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ミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール』 アンヌ役小南満佑子 インタビュー 「実は歌うより踊る方が先でした」「ダンスでキラキラして聡明なアンヌを表現したい」

鹿賀丈史と市村正親が夫婦を演じる大ヒット・ミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール』が、2022年3月に日生劇場に帰ってくる。
描かれるのはゲイクラブ「ラ・カージュ・オ・フォール」のオーナーのジョルジュ(鹿賀)と、その看板スター“ザザ”ことアルバン(市村)の物語。ふたりは20年にわたって事実上の夫婦として暮らし、クラブを営んできた。ふたりと彼らを取り巻く人たちの愛あふれる人生模様を華やかなクラブのショーが彩る、見ごたえ満載のミュージカルだ。

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この作品でジョルジュとアルバンの息子、ジャン・ミッシェルが「結婚したい」と連れてくるアンヌ役を演じる小南満佑子にインタビューが叶った。

18歳でミュージカル『レ・ミゼラブル』にアンサンブルでデビュー、翌々年にはコゼット役で出演。以来、ミュージカル「アリージャンス~忠誠~」、ナ・キャンベル役、ミュージカル「蜘蛛女のキス」マルタ役等、数々のミュージカルで活躍してきた小南満佑子。
昨年のNHK連続テレビ小説『エール』では二階堂ふみ演じるヒロインの学生時代のライバル・夏目千鶴子役として出演。圧巻の歌唱力が注目を集めた。

長く愛され、繰り返し上演されてきた名作ミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール』への意気込みと、演じる喜びを教えてもらった。

―『ラ・カージュ・オ・フォール』への出演が決まった時は、いかがでしたか?

正直、びっくりしました。アンヌ役はこれまで宝塚歌劇団を卒業された方が演じてこられていて、気品やお芝居・踊りとすべてを兼ね備えた方が演じることができるお役だと思っていたので「まさか私に?!」という感じで驚きました。
そして、日本でも長く愛されて上演されてきた作品だというのは存じ上げていたので、その作品に携わらせて頂けること、鹿賀さんと市村さんという生きる伝説のようなおふたりとご一緒できることをとても光栄に思いました。最近ではおふたりが一緒に舞台に立たれることは、なかなか無いですし、しかも夫婦役で、というのは他にはありません。おふたりの素晴らしいエネルギーを一度に受けることができるとワクワクしました。
演出の山田和也先生の作品が昔からどれもすごく好きで、いつか山田先生とご一緒したいと思ってきたので、それが叶うこともすごく嬉しく、感謝と喜びでいっぱいでした。

―どんなアンヌを見せたいか、心づもりはありますか?

ジャン・ミッシェルとアンヌの結婚は、両家にとっても、「ラ・カージュ・オ・フォール」で働く人たちにとっても一大事。最初は聡明だけどふわふわとした雰囲気のアンヌですが、ジャン・ミッシェルとの愛の強さがアンヌを女の子から妻へと成長させていきます。そんなアンヌの成長と強さを描くことができたら嬉しいと思っています。

―アンヌのご家族も素敵です!

昨日、初めて父親役の今井清隆さんとお会いしました。母親役の森公美子さんは、私の初舞台から共演させて頂いてお世話になっていて、お二方をすごく頼もしく思っています。
おふたりが演じるキャラクターが、とてもコミカルでキュートで、アンヌは温かい家庭で育てられたのだと思います。これからお芝居を作り上げていくのが、とっても楽しみです。

―小南さんといえば、歌っているイメージが強いのですが、アンヌ役といえばジャン・ミッシェルとのペアダンスが名場面ですね。ダンスはいかがですか?

ミュージカル『レ・ミゼラブル』を通じて私を知ってくださった方は、歌のイメージを持ってくださっている方が多いのですが、実は4歳からクラシックバレエを習っていたので、歌うよりも踊る方が先でした。幼い頃から私のことをよく知っている方々からは、「満佑子が、あのレミゼ に!?」と言われました。(笑)今回は踊れるのが嬉しいです。

ーこれまでにも舞台で踊られたことはありましたか?

2016年『Endless SHOCK』 でヒロインのリカ役を演じさせていただいた時、エンターテインメントの舞台だったので、日舞やデュエットダンスもあって、堂本光一さんはじめ皆さんとたくさん踊らせていただきました。

―それは観たかったです。『Endless SHOCK』 を観のがした方には、踊る小南さんは初めてかもしれませんね。お稽古は始まっていますか?

振付稽古から始まり、お芝居のお稽古に入ったところです。
山田先生からは「フレッド・アステアが踊るペアダンスのイメージで、互いの距離感と気持ちも踊りに反映できるといいですね」とのお話を頂きました。

―気持ちもダンスに乗せるのですね。ペアダンスはお好きですか?

好きです。特に今回のようなクラシカルなダンスがすごくが好きです。男性と組んで一緒に踊るのは、お互いの呼吸も大事ですし、今回はキラキラした音楽に寄り添った振付をしていただいているので、すごく楽しいです。

―ジャン・ミッシェル役の内海さんに取材させて頂いた時には「基礎からペアダンスのレッスンを始めています」とおっしゃっていましたが、もうすでにおふたりで踊っておられるのですか?

