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平澤宏々路「今までで一番、自分に近い役」 映画『終点のあの子』で向き合った、過去の自分と成長!辿り着いた新境地とは?

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柚木麻子の鮮烈のデビュー作を原作に実写映画化した『終点のあの子』が1月23日より全国公開。

本作は、ゆらぎやすい女子高生の友情と複雑な心情をリアルに、切なく、残酷に描く物語。吉田浩太監督が約10年以上前に原作を読み、その登場人物たちが抱える痛みに強く惹かれて企画された、監督いわく「奇跡のような映画」となった作品。

周りに合わせながら生きている希代子を當真あみ、知的で大人びた風格を纏った朱里を中島セナがW主演で演じ、希代子の親友・奈津子を平澤宏々路、クラスのリーダー格の恭子を南琴奈が扮し、彼女たちの“揺らぎ”を映し出す。

この度、Astageでは奈津子役を繊細に演じた平澤宏々路さんにインタビューを敢行! 2歳から子役を務め、監督がオーディションでの決め手を「すごい演技が上手だったから」と言わしめる実力の持ち主。長いキャリアの中での葛藤、そして本作との出会いによる新しい発見とは? 撮影を振り返りながらじっくりと語ってくれた。

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― さっそく作品についてお伺いしますが、冒頭では下北沢駅のところで通学中の3人で何気ない会話をしています。とても自然な感じですがセリフが決まっていたのですか?

台本ではセリフが決まっていなくて、なんとなく「ここからここまで歩いてきて」という感じでした。ちょうどその場が工事中だったので、そのことは会話で触れてほしいというリクエストがありました。あとは「自由に喋っていて」と言われて。

― 高校生が話しているリアル感が出ていましたね。

変に作っていない感じが一番良いなと思っていて。みんなで本当にのんびり話していただけですが、それが空気感として伝わっていれば嬉しいです。

― 希代子、奈津子、恭子の3人と、その前に朱里が登場することでガラっと雰囲気が変わるところがとても印象的です。

3人が他愛のない会話をしていることによって、朱里の少し不思議な感じが際立っていると感じます。あの対比は私もすごく好きで。映像になるとより印象が強くなって、「これから何か起きそうだな」という気持ちになるシーンだと思います。

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― 3人はもちろん、他の同級生も含めてとてもリアルな女子高生の雰囲気が出ていましたが、カメラが回っていない時はどんな感じでしたか?

みんな年齢が近いこともあって、ワイワイ話している時もありました。でも、普通の青春ドラマや映画とはまた少し違っていて、キャッキャしているというより、作品としてのクラスの感じがずっと現場でも続いていて、その中にずっと流れている空気が漂っていました。なので、ただ和気あいあいしているだけじゃない、リアルな教室という感じがしていました。

― まさに、本当の学校にいるような雰囲気だったのですね。

みんな仲良くしているけど、その中でもグループができているような感覚もありました。それは、それぞれの思いがあって役に入っているからなんだろうなと思いました。

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― 完成作品を拝見して、原作の柚木さんの世界観がそのまま映像に映し出されている感じがしましたが、平澤さんはその世界観をどのように感じましたか?

原作を読んで、日常を描いているだけなのにどうしてここまで惹き込まれてしまうんだろうと感じました。いつの間にかこの世界観に惹き込まれているんです。大きな事件が起きたり、ファンタジー的要素があるわけでもないのに。他人の日記を読んで覗き見しているような感覚になっていた印象が残っています。それは、リアルに感情を細かく描いた作品だからこそなんだろうなと。それが楽しいなと思ったのですが、話が進んでいくとしんどくなったりとか、逆に少し救われたり・・・、感情の機微が激しくなったことを覚えています。

― 脚本を読んで、何日間か余韻が抜けなかったそうですね。特に印象に残っているシーンはありますか?

特に残っているのは、後半で希代子と対峙して日記の件について話すところです。実際には台本に書いてあったセリフと少し違うんですが。台本に書いてあったセリフには、奈津子がずっと抱えてきた気持ちがすごく詰まっていて、それを読んだ時点で数日引きずりましたし、そのシーンを撮る日はずっとモヤモヤしている気持ちで現場にいました。

―彼女の気持ちが正直に表れていて、奈津子の存在を改めて感じて、観ている皆さんの中にも共感できる方も多いと思います。平澤さんご自身が奈津子を演じて共感できる点はありましたか?

奈津子というキャラクターは今まで演じてきた役の中で一番自分と似ていると思いました。オーディションで台本をいただいて、その後に「受かりました。この役です」と言われた時に、とても納得できました。かなり自分に近いと思った記憶があります。とても周りの状態を見ているけれど、自分の感情は無視をしてしまう部分があるような女の子で、それが作品の中でどんどん成長していって、自分と向き合うようになっていきます。彼女は特に幼い頃や小学校、中学校に上がるタイミングの自分に似ていると感じました。

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― つい自分を置き去りにして周りのことを考えてしまう?

