映画『フロントライン』のジャパンプレミアが、5月28日、東京・丸の内ピカデリーにて行われ、主演の小栗旬をはじめ、共演の松坂桃李、池松壮亮、窪塚洋介、森七菜、桜井ユキと、関根光才監督が登壇した。
2019年12月に中国の湖北省武漢市で初めて発生が確認され、2020年に入ってから世界的流行(パンデミック)を引き起こした新型コロナウイルスを事実に基づく物語としてオリジナル脚本で映画化。2020年2月3日に横浜港に入港し、その後日本で初となる新型コロナウイルスの集団感染が発生した豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」を舞台に、日本が初めて治療法不明の未知のウイルスに直面し、この状況下で家族を残し、安全な日常を捨てて「命」を救うことを最優先にし、最前線に駆けつけた医師や看護師たちの奮闘を描き出す。
当時、日本に大規模なウイルス対応を専門とする機関は存在せず、急きょ対応することになったのは災害医療を専門とする医療ボランティア的組織のDMAT(ディーマット)。主人公の救急医でDMATの指揮官・結城英晴を演じた小栗は「僕自身も報道を見ていましたが、当時は海外にいて、ロックダウンを経験したもの凄い不安があったことを覚えています」と振り返る。
厚生労働省の立松信貴を演じた松坂は「コロナ禍を経験したことがある皆さんだからこそ、得るものがあると思っております。これはもう全員が共通として持てるもの、体験として感じることもあると思っています」と感慨。
船内で働くクルー・羽鳥寛子を演じた森は「私のモデルとなった方は『大切なのは下船される方にいつも通りの笑顔で帰っていただくこと』と仰っていました。リスペクトを忘れないことを大切に臨みました」と語る。
現場の取材をするテレビ局のディレクター・上野舞衣を演じた桜井は「この作品を1人でも多くの方に触れていただきたい」としながら、「私の役にはモデルはいませんが、視聴者の方々に一番近い存在かと。報道マンとしての気持ちの揺らぎを大切にしたいと思いました」と述懐した。
DMATの立ち上げに尽力し実働部隊のトップ・仙道行義を演じた窪塚は「完成した作品を観て涙が止まらなかったシーンがたくさんありました。この映画を観終わったときに、あのコロナ禍が奪った人、物、かけがえのないその時間のいろんなものが、これから前に進む力になると確信しております。そのように皆さんが観ていただけることを心から思います」と真摯に語り、「(出演に)誘ってくれた旬、この場を借りてありがとう」と、隣に立つ小栗に感謝の気持ちを伝える。
また、作品を通して「諦めた人が諦める人を作る、諦めずに命をかけてこの国を守る、この命を守るのですが、でも、命より大事にしたいものがあると・・・」と言い、小栗にマイクを向ける。すると小栗が「人道的なもの」と答え、「この人たちはそれを守ってくれたんです」と熱く語った窪塚だった。
監督は「この素晴らしいキャスト、そして惜しみなく協力をしてくださった医療従事者の方々に感謝します」と、映画の完成に感無量。
実在する人物を演じることに難しさもあったようだが、役作りについて小栗は「モデルの先生はいますが、その人になるというより、彼らが受け取ったものを表現するので、アプローチが違うんです。でも経験したことを全部話してくれて、その時にどんな思いで向き合っていたのかをお伺いしたうえで、あの船に乗っている最中に一番に何を大切にしたか、優先したのかの葛藤を大切にしながら演じました」と回顧。そして「現場では実際に先生が使われていた聴診器をつかったり、いろんなことにサポートしていただきました」と感謝の気持ちも忘れなかった。
松坂も「その時どう感じたかということが大事」と小栗の言葉に同調しつつ、「官僚というのは批判されるけど評価はされにくいもの。全体を俯瞰で見ながらいろんなプロセスを踏んで、ジャッジをしていかなければいけない。周りには伝わりにくい仕事ですが、それを今回は厚生省としての向き合い方をちゃんと提示したいと思いました」と役をしっかり向き合った様子。
DMATの隊員・真田春人を演じた池松は「細々としたことから大きなこともある中で、実際に当時に船に乗り込んだDMATの方がいつも誰かしらいてくれたんです。撮影の時期は能登の被害もあって大変なときだったんですが、真摯に現場を見守ってくださって何でも聞ける状態を作っていただけたことがとても助けになりました。5年前の感謝、そして日頃の感謝を含めて医療従事者の方々に捧げられるような役にしたいと思っていました」と思いの丈を口にしていた。
<あらすじ>
2020年2月、乗客乗員3,711名を乗せた豪華客船が横浜港に入港した。香港で下船した乗客1人に新型コロナウイルスの感染が確認されていたこの船内では、すでに感染が拡大し100人を超える乗客が症状を訴えていた。出動要請を受けたのは災害派遣医療チーム「DMAT(ディーマット)」。地震や洪水などの災害対応のスペシャリストではあるが、未知のウイルスに対応できる経験や訓練はされていない医療チームだった。対策本部で指揮を執るのはDMATを統括する結城英晴(小栗旬)と厚労省の立松信貴(松坂桃李)。船内で対応に当たることになったのは結城とは旧知の医師・仙道行義(窪塚洋介)と、愛する家族を残し、船に乗り込むことを決めたDMAT隊員・真田春人(池松壮亮)たち。
彼らはこれまでメディアでは一切報じられることのなかった<最前線>にいた人々であり、治療法不明の未知のウイルス相手に自らの命を危険に晒しながらも乗客全員を下船させるまで誰1人諦めずに戦い続けた。
全世界が経験したパンデミックの<最前線>にあった事実に基づく物語―。
【作品情報】
■タイトル:『フロントライン』
■公開日:6月13日(金)
■出演者:
小栗旬
松坂桃李 池松壮亮
森七菜 桜井ユキ
美村里江 吹越満 光石研 滝藤賢一
窪塚洋介
■企画・脚本・プロデュース:増本淳
■監督:関根光才
■製作:「フロントライン」製作委員会
■制作プロダクション:リオネス
■配給:ワーナー・ブラザース映画
■クレジット表記: © 2025「フロントライン」製作委員会
■オフィシャル:公式サイト FRONTLINE-MOVIE.JP/公式X @frontline2025/ハッシュタグ #映画フロントライン
6月13日(金) 全国公開