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山本千尋 「ホスト役のみんなが愛おしくて仕方なかった」 役作りのため、ホストクラブ初体験も!? ドラマ「埼玉のホスト」インタビュー!

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TBSドラマストリーム「埼玉のホスト」が(毎週火曜25:00~25:30)絶賛放送中だ。
新しい「埼玉ブーム」をドラマから届ける本作は、“何もかも中途半端な埼玉のホストたち”と、“ある秘密を持つ歌舞伎町トップホスト”、そして“男だけでなく人間全般を信用しない女”が目標のために時にぶつかりあい、時に励まし合い、絆を深め合っていく、新しいラブストーリー&青春コメディ。

主人公・荒牧ゆりかを演じるのは、武術太極拳の元選手で世界一の経歴をもち、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」やNetflixオリジナルドラマ「今際の国のアリス」シーズン2出演でも圧巻のアクションシーンを披露し、注目を集めた山本千尋。俳優生活10周年目を迎え、連続ドラマ初主演を果たした彼女が挑戦したのは、これまでとは違うタイプのキャラクター。新しい出会いと体験に感謝の言葉を口にする彼女に、撮影時のエピソードと合わせ、本作への思いを聞かせてもらった。

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◆連続ドラマ初主演への思い◆

― 今回、連続ドラマ初主演を務めたお気持ちをお聞かせください。

まず、「私でいいのかな?」と驚きました。アクション作品や体を動かすようなキャラクターかと思ったら、これまであまり訪れたことない埼玉の、そして行ったことないホストクラブを経営するコンサルタントの役ということで。最初は自分との共通点が全然見つからなかったのですが、それでも山本千尋がいいと仰ってくださったプロデューサーさんや、私を見つけてくださった皆様に感謝の気持でいっぱいです。

― 山本さんの演じるゆりかは、最初は少し冷たく無機質な感じですが、その後人間らしさや可愛い部分も見えてきます。お芝居のコントラストはどのように意識されましたか?

ホストのみんなと過ごしていく中で、ナチュラルに心を開ける瞬間がありました。みんなの挫折と成長を見ていると、ゆりかも最初は“ホストなんて・・・”というような(偏見をもった)コンサルタントだったのですが、彼らに寄り添うことによって、私自身もゆりかも大きく成長できたのかと。他人に対して壁を作っていたゆりかですが、「エーイチ」のおかげで、過去のコンプレックスから救ってもらうことができたし、私もみんなのおかげで自然なお芝居ができたのではないかと感じています。

― これまでの演じられてきた役柄とは違うタイプのキャラクターですが、演じるうえで準備したことはありますか?

キャラクター自体はみんなと一緒に作っていくものだと考えていますが、まずホストクラブに行ったことがなかったので、お願いをして、ホストクラブにスタッフさんと一緒に行かせていただきました。“ホスト”の歴史も気になりましたし、コンサルタントって一体どういう人がしているんだろう・・・など、経験がないからこそとても初歩的なところからスタートして、まずは知識をつけるところから始めました。

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― 初めてのホストクラブ体験はいかがでしたか?

それが、ですね。百貨店で接客されてるような居心地の良さといいますか・・・(笑)、「イェーイ!」と言ってくるのかと思ったら、(静かに)「いらっしゃいませ」と。凄く丁寧に接客して頂いて、ひたむきに仕事に向き合っているのが分かって、とても素晴らしい空間でした。

皆さん美意識が高くて洗練されてるんです。立ち振る舞いもそうですし、話してるときも所作が綺麗で絶対目を見てくれる。他の姫に呼ばれるときも後ろ髪引かれるように行ってくれるんです。身近に感じる存在であって、そういうところがホストの方の素晴らしさだと感じました。もし、「埼玉のホスト」のシーズン2が出来たら「ちょっと忘れちゃったから、もう1回見学に行きたい」と言って、連れて行ってもらいたいですね(笑)

リハーサルのときにみんなに私がホストクラブを経験させてもらったことを伝えましたが、「逆に、みんなは見ない方がいいと思う。“エーイチ”と全然違うから。ウチはツッコミ満載にしてもらって」と言いました(笑)。ホストクラブはとてもいい経験になりましたし、凄く楽しかったです。

― ご自身とは逆の役柄ということですが、ご自身の特性を生かせるところもあるようです。

実は、ゆりかは過去に格闘技をしていたという設定がありまして・・・。福本大晴くんのことを「この夏一番のヒロイン」と言いましたが、私は「この夏一番のヒーロー」だと思っています(笑)。

可愛いヒロインとして大晴くんがいるので、逆に私は一番イケメンでいようと。第2話でちょっと披露されます。それから少しずつ明かされていきますが、それも突っ込みどころ満載なんですよ。

― ゆりかとご自身とは違うと感じるところは?

