビ」のメインパーソナリティーです。みんなで目標を決めてから、1年も経たずに叶ったことは本当に光栄なことですし、もっともっとできるお仕事が増えてくるんじゃないかと思うので、そこに向けてメンバーと話し合いを重ねて意見を合わせながら、同じ目標に向かって頑張っていきたいです。
― 最終目標みたいなものはあるのでしょうか？
最終目標は分からないです。僕らはデビューしてからの（活動の）スピードが速いので、どこかでつまづくこともあるかもしれないし、立ち止まることもあるかもしれませんが、そんなことを考えるのではなくて、いま目の前にあるいただいたお仕事をどう努めることができるかが目標になっています。
― 西畑さん個人の活動としては？
グループ活動をしているので、なにわ男子の活動に何か還元できるお仕事をこれからもやり続けたいと思っています。今回の出演で、ホラー好き方にも“なにわ男子”を知っていただける機会になると思いますし、他のキャスト俳優のファンの皆さんに僕らを知っていただけるきっかけにもなるかと。そういう機会をいろいろと増やしていきたいです。ほかには作詞をするメンバーもいて、その曲はファンの方にしかわからないような歌詞になっているので、これからもそういう挑戦を続けていければと考えています。ファンの皆さんも楽しんでいただけるような活動を心がけていきたいと思っています。
― 俳優として今後はどんなジャンルの作品に挑みたいですか？
僕はあまり「これがやりたい」というこだわりがないんです。僕はいただけるお仕事ならやりたいと思っています。ただ、僕が大好きな漫画があって･･･。その漫画が実写化されることになったら、主役はおこがましいので、どこかの役で携わりたいなという希望はあります。
― 具体的に作品名は何ですか？
物語はもう終わってるんですけど、まだ実写化したことがなくて。実写化しやすい内容だとは思うんですけど｡ジャンル的にはコメディー＋感動っていう感じかな？ 凄く好きなので、どうにかして携われんかなぁって。タイトルは言いづらいですよ(笑)。
― 役者として活動される際に、心がけてることはありますか。
僕がこのお仕事をさせていただく際に、俳優さんのお庭にお邪魔させていただいている感覚があるんです。僕はアイドルなので、なにわ男子の西畑だからこそ呼んでいただけたと思っています。その気持ちはずっと持っていたい。僕らの本職というのが何かは分かりませんが、もちろんライブは僕らの持ち分だと思います。お芝居に関してはその道のプロの方がいらっしゃるので、そこに負けないようにやらないといけないという気持ちで常に現場に向かっています。
― 役者として主演と主演ではないとき、現場での立ち振る舞いとか、共演者の距離の取り方は違いますか？
全然変わらないですね。特に今回の作品では、主演だからこうしないと･･･ということはなかったです。作品によるのかもしれませんが、主演だからと言って出しゃばりたくないし。「オレについて来て」というのはまだちょっと早いと思うし、僕の性に合っていないですから。でも、いい作品を作ろうと思うことは主演でも主演じゃなくてもみんな一緒です。ほんまに僕はずっとこんな感じですよ(笑)。
― ちょっとホラーが苦手だなという方もいらっしゃるかもしれませんが、本作を楽しみにされている皆さんにメッセージをお願いします。
この作品はホラーというジャンルになりますが、この島で起こる様々な事件を解き明かすという謎解きミステリーでもあります。事件が起こって、“イマジョ”という怨霊と対峙したり、この島から脱出することができるのかどうかというサバイバル的要素もあるので、ホラー以外にも様々な方に楽しんでいただける作品になっていると思います。そして今話題となっているメタバースというものに怨念が入り込むという、ぶっ飛んだ話ではありますが、今のメタバースの成長を見ていると、バグから何かが入って･･･というような科学の先に何かあるかもと思わせる内容でもあるので、そこも楽しんでいただければ。でも、しっかり怖いです！ そこは肝に銘じて楽しんでいただきたいです。(笑)
【西畑大吾（なにわ男子）】
1997年1月9日生まれ。＂なにわ男子＂のメンバーとして、「初心LOVE（うぶらぶ）」でCDデビューを飾る。NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」ではテレビドラマ初出演を果たす。代表作にTVドラマ「コタローは1人暮らし」（21／EX）、「新・信長公記～クラスメイトは戦国武将～」（22／YTV）、映画『PとJK』『ラストレシピ 麒麟の舌の記憶』（17）、『映画 少年たち』（19）、『KAPPEI カッペイ』（22）などがある。
映画『忌怪島／きかいじま』
【出演】 ⻄畑⼤吾（なにわ男⼦）
⽣駒⾥奈 平岡祐太 ⽔⽯亜⾶夢 川添野愛
大場泰正 祷キララ 吉田妙子 大谷凜香 ・ 笹野⾼史
當真あみ なだぎ武 伊藤歩 ／ ⼭本美⽉
監督：清水崇
脚本：いながききよたか 清水崇 音楽：山下康介
製作：柳迫成彦 與田尚志 藤島ジュリーK． 丸橋哲彦 牟田口新一郎 後藤明信 吉村和文 宮田昌広 檜原麻希
企画：紀伊宗之 企画・プロデュース：小杉宝
撮影：伊集守忠 美術：都築雄二 照明：酒井隆英 録音：田中博信 編集：鈴木理 装飾：松田光畝 スタイリスト：城宝昭子 ヘアメイク：小出みさ
特殊デザイン：百武朋 VFXスーパーバイザー：鹿角剛 音響効果：赤澤勇二 キャスティング：杉野剛 助監督：毛利安孝 ホラー担当：川松尚良 制作担当：伊藤栄
配給：東映
【上映時間】109分
【コピーライト表記】 ©2023「忌怪島／きかいじま」製作委員会
【公式HP】 https://kikaijima-movie2023.jp/
【公式Twitter】 @Kikaijima2023 (https://twitter.com/kikaijima2023)
【公式Instagram】 kikaijima2023（https://www.instagram.com/kikaijima2023/）
【公式TikTok】 kikaijima2023（https://www.tiktok.com/@kikaijima2023）
6月16日（金）全国公開
