
映画『平場の月』の完成披露試写会が、10月29日、東京・イイノホールにて行われ、主演の主演の堺雅人をはじめ、共演の井川遥、坂元愛登、一色香澄、中村ゆり、吉瀬美智子、椿鬼奴、大森南朋と、土井裕泰監督が舞台挨拶に登壇した。
本作は、朝倉かすみの小説「平場の月」を原作に、中学時代の同級生が時を経て再会し、離れていた歳月を埋めながら心を通わせる物語。『花束みたいな恋をした』の土井裕泰監督がメガホンを取り、大人のリアルで切ないラブストーリーに仕上げた。妻と別れ、地元に戻って印刷会社で働く主人公の青砥健将を堺雅人、青砥が中学時代に想いを寄せていた、須藤葉子を井川遥が演じ、2人の中学時代を、坂元愛登(青砥役)、一色香澄(須藤役)が扮する。また、主題歌は星野源が書き下ろした「いきどまり」に決定し、映画の世界観を彩る。

完成作品を観た感想を、堺は「僕以外良かった。自分は冷静に見られないから。この2人(坂元と一色)が特に良い。皆さん楽しみにしていてください。本当に、若いっていいなと思いました」と、坂元と一色を称え、満面の笑みを浮かべる。そして、「撮影中もそうなんですが、原作を読んだ時も後からいろんなことを思い出す作品。観終わった後、お風呂入った時とか、家事の合間とかで、「あれって何だったんだろう」みたいな瞬間が結構あって、後から後から押し寄せる波のようにじわじわくる物語です。ぜひ末永く愛していただけたらと思います」と続け、作品の出来栄えに胸を張った。
これまで何度も共演を果たしている堺と井川だが、ここまで2人きりの撮影は初めてとのこと。井川が「ロケから始まって、凄く寒くて・・・」と話し始めると、堺が「寒かったですね。2人で体操したりしました。井川さんがいろんな体操を教えてくれるんですよ。それが延々続くんです。肩甲骨を動かして、『足もつけてみましょう』って」と、ジェスチャーを付けて体操の様子を明かし、会場の笑いを誘う。井川も「やっぱり私たち世代の作品なので、体をお互い労り合いながらね」と笑った。

井川は「私たち世代の作品ってなかなかないよねって(堺と話し)。これまでは誰かを支えたりする母親役が多かったんですが、1人の女性として恋をするということで、堺さんと心通わせて、本当にいい時間を過ごさせていただきました」と充実感を滲ませると、堺も「撮影初日が2人のシーンからだったので、それから始まったので、とてもよかったです」と同調。

また、土井監督と堺は、早稲田大学の演劇サークルの先輩後輩という間がら。今回やっとダッグを組むことになったが監督は「お互いにちょっと知っている同士みたいな感じで、本当に一度仕事させていただきたい俳優さんの1人だったんですけど、今回ご一緒できて凄く嬉しかったんですよね」と喜び、「(堺さんは)歴史上の人物などを演じていらっしゃることが多いんですけど、今回はどこにでもいる普通の50歳の男の人。ここまでちゃんと役を真剣に、細かく誠実に向き合うのかという、その姿を見てとても感銘を受けました。とても楽しかったです」と堺を絶賛。

今回は中学パートを先に撮った上で、大人の青砥と須藤に入ったことも大事な特徴となるが、坂元は「凄くプレッシャーもありましたが、現場に入って、香澄ちゃんが演じる須藤を見た時に、なんか何も考えずに、そこにいる須藤から感じることに集中するだけで自分の中の青砥が出来上がっていく感覚があって。もうただただ須藤を追いかけていただけですごく楽しかったです」と現場の様子を語る。堺から「かっこいいですね」と声をかけられ、「ありがとうございます。嬉しいです」と、照れ笑いを浮かべる瞬間も。

一方の一色も「愛登さんが全力で青砥を演じてらっしゃるのを受けて、私も須藤を演じられたなっていうふうに感じているので、私の方こそ感謝しています」と述べ、互いを思いばかった。
そんな2人からバトンを受け取った堺と井川。堺は「今のお2人のコメントで心が洗われました。僕も慢心せず、ちゃんとこう準備して、現場の共演者に集中して、邪心なくやらなきゃなと思いました」とし、「お2人のシーンを撮った映像をスマホでデータとして送っていただいたんですね。家でその映像を観て「あ、もうできたも同然だな」と、これに乗っかればいいなと思いました」と、2人の演技を称えつつ、「家でゴロゴロしてたらスマホでデータで送られてくるという、技術の進歩に感動いたしました」と、違う感動もあったよう。
井川は「私は監督と、あと関係者の方々とお会いした時に見て、もうちょっと大きな画面で観たので、その迫力と瞳一つの動きで感情の揺れみたいなものを感じて、『ああ、この繊細さとか、須藤の強さとか、いろんなものをもらって入れそうだな』って感じがしました』と回顧。