私は、ゆりかのようにバッサリ人を怒ったりできないですね。「あり得ません!」と言えるのはカッコいいなと思うので、セリフを言いながら気持ち良かったです(笑)。

― そんなゆりかの一番の魅力は何だと思いますか?

ゆりかは数字がモットーで冷酷冷徹なところがありますが、知れば知るほど本当は温かくて人間味のある、芯が強い女性だということが分かると思います。ちょっとコンプレックスを抱えながらも、自分を大事にしてくれた人へ深い愛を持っているのが彼女の魅力かと。それはきっと出会った人たちのおかげでもあるのですが、私はゆりかのツンデレなところが愛おしいです。

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◆みんなが意見を言い合える環境に感謝◆

― 撮影現場の雰囲気はどうでしたか?

終始みんな仲が良くて楽しさが勝っている現場でした。それぞれが思い入れの強いシーンや大事なシーンでは、「自分はこうしたい」「あれは良くなかった」など、しっかり意見を言い合えるような仲間になっていました。なので、胸キュンシーンや、自分たちが感情でぶつかり合うシーンのときには、既に仲が深まっていたんです。一人ひとりが自分の役柄にやりがいと愛着を持って、作品に対する思いが強かったからできたことで、彼らを見守ってくれる木村了さんや守谷日和さんがいてくださって、本当こんなに恵まれてていいのかと思うスタッフさんとキャストの皆さんに巡り合えたなって思います。20歳の若い役者さんもいる中、それぞれが自分の意思をまず伝えさせてもらえる環境というのは、スタッフさんをはじめとした周りの方の温かさが大きかったのではないかと思います。

― 山本さんも意見も出されていたのでしょうか?

わりと出していたと思います。特に福本大晴くんとの胸キュンシーンでは、お互い不慣れでちょっと気まずくなるのかなと思っていたら、お互いに(場面を)客観的に見ることができて、「こうしたら視聴者の方がキュンとしてくれるかもしれないね」「そうしてみる?」というように相談できたので嬉しかったですね。私はラブコメが初めてだったので凄くありがたかったです。

― 印象に残っている撮影中のエピソードがあったら教えてください。

守谷さんと木村さんが本当におかしくて。笑いたくないのに笑ってしまって何度もNGを出してしまったり、最終話に近づくにつれ、もうみんなのことが好きすぎて思い入れが強くなってしまい、泣いてはいけないシーンのときに涙が出ちゃって。それは私だけじゃなくて。みんな作品や自分の役への思いが強いんだなと思うと、主演としてこのチームに入れたことがあまりにも嬉しくて、みんなが愛おしくて仕方なかったです。座長としても、「現場が楽しい」と言ってもらえて、その一言だけで救われる思いでした。

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― 特にキュンとしたシーンは?

ゲンジ役の楽駆さんとキセキ役の福本大晴さんとは三角関係のようなところがあったので、お二人のお芝居にはキュンとしました。何よりも真っ直ぐにぶつかってきてくださるので、その一生懸命さに心を打たれました。私はコンサルタントなので、お姫様役の方たちがちょっと羨ましくもなりましたが(笑)。

― 楽駆さんと福本さんとの三角関係がとても気になりますが、お二人の印象はいかがでしたか?

