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黒羽麻璃央インタビュー!「きっと大丈夫。多分。」この言葉があなたに寄り添ってくれる、そんな映画です! 映画『生きててごめんなさい』

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『余命10年』監督の藤井道人がプロデュースし、綾野剛主演のドラマ「アバランチ」では藤井と共に演出を担当した新鋭・山口健人監督が現代の日本の若者たちが抱える「病み」を鋭い視点で描く、映画『生きててごめんなさい』が、現在絶賛公開中!

小説家になることを夢に抱きながら、出版社に勤める主人公・修一を演じたのは、舞台・ドラマ・映画などで活躍する俳優・黒羽麻璃央。これまでも様々な顔を見せてきた黒羽だが、また一つ人間の深いところに入り込み、その感情を繊細に大胆に演じてみせた。
この難しい役どころとどう向き合っていったのか、話を聞いた。

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― 最初にこの作品の台本を読まれたときの感想と、出演が決まったときのお気持ちをお聞かせください。

台本には日常会話を切り取ったような世界観が広がっていて、まるで日記を読んでいるような感覚でした。決して誰かが死んでしまうというような話ではないのですが、物語が進むにつれてどんどん修一という人間が精神的に追い詰められていき、思い描いていた通りにいかなくなっていく、そのもどかしさというものは台本を読んだだけで演じるにあたり結構しんどいだろうなと感じました。
案の定、実際に演じてみるとやっぱりめちゃくちゃきつくて・・・。大きな波が突然現れるというのではなく、知らぬ間に揺れが大きくなっていって気が付いたら最終的に大きな波になってしまうイメージでした。

自分の中に修一を落とし込んで臨むと、その絶望感がリアルで。人間生きていればこういう経験をしている人はたくさんいるだろうなと思うんです。修一は明るい青年なんですが、1つのことを取りこぼして、それからあっちもそっちもダメになって全部が上手くいかなくなる。それが妙にリアルで。でも現実ってこんなもんだよな・・・っていうのが凄く突き刺さりました。

― 大変だったのは具体的にどんなところだったのでしょうか?

修一は本当にどこにでもいるような平凡な人間。僕が今まで演じてきたのは、どちらかというと個性が強かったり、癖がある役がらが多かったのですが、普通の人間でも実は何かに依存している。修一で言うと、自分よりも駄目な存在だと思っている莉奈がそばにいることで安心できている。莉奈は自分がいないと何もできない子だと思っているんです。修一がそういう存在に依存しているんですね。でも、実は莉奈には才能があったことが分かるともう面白くないんですよ。それも自分の好きなジャンルで、自分の一番身近な人間だからこそしんどかったと思うんです。

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― 確かに物語の中で大きな事件が起こるわけではなく、淡々と日々が過ぎていく中での人の心の機微を表現するのは大変だったのでは?

そこは山口監督とよく話し合いました。心情の変化、感情が出てくる瞬間を細かく「○○%出して」というように言われました。この撮影は、ちょうどミュージカルに出演している間に撮っていたので、どうしても表現が大きくなってしまう部分があったんです。そこをどんどん削ぎ落してリアルな表現に導いてもらえたのは、山口監督のおかげだと思っています。

― 表現方法を“%”で表すのは山口監督らしいですね。劇中には伏線がいろいろ張られていますが、最後にちゃんと回収されていてさすがです。山口監督との初タッグはいかがでしたか?

僕もそう思いました。藤井さんはほとんど現場にはいらっしゃいませんでしたが、どこかに藤井さんの風を感じましたし、山口監督も妥協することなくテイクを何回も重ねて、ずっと役者と向かい合ってくださっていました。やっているときは「これでもまだOK出ないのか・・・」と正直思ったこともありましたけど(笑)、完成した作品を観たときに、やっぱり諦めずに何度もトライさせていただけて良かったなと感じました。
この作品は山口監督ご自身が投影されているとおっしゃっていたので、わかりやすく説明してくださったので助かりました。

あと、監督がちょっと可愛いなって思った瞬間があって・・・。ある日、現場で女性陣たちに「髭がある男はどう?」と聞いたときに、「やっぱり髭がない男の人の方がいいよね」という話になったんです。山口さんもその時は連日撮影づけで髭を剃ってる暇もなかったと思うんですが、その次の日、監督のマスクの下はもうヒゲがしっかり剃られていて・・・(笑)。気にしたのかな・・・可愛いなぁと微笑ましく思ったこともありました。

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― 基本的には優しい修一ですが、黒羽さんご自身と似ていると思うところ、共感する部分はありましたか?