須藤の妹・みっちゃんを演じた中村は、「お二方とも細かいことに気づいてくださって、凄く褒めてくださるので、私も見習わなければいけないと学ばさせていただきました。私が今まで拝見してきた井川遥さんコレクションの中で、自分の推し井川遥さんの作品を井川さんにお伝えできました」と共演を喜んでいた。

青砥が勤める印刷会社の同僚で、また中学時代の青砥と須藤の同級生・安西千恵を演じた椿鬼奴。MCから「けっこう大事なセリフ、シーンもありましたね」と言われ、「本当に私が一番驚きましたね。あんな重要なこと私が言うんだ!って。でも、安西はさらっとしてるんです。そこもリアルな感じがして・・・。本当に大事なこと言ってるんですよ」とアピールする。

青砥の元妻・上村美月を演じた吉瀬は、プライベートでも井川と仲がいいとのこと。井川との共演に「共演は初めてなんです。セリフ交わすわけじゃなくて、監督さんから「視線で伝えろ」と。そこに全集中持って行った感じでした。いろんな思いが」と述懐する。

青砥と須藤の中学時代の同級生で、青砥とは今でも交流がある・田渕剛を演じた大森は、堺とは久しぶりの共演だったが、「僕らのシーンの現場は非常に楽しかったです。ただ、大人の身につまされるような世界がこう動めいてるんです」と話し、「僕らは同級生という役で、宇野祥平くんと吉岡睦雄くんと、僕と堺くんでちょっとぐずぐず楽しくやってるところがあるので、そこも楽しんでいただけると思います」と笑顔で話していた。

さらに、劇中で“イチ推し”のセリフやシーンを発表した登壇者たち。堺は「お前!」というセリフを発表し、「最初は違和感があったけれど後からいいなと思った」と理由を述べ、井川は「ちょうどいい幸せなんだ」、坂元は一緒にいてくれる人がいるのは当たり前じゃないんだぞ」、一色は「私一人で生きていくって決めてるの」と答え、中村は「青砥がお姉ちゃんにプレゼントするシーン」、椿鬼奴は「思い出ってなかなか捨てらんないのよね」というセリフ、吉瀬は「劇中で流れる曲」と。大森は「考えてきた4つくらい、もう言われちゃったので」と「井川さんが言う『それはあまりにも青春だし』です」と発表し、それぞれが違うセリフやシーンを答え、見どころの多い映画を象徴していた。

なお、上映後にサプライズで堺雅人と井川遥が登壇し観客たちは大興奮! 会場に温かい空気が流れた。

<Story>
妻と別れ、地元に戻って印刷会社に再就職し、慎ましく、平穏に日々を生活する、主人公・青砥健将(あおと けんしょう)。
その青砥が中学生時代に想いを寄せていた須藤葉子(すどう ようこ)は、夫と死別し今はパートで生計を立てている。
お互いに独り身となり、様々な人生経験を積んだ二人は意気投合し、
中学生以来、離れていた時を埋めていく――。
ある日、アパートの部屋から月を眺めていた須藤。
「お前、あのとき何考えてたの?」
青砥にそう問われ、
「夢みたいなことだよ。夢みたいなことをね、ちょっと」
そう答えた須藤。
再び、自然に惹かれ合うようになった二人。
やがて未来のことも話すようになるのだが・・・。
作品概要
タイトル:『平場の月』
出演: 堺雅人 井川遥
坂元愛登 一色香澄
中村ゆり でんでん 安藤玉恵 椿鬼奴 栁俊太郎 倉悠貴
吉瀬美智子 宇野祥平 吉岡睦雄 黒田大輔 松岡依都美 前野朋哉
成田凌 塩見三省 大森南朋
原作:朝倉かすみ「平場の月」(光文社文庫)
監督:土井裕泰 (『花束みたいな恋をした』『罪の声』『映画ビリギャル』)
脚本:向井康介 (『ある男』)
製作:映画『平場の月』製作委員会
公開表記:2025年11月14日(金)より公開
コピーライト:©2025映画「平場の月」製作委員会
公式HP https://hirabanotsuki.jp/
公式X @hirabanotsuki
公式Instagram @hirabanotsuki
11月14日(金)全国東宝系ロードショー
















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