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ミュージカル『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』 インタビュー 伊礼彼方&上原理生 伊礼「とても美しい作品になっています!美しさを確認しにいらしてください」 上原「この作品から普遍的なものを感じていただけたら」

ミュージカル『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』が、いよいよ12月8日(水)に開幕する。大人気漫画の壮大な世界観を、どのようにミュージカルで描くのか。
期待が膨らむ本作から、レイとジュウザの2役を役替わりでつとめる伊礼彼方上原理生にご登場頂いた。

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今回、おふたりが演じるレイは、胸にキズを持つ男に両親を殺され、妹アイリを連れ去れてしまい、復讐を誓って人間の心を捨てた南斗六聖拳 義星の男。もう1役は幼馴染であったユリアに恋心を抱くも、腹違いの妹であることを知ってしまい、さすらう南斗五車星の《雲》のジュウザ
この2役の魅力や、新作ミュージカルならではの創作の面白さについて教えてもらった。

―2役を交互に演じるということで、稽古中に見つけたお互いのすごいところは
伊礼理生くんがジュウザ役のソロを歌う時のナルシストぶりがすごくてかっこいいんです。

上原え~!

伊礼褒めているんですよ!理生くんは元々ロックバンドを目指していて、そこから声楽、そしてミュージカルへという経緯をたどって今に至るのだということを後で聞いて「元々そういう気質があるのだ」と納得しました。僕もバンドでしたが、ロックではなくパンクやメッセージ性の強いものをやっていたので、ビジュアル系のようにキメキメにかたちで見せるのは得意ではなく「僕には真似できない」と思ったのですが、今回、そこは盗もうと思っています。

上原伊礼さんとは同じ役をWキャストで演じたことはあったけど、こんなふうに同じ空間で一緒に役をつくりあげていくのは初めてですね。

伊礼そうだね。

上原伊礼さんはいろいろ突き詰めていて、経験から出るものをもってきて、きちんと説明して構築していく。すごいなと思って、勉強させてもらっています。

伊礼ありがとうございます。

―互いに刺激を受けつつ、新しいお役を協力して作り上げておられるのですね。
伊礼そうですね。演劇はチームプレイで勝ち負けではないので、協力し合ったほうがお互いに得だと思います。お互いに良いところを盗み、でも真似をしたところで、顔も体も違うし、もっている長所も違うので、同じようにやったところで同じにはならないのがWキャストの面白さです。だったらお互いの良いところをどんどん試してやってみて、合わなければやめればよいので。

―オリジナルの新作ミュージカルならではの楽しいところは?
伊礼再演の場合、キャストが変わった時には、まずは初演キャストの芝居がひとつの正解として、その方向性をなぞっていくことになるので、何もない所からスタートする初演メンバーはそれを一から作っていく面白さがあります。前例を気にする事なく自分の色をそこに投入できます。逆に再演の場合では、その色を塗り替える面白さがあって「今までとどこまで違う色を見せることができるか」「新しい風を吹かせることができるか」という面白さがあります。

上原今回は初演なので、毎日、みんなで「ああでもない、こうでもない」と、ひとつひとつを時間をかけて丁寧に作り上げています。

伊礼初演では誰もが手探りなので作っては解体して…を繰り返し、時には演出家にもアイディアを提案してみたり。今回の演出家(石丸さち子)は特にその辺は柔軟な方で、ご自身のこだわりもありながら皆の意見を聞いてくださるタイプなので「あの場面のあそこには自分の意見が反映されている」「そこは〇〇さんの意見が取り込まれている」というのがオリジナルの面白さかもしれないですね。

―レイとジュウザの2役にはお二人の意見がふんだんに入って作られているのですね。
上原はい。ほぼ伊礼さんの意見が。(笑)

伊礼いやいや、理生くんにも確認してますよー!ただ、パターンとして、先に僕がやって、理生くんが後でやることが多いので、彼はおいしいところを上手く料理して自分のものにしてしまう傾向ではあるのかも。(笑)

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―同時期に2つの役を演じるのは難しいのではと思いますが、役のポイントはありますか?
上原ジュウザのソロナンバー♪「ヴィーナスの森」。あの曲が大きいです。あの歌があるからジュウザがどういう人なのかがわかりやすい。レイはマミヤだけで、他にはあまり女っ気がなくて。ジュウザは胸に熱いものがありながらも放蕩生活を送っているので、そこが大きな違いなのかと。

―そこが大きな見せ所になりますか?
伊礼ぜひ注目してもらいたいシーンのひとつですね!花咲いて散るという感じの起伏のある、とても華やかなシーンです。

ここで、本作のプロデューサーが「本作で一番華やかな場面ですよ。元々は1幕でミスミとトヨが歌う曲をジュウザが歌うはずでしたが、2幕には明るい曲が必要だと思ったので『ジュウザにラテン風の曲を』とお願いして作ってもらった曲が♪「ヴィーナスの森」で、『ジュウザにはまさしくこの曲だ!』と決まりました」と明かしてくれました。

上原そうでしたか!
伊礼オリジナルのミュージカルならではの秘話ですね。

―ジュウザが女性の観客の心を持って行ってしまう場面になりそうですね。
伊礼持っていきたいですね!

