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9月上演!『ふるあめりかに袖はぬらさじ』製作発表記者会見

9 月 2 日(土)~26日(火)に新橋演舞場にて上演される『ふるあめりかに袖はぬらさじ』について、8月7日(月)に製作発表記者会見が行われた。主演の大竹しのぶ、出演する薮宏太(Hey! Say! JUMP)、美村里江、風間杜夫と演出の齋藤雅文が登壇。作品の魅力と稽古場の様子を語った。

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齋藤雅文 美村里江 大竹しのぶ 薮宏太 風間杜夫

『ふるあめりかに袖はぬらさじ』は、1972 年に有吉佐和子が自らの短編小説「亀遊の死」を元に書い戯曲で、杉村春子が主演・お園役で初演され、これまで新劇や歌舞伎、新派、音楽劇など、さまざまな形で繰り返し上演されてきた名作。演出は劇団新派文芸部に所属し、歌舞伎や現代演劇、ミュージカルなど幅広い作品を手掛ける齋藤雅文。

幕末の横浜を舞台に、遊女の亀遊(美村里江)は外国人に身請けが決まり、恋仲の藤吉(薮宏太)との恋が成就しないことを嘆き、命を絶たった。亀遊と親しかった芸者・お園(大竹しのぶ)は、その死を深く悲しむも、ある日、目にした瓦版に驚く。そこには亀遊を「異人に身体を許すならば自らの命を絶つことを選んだ“攘夷女郎”」として書かれていたのだった…。

齋藤雅文:この作品は社会批判あり、善悪定かならぬ人間の深い魅力を描いて余りあり、今の社会の鏡になる作品です。元々文学座で上演され、戌井市郎先生が演出され、その基本的な形はずっと継続されてきました。良いところは丁寧に継承したいと思っています。(坂東)玉三郎さんがなさる場合も、戌井先生の演出は基本的に崩さずになさっていたわけです。私もその延長でやりますけれども、 このメンバーですので新しく考えていることがあり、転換もすべて見せて、装置もあかりも音楽も変えていきたいと思っております。
この作品は新劇の小さな劇場でも、大劇場でも同じテキストで通用する珍しい作品です。しかも50年近く、いろんな方がなさっている、懐の深い作品なんです。しかも主人公がラブロマンスの主人公でないものは、実は非常に少ない。その代わりと言っては変ですが、藪君と美村さんがまっすぐな恋愛をして、物語の軸になります。珍しいですが、難しくない。で、面白い、笑える。泣けるし、切ない、大変切ない話です。

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大竹しのぶ:日本にはこんな素晴らしい戯曲・お芝居があるのだということを、若い人に見ていただきたいなと思います。私も出演のお話を頂いて初めて戯曲を読んで、玉三郎さんが歌舞伎座でなさった公演を見させていただいて、なんて良い戯曲だなと。面白い、泣いて笑っていろんなことを考えさせられて。何十年前に書かれていたとしても、良い戯曲は現代の問題をきちんと描いてるんだなと思い、稽古も楽しいです。問題は私が芸者役をやったことがないので、今まで興味を持ったことがない三味線に1から挑戦しています。それも楽しくて。まだ弾けるようにはなっていないけれど、後3週間で弾けるようになります。
(役への切り替えは)違う人になるというだけです。お園がおしゃべりで芸者なので、自分と全然違うので、やっていて楽しいです。おしゃべりな人はしゃべっていると幸せなんだと思って、自分の心地よいテンポで(とおしゃべりする風にペラペラと実演し)わかります?(笑)

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藪宏太:本格的な時代劇は初めてなので、毎日毎日、勉強をさせていただいている日々でございます。昨日、大人数での稽古が始まり、亀遊さんが身請けされてしまう場面で、自分は通訳をしているのですが、亀遊さんがすごい眼光で見つめてくる。僕はそこで何もできない。その儚さやもどかしさとか、この恋を成就できないことや緊張感、いろんな感情が入り混じってしまって、齋藤先生が「はい、ここまで」と言った時に、くらっとしてしまった。そこまで自分が考えながらやっているのと、藤吉という人物がこの時代の中で恋が成就しない気持ちをとらえているんだなと、自分の知らない自分を発見することができまして、びっくりしました。
(過去に)藤吉役を演じた方もいて、「こういう時は僕こうしてたよ」とか所作などいろんなことを教えてくださって、緊張感もあるんですけど、毎日稽古場に行って勉強しに行くんだぞという気持ちで臨んでるので、家から稽古場にワクワクしながら行っています。

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美村里江:家で練習してる時から毎回涙が出てしまうんですね。泣くシーンでもないと思うんですけど、単純に私の体の反応として、この物語を体に入れると、涙が毎回出てしまうぐらい辛い。この人に幸せになってほしかったという部分がすごくあります。
しのぶさんは芸者役をやったことがないと聞いてびっくりするぐらいはまっています。風間さんの商売人ならではの下卑た笑い、台詞回しから表情、すべてが素晴らしいです。

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風間杜夫:(演じる岩亀楼の主人役は)儲け話にすぐ食いつく。目先の判断は儲かるか儲からないか。それだけで生きてる。情のかけらもない。これは私の性格とは全く違う役です。時代に流されていく商人です。こんな人はいたと思います。
しのぶちゃんとは昨年『女の一生』でご一緒して。そしたら今年の正月、しのぶちゃんの家へ高橋克実と招待されました。大変なお屋敷だね。お屋敷なんだけど、探すのに40分ぐらいかかった。あんまり大きすぎてわかんなかった。(笑)

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風間は大竹について「ほんとにだらだらしているんです。若いころからそうでした。ただ映像の現場でも台本を持って現れない。どこで覚えるんだろうと不思議です」と評すると、大竹も「風間さんもだらだらしている」と言ってキュートに笑っていた。

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新橋演舞場9月公演『ふるあめりかに袖はぬらさじ』
2023年9月2日(土)~26日(火)新橋演舞場
作:有吉佐和子
演出:齋藤雅文
出演:大竹しのぶ 薮宏太(Hey!Say!JUMP)美村里江 山口馬木也 前川泰之 徳井優 風間杜夫ほか
日程:
松竹ホームページ:https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/202309_enbujo/