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【第31回東京国際映画祭】斎藤工、監督の手作りチキンスープに感激「あの味は忘れられない」 映画『家族のレシピ』舞台挨拶

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第31回東京国際映画祭のワールドフォーカス部門出品作品、『家族のレシピ』が、11月1日、東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズにて上映され、主演の斎藤工とエリック・クー監督が舞台挨拶に登壇した。

日本とシンガポールの外交関係樹立50周年を記念して制作された本作は、日本のラーメンと、シンガポールのバクテー(肉骨茶)という両国のソールフードをモチーフに、家族の絆を描いたドラマ。群馬県高崎市でラーメン店を営む真人が、父の死をきっかけに、幼い頃に亡くした母の日記帳を見付けたことから、母の故郷・シンガポールへ旅立ち自分のルーツを探していく様を描く。真人役を斎藤工が演じ、シンガポール在住のフードブロガー・美樹役を松田聖子が扮する。

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「TATSUMI マンガに革命を起こした男」などで知られるクー監督がメガホンを握った本作。監督の大ファンだという斎藤は「日本人が知らない、日本の大切な文化を教えてくれました。僕ら以上に日本人を捉えていると思ったんです」と称え、「日本人俳優を探していると聞いて、通行人でもいいから出たいと思ったんです。そこで、スカイプでオーディションを受けました」と役を射止めた経緯を明かした。

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撮影について「今までに経験したことのない、エリック・クーの魔法にかかったような時間でした。演じたという記憶がない。表現の神髄、新しい扉を開いてくれました」と振り返り、クー監督とのタッグを喜ぶ。さらに、「フィルムメーカーとしての自分の未来も導いてくれた、大きな出会いでした」と、監督業としても大きな影響を受けたようだ。

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クー監督は「日本で映画を撮影したいというのが夢でした」と語り、「日本の国、人々、食に魅せられてきました、私は日本もシンガポールも食を愛している。何よりも食をテーマに作りたいと思ったんです」と食への愛情を吐露。

舞台挨拶では、観客からも質問を受けるQ&Aを実施。松田聖子のキャスティングについて問われると、クー監督は「10代の頃に大ファンでした。プロデューサーが彼女と知り合いだというので、ぜひ出演してほしいとお願いしました」と言って少年のような笑顔を見せる。

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撮影時の思い出として、斎藤は「僕の撮影最終日に、エリックがチキンスープを作ってくれたんです。手が何本あっても足りないくらい大変な中、煮込みスープという手間のかかるものを作ってくれて。それがめちゃくちゃ美味しかったんだけど、その美味しさ以上に、これを作るための時間のことを考えたらグッときて・・・涙を流しました。作品ともシンクロするところがあった。あのスープの味は忘れられないです」としみじみと語った。

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また、映画の内容にちなみ「それぞれの“家族のレシピ”で思い出すものは?」という質問に、斎藤は「父が作る麻婆豆腐」を挙げ、「辛党一家だったので、日に日に山椒が加算されていって。ある日、麻酔銃を撃たれたような辛さで(舌が)麻痺しました。山椒と胡椒の上に豆腐が乗ってるくらいの割合で。美味しいというより麻酔銃でしたね(笑)」とエピソードを明かし、会場の笑いを誘った。

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一方のクー監督は「母が作ってくれたチキンカレーです」と今は亡き母へ思いを馳せる。「この映画のラストシーンにもチキンカレーが登場します。いつまでも忘れられない味です」と述べると、斎藤が「ニューヨークでクー監督の息子さん宅に招待され、チキンカレーをご馳走になりました。家族の食卓に呼んでいただき本当に幸せな出来事でした」と話し、微笑んだ。

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最後の質問で「料理の力とは?」と聞かれると、斎藤は「言語を超えるもの。美味しいものはシェアして共通のものにすることができる。僕も昔バックパッカーとして旅をしていたとき、その国の印象が“食”で残っています」と答えた。クー監督も「癒しの力があり、人々をつなげる力があると感じています」と伝えていた。

第31回東京国際映画祭は、11月3日まで開催。

映画『家族のレシピ』
出演:斎藤工、マーク・リー、ジネット・アウ、伊原剛志、別所哲也、ビートリス・チャン、松田聖子
監督:エリック・クー
料理監修:竹田敬介
スチール:レスリー・キー
公式サイト:https://www.ramenteh.com/

2019年3月9日よりシネマート新宿ほか 全国順次公開