はい、内海さんとは今回が初共演で、初めてお会いしてから二度目で振り付けのお稽古が始まりました。内海さんは歌いながら踊られるのですが、しっかりリードしてくださって、私はすぐに「呼吸が合うな」と感じました。内海さんがどう感じておられるのかは、わからないのですけれど。(笑)

―「結婚したい!」という二人の、ラブラブで優雅なダンスですよね?

アンヌという女性を紹介するナンバーで、ジャン・ミッシェルが思うキラキラしていて聡明な女性・アンヌを描く場面なので、それをしっかり表現したいと思います。
その後にジョルジュとアルバンが同じ曲を踊るので、世代を超えたダンスのワンシーン。幸せいっぱいのジャン・ミッシェルとアンヌというカップルを説得力ある表現でお見せしたいと思います。

―それは見どころですね。振付稽古が始まっているということは、また別の見どころの、華やかなショーの場面もご覧になられましたか?

はい、カジェル(ショーの出演者)の方々のダンスシーンも拝見させて頂きました。本当に美しいんです!所作も手先指先まで。皆さんの一体感も本当にかっこよくて、それが『ラ・カージュ・オ・フォール』を愛してこられた皆さんが作り上げてきた歴史であり作品なのだと再認識しました。「『ラ・カージュ・オ・フォール』が大好き」というのがひしひしと伝わる現場です。

―本番は華やかな衣裳もプラスされますから、ますます楽しみですね。さて、小南さんご自身がこの稽古場で得ているものは?

この時期なので幕が開けられるかどうか、心配する気持ちはありますが、現場で一番強く感じるのは「この作品を今上演することに意味がある」「絶対に届けたい」という気持ちで、感染対策なども、細心の注意を払いながら皆で立ち向かっています。そのパワーが現場で循環しているのを感じています。
この作品からお客様お一人おひとりが感じられること、ハッとするポイントはそれぞれ違うと思いますが、『ラ・カージュ・オ・フォール』は愛にあふれたシーンがたくさんあるので、明日への活力になってもらえるとよいなと思います。

―コロナ禍も長いですが、小南さんが気持ちをアップさせる秘訣があれば教えてください。

表現者として生きられることへの感謝です。特に舞台はお客様に、時間とお金と労力を使ってわざわざ観に来て頂かないといけない。以前から「単なる1枚のチケットではない」と思っていましたが、特に今はいつもより多くのことにご協力頂かないといけない。映像のお仕事でもそうですが「作品のどこかの一瞬が、誰かの一生忘れられない出来事になるかもしれない」「誰かが笑顔になったり、幸せになったり、癒されたりするかもしれない」と思うと、その瞬間に携わらせて頂けること、このお仕事をさせて頂けることがとても有難いことだと思います。
観てくださる方、応援してくださる方、支えてくれるスタッフの皆さんがいて私がいるので、それだけの方がいてくださることが強みになり、その感謝がある。その分、常に100%120%力を発揮できるように、私もギアを上げて頑張りたいと思っています。

―小南さんは若くして夢や希望を叶えてきている方というイメージがありますが、お話をお伺いして感謝の気持ちやその心がけが、そこにつながっているのかなと感じました。

有難いことに一歩一歩進化させていただけているのは、周りのみなさんの支えがあってのこと。力を与えて頂いているので、微力ですけれど、私のパフォーマンスを通して、皆さんの日常に力を与えられる存在になりたいと思っています。

―今後の夢は?

大きな目標はざっくりありますが、『ラ・カージュ・オ・フォール』の中の歌詞にもありますが「今この瞬間をしっかり生きよう」と思っています。今がなければ未来もない。今、誠意をもって頑張って生きていれば必ず何か…いろんなご縁に結びつくと、きっとめぐりめぐってやってくると信じて生きています。
『ラ・カージュ・オ・フォール』からもいろんなメッセージを受け取って、共演させて頂く先輩方、皆さんからたくさん学ばせて頂いて、毎秒進化していきたい。
将来、日本はもちろん海外でも、ジャンル問わず幅広く活躍できるようになりたいと思っています。

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ミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール』
日程:2022年3月8日(火)~30日(水)
会場:日生劇場
料金(全席指定・税込):S席14,000円 A席9,000円 B席4,500円
出演:
ジョルジュ 鹿賀丈史
ザザことアルバン 市村正親

ジャン・ミッシェル 内海啓貴
アンヌ 小南満佑子
ハンナ 真島茂樹
ジャクリーヌ 香寿たつき

エドワール・ダンドン 今井清隆
マリー・ダンドン 森 公美子

作詞・作曲:ジェリー・ハーマン/脚本:ハーヴェイ・ファイアスティン/原作:ジャン・ポワレ
翻訳:丹野郁弓/訳詞:岩谷時子、滝弘太郎、青井陽治/演出:山田和也/オリジナル振付:スコット・サーモン
主催・企画製作:東宝/ホリプロ

愛知公演2022年4月9日(土) 10日(日)愛知県芸術劇場 大ホール
富山公演2022年4月16日(土) 17日(日) オーバード・ホール
福岡公演2022年4月22日(金)~25日(月) 博多座
大阪公演2022年4月29日(金・祝) ~5月1日(日) 梅田芸術劇場 メインホール
埼玉公演2022年5月7日(土) 8日(日)ウェスタ川越 大ホール
公式HP:https://www.tohostage.com/lacage/