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宮沢りえ、「演劇の神様に試されていると思った」余命2ヶ月の母親役を熱演! 映画『湯を沸かすほどの熱い愛』初日舞台挨拶

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映画『湯を沸かすほどの熱い愛』の初日舞台挨拶が、10月29日、東京・バルト9にて行われ、主役の宮沢りえをはじめ、共演の杉咲花、オダギリジョー、松坂桃李、伊東蒼と、中野量太監督が登壇した。

本作は“死にゆく母と、残される家族が紡ぎ出す愛”をテーマに、驚きと感動に溢れた物語。余命2ヶ月を宣告された母が、最後に「絶対にやっておくべきこと」を決めて行動することでぶつかり合いながらも家族の絆を深めていく様を描く。“お母ちゃん”こと双葉役を宮沢、双葉の娘・安澄役を杉咲、旅先で双葉と出会う青年・拓海役を松坂、双葉の夫・一浩役をオダギリジョーが演じ、想像もつかない驚きのラストにいざなう。

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完成した作品を観た宮沢は、「自分の演技を手放しで喜べないたちで、いつも『ああすればよかった、こうすればよかった・・・』と思うんです」と述べつつ、「演技って、だいたいウソの中で生きるんですが、このメンバーたちと本番というウソのなかで呼吸していると、そのウソの枠がなくなっていって、本当の時間が流れているかのように錯覚するくらい、ウソがないものが画面に表れていました。素敵な時間でした」と振返る。続けて、「監督をはじめとしてスタッフの期待値が毎日高くて、私たちもよけいに頑張ろう!と思いました」と、本作に対する意気込みの高さを語った。
また、ガンで余命2ヶ月を宣告された母親役を演じ、「私も母をガンで亡くしているので、演劇の神様に試されているなと感じました。この役は並大抵のエネルギーではできないと思い、毎日奇跡のような日常を重ねて作りました」と感慨深げ。

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同じく杉咲も演技以上の感覚があったようで、「演技をしているという感覚がなかった。試写を観て『初めて作品を作っていたんだ』と思いました。この作品に関わることができて幸せでした」としみじみ。

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おとうちゃん役のオダギリは、「この作品はいいに決まっているという気持ちが強すぎて、すぐに(完成作品を)観る気になれなかったです」と、彼らしい言葉で作品の良さを伝えようとする。「みなさんの素晴らしいお芝居を見ていたので、もう観なくても十分素晴らしいと・・・」と語ると、宮沢から「見てたんじゃなくて、一緒に演ってたでしょ!」とツッコミを入れられる一幕も。まるで、劇中の夫婦を見ているかのような二人だったが、最後は「10年、20年後にもちゃんと残っている作品だと思います」とキッパリと断言。オダギリも作品の出来栄えに十分満足しているようだった。

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ヒッチハイク中に幸野家の人々と出会う青年役の松坂は、「出会うシーンの前までは、台本でしか知りえない内容ですが、それでも(台本を読んで)グッとくるところがあったのに、あらためて完成した作品を観ると、また違うところでグッときてしまいました。体で演じて、声を出して・・・文字だけでは伝わらない映像が(この作品には)残っています」と目を輝かせる。

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オーディションで鮎子役を射止めた子役の伊藤は、「おかあちゃんと『嘘はなしね』と約束しました。だから鮎子がうれしい時はうれしいし、悲しい時は悲しくて涙が出ました。この映画でみんなと家族になれたなと思います」と力強く語り、「(完成作を観て)内容を知っているのにいっぱい泣きました。たくさんの人にこの映画を観てもらいたいです」とマイクを握りしめてアピールした。

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本作で商業映画デビューを飾った中野監督は、「この景色を見るまでに、19年と7ヶ月かかりました」と、出演者と会場の観客をゆっくりと見渡す。「でもその日々があったからこそ、この映画はできたんじゃないかと思っています。脚本を書いているときに想像している映像のイメージを超えることって、なかなかないんですが、このメンバーは、僕が面白いと思っていたものを何か所も超えてくれました」と、出演者たちに感謝の気持ちを伝えていた。

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映画『湯を沸かすほどの熱い愛』
<STORY>
私には、死ぬまでにするべきことがある。 銭湯「幸の湯」を営む幸野家。しかし、父が1年前にふらっと出奔し銭湯は休業状態。母・双葉は、持ち前の明るさと強さで、パートをしながら、娘を育てていた。そんなある日、突然、「余命わずか」という宣告を受ける。その日から、彼女は、「絶対にやっておくべきこと」を決め実行していく。家出した夫を連れ帰り家業の銭湯を再開させる、気が優しすぎる娘を独り立ちさせる、娘をある人に合わせる…母の行動は、家族からすべての秘密を取り払うものだった。ぶつかり合いながらもより強い絆で結びついていく家族。そして母から受けた大きな愛で繋がった家族は、究極の愛を込めて母を葬(おく)ることを決意する。

監督:中野量太
キャスト:宮沢りえ 杉咲花 篠原ゆき子 松坂桃李 駿河太郎 伊東蒼
オダギリジョー
配給:クロックワークス
(C)2016「湯を沸かすほどの熱い愛」製作委員会
公式サイト:http://atsui-ai.com/

新宿バルト9ほか全国にて公開中