
ケラリーノ・サンドロヴィッチ×緒川たまきのユニット「ケムリ研究室」による5作目となる新作 『サボテンの微笑み』が、2026 年3~5月に 東京・シアタートラムを皮切りに、兵庫・豊橋・北九州・新潟にて上演される。
出演には主宰の緒川たまきの他、瀬戸康史、兄の瀬戸康史と初共演の瀬戸さおり、清水伸、赤堀雅秋、萩原聖人、19年ぶりの舞台出演となる鈴木慶一が出演。
“ナイーヴな人たちの小さな物語”を描くという。
ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)、緒川たまき、瀬戸康史が揃っての取材会をレポートする。
―「ナイーヴな人たちの小さな物語」というキャッチコピーが生まれたきっかけや理由は?
KERA:常日頃から緒川さんと「次どうしようか?」と話していますが、前回の『べイジルタウンの女神』(2020・2025)が再演ものだったので、「今回は新作で少人数で小さい空間で」と、だいぶ前から決めていました。起きる事件の大きさや破天荒さや意外性ではなく、小さな喜びや悲しみや悔しさを見つめるような作品をやってみたいんです。
緒川:今作は、少人数・等身大で、自分たちの心の中で起こる出来事にいちばん関心がある登場人物たちが物語を紡ぎます。登場人物が少ないだけに、KERAさんの得意とする群像劇とはまたちょっと違う風合いが出てくるのではないかという期待もあります。瀬戸さんも含めて、ご出演いただく皆さんの持ち味が、一層盛り込まれることになって、出演者の発するものがKERAさんの筆を進めることになっていくだろうと思っています。

ケラリーノ・サンドロヴィッチ
KERA:僕の作品は近年、映像やステージングを使った演出が当たり前のように思われているけれど、今回はやりません。今後ずっとやらないということではないんですけどね。
緒川:今回はシンプルな作りになることを、むしろ楽しみにしていただきたいですね。
KERA:かつて劇団で岸田國士の8~9編くらいの短編をコラージュした『犬は鎖につなぐべからず 岸田國士一幕劇コレクション』(2007年)と『パン屋文六の思案〜続・岸田國士一幕劇コレクション〜』(2014年)の2作をやった経験が、ちょっと筆を動かしてくれるのではないかと思っています。できたものはぜんぜん違うかもしれないですけど。時代設定は大正末期から昭和初期までの、大正のモダニズムの時代と、戦争がまだ影を落とす前の昭和を考えています。
緒川:その当時って人のありようが陽気な印象があります。
KERA:幸せの求め方が、がっついていなくて、小さなことに喜びを見出している感じ。当時の記録映像を見ると「何がそんなに嬉しいの」というぐらい、みんな楽しそうで、はしゃいでいて、みんな笑顔なんですよ。
緒川:「自分でいることに自信を持っている人たちがいる」という感じ。
KERA:そういう時代を背景にした、転換なし、1つの家の中の話です。その家に住んでいるのは、赤堀演じるお兄ちゃんと緒川さん演じる妹。その兄妹と、家を訪れる人たちの物語です。僕はすぐ「男はつらいよ」になぞらえるんですよ。赤堀にも「寅さんみたいに」という演出を何度したか、わからないです。寅さんとさくらが、ひとつのプロトタイプとして自分の中にあるのでしょうね。特に大きな事件がある物語にする予定ではありませんが、書いてみたら全然違ったりして(笑)緒川さんはもちろん、瀬戸も、こういう段階での話は、あまり当てにならないことはわかっていると思うけど。(笑)ただ、僕が定期的に書くヘヴィで陰惨な物語にはならないことは間違いないと思います。ライトな雰囲気の舞台になると思う。

緒川たまき
―瀬戸康史さんと瀬戸さおりさんの共演について。
KERA:瀬戸さおりちゃんとは、何度か話をしたことがあるだけですけれど、兄妹で出てもらうのは画期的です。マネージャーさんに「兄妹(共演)ってのはないですか?」と尋ねたら「全然ありです」とお返事をいただいて「じゃあ面白いじゃないか」と思ってお願いしたんです。ただ、いざキャスティングしてみると、兄妹役を当てるのはなんだか悔しいし、カップル役だとちょっとお客さんにフィルターがかかる。意外と配役が難しい。いま7人の相関図を書いては、ああでもないこうでもないと考えています。

瀬戸康史
―瀬戸さんは今の話を聞かれていかがですか?
瀬戸:兄妹役にはならないんですよね?
KERA:今のところはね。でも最後の最後に実は兄妹だったとかはあるかもしれない。
瀬戸:(笑)すごく面白いなと。僕がKERAさんとご一緒したのが、シアターコクーン やKAAT(神奈川芸術劇場)などの大きな劇場だったのですが、今回はシアタートラムというすごく小さな空間で、少人数だと聞いてワクワクしています。
―妹さんとの共演と聞いたときの感想は?
瀬戸:KERAさんから事前に少し聞いていたので、決まったと聞いたときには、それほど驚きはなかったのですが、兄としてさおりに仕事があるか、暮らしていけるのか、ということは心配なところなので、仕事が決まったということは嬉しかったです。
KERA:マネージャー的?(笑)
瀬戸:同じ稽古場で同じ作品に携わるのは、すごく不思議な感じがしますけれど、近くで見守れるのは良かったなと思います。
―普段はどんな兄妹なのですか?
瀬戸:僕は17才で福岡県から上京したので、僕にとってのさおりの記憶は高校生のままで、大人になってからは、がっつりと話をしたこともなく、大人になってからのさおりとの距離感は、KERAさんと同じくらいかもしれないです。(笑)ですから「どういう人ですか?」と聞かれても、あまりわからないです。クールだと思います。
緒川:何才ちがいですか?
瀬戸:ひとつです。他の方からさおりについて「粘り強くて、お兄ちゃんに似ているね」と言われたことはあるので「そういう部分もあるんだな」と。
KERA:けんかもした?
瀬戸:子供の時にはしましたね。
KERA:どんなことでけんかしたの?
瀬戸:僕の何かをとったとか。
KERA:今回の稽古場でも、軽いけんかならOKだから。(笑)
瀬戸:僕は怖がりで、2階に行くのが怖くて「先に行ってよ」「なんで私が先にいくのよ」となってたりしましたね。
緒川:自宅の2階が怖かったの?
瀬戸:夜2階に上がるのが、すっごく怖かったんですよ。(笑)
―お稽古が楽しみですね。
瀬戸:楽しみです!
ケムリ研究室 no.5『サボテンの微笑み』
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:
緒川たまき 瀬戸康史 瀬戸さおり 清水伸/
赤堀雅秋 萩原聖人/
鈴木慶一
東京:2026年3月29日(日)〜4月19日(日) シアタートラム
兵庫:2026年4月24日(金)〜4月26日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
豊橋 :2026 年4月29日(水祝) 穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール
北九州: 2026 年5月2日(土)〜5月3日(日) J:COM北九州芸術劇場 中劇場
新潟:2026 年5 月9日(土)〜5月10日(日) りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・劇場
東京公演チケットは2026年2月14日(土)一般発売
公式:https://www.cubeinc.co.jp/archives/theater/kemuri-no5
お問い合わせ:キューブ 03-5485-2252(平日12:00〜17:00)
企画:ケムリ研究室(ケラリーノ・サンドロヴィッチ+緒川たまき)
製作:キューブ
















-50x50.jpg)