楽駆さんは私と年齢が一緒で、現場ではクールで大人びていてしっかりされている、役のままのイメージだったんですが、オフになった瞬間にツッコミどころが満載な方で(笑)。ゆりかとゲンジのシーンは、けっこう真面目なシーンが多かったので、撮影中はなかなか会話が弾むことがなかったんですが、撮影が終わってから天然な同級生という感じで打ち解けることができました。

福本さんは多方面で活躍されているので、凄く周りが見えているんです。とにかくチームのことを思っているんだなと感じました。お芝居に対してはとても真面目で、繊細。関西弁で明るく振舞っていますが、実は内に秘めているものがあるはず。でも、しっかりされてるからそれを周りに見せない。そういった部分がちょっとキセキにも似ているように見えました。

私より3歳下なんですが彼から学べる姿勢がたくさんあって、お芝居を作る環境はこういうもの・・・と初心に戻らせてもらえるような素晴らしい方でした。

― 山本さんが姫になるとしたら誰に接客されたいですか?

え~!全員嫌だな~(笑)。みんなを見すぎてしまって、キュンできないです。そういう対象にならないですね(笑)。現役ホストではありませんが、有名な方にホストクラブの紹介と接客をしていただいて、もうそれを知ってしまったので(笑)。お喋りが楽しくて、本当に心を奪われるような、お客様がハマる理由がわかるような。凄く心地いいんです。「エーイチ」にその方がいたら、やっぱりその方がいいですね(笑)。

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◆俳優生活10周年を迎えて◆

― 今回の撮影現場を通して、俳優として感じたことや成長したことはありましたか?

今回、初めて連続ドラマの座長というものを任せていただきました。今までは、自分のことが一番で、帰り道に自分の反省会ばかりしていましたが、気が付いたら自分のことよりみんなのことを考える時間が多かったように思います。 “今日はこの子がこうだったのでちょっと連絡してみようかな”というような意識を持つようになっていました。でも、それがとても幸せに感じられたんです。自分が初めて座長を経験して、数々の作品で主演をされている方々の凄さがよく分かりましたし、自分が引っ張っていくというより、みんなからのサポートを受けて“座長”としているという感覚の方が強かったです。成長したというよりみんなからアドバイスをもらっていました。

― 山本さんがお仕事に対する信念のようなものはありますか?

「報恩謝徳」の気持ちは忘れたくないと思っています。武術、アスリートの生活から始まった人生ですが、スポーツは1人でできるものではなく、優勝したときもまず自分の喜びより“周りの人のおかげだ”と思ったのが正直な気持ちでした。俳優の仕事も1人では全く成立しないので、その気持ちは同じく持っていたいです。周りの方に感謝して、時間はかかってしまうかもしれませんが、一つでもいい報告ができて、恩返しできるようになりたいと思っています。例えば、NHK大河ドラマに出演できたときは、デビュー作のときにお世話になった太秦のスタッフに皆さんにいい報告ができましたし、今回主演作に出演できて、いろんな方に自信を持って「観てください」と言えるものができたので、これからもその気持ちを忘れずに頑張っていきたいです。

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― 10周年に向けて叶えたい夢はありますか?

夢というより、数えきれないくらいの目標がこれからも出てくると思うので、時間がかかってもそれを1つ1つ達成していきたいです。おこがましいですが、また10年経ったら、より高い目標を立ててそれをまた達成していけたらいいなと思うので、その気持ちをずっと維持するための努力を重ねていきたいです。自分が正解だと思ったことを地道に続けていくことが自分の強みになるのではないかと考えています。

― お話をしているととてもしなやかで美しい山本さんですが、美を保つ秘訣を教えてください。

いえいえ、美しいなんて・・・(照れて)。でも、元々アスリート生活が長かったので、運動と食事は健康的に続けることは常に意識しています。あと、オフの日をきちんと作ることと、笑っていることは大事だと思います。内に籠ってしまうと、どんどん暗い顔になってしまうので、友達と笑って落ち着ける瞬間みたいなものを楽しみに仕事を頑張る! ご褒美スタイルがいいですね。

― 山本さんにとって、そのご褒美は何ですか?

ご飯とお酒です(笑)。私はアクションをすることも多いので、運動もしないといけないですし、毎日お酒を飲んだりしませんが、頑張ったあと1週間に1回ぐらい、自分にご褒美の時間をあげると、また明日から頑張ろうと思えるので。私の中では爆食と美味しいお酒を飲むというのがモチベーションになっています(笑)。

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ー 今後、チャレンジしてみたい役は何かありますか?

