映画『トリツカレ男』のプレミア上映会が、9月30日、東京・イイノホールにて行われ、声優を務めた佐野晶哉(Aぇ!group)、上白石萌歌、柿澤勇人と、主題歌を担当したAwesome City Clubが登壇した。
いしいしんじによる短編小説『トリツカレ男』を原作に、ミュージカルアニメーションとして映画化。本作は、一度何かに夢中になると、ほかのことが目に入らなくなってしまい、街のみんなから”トリツカレ男”と呼ばれているジュゼッペが、ある日出会った風船売りの少女・ペチカにとりつかれてしまい、彼女が抱える心配事をぬぐい去る為に奮闘する様を描く。主人公・ジュゼッペを佐野晶哉、ジュゼッペが想いを寄せるヒロイン・ペチカを上白石萌歌、ジュゼッペの頼れる相棒ハツカネズミ・シエロを柿澤勇人が演じる。
イベント冒頭には、本作の主題歌を担当するAwesome City Clubが登場し、主題歌を生パフォーマンス! すっかり映画の世界観に包まれ会場に、MCの呼び込みによって佐野、上白石、柿澤が客席中央扉から登場。大きな歓声と拍手が響き渡った。
佐野はAwesome City Clubに「盛り上げてくださって、最高のオープニングありがとうございます!」と感謝し、上白石も「もう出る前から胸がポカポカととても弾んで、今日この時間が特別なものになるなという予感がしました」と心躍らせる。
パフォーマンスを終えたAwesome City Clubも「本当に楽しかったですね!」と会場を見渡し、満面の笑みを浮かべ、「普段はライブハウスで歌ってるので、こういった環境でご挨拶いただくのは本当に貴重だなと思いますし、皆さまの心に届いてくれたら嬉しいなと思いました」としみじみ。
この日、観客に世界最速で本作を観てもらうことについて、佐野は「僕らが声を入れさせてもらったのが今年の2月~3月ですが、監督や制作のスタッフさんたちの話を聞いたら、5年前くらいからこの話が上がっていたとか。やっと皆さんに届けることができて、本当に幸せ。ほんまに日本中から愛された作品の第一歩に僕もこうやって登壇できて本当に幸せです。楽しみにしてください。自信しかないです」と万感の思いを口にした。
上白石も「私も初めてこの作品の試写を観て外に出たときに、目に映る空や雲とかが全部美しく、愛おしく見えるような感じでした。本当に心を洗濯するような作品に仕上がっていると思いますので、皆さんも劇場を出た後はポカポカとした温かい気持ちになっていただけると思います」と微笑んだ。
柿澤は「誰かが誰かのことを常に思っている。そして常にその誰かの幸せを願いながら走り続けるキャラクターしか出てこない。映画を観た後は温かい何かが皆さまの心の中に届くと信じています」とコメントした。
それぞれ個性的で愛すべきキャラクターを演じているが、自身の役を佐野は「もうめちゃめちゃかわいくて魅力的なキャラクターだったので、どんな声を乗せるのか凄く悩みました。歌のレコーディングも何テイクも重ねて。監督も特別に思い入れの強いキャラクターだったと思うので、監督の頭の中の設定を探していくような旅でした(笑)」と振り返りつつ、「めっちゃ楽しかったです。いろんなことに夢中になって、夢中になったことを忘れてまた次の方に夢中になって、ペチカという女の子に出会って初めて恋をして・・・。こんなに好奇心が広くていろんなことを好きになれる人の人生って凄く華やか。俺もこんなふうに生きられたら幸せなだなと思いながら臨みました」と、役と向き合いながら声を吹き込んでいった様子。
初めてコンテを見たときに、ジュゼッペのようにペチカに一目ぼれをしたという上白石。「なんて可愛いいんだ、このクリッとした目と何か艶やかな髪の毛で。そして、ペチカって、凄くミステリアスなんですね。重大な秘密や心の奥にいろんなものを抱えている女の子がジュゼッペと出会って雪が溶けていくように心を解放していくわけですが。私も初めてペチカを見たときにそのミステリーさに取りつかれる感じがありましたね」と、ペチカとの出会いを振り返った。
本作で映画の声優初挑戦となった柿澤だが、「いやもうわけわかんなかったです」と本音をチラリ。会場の笑いを誘いながら、「右も左も本当にわからなくて。声優の友達にすぐ連絡しました。彼は梶裕貴くんというんですが。『何分何秒・・・というところでお喋り出すというような印を台本に全部書くといい』と教えてもらって」とアドバイスを受けたことを明かすと、佐野と上白石は「全然わからなかった。初挑戦の人への振る舞いじゃなかった」と驚く。
