映画『窓辺にて』の完成報告イベントが、10月12日、アンダーズ東京にて行われ、主演の稲垣吾郎をはじめ、共演の中村ゆり、玉城ティナと今泉力哉監督が登壇した。
今泉力哉監督の完全オリジナルとなる本作は、今泉ワールドの特徴でもある＜等身大の恋愛模様＞に加え、これまで以上に＜好きという感情そのもの＞について深く掘り下げた、美しくてちょっぴり可笑しい大人のラブストーリー。
ある悩みを持つ主人公・フリーライター市川茂巳を稲垣吾郎が演じ、市川の妻・紗衣役を中村ゆり、高校生作家・久保留亜役を玉城ティナ、市川の友人でプロスポーツ選手の有坂正嗣役に若葉竜也のほか、有坂の妻・ゆきを志田未来、紗衣と浮気している売れっ子小説家・荒川円役を佐々木詩音など、個性豊かな実力派俳優が顔を揃えた。
第35回東京国際映画祭 コンペティション部門正式出品作品に選ばれた本作。今作で初タッグを組むこととなった稲垣と今泉監督だが、この東京国際映画祭には不思議な縁があったという。稲垣は「2018年に僕は『半世界』、監督は『愛が何なんだ』という作品で東京国際映画祭に来ていたんです。その時に出会い挨拶をすることができました。そして、その後、雑誌の対談があって。リモートでの対面でしたけど･･･」と印象に残る出会いがあり親睦を深めていったという。
今泉監督は、対談の時にはすでに稲垣をイメージして作品を進めていたそうだが、「稲垣さんが『僕を主演にするならどんな作品になりますか？』って聞くんですよ。今、準備中なんだけど･･･」とまだオファー前だったことから返答を困ったことを明かした。
そんな二人が数年たち一緒に映画を撮ることになったのだが、今泉監督は「喜怒哀楽が明確に出るのではないので、（稲垣に）伝わるだろうかと心配していたんですが、衣装合わせのときに『知っている感情です』『分かりますよ』と言われて安心しました」と、当時を振り返える。
先に試写を観た人々から「稲垣の普段通りのイメージで、素で行っているんじゃないのか」との声が多く上がっているが、稲垣は「監督はどうしてこんなに僕のことを知っているんだろう。心の内側まで分かっている･･･という印象を持ちました」と、監督の描写に驚きを隠せない。監督が「色々見て、想像しているだけです」答えると、「素の自分が溢れ出してしまう、漏れてしまうところを汲み取ってくれたのかと。愛を感じます」と感謝する稲垣。「監督、僕の事が好きだったんだと思います」と続け、会場を沸かせた。
また、共演の中村は「役作りは特にすることはなく、対峙した稲垣さんが色んな感情を引き出して、湧き上げさせてくれました。現場で気づくことが多くて新鮮な体験でした」と吐露。
本作では、長回しのワンカット撮影が多く使われていたとのこと。稲垣は「緊張はしますが、俳優としては最高です」としみじみ。玉城も「実年齢とは離れている役でしたが、どこか知っている感情が多かったので、好き勝手にやらせていただき、それを稲垣さんが受け止めてくれました」と感謝の気持ちを口にしていた。
さらに、本作の内容にちなみ、「人を好きになること、恋愛観について」問われた稲垣は「自然体がいいですよね。意外と本能的ですよ。恋愛には無邪気でいたい」と笑顔を見せ、「僕も49（歳）なので、最後の恋もいいかな･･･」とも。「いや、最後はダメか。でも相手がいると冷静になってしまう自分もいるので茂巳に共感できるところもあるんです」と述べ、自分の恋愛に悩みだすと、監督が「いつも最後のつもりで恋をすると思うのがいいんじゃないのかな？」とフォローが入り、「それです！」としたり顔の稲垣だった。
最後に稲垣が「何か自分に共感できるような、フィットできるような思いでこの映画を楽しんでいただければと思っています。一人でも多くの方に劇場に来ていただければ嬉しいです」とアピールし、イベントを終了した。
映画『窓辺にて』
【あらすじ】
フリーライターの市川茂巳（稲垣吾郎）は、編集者である妻・紗衣が担当している売れっ子小説家と浮気しているのを知っている。しかし、それを妻には言えずにいた。また、浮気を知った時に自分の中に芽生えたある感情についても悩んでいた。ある日、とある文学賞の授賞式で出会った高生作家・久保留亜の受賞作「ラ・フランス」の内容に惹かれた市川は、久保にその小説にはモデルがいるのかと尋ねる。いるのであれば会わせてほしい、と･･･。
出演：稲垣吾郎、中村ゆり、玉城ティナ、若葉竜也、志田未来、佐々木詩音
音楽：池永正二（あらかじめ決められた恋人たちへ）
主題歌：スカート「窓辺にて」（ポニーキャニオン/IRORI Records）
監督・脚本：今泉力哉
配給：東京テアトル
撮影：2021年７月、都内近郊にて撮影
©2022「窓辺にて」製作委員会
2022年11月4日（金）全国ロードショー