アクションをしてると必然的に誰かを守ることになって、今回のゆりかもみんなを指導する心が強い女性だったので、か弱い役をやってみたいですね(笑)。でも、そう言いつつやっぱりゆりかをもう1度やってみたいです。約1カ月間の怒涛の日々も楽しかったですが、登場人物がずっと続くような関係性なので、やりきったっていうより、まだやりたい!という気持ちの方が大きいかもしれません。本当に“仲間”に出会えたので、これはもう皆さんのお力でぜひぜひシーズン2と映画を!と個人的に願っております。私が主人公じゃなくて、最後だけチラッと出させてもらってもいいので(笑)。

― いや、山本さんがいないと現場がまとまらない気がしますが(笑)

そうですね(笑)。誰も突っ込む人がいないかも(笑)

― それでは、番組の見どころと皆さんにメッセージをお願いします。

登場人物の男の子たちがそれぞれコンプレックスを抱える中で、後悔や挫折を繰り返しながらも、仲間に出会えたことで成長していく、まさに青春群像劇です。スマートでカッコ良くて神々しい「ラブ2000」と、“本当にホストなの?”と思ってしまうような、ちょっとおバカで天真爛漫で、憎めない愛おしいホストクラブ「エーイチ」の対照的な部分が見どころです。このドラマを観ると「明日もまた頑張ろう」と思える、背中を押してくれるような明るく力強い作品になっています。

このドラマの何回でも見返したくなるようなテンポ感を楽しんで、この暑い夏を乗り切っていただきたいと思います。ぜひお家などでクーラーをつけて「埼玉のホスト」を観てください。

【山本千尋(やまもと ちひろ)】
1996年8月29日生まれ、兵庫県出身。3歳から中国武術を習い、数々の世界大会で優勝。JOCジュニアオリンピックカップでは3種目3連覇の実績を持つ。
2015年に映画『太秦ライムライト』で第3回ジャパンアクションアワード「ベストアクション女優賞」を受賞。主な出演作品に、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」、映画『キングダム2 遥かなる大地へ』、Netflixシリーズ「今際の国のアリス シーズン2」などがある。また、2023年9月より劇団☆新感線43周年興行・秋公演 いのうえ歌舞伎「天號星」(早風のいぶき役)の出演が控えている。

撮影:ナカムラヨシノーブ

<ストーリー>
数々の飲食店の経営を立て直し、業界では名の知れた人物である荒牧ゆりかは超優秀なコンサルタント。そんな中、ゆりかの もと に「 歌舞伎町トップホストクラブからの買収危機にある、埼玉のホストクラブ “エーイチ”の経営を立て直してほしい」という依頼がくる。冷徹なゆりかはバシバシと 「エーイチ」の ダメな点を挙げていき、ナンバーワンホストを見つけるために “スカウト活動 ”に勤しむ。しかし遂に見つけた青年は「植物としか喋れない超奥手な農家の息子」!
あらゆる 策略を立てながら「エーイチ」 を立て直すために奮闘するゆりかとホストたち。一方で、買収を企てる歌舞伎町No.1ホストにはある秘密があり・・・。「埼玉のホスト」と「人を信用しない女」が送る新しいラブストーリー青春コメディ!

■番組概要
[タイトル]ドラマストリーム『埼玉のホスト』
[放送・配信日時]
地上波放送:毎週火曜深夜25:00~25:30
地上波放送後、「TVer」「TBS FREE」にて無料1週間見逃し配信

[スタッフ]
製作:『埼玉のホスト』製作委員会
制作プロダクション:TBSスパークル
脚本:伊吹 一
音楽:青木沙也果
主題歌:Sean Oshima「回せ回せよ哲学を -Imagine-」(A-Sketch)
挿入歌:りみー「この物語はフィクションです」(SoCo Records)
プロデューサー:杉田彩佳
協力プロデューサー:磯山 晶
配信プロデューサー:今井夏木 杉山香織
演出:古林淳太郎 坂上卓哉

[出演者]
荒牧ゆりか:山本千尋
岩槻キセキ:福本大晴(Aぇ! group/関西ジャニーズ Jr.)
赤坂ゲンジ:楽駆
浦西コバト:木村 了
高崎セン:中沢元紀
行田マモル:田中洸希
枚方祥太郎:濱尾ノリタカ
吉見大鉄:守谷日和
成城マコト:中山咲月
ほか

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