友だちのことは考えるけれど、自分が今どう思っているか、自分が今何をしたいかをあまり考えていなかったなと。寂しいと思っているのに、「いや、別に」と言って、人を頼ったりすることが苦手でした。奈津子は過去の自分とすごく似ていると感じていたので、現場に入る前から惹かれていたキャラクターでした。中学に入ってからは友達に恵まれて、「なんでも話してね」と言ってくれる友達が多かったので。そこで少しずつ克服していったような部分はあります。それは奈津子にも言えることかもしれません。

― 学生時代は、“学校”という世界が中心で動いていて、その中での息苦しさ、葛藤、逆にキラキラしている美しさが、とても素敵な映像に映し出されています。

現場にいる時はクラスのそのままという感じだったので、試写で完成作品を観て、映像になると「こんなにも青春というのはキラキラしているんだな」と驚きました。自分たちではよく分からなかったけれど、大人の方々が「青春していたよね」とか、若い子たちを見て「キラキラしているわ」と言う理由がなんとなくわかったというか。現場ではあんなにモヤモヤしたり、色々考えたりしていたのに「あれ、全然楽しそう」「なんかワクワクしちゃう」と思う瞬間もあって、不思議でした。

― 監督はこの映画のテーマを色で表現しているところがあります。ブルー、赤、ピンクなど。奈津子のオレンジというイメージはしっくりきましたか?

最初は意外でした。「オレンジなんだ・・・」というくらいで。恭子はピンクなどの明るい美しい色、朱里は真っ直ぐ凛とした青、希代子はその対峙する赤。自分では奈津子の色をあまり気にしていなかったのですが、大学生になった時の衣装を見て納得できました。奈津子が大学生になってから学んでいることは「人のためになること」と聞いたとき、なんとなくしっくりきました。オレンジ色は強い色にも見えるけど、温かさもある色で、その中に自分の芯が感じられて、あまり滲むことがない色だなとも思ったので、確かに奈津子だと思いました。あとオレンジは割とはっきりした色でもあるので、その色が着られるようになった奈津子というのは、自分自身を表現できるようになったんだなと。それは成長した奈津子を表現した色なのではないかなと思いました。

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―演技をする上で、監督から特にこうしてほしいというリクエストはありましたか?

それがあまりないんです。ただ、1回本番を撮っていただいて、オッケーもいただいたんですが、その後に監督から「もう1回撮りたい。ただ、もうセリフは気にしなくていいから、感じたことを自由にやってほしい」と言われたことがありました。その時のシーンが終盤で希代子と対峙する場面で、実際にそれが使われていました。

あの時の言葉は自分の心の底から出たものだったと思いますし、監督はその時の何かを感じ取ってくださったんだと思います。監督には自分のことが見透かされた感じがしましたし、あの時に「もう1回撮りたい」と仰ってくださってよかったなと思っています。それが唯一出してくださった指示かな。自分なりに頑張って演じてきた中で、ちょっと嬉しくもあり、ちょっと照れというか恥ずかしさもあり、ちょっと悔しさもありました。「あ、バレてるわ」みたいな(笑)。

― 監督が、平澤さんが自分でも気がつかなかった引き出しを開いてくれたのですね。

ポンと枠組みだけ置いてくれたような感覚もあって。そこに引き出しを入れたという感覚が私の中では近いです。監督は常に優しい方なんですが、その時はすごく優しい顔でふんわり包んでくださっていたんです。自分の中でも感情を落とし込めて、ちゃんと言葉にできたなと思うので。映像を改めて見て、あの時流した涙や表情には自分でも驚きましたが、長回しで撮ったものをそのまま編集も大きく加えずに出してくださって、ありがたかったです。監督やスタッフさんにも褒めていただいて、クラスメートのみんなからも「あのシーンはヤバい!」と言われて嬉しかったです。

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― W主演の當真さん、中島さんと共演されていかがでした? 特に當真さんとの対峙が多かったかと思いますが。

中島さんは芯があってオーラがすごく強い方。冷たいとかクールという感じではないのですが、容易に近づけない雰囲気をまとっていました。でもすごく優しいですし真っ直ぐ話してくださるので、信頼できる人だと思いました。當真さんには、本当に目を惹かれてしまうんです。「真ん中にいる人ってこういう人だな」と思うような。もちろん役では“平凡な女子高生”と書かれていますが、現場ではその場にいるだけでその空気が締まるような感覚もありました。でも、その中にもちょっと可愛らしい一面があったりして、一緒にいて楽しかったです。

― それぞれの女の子たちの雰囲気が役にピッタリでしたね。

恭子役の南さんは、初めて見た時に「恭子じゃん!」と思いました。台本読んで想像していた通りで、「うわ、出てきた!」というくらいでした(笑)。

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― 2歳から芸能活動をされている平澤さんですが、ご自身の俳優のキャリア、人生において、この作品はどんなものでしたか?