きっと誰しもそうかもしれませんが、自分よりちょっと駄目だと思う人が近くにいると安心するというところは分からなくもないですね。自分の近くにそういう人がいるということではないですが、人間の本性にはそういうところがあるんだろうなと、ちょっと考えさせられました。あと、似ているところで言うと、“頼まれたら断れない”ところかな(笑)。

修一を見ていると、やっぱり会社勤めの人には急な仕事の引継ぎとか理不尽なことが当たり前のようにあるんだろうなと思ったし、それでも修一は自分の夢である小説を書こうとしていたのは凄いなと。莉奈に対しては多少雑な扱いをしたところはありますが、自分の夢にちゃんと向き合える姿勢は素晴らしい人間だと思いました。

― やはり、好きだということが原動力になっているのかもしれませんね。黒羽さんもどんなに忙しくても“野球がやれる”と言われたら行きますか?

やりますね!(笑)、投げられる限りは。そこは修一との共通点かもしれないですね。この映画を観てくださる方にも、どこかしらで「これ、わかる」という気持ちを持っていただけたら嬉しいです。

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― 世の中には理不尽で自分の思い通りにいかないこともいっぱいあると思います。黒羽さんもどうしても断れないときがあるとのことですが、そういうときにどうやって乗り越えますか?

やりたくないなぁと思うこともありますけどね(笑)。でも、これができたらカッコいいな!って思うようにしています。一度自分を客観的に見て、これできたらカッコいいし伝説だな!とプラスのほうに思考を働かせるんです。子供みたいですけどね(笑)。

―ところで、穂志もえかさんとの共演はいかがでしたか? お二人の演技がとてもリアルです。

穂志さんは本当に凄かったです!バケモノだなと思います(笑)。もうずっと莉奈なんです。カメラ回ってないときもずっと莉奈の香りがするというか・・・。僕は比較的にカメラが止まると素に戻るんですが、穂志さんはずっと莉奈の片鱗がある。この人、凄いなと思いながらご一緒させていただきました。なので、お芝居は凄くやりやすかったですし、僕のほうが足を引っ張らないように頑張ろうと臨みました。

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― この作品は誰かと一緒に観たとしても、もう一度1人で観たいと思うような作品でもあるかと。

そうなんです。作品のテイスト的なものかもしれませんが、観終わった後に強く背中を押してる作品ではないんですが、頑張ってる自分を自分でいたわってあげる気持ちになる、そっと背中を摩ってあげているような作品なんです。映画を観た帰りにちょっと美味しいご飯食べて帰ろうかな、みたいな感じになってもらえれば。

― ダメだっていいじゃん!という気持ちにさせてくれる?

そうそう。この映画のキャッチフレーズが「きっと大丈夫。多分。」なんですが、これが凄くいい言葉だなと思っていて。“多分”が付くことによって、全然責任がなくて、言い切ってない “大丈夫だよ”になる。でも、そこに何か余裕が生まれるんです。ここに凄く強い意志があるのに、ちょっと力が抜けるいい言葉だなと。最近僕に一番刺さった言葉です。

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― これまでも色んな顔を見せてくれてきた黒羽さんですが、今作ではより深い黒羽さんの一部が見れた気がします。黒羽さんが本作に出演されて何か得たものはありますか?

芝居の繊細さみたいなものをあらためて教えていただいたと思います。舞台に立つことが多いのでそう感じるのかもしれませんが、いかに相手と芝居をするのかということ、芝居を繊細に繊細に作っていくということ。芝居とは何かということをもう一度体感できた作品でした。

― 俳優として多方面で活躍の幅を広げられている黒羽さんですが、今後俳優として目指すものは?

俳優として明確なことは、実力をちゃんとつけるだけです。今は俳優として売れたいということはあまり思っていません。その順番を間違えちゃうとやっぱり怖い世界なので、この人は面白い芝居をするな、凄い芝居をするなというところを皆さんに認めてもらってから、観てくださった方に何かが刺さるようなものを生み出していきたい、面白い作品を1つでも多く作っていけたらいいなと考えています。でも、昔は少しでも名が早く出たいという気持ちが強かったんですよ。だんだんそうではないものに変わっていきましたね。

― それでは最後に、この作品をご覧になる皆さんにメッセージをお願いします。

この映画は観てくださった方にそっと寄り添ってくれるような作品になっていると思います。何か辛いことがあったらこの映画のことを思い出して、“きっと大丈夫。多分。”っていうメッセージも思い出してほしいです。世の中には思い通りにいかないこともいっぱいあると思います。演じた園田修一くんも絶望を感じることがありましたが、それでも頑張って生きているので、皆さんもこれからも一緒にこの映画と共に生きていてほしいなと思います。“きっと大丈夫。多分。”が寄り添ってくれます。

