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舞台『お勢、断行』出演 福本莉子 インタビュー 芝居のテンポに血が騒ぐことも。「莉子ちゃんを見に行こう」という気軽な気持ちで劇場に来てほしい。

映画『君が落とした青空』(主演、2月公開)、『20歳のソウル』(5月27日(金)公開)、『今夜、世界からこの恋が消えても』(7月29日(金)公開)、ドラマでは「昭和歌謡ミュージカル また逢う日まで」(NHKBSプレミアム  本日4月30日(土)夜10:30~00:00)に主演と、出演作が目白押し。
活躍目覚ましい福本莉子が、5月11日(水)から世田谷パブリックシアターを皮切りに、兵庫・愛知・長野・福岡・島根で上演される舞台『お勢、断行』(作・演出 倉持裕)に出演する。
3年ぶりに出演する舞台への思いを聞いた。

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―とてもお忙しいと思うですが、なぜ今、舞台に?
このお仕事を始めて、最初の大きなお仕事がミュージカル『魔女の宅急便』で、その時に初めて「お芝居をするのが楽しい」と思ったので、年に一度でも、ずっと舞台への出演を続けていきたいと思っていました。2年前に出演予定だった舞台『アルキメデスの大戦』がコロナ禍で中止になってしまったので、今回やっと、3年ぶりに舞台に出演します。(舞台『アルキメデスの大戦』は今年10月上演予定)

―『お勢、断行』への出演が決まった時はいかがでしたか?
以前、倉持さんの舞台『鎌塚氏、舞い散る』を拝見して、倉持さんのファンになり「倉持さんの作品に出たい」と思っていました。『お勢、断行』は2020年に上演予定でしたがコロナ禍で中止に。その時に事務所の先輩の上白石萌歌さんが演じるはずだった晶役が、私にめぐってくるとは思いもよらなかったので、お話を頂いたときは「私でいいんですか?!」と驚きました。でも倉持作品に参加できるのが、とても有難くて嬉しかったです。

―初めて台本を読んだときの感想はいかがですか?
回想と現実が行ったり来たりするので、文字で読んだ時には難しいと感じたのですが、最初の本読みで私の中でもスッとお話がつながりました。同時に「最初の本読みなのに、他の出演者の方はもうすっかり出来上がっているのかな」と衝撃を受けました。「頑張って皆さんについていかなきゃ」と思いました。

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舞台『お勢、断行』ビジュアル写真より

―本読みだけでお話がつながったということは、観客としても「難しい作品だ」と構えなくても大丈夫そうですね。福本さんが演じる晶役はどんな役でしょうか?
事前に聞いていたのは「お嬢様で純粋な子」ということでした。登場人物の中では純粋には見えるでしょうし、純粋だとは思いますけれど、登場人物それぞれに思惑があって、晶は誰が正しいのか、何を信じていいかわからなくて、かき乱されます。

―では晶はお客様に一番近い目線で見ている感じでしょうか?
はい、お客様に一番近いですし、お客様にも晶の気持ちが一番わかってもらえると思います。登場する一人ひとりに個性があって、キャラクターが確立されているので、本当に面白い。いろんな捉え方ができる人物ばかりで、「お客様も目が足りるかな?」と思います。

―スリリングですね。晶は意志が強い役でもあるようですが、福本さんご自身は?
意志は強いですね。一度決めたら、揺らぐことはあまりないです。絶対行くと決めたら行く。一人でも行きます。友達同士で「今度、行こうね」「行こう、行こう」と言っても、普通は行かないことも多いと思いますが、私は絶対に行きます。身近なことでは「今晩はこれを食べたい」と決めたら、絶対にそれを食べます。(笑) 地方に行くと、自分でお店を調べて「ここに食べに行くぞ!」と決めると、マネージャーさんを連れて絶対に行っていました。なので“食べ莉子”と言われています。(笑)

