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日本人による日本人の『夏の夜の夢』製作発表記者会見

9月6日(火)〜28日(水)日生劇場にて上演される『夏の夜の夢』の製作発表記者会見が、8月8日に都内で行われ、井上尊晶(演出)、松任谷正隆(音楽)、出演する中村芝翫、南 果歩、髙地優吾(SixTONES)、生駒里奈、宇梶剛士が登壇した。

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2018年秋に上演し、好評を得た舞台『オセロ』の演出・訳・音楽というスタッフと、主演が再集結して上演される『夏の夜の夢』。
演出は蜷川幸雄の助手を長年勤めた井上尊晶、翻訳は日本を代表するシェイクスピア研究家である河合祥一郎、そして音楽を松任谷正隆、主演は中村芝翫が務める。

さらに、南 果歩、髙地優吾(SixTONES)、生駒里奈、宇梶剛士が出演。髙地優吾はジャニーズの舞台以外への初挑戦となる。

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「4年前に芝翫さんに声をかけて頂いてご一緒しました。それがうまくいったのか、わかりませんが、もう一度芝翫さんと松任谷さんとご一緒できるのも、すごく緊張とワクワク感がいっぱいです」と演出の井上。松竹から「『夏の夜の夢』をやってほしい」との依頼を受けての今回の公演。シェイクスピアの時代にもペストがあり、ペストで村が封鎖されたせいで『ロミオとジュリエット』でロレンス神父の手紙がロミオに届かなかったというエピソードを踏まえて「今のこの時代に、みなさんにどう夢を届けられるかを考えたときに、誰でも夢を見る権利がある、そして舞台には希望や願望や夢を託すことができるのではないか」と語り、さらに「日本人のアイデンティティを基本にして日本人がわかる日本人にしかできない舞台にしたいと思っていろいろ大風呂敷を広げたために、今、いろいろ苦労して回収しています。どんな夢になるかわかりませんが、期待して頂けたらと思います」と意気込みを述べた。
作品のイメージについては、「日本人が日本でやるので、日本が舞台で、東北…神話、遠野というイメージはあります。元はイギリスで、長い冬からやっと春になるというのが、なんとなく似ているところがあって、東北だとイメージしやすいのでは」と発想を語った。

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「(井上)尊晶さんとは、蜷川さんのほとんど最後に近い舞台でご一緒してから、ほとんど天敵関係になります。何かとぶつかる、お互い折れない。ずっと天敵と呼んできました。『オセロ』で多少打ち解け、今回だいぶ打ち解けるかなと思ったら、さっきちょっと話したら天敵でした」と松任谷。「今回、どういうストーリーかと映画を観たらおもしろくなくて『これをやるのかよ』となりましたが、尊晶さんと話して全然違う世界観を提案され、最初は理解できなかったが、今はおもしろくなるかなと。前回『オセロ』より面白くなるかなと。その話にリアリティを持たせるのが僕の役割。夢を現実に見る。そのリアリティを不協和音的に表現しようかと思って、何となく今、やっています」

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これまで何度も『夏の夜の夢』を見てきたという中村芝翫も「映画を見てもチンプンカンプンで全くわけがわからない」と言いながらも本読み立ち稽古が始まり「歌舞伎にちょっと似ているところがある。歌い上げるところもあり、闊達にものを言うところも。変化を付けながら『夏の夜の夢』の魅力をふんだんにお目にかけられたらいいなと思っております。」と語った。

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22歳で『ロミオとジュリエット』のジュリエット役が初舞台だったという南果歩。「このコロナ禍の中で舞台に立てる幸せを感じながら、いろいろ試せる役を頂いたので、尊晶さんからはプレッシャーをいただいていますが、それに打ち勝つがごとくコロナに打ち勝つがごとく、この暗い空気を一瞬でも忘れて頂けるような夢の世界を作っていきたい」

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「職人たちの中でも積極的に舞台をやっていこうという役です」と宇梶。「魔法の力でロバになってしまうのですが、稽古場で被り物をつけしっぽをつけ、僕だけロバ。(笑) 38年ぶりのシェークスピア。日生劇場は初めて、幾度となく長く見上げてきた舞台です。稽古場が楽しい。稽古場が楽しいのは喜びです。誰かがセリフを言うのを興味深くみることができる、とてもいい時間を送っています。頂いたところで全力で生きる。生き生きした心の連続で、この舞台がめくるめく展開になっていくのではないかと信じていきます」と期待を膨らませる。

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「ジャニーズの舞台以外に初めて挑戦させて頂きます。それがまさかのシェイクスピア作品で」と高地。「お話を頂いた1年前から緊張していました。大丈夫なのかなと不安があったのですが、メンバーの京本大我のお父さんの京本政樹さんが芝翫さん、南さん、宇梶さんみなさんとつながっていて、『本当にいい人たちだから大丈夫』とお尻を押して頂いた。稽古場に入ってみると、思い描いていた厳しい現場とはかけ離れた楽しい現場で、早く稽古に行きたいと思える。すごく有難く思っています」と今の思いを述べた。
さらに「僕は日生劇場に結構立たせていただいているので、迷子になったら僕に聞いてください。全部案内できるぐらいです」「稽古を頑張って本番を迎えたいです」と頼もしい言葉も。

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「日生劇場に立つのもシェイクスピアも初めて」という生駒。「現役11年目を歩んでいく今年。舞台が大好きで、久しぶりの舞台ですが、毎日高い壁がやってきて超えられない状態ですが、いつかこの壁を超えられたらもっと成長していい俳優になれるのではと。私はまだ稽古場に入るのはビリビリしていて、大先輩方の発声ひとつひとつが心地いいけれど、稲妻のように鋭くて。贅沢ですが自分にとっては厳しいです。いろんな感情が入り乱れていますが、(若い)カップル4人に組で必死に支え合って頑張って、本番を迎えたときに、誰かの夢に希望になるような作品になるよう努めていきたいと思っています」

悪戯心にあふれた少年パック役の子供たちが駆け回り、演技に合わせて松任谷が即興で音楽を合わせているという稽古場から、どんな舞台が生まれるのか。日本の風土に根差した新演出とともに期待したい。
『夏の夜の夢』
【日程】2022年9月6日(火)〜28日(水)
【会場】日生劇場
作 W.シェイクスピア
訳 河合祥一郎
演出 井上尊晶
音楽 松任谷正隆

◆配役◆◇
オーベロン/テーセウス 中村芝翫
ティターニア/ヒポリュテ 南 果歩
ライサンダー 髙地優吾(SixTONES)
ハーミア 生駒里奈
ディミートリアス 元木聖也
ヘレナ 堺 小春
イジーアス 中村松江
パック 加藤 岳/野林万稔(W キャスト)
フランシス・フルート 林 佑樹
ロビン・スターヴリング プリティ太田
スナッグ 鳥山昌克
トム・スナウト 大堀こういち
ピーター・クインス 原 康義
ニック・ボトム 宇梶剛士

【チケット料金(全席指定・税込)】 S席 13,000円 A席 7,000円
◆公式サイト:https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/natsunoyonoyume_2209/