ヘアメイク:有村美咲
スタイリスト:ホカリキュウ

撮影:ナカムラヨシノーブ

【黒羽麻璃央 プロフィール】
1993年、宮城県生まれ。俳優。みやぎ絆大使。第23回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストで準グランプリを受賞。舞台では「ミュージカル『テニスの王子様』」「ミュージカル『刀剣乱舞』」、「ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』」などに出演。今年1月31日に大千秋楽を迎えたミュージカル「エリザベート」ではメインキャストの一人、ルイジ・ルキーニ役を務めた。
映像での出演作には、現在放送中の「夕暮れに、手をつなぐ」他、「競争の番人」、「リコハイ‼」、「恋はつづくよどこまでも」「SUITS/スーツ2」など。2021年には所属事務所の取締役に就任したほか、舞台を中心に活躍する若手俳優たちが東京ドームで野球大会をするイベント「ACTORS☆LEAGUE 2021」で企画・プロデュース、チーム「BLACK WINGS」のキャプテンを務め、様々な才能を発揮し続ける。

生きててごめんなさい_ポスタービジュアル

映画『生きててごめんなさい』
■イントロダクション
『余命10年』監督の藤井道人がプロデューサーとして新たなテーマを世に送り出す。本作の監督を務めるのは、藤井監督の下で多くの作品に携り、綾野剛主演のドラマ「アバランチ」では藤井と共に演出を担当した新鋭・山口健人。令和を代表する二人のクリエーターが、新作映画『生きててごめんなさい』(通称:イキゴメ)で現代の日本の若者たちが抱える「病み」を鋭い視点で描く。

主演は社会現象を引き起こしたミュージカル「刀剣乱舞」のメインキャラクターである三日月宗近役を演じた黒羽麻璃央。本作ではそれまでの華やかな役とは違う一癖ある難しい役どころに挑戦。
ヒロインの莉奈役は、映画『少女邂逅』(監督:枝優花)で初主演を務め、『街の上で』(監督:今泉力哉)などの話題作に出演し、アメリカのテレビシリーズ「SHOGUN」の放送が控えるなど、着実にステップアップしている穂志もえかが務める。

黒羽演じる修一の高校の先輩で大手出版社の編集者・今日子役で松井玲奈(『よだかの片想い』主演)、修一が編集を担当することになる売れっ子コメンテーター・西川役で安井順平(「妖怪シェアハウス」「極主夫道」)、修一の同僚役で冨手麻妙(「全裸監督」奈緒子役)、莉奈のバイト先のカップル役で八木アリサ(ミュージカル「RENT」ミミ役)と飯島寛騎(「仮面ライダーエグゼイド」主演)が演じる他、安藤聖、春海四方、山崎潤、長村航希ら実力派が脇を固める。

■あらすじ
出版社の編集部で働く園田修一(黒羽麻璃央)は清川莉奈(穂志もえか)と出逢い、同棲生活をしている。
修一は小説家になるという夢を抱いていたが、日々の仕事に追われ、諦めかけていた。莉奈は何をやっても上手くいかず、いくつもアルバイトをクビになり、家で独り過ごすことが多かった。
ある日、修一は高校の先輩で大手出版社の編集者・相澤今日子(松井玲奈)と再会し、相澤の務める出版社の新人賞にエントリーすることになる。
一方、自身の出版社でも売れっ子コメンテーター西川洋一(安井順平)を担当することになるが、西川の編集担当に原稿をすべて書かせるやり方に戸惑う。修一は全く小説の執筆に時間がさけなくなり焦り始める。
そんな中、莉奈はふとしたきっかけで西川の目に止まり、修一と共に出版社で働く事となる。西川も出版社の皆も莉奈をちやほやする光景に修一は嫉妬心が沸々と湧き、莉奈に対して態度が冷たくなっていく。いつしか、喧嘩が絶えなくなり―。

出演:黒羽麻璃央  穂志もえか
松井玲奈 安井順平 冨手麻妙 安藤聖 春海四方 山崎潤 長村航希 八木アリサ 飯島寛騎
監督:山口健人
企画・プロデュース:藤井道人
脚本:山口健人 山科亜於良
制作プロダクション:スタジオねこ
配給:渋谷プロダクション
©2023 ikigome Film Partners

公式サイト:https://ikigome.com/
公式Twitter:https://twitter.com/ikigome_movie
公式Facebook:https://www.facebook.com/ikigome

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