―今回のお稽古の前に準備されたことはありますか?
映像のお仕事では、撮影が始まる前に台本とノートを持ってカフェにこもって演じる役の履歴書を作ります。家族構成や、どうしてこの学校を志望したのか、彼がいたらどうやって、いつから付き合い始めたのか…など細かく考えます。台本を読んでいて疑問に思うことをリストアップして、本読みの時に必ず監督に尋ねます。それをやらなくては、心配になってしまうので。
でも今回は、台本だけではわからないところも多くて…。稽古場で倉持さんがおっしゃることや、自分が感じたことをどんどん取り入れていこうと稽古に臨みました。
倉持さんとお会いしたときに、「人は誰でも本音と建て前があるもの。晶も本音では思うところがあって、本音とは違うことしている時があるのではないか」とお話したら「晶は難しい役だよね。本音の部分を考えてしまうと、お芝居するときに混乱するので、まずは本音や裏を考えずに台本どおりにやってみては?」というアドバイスをいただいて、今はその方針で稽古をしています。

―お稽古が始まって、いかがですか?
まだまだ理解できてないところも多いのですが、やっとお稽古場に慣れて「楽しいな」と思える瞬間があります。

―「楽しいな」と思った瞬間を具体的に教えてもらえますか?
池谷のぶえさんがちょっとボケて、私がツッコミのように掛け合う場面があって、そのテンポに関西人の血が騒ぎました。(笑) すると演出助手の方からも「さっきのシーンは活き活きしてたね」と言ってもらえて。そういう違和感のない、自分ならではのシーンがもっともっと増えたらいいなと思います。

―他とは違う福本さんが見られそうで楽しみです。今回が初めてのストレートプレイということですが、その点はいかがですか?
これまでの舞台は、たまたまミュージカル、音楽劇が続いただけで、ストレートプレイだからということは特に意識していませんでした。ただ、ミュージカルだと歌でいろいろな表現をして、テンポも速いので、観ている方も飽きないだろうと思うのですが、今回のお稽古に参加して「台詞だけのストレートプレイでお客様に集中して観て頂くには、技術が必要だ」と感じました。共演者の皆さんの伝える力がすごい。引き付けられます。
例えば、倉科カナさんの、昔の言葉遣いの長い台詞は、そんな言葉に慣れてない私にもしっかり伝わってきます。テンポが少し違うだけでも、聞き取り方が変わってくるのだと知って、会話でのお芝居は難しいと感じています。でも素敵な先輩方とご一緒して、毎日が刺激的で楽しいです。

―見どころがたくさんありそうですね。最後にまだ観劇を迷っている方へ、メッセージをお願いいたします。
「莉子ちゃんが出ているぞ」と気がついたら、「莉子ちゃんを見に行こう」という気軽な気持ちで劇場に来て頂きたいです。同世代の方にも、ぜひ観にいらしてほしいです。お待ちしております!

『お勢、断行』ビジュアル組写真(撮影:山添雄彦)
(撮影:山添雄彦)

『お勢、断行』
2022年5月11日(水)~5月24日(火)世田谷パブリックシアター
※5~6月、兵庫・愛知・長野・福岡・島根でも上演
【原案】江戸川乱歩
【作・演出】倉持 裕
【音楽】斎藤ネコ
【出演】倉科カナ 福本莉子
江口のりこ 池谷のぶえ 堀井新太  粕谷吉洋 千葉雅子
大空ゆうひ 正名僕蔵  梶原 善
【公演HP】https://setagaya-pt.jp/performances/202205osei.html

★兵庫公演
【日程】5月28日(土)12:00/17:00、5月29日(日)12:00
【会場】兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
https://www1.gcenter-hyogo.jp/contents_parts/ConcertDetail.aspx?kid=5022412306&sid=0000000001
★愛知公演
【日程】6月4日(土)18:00、6月5日(日)13:00
【会場】春日井市民会館
https://www.kasugai-bunka.jp/archives/31929#

★長野公演
【日程】6月12日(日)13:00
【会場】まつもと市民芸術館 主ホール
https://www.mpac.jp/event/37473/

★福岡公演
【日程】6月16日(木)19:00
【会場】福岡市民会館 大ホール
https://3pm-net.com/entertainment/setagaya_pt3.html

★島根公演
【日程】6月19日(日)14:00
【会場】島根県民会館  大ホール
https://www.cul-shimane.jp/hall/event/?fid=8347