柿澤が「僕初挑戦っていうのは現場の方々もよく知っているはずなんですけど、誰も教えてくれなかったんですよ」とこぼすと、佐野も「僕も初めて声優挑戦させてもらったときに声優の友達に連絡して教えてもらいました。その人が津田健次郎っていうんですけど」と話すと、声優界のスター2人の名前に会場もどよめいていた。
また、イベントではジュゼッペが何にでも“とりつかれる”ことにちなみ、「今、取りつかれていることは?」と問われた登壇者たち。Awesome City Clubのatagiは「あらためて、ギター」、PORINは「あずきバー」。モリシ―は「コーヒーです。好きすぎてコーヒー屋をオープンしました」と答えた。柿澤は「麻辣湯(マーラータン)。火鍋とか好きです。週2回くらい行っちゃってます」とニッコリ。上白石も麻辣湯にハマっているそうだが、「古い切手」と答え、「切手を貼るために手紙を書いています」と笑った。
佐野は「adieu(アデュー)です」と上白石のアーティスト名を挙げ、「この前、初めてライブに行かせてもらったんですが、曲の主人公になりきって、その曲を生きてるようなドラマがあるんですよ。Adieuさんがいるなと。それがすごい新鮮で素敵でハマってしまいました」と絶賛。すると、一緒にライブに行ったという柿澤が「もう前のめりで。僕が(佐野が邪魔で)見えないんですよ(笑)」とエピソードを明かす場面も。
イベントのラストは劇中歌を生歌で披露することに。柿澤は「Snowish」をしっとりと。佐野と上白石は「ファンファーレ~恋に浮かれて」をチャーミングに歌いあげ、会場を盛り上げ、拍手喝さいを浴びた。
最後に、佐野が「この映画を観ていただけるのが本当に幸せです。『トリツカレ男』を観たら本当に恋をしたくなってしまうような、何かを好きになることの大切さが凄く詰まっている作品です。老若男女、全ての人が楽しめる作品だと思うので、この映画にとりつかれた皆さんは何度でも劇場に足を運んでください。この素敵な作品と素敵な音楽を全身に浴びに来てください」とメッセージを送り、イベントを締めくくった。
<作品情報>
【ストーリー】
ひとたび何かに夢中になると、ほかのことが目に入らなくなってしまうジュゼッペは、街のみんなから“トリツカレ男”と呼ばれている。三段跳び、探偵、歌……ジュゼッペがとりつかれるものは誰も予想ができないものばかりだ。行き場のないネズミのシエロに話しかけるうちにネズミ語をマスターしたジュゼッペ。昆虫採集に夢中になっていると、公園で風船売りをしているペチカに一目惚れ。今度はペチカに夢中になった。勇気を出してペチカに話しかけたジュゼッペだったが、ペチカの心には悲しみがあった。大好きなペチカのため、相棒のシエロとともに、彼女が抱える心配事を、これまでとりつかれた数々の技を使ってこっそり解決していく。
ジュゼッペの夢中が、奇跡となってあなたに届くーー
<キャスト>
ジュゼッペ:佐野晶哉(Aぇ! group) ペチカ:上白石萌歌 シエロ:柿澤勇人
ツイスト親分:山本高広 サルサ親分:川田紳司 ペチカの母:水樹奈々 タタン:森川智之
<スタッフ>
原作:いしいしんじ『トリツカレ男』(新潮文庫刊)
監督:髙橋 渉
脚本:三浦直之
キャラクターデザイン:荒川眞嗣
主題歌:Awesome City Club 「ファンファーレ」
アニメーション制作:シンエイ動画
製作:2025映画「トリツカレ男」製作委員会
配給:バンダイナムコフィルムワークス
コピーライト:©2001 いしいしんじ/新潮社 ©2025映画「トリツカレ男」製作委員会
公式サイト:http://toritsukareotoko-movie.com
公式X:@toritsukare_mv 公式Instagram:@toritsukare_mv 公式TikTok:@toritsukare_mv
<原作情報>
原作:いしいしんじ『トリツカレ男』(新潮文庫刊)
[著者プロフィール]1966年、大阪生まれ。京都大学文学部仏文学科卒。2000年、初の長篇小説『ぶらんこ乗り』刊行。2003年『麦ふみクーツェ』で坪田譲治文学賞、2012年『ある一日』で織田作之助賞、2016年『悪声』で河合隼雄物語賞を受賞。『トリツカレ男』は2001年刊行、2006年新潮文庫に。現在京都在住。
11月7日(金)全国公開!