―レイはフライングで飛び、ジュウザは女性の観客の心をさらう?
伊礼ジュウザの色男ぶりが女性の心を鷲掴みにします! (笑)

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―漫画原作ということで外見から役をつくるということもされたと思うのですが、それで見つけた新たな自分はありますか?
伊礼意外に思われることが多いのですが、僕はインドア派なので普段はあまり運動をするタイプではなく、それに『レ・ミゼラブル』の出演で、意図的に恰幅をよくしていたこともあり、まずはダイエットと筋トレを始めたのですが、筋肉はなかなかつかないものだとわかりました。1年間頑張って筋肉量は2~3㎏増えたかな…くらいです。女性は「筋トレすると筋肉つくから嫌だ」と聞きますが、筋肉は簡単にはつかないので、どんどん筋トレした方がいいと思います。今は、筋肉を落とさずに体を絞る難しさを痛感しています。

―筋肉つけながらダイエットされている…大変ですね。
伊礼そうですね。糖質制限やカロリーなども勉強しながら気を付けてます。制限ばかりしていると栄養不足や精神的にも影響が出たりするので、この前は思いっきり自分を甘やかして食べました。すると身も心も満たされました。(笑)

上原食事は大事です。

伊礼本当に。ボクサーが減量期にダイエットをするのは、メンタル的にもとても大変なのだろうと思います。実際のところ漫画の「北斗の拳」のような体を作るのは1年ではできない。3~4年かけないとあの体は作れないと思います。

―上原さんはこの稽古に入って発見したことはありましたか?
上原フライングでかなり上手くクルクル回れて楽しいです。ただお尻が痛いですが面白いです。(笑)

―華麗なフライング、楽しみにしています!稽古場で「この人のここはスゴイ!」と感動しているところがあれば、教えてください?
伊礼 上原(大貫)勇輔のダンスだね。

伊礼僕は初めて生で勇輔のダンスを見ましたけど別格ですね。力強くて繊細で、しかもそこに芝居心が乗っかっている。ちゃんと感情が乗っている動きになっていて、感動します。すばらしいです。

上原そして安福さん。

伊礼そう!ミスミ役他を演じる安福毅さんは、芝居で世界観を作ってくださるすごい方。アンサンブルキャストは、どうしてもプリンシパルキャストの邪魔をしないように遠慮がちになってしまうことが多いのですが、それが逆効果の場合もあったりする。安福さんはプリンシパルキャストをきちんと活かしたうえで、ご自身の役割プラス、ちゃんとその時の感情と状況とで世界観を構築してくれる。頼りになる心強い先輩です。

上原本当にすばらしいんです。それから上田堪大くんが太道という総合武道をやっていたそうで、ちょっとやってもらったら、経験者ならではの構え方やステップで、すごいんです。

伊礼飯作雄太郎くんという空手のオリンピック候補だったというスゴイ方もいる。今回は、ダンスも殺陣もその分野で突出した素晴らしいエキスパートがいるので、非常に刺激的な現場です。

―見どころがいっぱいありそうですね。では、最後にまだ本作の観劇を迷っている方へメッセージをお願いします。
上原僕は貴重な種モミを奪われそうになったミスミじいさんとケンシロウが出会う場面が、混沌とした世の中でも人間らしくあることを描いた場面で大好きなんです。自分の負った宿命や自分の道を貫く姿が出てきますが、この作品から普遍的なものを感じていただけたらいいなと思っています。

伊礼ミュージカルをお好きな方は華やかできらびやかなものが好きな方が多いのかもしれないので、原作のイメージから「筋肉祭りかもしれない」と敬遠されている方がいるかもしれませんが、これは間違いなく、素敵なグランドミュージカルです。人々の心のひだに触れる、とても美しい作品になっています!そこは保証いたします!ぜひ、美しさを確認しにいらしてください。

FONSチラシ

ミュージカル『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』
原作:漫画「北斗の拳」(原作:武論尊 漫画:原 哲夫)
音楽:フランク・ワイルドホーン
演出:石丸さち子
脚本・作詞:高橋亜子

ケンシロウ   大貫勇輔
ユリア 平原綾香 May’n (Wキャスト)
トキ 加藤和樹/小野田龍之介(Wキャスト)
シン   植原卓也/上田堪大 (Wキャスト)
リュウケン他   川口竜也
トウ・トヨ 白羽ゆり
マミヤ 松原凜子
レイ/ジュウザ  伊礼彼方/上原理生(交互で役替わり)
ラオウ 福井晶一/宮尾俊太郎(Wキャスト)

2021年12月8日(水)~29日(水) 日生劇場
2022年1月8日(土)9日(日)   梅田芸術劇場メインホール
2022年1月15日(土)16日(火) 愛知県芸術劇場大ホール

主催:ホリプロ/博報堂DYメディアパートナーズ/染空间 Ranspace/イープラス
企画制作:ホリプロ
(C)武論尊・原哲夫/コアミックス 1983 版権許諾証GS-111

公演ページ https://horipro-stage.jp/stage/musical_fons2021
北斗の拳オフィシャルウェブサイト:http://www.hokuto-no-ken.jp/