今までの中で一番自分に近い役をやらせていただきましたし、これまで自分と同い年の役で学園作品に参加したことがなくて、初めてがこの作品でよかったです。自分の気持ちに寄り添ってくれる、きっとずっと印象に残る作品になるんじゃないかなと思っています。この作品をきっかけに自分と向き合った部分もありましたし、それは観てくださる方もそうであってほしいなと思っています。

― 演技に対する価値観のようなものに刺激がありましたか?

監督から言われた「自由にやって」「今感じたことは?」「どう思った?」という言葉が印象的でした。自分が思ったこと、感じたことをもっと役に反映していいんだと。その考えをこの現場ではすごく経験させてもらったので、それを大事にしていきたいです。自分がどう思ったかを自分から言葉にして役について現場で話せるようになれればなと思いました。

―演じることでの気づきによってご自身も成長されていくのですね。2歳から俳優さんをされていて、途中で辞めたいとか、他にやってみたいと思ったことはありましたか?

ありましたよ! 本当に何度も (笑)。小学生や中学生の時に「辞めたい」と言ったこともあるんです。小6の時に今の事務所に入らせていただいたのですが、何かとても縁を感じて、引き戻されているような感覚でした。やっぱり演じることがすごく楽しいし、お芝居をやっていると熱中しちゃって「これ以上にやりたいものってある?」と。それで、自分のやりたいことはこの映像の中でお芝居をすることなんだと気づいたんです。子供のころは「もう嫌だ!」と家で大泣きすることもありましたが、今は、逆に「これ(俳優のお仕事)がないと!」と思っています。

― 逆に色んな役とかに挑戦していきたいと思うぐらいですか?

この道を選んだからには、自分の人生でできないことを役でやらせてもらおうかと(笑)。悪い役も許されて、普段だったら怒られるようなことでも作品の中だったらできると思ったら、楽しいですよね。作品の中でたくさん暴れて、好きなことを好きなようにやって、その中で色んな人と出会えたらいいなと思っています。

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― 2026年が始まりましたが、今年はどんな年にしたいですか?

色々チャレンジしたいなと思っています。今年19歳になるので、いつの間にか10代最後。せっかくなら10代のうちにしかできないことをやれるだけやっておこうと思います。20歳になるとやることも増えて自由な時間も少なくなるかもしれないので、今の時間を有意義に、色々チャレンジしていきたいです。

― それでは最後に、この映画を楽しみにしている皆さんにメッセージをお願いします。

この作品は、なにか大きな出来事が起きたり、ファンタジーなことが起きるわけではありませんが、きっと自分と向き合えるきっかけになると思います。観たあとに過去の自分を救ってあげられるような体験をするかもしれません。悩みを抱えている方には今の自分に寄り添ってあげられるような前向きな余韻が残ればいいなと思います。どの世代の方にも刺さる作品だと思うので、多くの方に見ていただきたければ嬉しいです。

『終点のあの子』sub3

【平澤宏々路(Kokoro Hirasawa)】
2007 年9 月21 日生まれ、東京都出身。2009 年、CM 出演し芸能界入り。2011 年にドラマデビュー。スタジオジブリ「アーヤと魔女」(20)で主人公アーヤ役、Prime Video「仮面ライダーBLACK SUN」(22)、ドラマ「コタツがない家」(23)、「DOPE 麻薬取締部特捜課」(25)など多くの映像作品に出演。主な映画出演作に『貞子3D2』(13)、『トラさん~僕が猫になったワケ~』(19)、『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』(24)がある。

『終点のあの子』日本語版ポスタービジュアル

映画『終点のあの子』
《Story》
私立女子高校の入学式。中等部から進学した希代子と奈津子は、通学の途中で青い服を着た見知らぬ女の子から声をかけられた。
高校から外部生として入学してきた朱里だった。父は有名カメラマン、海外で暮らしてきた朱里を希代子は気になって仕方がない。
朱里は学校では浮いた存在でありつつも、羨望の眼差しで見られていた。希代子は朱里と一緒に共に時間を過ごすような仲になり、「親密な関係」になったと思っていた矢先、希代子は朱里の日記帳を見つける―――。

原作:柚木麻子『終点のあの子』(文春文庫)
監督・脚本:吉田浩太
出演:當真あみ、中島セナ
平澤宏々路、南琴奈
新原泰佑、小西桜子、野村麻純、陣野小和/深川麻衣、石田ひかり
プロデューサー:前信介 協力プロデューサー:小宮誠
企画協力:文藝春秋
配給協力:SPOTTED PRODUCTIONS
製作・配給:グラスゴー15
©2026「終点のあの子」製作委員会

公式HP:http://endof-theline.com
公式X(旧Twitter):https://x.com/endof_the_line_?s=21
公式Instagram:https://www.instagram.com/shuten_jp/

1月23日(金)よりテアトル新宿ほか全国公開中!